I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「とどかぬ想い」ペット・ショップ・ボーイズ

2019.03.22

category : Pet Shop Boys

Pet Shop Boys with Dusty Springfield - What Have I Done To Deserve This? (1987年)



~概要~

「とどかぬ想い」は、ペット・ショップ・ボーイズ1987年の2ndアルバム『哀しみの天使(Actually)』に収録された作品です。
前年「West End Girls」で大ブレイクを果たし、本アルバムからも「It's a Sin」(過去ログ)が全英No.1(全米9位)を記録、これに続く2ndシングルとしてカットされ、Billboard Hot 100の2位(年間50位)を記録しました。

作者はペット・ショップ・ボーイズ(以下PSB)のニール・テナント&クリス・ロウ、そしてアース・ウィンド&ファイアー「September」(過去ログ)などの共作者としても知られるアメリカのソングライター、アリー・ウィリス。
PSBにとって初の試みとなった他歌手とのデュエットは、1960年代を代表するイギリスの女性歌手の一人ダスティ・スプリングフィールドが務めています。

PBでPSB&ダスティ以上に目立っているのが華やかな衣装に身を包んだ女性ダンサーたちで、この衣装に見覚えのある方もおられるでしょう。
この衣装は1983年公開の映画『007 オクトパシー』で使われていたもので、頭飾りは1992年にリリースされたアニー・レノックスのアルバム『Diva』のジャケットにも使用されました。
また、要所で目を引くのがクリス・ロウによる“トロンボーン”と“ダンス”ですが、本人にとっては“恥ずかしくってたまらない”映像だそうです。

1988年にはPSBの過去2枚のアルバム『Please』と『Actually』の楽曲で構成されたミュージカル映画『夢色の幻想(It Couldn't Happen Here)』が、クリスとニール主演によって制作されており、「とどかぬ想い」も劇中で演じられています。
ライブでは同1988年のBPIアワード(BPI Awards)でダスティとPSB揃ってのパフォーマンスが実現していますが、残念ながらこちらは“口パク”でした。
PSBらしい凝った演出が楽しめるのは1991年の『Performance Tour』で、ここではPSBのパフォーマンスに加えて“パンプキン・ダンサーズ”のかぼちゃらしからぬ軽やかなダンスも見ものです。


 
 



~Lyrics~

You always wanted a lover
あなたはいつも恋の相手を求めていた
I only wanted a job
僕はただ、仕事が欲しいだけだった

彼の言う【job】とは…
冒頭からのフレーズが、“波乱”を予感させます。

何でこんな刺激的なストーリーかと思われるかもしれませんが、『Actually』は当時の【サッチャリズム】(サッチャー政権の経済政策)によって生じた失業率の上昇や貧富の格差拡大が大きなテーマとなっており、中でも「Rent」は本曲以上に【rent boy(若い男娼)】をイメージさせる物語となっています。

…そういう理由から年上で大スター(お金持ち)のダスティ・スプリングフィールドを相手役に選んだわけじゃないでしょうケド? 


Since you went away I’ve been hanging around
あなたが行ってしまい、宙ぶらりんの心
I’ve been wondering why I’m feeling down
気分が沈んでいるのは何故? …ずっと考えている

そのダスティがメインのフレーズです。
「とどかぬ想い」の歌詞の大部分はニールが書きましたが、サビであるこの部分は女性作家アリー・ウィリスが歌詞を書いたとされます。
そうしたことを考慮に入れて歌詞(英語)を読む限り、概してヴァースの部分は“男性側の想い”、サビが“女性側の想い”というストーリーが直感的に浮かび上がってきます。

しかし実際に2人が歌っているパートを細かくチェックしてみると、そう単純に歌い分けられているわけではなく、ヴァースの一部をダスティが歌っていたりで、一つのストーリーにまとめる上でかなり惑わされました。
個人的には基本的に“男性側のストーリー”と解釈していますが、一応ダスティの歌唱部分は“男性側とも、女性側とも取れる”ように表現しておきました。
もっとも、こうした不自然さの背景には、「とどかぬ想い」が元々ダスティをデュエットの相手に想定して書かれた作品ではなく、大物であるがパートナーと決まった後で女性パートを増やすなど“ビジネス上の都合”で変更された可能性も考えられます。


We don’t have to fall apart, we don’t have to fight
争い、別れる必要なんてない

そうした配慮の表れであるかは不明ですが、当初はなかったアウトロのダスティによるソロです。
何でも、ダスティの想像以上のヴォーカルに感激したニールが閃いて付け足したそうですが…
でもこの一節って、ストーリーの概念を180°覆しかねないほど劇的な補足ですよね! 

…でもそれくらい、ダスティの歌唱が魅力的だったということでしょう。
 オレはやっぱり、PVのような“謎の微笑み”の魔力にやられたと思うゾ?)



~Epilogue~

ペット・ショップ・ボーイズが4月1日/2日に来日公演を行います。
単独公演としては19年ぶりだそうで、ニールから日本のファンへビデオメッセージが届けられました(撮影:クリス!)。


 


ダスティ・スプリングフィールドはPSB、特にニールにとって憧れのスターでした。
「とどかぬ想い」は1985年の始め頃に書かれた作品で、彼らは1stアルバムに入れたいと思っていましたが、女性パートを誰に依頼するか決め切れずにいました。
スタッフに“あれだけ好きなダスティに頼まないの?”と指摘され、アプローチを試みたものの当初ダスティ側から色よい返事は得られなかったようです。

一方、当時そのダスティ自身も問題を抱えていました。
全盛期を過ぎて長年低迷していた彼女は1970年代~1980年代初頭にアルコールや薬物中毒に陥り心の病を発症させるなど、入退院を繰り返していたのです。

彼女のファンであるPSBはそうした事情を知っていたため、心にはあっても彼女への依頼を躊躇っていたと思われますが、求めていたのはやはりダスティでした。
周囲にティナ・ターナーやシャーデーを薦められてはいたものの結局これが実行されることはなく、「とどかぬ想い」は1stアルバムに収録されませんでした。
そんな両者の運命を変えたのは「West End Girls」の大ヒットで、ダスティがこの曲をラジオで聴いて気に入ったことから遂に共演依頼を承諾してくれたといいます。

「とどかぬ想い」は歳月をかけて届き、それは両者に最大級のヒットをもたらしました。
1999年、ダスティは59歳の若さで亡くなっていますが、ニールとクリスもその葬儀に参列し、同年の彼らのツアーで大きなスクリーンを掲げて彼女への追悼を捧げています。

Since you went away I’ve been hanging around
あなたが行ってしまい、宙ぶらりんの心
I’ve been wondering why I’m feeling down
気分が沈んでいるのは何故? …ずっと考えている

“想い”とは、あなたが何処にあろうと灯り続ける心…



「とどかぬ想い」


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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

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「哀しみの天使」ペット・ショップ・ボーイズ

2017.10.27

category : Pet Shop Boys

Pet Shop Boys - Its A Sin1 Pet Shop Boys - Its A Sin2


Pet Shop Boys - It's A Sin (1987年)



~It's A Sin ? ~

今回のテーマは、【sin(罪)】。

私が中学3年のとき校長が替わり、彼の意向により突然“男子生徒は全員丸刈りにさせる”方針がその春から打ち出されたことがありました。
幸い2・3年生はそれが回避されたものの新入学の1年生からそれが実行され、私は坊主頭を免れて胸を撫で下ろす一方で“自分の髪型が一方的な他人の意向で強制される不合理”を、子どもながら漠然と感じたものでした。

21世紀の今日、日本はそんな不合理が罷(まか)り通った時代からとっくに卒業したものと思っていましたが、そんな最中偶然目にしたニュースで、生まれつき髪の色素が薄い女子生徒に対し“たとえ金髪の外国人留学生でも規則で黒く染めさせる”という指導を実行し、そのため生徒とその正当性を裁判で争っている大阪府立高校があることを知り、暗然たる気持ちにさせられました。

この裁判、まさか学校側が勝つなんてありませんよね?
(生徒側に嘘が無いとして)



~概要~

「哀しみの天使」はペット・ショップ・ボーイズ1987年の2ndアルバム『哀しみの天使(Actually)』の収録曲で全英で3週No.1、アメリカBillboard Hot 100で9位を記録したダンス・ナンバーです。
作者はメンバーのニール・テナント(vo)とクリス・ロウ(key)で、彼らが有名になる前の1984年にBobby O(Bobby Orlando)と制作したデモ音源が残されています。
タイトル「It's A Sin」にも使われる【sin】は“(宗教・道徳上の)罪”という意味で、ニール・テナント自身の体験を投影した作品です(別項参照)。

シングルが発売された後イギリスのDJジョナサン・キング (Jonathan King)が、「It's A Sin」はキャット・スティーヴンス1971年のヒット曲「Wild World」の盗作であると主張し、「It's A Sin」の曲・アレンジに「Wild World」の詞を組み合わせたカバーを勝手に発表したため逆にPSB側から訴えられ、この改変作の売り上げはチャリティーに寄付する羽目になるという騒ぎが起きています。
似ているといえば1988年に日本のWinkがカバーした「愛が止まらない 〜Turn It Into Love〜」(カイリー・ミノーグの曲としても有名)も気になるところですが…。

 
 



~Lyrics~

Father, forgive me, I tried not to do it
ファザー…お許し下さい、止めようと努力しました
Turned over a new leaf, then tore right through it
心を入れ換えても、ずたずたに引き裂いてしまうのです

作者の一人であるニール・テナントはローマ・カトリックの男子校[St Cuthbert's High School]の出身で、「It's A Sin」はここで体験した厳格な戒律への不満や怒りを表しており、本作品がリリースされたとき当時の教師が不快感を示したといわれています。
こうした経緯からもここでの【Father】はニールの実父ではなくカトリック教会の神父を指していると解され、これに続くセンテンス[Father, you fought me]を私は“あなたは懸命に向き合ってくれました”と訳していますが、もし【神父=教師】であるならより[fight(戦い)]的な激しいものだったのかもしれません。


For everything I long to do
僕がやりたいと望むことは
No matter when or where or who
たとえそれがいつ、何処で、誰とであろうと
Has one thing in common, too
一つの概念で通じている

一般的な『モーセの十戒』程度の戒律であればこれ程悲壮感漂う歌を創らなくてもよいのかもしれませんが、ニール・テナントには彼の抱えた“特別な事情”もあります。

PSBの代表曲でもある「Go West」(過去ログ)が象徴するようにニールはゲイであり、“同性愛行為は自然法に反する罪深い (sinful) もの”とするローマ・カトリック教会の教えは、“いつ、何処で、誰と何をしようと自分の存在を否定されている気分”になるのではないでしょうか…。



~七つの大罪 Seven deadly sins~

ニールが囚人、クリス・ロウが看守を演じるPVは、カトリック教会における『七つの大罪(七つの死に至る罪)』を犯した者を裁く異端審理を模しているとされます。
七つの大罪とは、罪そのものというより“人を罪に導く欲望や感情”のことであり、その七つとは以下のとおりです。

pride(傲慢)
avarice(強欲)
envy(嫉妬)
wrath(憤怒)
lust(色欲)
gluttony(暴食)
sloth/acedia(怠惰)



また、ローマ教皇庁は2008年に『新たな七つの大罪』を発表しており、その7つとは…

遺伝子改造、人体実験、環境汚染、社会的不公正
貧困(にさせること)、過度な裕福さ、麻薬中毒


となっており、古典的な七つの大罪は“個人を戒めている”のに対し、新たな七つの大罪は“社会や政治のあり方を戒めている”ような気がします。



~印篭のない『水戸黄門』、2017衆院選~

そもそも今回の選挙は2012年12月の第2次安倍内閣発足から約5年が経ち、その5年を費やした看板政策である『アベノミクス』『財政健全化』の達成度や、違憲の疑いが問われる中で強行採決により成立させた『秘密保護法』『安保法』『共謀罪法』、安倍首相夫妻と内閣自体が疑惑の主体となり未解明のままの『森友学園問題』『加計学園問題』『防衛省日報問題』、そして【憲法53条に基づいて開催義務のある臨時国会で何も議論せず】【天皇の権限である憲法7条を首相が乱用した今回の衆院解散】などの是非を総括すべきものでしたが、選挙中も[討論しない党首討論番組]を僅かに公開しただけで[有権者が知るべき各党首の適正や本音を引き出すことなく選挙戦が展開]され、結果は衆院の定数が10削減された中で自民党が公示前の議席を維持し事実上安倍内閣は国民に信任された形となりました。


ただやはり今回の選挙でも与党勢力が得票率(小選挙区49.32%/比例代表45.95%)で議席の67.3%を獲得し、野党勢力が得票率(小50.68%/比53.53%)で議席の32.7%しか獲得できず、【野党は得票率で勝って獲得議席は与党の半分以下】という正しく民意を反映しない選挙制度であることが改めて示されました。
この不合理な制度下に於いては野党が与党の2倍を得票するか、理念の異なる野党が一丸となって各選挙区で与党に1対1の構図を作らなければ互角の戦いさえ挑めず、たとえそれで政権交代が実現しても理念が全く異なる連立政権が安定した政権運営など望むべくもないことは、これまでの失敗の歴史が証明しています。
現在の日本の政治体制下では小選挙区制は民意を逆目にしか反映せず、これこそが近年私たちの民意が政治に反映されない違和感の正体です。

こうした歪んだ選挙制度こそが、21世紀の今日にあって戦前の大日本帝国憲法及び教育勅語を賛美する極めて少数派の思想をもつ安倍氏が、大多数の一般国民が支持する現憲法による民主・平和主義を駆逐・支配する不合理を可能にしたといって過言ではないでしょう。
しかしこの選挙の現状は憲法14条;『法の下の平等』にも反する恐れがあり、これを放置することは少数派支配という民主主義破壊を許容しているに他ならないため、改憲に優先して直ちにこの選挙制度を改める必要があります。
しかしそれを変え得る立場の与党は同時にこの選挙制度の受益者であるため自らこれを改める可能性は皆無であり、余程国民とメディアが少数野党を後押ししてムーブメントを起こさない限り実現しないでしょう。


一方、今回の選挙でも有権者の半数近くが投票を棄権するなど、国民の側にも反省するべき点があります。
また、私が特に注目したのは第2次安倍内閣発足以降、メディアで“その疑惑や適性が問われた閣僚たちが有権者にどう裁かれたか”でした。

森友・加計問題の安倍晋三首相、加計問題への関与が疑われた萩生田光一前官房副長官、その疑惑解明に対する姿勢こそが疑惑を更に深めた菅義偉官房長官・松野博一前文科相・義家弘介前文科副相・山本幸三前地方創生相、その適性を問われた稲田朋美前防衛相・共謀罪法の金田勝年前法相・“北方領土問題は素人”の江崎鉄磨沖縄・北方担当相、政治資金や口利き疑惑で辞任した小渕優子元経産相・甘利明元内閣府特命担当、オリンピックを巡る新国立競技場問題で辞任し今年の都議選時に政治資金問題が発覚した下村博文元文科相…
彼らの殆んどはこの衆院選で危なげない強さを見せつけ、全員が当選していました(山本氏と金田氏は辛勝)。

水戸黄門が印篭を出さずして、代官が行いを改めることがあるだろうか…。



~Epilogue~

ところで、今回の選挙で私は『(第24回)最高裁判所裁判官国民審査』に初めて[×]を記述しました。
これまで安倍首相は[お友だち内閣]を組閣したり、NHKにお友だちの会長を送り込み“政府が右というのを左と言えぬ”と言わせ、内閣人事局を設置し国民でなく安倍首相に奉仕する[忖度官僚]を輩出させるなど自らの権力強化のために手段を選ばず実行してきましたが、審査に際して私は“最高裁判事も介入してるのでは?”と胸騒ぎを覚え、調べてみたところ…

やっぱり介入していました!

今回の審査で対象となっている裁判官は7人ですが、うち一人はそれまで慣例となっていた日弁連推薦の候補者を退けて安倍内閣が選任した法学者でした。
もう一人は安倍首相の腹心の友・加計孝太郎氏と大学の同期生であり、学校法人加計学園の監事も務めていた元弁護士
そしてこの2人を含めた4人が、森友学園問題で財務省と近畿財務局が持つ関連電子データの証拠保全を求めた請求を棄却する決定を下していました。

…ただし、これまで最高裁判事は[職業裁判官][弁護士][その他]それぞれ出身枠の団体が選出するのが慣例であったものの、憲法79条が定めるその指名・任命権を有するのは内閣であり、内閣がこれを行使することは憲法上正当です。
私は、国民が選んだ(間接的ですが)内閣が省庁や最高裁判事の人事を決めることは正当と認識しますが、それは内閣がその絶大な権力を悪用しないという性善説に基づきます
もし内閣がその絶大な権力を民意や道義に反し、権力者とそのお友だちにとって都合のよい目的のために悪用したとしたらどうなるでしょう?
森友学園問題で疑惑究明を求める民意に反し、安倍首相にとって不都合な証拠が含まれるであろうデータを破棄する忖度官僚が出世し、その証拠保全を求めた請求を棄却する最高裁判事が選任されることになるのです。


2015年に元最高裁長官をはじめ、殆んどの法律専門家が違憲を指摘した安全保障関連法案

最高裁は三権分立の要件として内閣や国会に対し【違憲審査権】を有していますが、しかし実際は[付随的違憲審査制]であり、例えばこの場合“集団的自衛権を行使した戦争で戦死した自衛隊員の家族が国家賠償訴訟を提起した場合、その救済に必要な範囲でしか違憲の判断をせず”、殆んどの法律専門家が違憲を指摘する法令であっても最高裁は法令そのものの違憲性の判断は下さない方針となっています。

こうした司法の現実について元最高裁の瀬木比呂志氏は、“裁判所は、いまや権力の番人”と表現しています。
つまり内閣が最高裁の人事権を握ることにより裁判官は法の道義ではなく内閣の意向に沿った判決を出すようになり、現に今回の国民審査に係る判例に於いて1・2審まで住民側が勝訴してきた[第4次厚木基地騒音訴訟]も最高裁は住民側の差し止め請求を棄却しているように、行政訴訟で原告側が勝訴することは殆んどありません(8.4%/2012年)。

内閣の暴走を制御すべき[三権]の一角である国会は圧倒的与党が【強行採決】で野党を無力化し、憲法の番人たる最高裁は人事を質に【権力の番人】として飼い馴らし、[第4の権力]とされるメディア(報道)も他の三権による懐柔と圧力によって統制する…。


選挙が終わって安倍首相をはじめ閣僚らは“謙虚”を口にした一方、安倍首相はこれまで【与党2割・野党8割】に配分されていた国会質疑を【与党7割・野党3割】に見直す意向を荻生田光一幹事長代行に指示しました。
これまで野党に多くの時間が与えられていたのは、予算案や法案は事前に与党の承認を得て提出されているため国会での審議は野党に譲るという良識に基づくものであり、そもそも与党2割・野党8割の配分は民主党政権時代に野党だった自民党が強く求めた経緯によって定められたものです。
こうした自分勝手な政権運営を蔓延(はびこ)らせているのは、政治の緩み・驕(おご)りへの私たち有権者の許容、あるいは無関心の結果であり、これを正すのも私たちの責任です。

“すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。”  日本国憲法第15条

その理念を失った時…
国民のためにある政治は、私人のために多額の税金を投じた壮大な私事と成り下がる。



「哀しみの天使」


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tags : 1987年 シンセポップ 宗教 LGBT  

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「ゴー・ウエスト」ペット・ショップ・ボーイズ

2014.06.13

category : Pet Shop Boys

Pet Shop Boys - Go West1 Pet Shop Boys - Go West2


Pet Shop Boys - Go West (1993年)


~サッカーの祭典、開幕!~

4年に一度のサッカーの祭典『2014 FIFAワールドカップ・ブラジル大会』が開幕いたしました!
残念ながら日本は初戦でコートジボワールに逆転負けを喫し、もう残り格上の2チームを相手に全勝する以外に次のラウンドへの可能性は残されていません。
厳しい戦いはハナから承知…
こんな逆境にこそ、このチームの真価を発揮して欲しいですね! 

ただ、W杯は勝敗だけではないサッカーの醍醐味を味わうことのできる世界最高のステージ…
この曲と共に、楽しみましょう♪



~概要~

「ゴー・ウエスト」はイギリスのポップ・デュオ、ペット・ショップ・ボーイズ(以下PSB)が1993年に全英2位をはじめ世界中で大ヒットさせた曲ですが、アメリカBillboard Hot 100では106位と全く振るいませんでした。
(ただし、ダンス・チャートでは1位を記録)

“PSBの歌”というイメージが強いと思いますが実はオリジナルではなく、アメリカのディスコ・グループ“ヴィレッジ・ピープル(Village People)”が1979年に発表した作品です。
ヴィレッジ・ピープルはこの頃ディスコ・ブームに乗って「Y.M.C.A.」や「In The Navy」を大ヒットさせましたが、「ゴー・ウエスト」は45位(Hot 100)に終わっていました。
オリジナルはいかにも“'70年代のディスコ”といったサウンドですが、PSBのは“ハウス・ミュージック”の要素を取り入れており(ハウスであること自体に意味がある…後述)歌詞をPSBのニール・テナントが一部変更しています。




余談ですが…
日本では1977年10月~1979年3月まで放送されたザ・ドリフターズ主演の『飛べ!孫悟空』という人形劇があって、その劇中でドリフ自身が歌う「ゴー・ウエスト」という挿入曲がありました。
『西遊記』は中国から天竺(インド)を目指す旅であることからこのタイトルが付けられていますが、何となくヴィレッジ・ピープルのと本質が似てるでしょ?

 ♪ニンニキニキニキ…


さて…
PSBの「ゴー・ウエスト」といえばサッカーとは切っても切れない“チャント(Football chants;聖歌)”であり、世界中の競技場でサポーターにより歌われています。
起源は、『1993–94 European Cup Winners' Cup』準決勝でイングランドのアーセナルFCのサポーターが歌ったのが最初だそうで、2006年には“W杯ドイツ大会の公式テーマ・ソング”としてイタリアの歌手パトリツィオ・ブアンネ(Patrizio Buanne)がオーケストラをバックに歌ったカバー「Stand Up! (Champions Theme)」が採用されました。

もともと「ゴー・ウエスト」はサッカーと何の関係もない作品ですが、このバージョンでは“Go west…”に始まるサビの部分を“Stand up for the champions”…といったように、チャンピオン・スポーツのテーマとして歌詞の全体が書き換えられています。



~Lyrics~

(Go West) Life is peaceful there
そこに、穏やかな暮らしが待っている
(Go West) In the open air
何処までも広がる空気

テーマとなっている「Go West」はアメリカ合衆国がアメリカ連合国に勝利(南北戦争)した1865年、
西部開拓時代の幕開けを告げることとなった新聞『ニューヨーク・トリビューン』でのホレス・グリーリーの論説
"Go West, young man, go West and grow up with the country.”(西部に行け若者よ、西部に行ってこの国と共に成長せよ) に由来するとされています。
この時代、ジェシー・ジェイムズやビリー・ザ・キッドなど危険な無法者が横行した一方、チャンスをモノにした石油王ジョン・ロックフェラーや鋼鉄王アンドリュー・カーネギーといった大富豪を輩出し“金ぴか時代(Gilded Age)”とも呼ばれました。


(Together) We will find a place
きっと、僕らの場所は見つかるさ
(To settle) Where there's so much space
果てしなく広い、安住の地…

今回W杯を開催しているブラジルは、日系移民の多い国として知られています。
1888年に奴隷制度を廃止した同国はその労働力不足を補うため、世界中に移民を呼び掛けました。
1908年から日本人の入植が始まりましたが、当時の居住環境や労働条件は奴隷と変わらぬ極めて過酷なものだったそうです。
先人たちもこの一節のような期待を胸に、地球の裏側へと旅立ったのでしょうか…。


Now if we make a stand (Aah)
もしも、その地にしっかり根差せたなら
We'll find (We'll find) our promised land (Aah)
きっと、僕らは“約束の地”を見つけるだろう

“promised land”は、神がイスラエルの民に与えると約束したとされる“約束の地”を喩えたのでしょう。
“Go West!”と言ったかは分かりませんが、日本では1930年代から“国策(日本政府の約束)”の下、27万人の日本人が“満蒙開拓移民”として入植しましたが、彼らに待っていたのは“政府の違約”であり、その後の戦禍によって多くの死傷者及びシベリア抑留者を生む結果となりました…。



~Epilogue~

「ゴー・ウエスト」は西部開拓時代のフロンティア精神を若者に訴えかける作品ですが、一方で“ウラには別の概念”が込められています。
オリジナルの“ヴィレッジ・ピープルは’ゲイ’・マーケットをターゲットにして結成されたグループ”であり、そうした衣装や作品を多く扱ってきました(ただしホンモノのゲイかは、定かではないらしい?)。
「ゴー・ウエスト」もそうした作品の一つで、「Go West」とは“(ゲイに寛容ではないニューヨークを抜け出して)ゲイのユートピア、サンフランシスコを目指せ!”…というメッセージが込められています(聞く人が聞くと、分かるらしい?)。

PSBがこの作品をカバーしたのは、ニール・テナントが“そうである”(自ら告白している)ことと無関係ではありません。
また、“ハウス・ミュージック”で彩られているのも、この音楽が“ゲイ・ディスコを象徴”するからと思われます。

PSBのミュージック・ビデオには、コレとは“別のヒミツ”が隠されています!
映像ではニールが青の衣装、相棒のクリス・ロウと合唱隊が黄、体操ユニフォームの行進隊が赤を纏っているでしょ?
これは、PSBのバージョンが発表される数年前に起きた“ソビエト連邦の崩壊”を描いているのです。
すなわち、“赤を纏ったソ連(東側)の青年たちが、列を成して西側社会を目指す”…というストーリー。
(でも、ナンで“自由の女神が赤”なのだろう…? )

今回は“ちょっとだけ”いつもと違う雰囲気でしたが、みなさん楽しんで頂けました?
でも、お馴染みのサッカー/ダンス・ナンバーにも意外なウラがあるものでしょ!?
それでは、また次回…。 



「ゴー・ウエスト」


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tags : 1993年 ダンス/Pop 希望 名作MV LGBT スポーツ 

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