I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


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Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


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Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「ヒート・オブ・ザ・ナイト」ブライアン・アダムス

2018.08.11

category : Bryan Adams

Bryan Adams - Heat Of The Night1 Bryan Adams - Heat Of The Night2



Bryan Adams - Heat Of The Night (1987年)



~概要~

ブライアン・アダムスは、カナダ出身のシンガーソングライターです。
1980年にデビューして一作毎にセールスを伸ばし1984年の4thアルバム『Reckless』で全米No.1を達成、それまでにない期待の中で発表したのが1987年の5thアルバム『イントゥ・ザ・ファイヤー(Into the Fire)』でした。
「ヒート・オブ・ザ・ナイト」はその1stシングルで、Billboard Hot 100でも6位(年間84位)を記録したロック・ナンバーです。

ブライアンというと大成功を収めた『Reckless』まで、“青春ロック”の形容がぴったりくる若さ溢れるストレートなロック/ラブ・ソングが中心でしたが、その彼も本曲を創作していた頃27歳となっていました。
当時の心境をブライアンは、“「Heaven」が全米No.1になった時‘やったぜ、まさに天国にいる気分’と叫ぶくらい喜んだけど、だからといってまたヒットするレコードを作ってやろうなんて、全く考えていないんだ。いつまでもラブ・ソングばかり書いていられないからね”と、語っています。

Bryan Adams - Heat Of The Night3Bryan Adams - Heat Of The Night2

その心境の変化は「Heat Of The Night」のシングルやアルバム・ジャケットからも一目瞭然で、ロック界に珍しい爽やかな好青年のイメージのブライアンにしては、ぼんやりした暗い印象のモノクロ写真でした[《写真・右》。
それまでも『Cuts Like a Knife』や『Reckless』のジャケットでモノクロは使用されてきましたが、ポーズを決めたり真正面から強い視線で見据えたりと、思わず“ジャケ買い”してしまいそうな魅力的なモノクロとは全く異なる印象です。
「Heat Of The Night」の歌詞も暗く抽象的で、サウンドは重く歪みモノクロ映像のPVには蛇まで登場してイエスの「Owner Of A Lonely Heart」を思い起こさせるような趣きさえあります。

こうした作品の暗さの背景には、作者であるブライアンとジム・ヴァランス (Jim Vallance)が1986年3月に[ベルリンの壁]を訪れたことが反映しているといわれます。
また、【黒】を多用した【フィルム・ノワール (film noir/虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画)】として名高い『第三の男(The Third Man)』(1949年・英)にも、部分的に影響を受けているそうです。
確かに、前回「Paint It Black」でも言及したように【黒】は力強さと存在感があって誰もが一度は憧れる色ですが、20歳くらいだとそれを前面に出すには“少し重荷”な色で、人生経験を重ねた20代後半は【黒】に挑戦してみたくなる年代かもしれません。
ちなみにこの映画のテーマ曲「ハリー・ライムのテーマ(Harry Lime Theme)」は非常に有名で、日本では「ヱビスビールのテーマ(CM曲)」としてお馴染みでしょう。


 



~Lyrics~

I was caught in the crossfire of a silent scream
声にならない悲鳴のクロスファイア
Where one man's nightmare is another man's dream
ある者の悪夢が、また別の者の夢となる在所

【crossfire】は日本語では“十字砲火”と訳され、2方向から発射される機関銃の火線が交差する地点に敵を誘導し、2方向から一斉に銃弾を浴びせる戦法で、攻撃する側にとっては“夢心地”、攻撃を受ける側は逃げ場もなく多方向から銃弾を浴びせられるという、まさに“悪夢”です。

主人公はそうした状況に置かれているわけですが、更には【a silent scream(叫ぶことを沈黙)】しているというのですから、もっと苦しい状態と推察できます…。


Met a man with a message from the other side
“向こう側”からメッセージを携えた男
Couldn't take the pressure - had to leave it behind
その苦難に耐えられはしない - 置き去りにする外には

この【a man】とは、一体何者でしょう?
【the other side】は“あの世”という意味もありますが、果たして…。

ただ、わざわざアドバイスをくれるのですから[悪い人]ではないのでしょう。
映画『ターミネーター』のカイル・リース(『T1』でサラ・コナーを守るため1984年へやって来た未来人)みたいな存在?


(Where you gonna hide when it all comes down)
奴らが降り来たら、何処に隠れる?
(Don't look back don't ever turn around)
後ろを見るな、決して振り返るな

主人公を脅かしているのは、コッチ!
その恐ろしい“奴ら”は歌詞中殆んどで【they】と表されていますが、ここだけ【it all】と表現されています。
しかもそれは【comes down】というのですから、奴らは普段“上の方”に存在するのかもしれません。
【a man】のアドバイス“構わずそのままにしておいた方がいい”と考え合わせると、どうやら逆らっても勝ち目がなさそう。

それが【the heat of the night】にやって来ると言われても…
一体、何処に逃げればいいの?



~人類を脅かす「Heat Of The Night」~

7月23日に埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41.1℃を記録したのをはじめ、岐阜県美濃市で40℃超えを4度記録するなど、全国的にも40℃前後を連発している今年の猛暑。
しかし今年は欧州北部でも平年より3~6度高い気温が続き、ノルウェーとフィンランドの北極圏で7月に33℃を記録、スウェーデンは猛暑と乾燥により50件以上の森林火災が発生し、米カリフォルニア州デスバレーでは7月24~27日に4日連続で最高気温が52.8℃に達し7月の平均気温も42.3℃という観測史上世界最高月平均気温を記録するなど(過去最高も同地2017年7月の41.9℃)、猛暑は地球規模で確認されています(ちなみに今年7月の平均気温は東京28.3℃/大阪29.5℃)。

近年の温暖化傾向は日々の気温の数値や体感で多くの方が実感されていることと思いますが、過去130年の記録で見ても東京で夏は平均+2℃強、冬は約+4℃ほど平均気温が上昇しているというデータがそれを裏付けています。
この点については国立環境研究所地球環境研究センター副センター長の江守正多氏も“東京の気温上昇傾向は過去100年で約3℃であるが、おおまかにいってそのうちの1℃が地球温暖化(人間活動によるCO2排出)、2℃がヒートアイランド(緑地減少、アスファルト・コンクリートの蓄熱など)によると考えられる”と言及しています。


また、温暖化について『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)』2014年の「第5次評価報告書(IPCC AR5)」は以下のように評価を与えました。

極端な高温日(猛暑)については、すでに増えている可能性が「非常に高い(90%以上の可能性)」
その原因に人間活動の寄与がある可能性が「非常に高い(90%以上)」
今世紀初頭にさらに増える「可能性が高い(66%以上)」
今世紀末に向けてさらに増えるのは「ほぼ確実(99%以上)」


一方、気象災害と言ってもう一つ気になるのが、今年7月に大きな被害をもたらした【西日本豪雨】のように、これまでの認識とはまるで異なる“極端な雨の降り方”が、毎年のように災害を引き起こしていることです。
私たち一般人が知る【雨の降る仕組み】で考えてみても、①海や川があたためられ水分が蒸発し②空に蓄え切れなくなった水分が雨となって地上に降るのだから、“気温が高くなると雨量は増え、上昇気流が台風を生み、氷河が解けて海水面が上昇し水害を拡大させる…”といった変化をもたらすであろうことは漠然と想像できますが、これもIPCC AR5の評価によって裏付けられています。

つまり、この問題を放置したら“今世紀末までに更に3℃、4℃と温暖化が進み、それに伴って大雨や台風の被害が質・量ともに拡大する可能性が高い”ということです。
問題は、こうした見通しについて“私たち自身がどう向き合う(対処する)か”が、いま問われているのです。



~Epilogue~

こうした人類の存亡に関わる大きな問題に対処すべく国際社会が立ち上がったのが、2015年に合意された『パリ協定』です。
この協定の意義として大きいのは、温室効果ガスの排出削減義務を各国に課したことよりも、むしろ各国に“「脱炭素」がカネになる”というパラダイム転換を与えたことです。
これによって各国の意識は「脱炭素を押し付けられている」から「誰が脱炭素の主導権を握るか」に転じ、自然エネルギーの技術革新を我先にと競うようになり、一大ビジネス・チャンスへと発展してゆきました。

しかし残念なのは日本で、政府による2030年の電源構成で原子力の比率22~20%を確保する政策により自然エネルギーの導入が抑制されたため、2016年度も化石燃料依存度を89%まで増やし(対2010年比+8%)石炭火力発電の輸出拡大を目指すなど、脱炭素にもビジネス面でも世界の流れに逆行しています。

昨年末放送されたNHKスペシャルでは、台風でも倒れず海の深い日本に適した「浮体式洋上風力発電」を開発した日本の企業が、国内で電力会社に電気を買い取ってもらえる見通しが立たないためにビジネス展開ができない…という現実に、私は心を痛めていましたが、ぼやぼやしているうちにデンマークの洋上風力世界最大手メーカーが日本の洋上風力発電に乗り出して来てしまったようです。
一方、上手に育んで欲しいと思った試みが、環境負荷が極めて小さく発電源として天候に左右されない【黒潮発電】です。
日本の太平洋沿岸には世界最大規模の海流[黒潮]が流れており、現在はまだ実験段階ですが将来的に九州、四国、紀伊半島、房総半島などの沖にそれぞれ設置すれば原発の代替電源になる可能性を見込めるといいます。




In the heat of the night they'll be comin' around
灼熱の夜、奴らは巡り来る
They'll be lookin' for answers they'll be chasin' you down
答えを探し、お前を追い回す

灼熱の夜が個々人の焦燥で済む話なら、それでよい…
それが、この夏に限った一時の問題であるならば。

でも、もしこれが未来の地球に待ち受ける“過酷な運命”の通過点であるならば、
今この時代を担っている世界のみんなが知恵と力を合わせ、最善を尽くすべきではなかろうか?

“手遅れ”にならぬよう…。



「ヒート・オブ・ザ・ナイト」


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tags : 1987年 ロック 熱い 夏テイスト 環境 ・災害 

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「想い出のサマー」ブライアン・アダムス

2015.07.24

category : Bryan Adams

Bryan Adams - Summer Of 69 1 Bryan Adams - Summer Of 69 2


Bryan Adams - Summer Of '69 (1985年)



~あなたにとっての「想い出のサマー」は?~

原題に「Summer Of '69」とあるように、今回のテーマは“1969年”です。
アポロ11号が人類初の月面有人着陸を果たし、日本のGNP(国民総生産)が世界第2位となった年。
映画『男はつらいよ』第1作が公開、アニメ『サザエさん』が放送開始、甲子園では三沢高校と松山商が延長18回引き分け再試合を演じました。

…あなたの人生で、“想い出の夏”といえる夏はいつですか? 



~概要~

前回の「Vacation」では、“武骨な男が演(や)るべきロックを可愛い女の子の魅力で表現”したGo-Go'sを紹介しましたが、“不良が演るべきロックを好青年が演った”といえばこのブライアン・アダムスでしょう。
ブライアンの音楽に狂気やドラッグは不要であり、ただ誰よりロックが好きで、そのアツい想いを真っ直ぐ歌に込める…
それが、当時20代半ばだった彼のスタイル♪

1983年の3rdアルバム『Cuts Like a Knife』で初のTop10ヒット「Straight from the Heart」を放つと、続く1984年の4th『レックレス(Reckless)』からはヒットを連発!
「想い出のサマー」はその4thシングルにして、Billboard Hot 100で5位(1985年の年間74位)を記録するという快挙をやってのけた作品です。
発表から30年が経つ現在も「Summer Of '69」はアメリカのサマー・ソングの定番で、テイラー・スウィフトもカバーしています。
また、Billboardが2014年に選考したオール・タイム『Top 30 Summer Songs』でも堂々の13位に数えられました。

シンプルで力強くギターも爽快、全体がサビと言ってもいい優れた楽曲はライブでも人気曲で、世紀のイベント『Live Aid』『Unplugged』でも披露されたほか、ブライアンのライブでは欠かせない作品の一つ。
楽曲はライター時代からのパートナー、ジム・ヴァランスとの共作で、二人の切磋琢磨があったからこそ生まれたといえるロックの名曲です(詳細後述)。

 
 



~Lyrics~

I got my first real six-string
安物雑貨屋で
Bought it at the five-and-dime
初めて買った本物の6弦

【the five-and-dime】は日本の100円ショップのような“5セント・10セント均一店”のことですが、いくら何でも現在ではこの価格を真に受けると扱える商品がほとんど無いので、あくまで“安物を売る店”という位置づけにあるようです。

ちなみに、ブライアンの初めてのギターは12歳(1972年)に質屋で買い、ジム・ヴァランスは13歳(1965年)に両親からのクリスマス・プレゼントとして手にしているので、この部分は彼らのドキュメントではないことになります。


Had a band and we tried real hard.
バンドを組んで懸命に練習したけれど
Jimmy quit, Jody got married
ジミーは抜け、ジョディは結婚…

最初ジムが学生時代のバンド仲間を引き合いに“Woody quit and Gordy got married”と提案すると、ブライアンが“JimmyとJodyの方が良い”と言ったことから、こうなったそうです。

ちなみに“Jody”は当時ブライアンのsound-man(音響効果係)として一緒に仕事をしていたJody Perpikという人のことで、同じ頃結婚式を挙げた彼と奥さんは「Summer Of '69」のPVのこのフレーズの所でブライダル・カー(Bridal car)に乗ってハネムーンに出掛けるシーンに登場しています。
(Jimmyはジム・ヴァランス?)


Spent my evening's down at the drive-in
夜はドライブインで暇つぶし…

ジムは子どもの頃よくドライブインに行った思い出があるそうで、それが反映されたのでしょう。
ここでのドライブインは日本的な概念のものではなく、「カサブランカ」(バーティ・ヒギンズ;過去ログ)でもデートの舞台となったドライブインシアターやドライブインレストランを指していると思われます。


Standin' on your mama's porch
彼女の(ママの)家のポーチに立つと

ポーチというとまず“小袋”を思い浮かべると思いますがそれは【pouch】で、ここでの【porch】はベランダのように外に張り出した玄関のことで、ベンチやテーブルなど置いたりして寛(くつろ)ぐ場所です(アメリカの映画によく出てくる)。
日本でも、玄関ポーチと呼ばれるようではありますが…(あまりに、ちっちゃい)? 



~Epilogue~

「Summer Of '69」というタイトルから、この作品は1969年を舞台にしていると思いがちですが、歌詞を通して読むと実際には“少年時代から社会人までのエピソードが描かれており、1969年だけに限定されていない”ことに気づくでしょう。
実は当初、この作品のタイトルは「Best Days Of My Life」と名付けられており、それが象徴するように歌詞中でもこのフレーズが7回使われ、“summer of '69”はたった1回のみでした。
それが、最終的には“best days of my life”のフレーズを減らし、“summer of '69”を全体のテーマとして掲げるように増やしたため生じた矛盾です。
では何故、エピソードの一部でしかなかった“1969年の夏”に、これほど拘ったのでしょう?

1960年代後半は、最もポピュラーなバンドであったビートルズでさえ「Revolution」(1968年)を訴えるほどロックが社会に、あるいは社会情勢(ベトナム戦争や文化大革命など)がロックに及ぼす影響は大きなものとなっており、当時“ロックが人々に愛と平和をもたらし、世界を変える”と信じて疑わない若者らが挙(こぞ)ってこれを支持しました。
そのロックが持つエネルギーの大きさをまざまざと見せつけた象徴こそが“1969年の夏”(1969年8月15日午後-18日午前)に催され約40万人の観客を集めた音楽イベント『ウッドストック・フェスティバル』であり、彼らの理想は“幻想”と共にここでクライマックスを迎えました。

やがて“the best days”は過ぎ去り、1976年の「ホテル・カリフォルニア」
We haven't had that spirit here since nineteen sixty nine
ここでは1969年以来、spiritを扱っておりません

…と、その後の世相を皮肉ったイーグルス。


これに対し、ブライアン・アダムスはこう訴えます…

Oh, yeah.
Back in the summer of '69, oh.

1969年の夏を取り戻せ!

長い人生、“the best days”ばかり続かない。
“過ぎ去った善き日々は、もう戻っては来ない”と達観するのも一理だけど、
安易に過去を美化することは、今を失望と共に生きるに外ならない。

初めてギターを買ってもらい血が滲むほど夢中で練習した時、後先考えずただ仲間とバンドに打ち込んだ日々、
薄暗くなったポーチで彼女に手を握りしめられ愛を確かめ合ったあの日


“あの頃の心”を思い出したなら、想いを実行してみたらいい。
たとえ過ぎ去った時間の再現は不可能でも、きっと今よりもっと素敵な自分になれる。
あなた自らが、“無理”と決めつけてしまわない限り。

“誰か”も、言ってるでしょ?
“I'll be back.”

…男は、ホントに戻って来た!
7/30で御年68歳。シリーズはまだ×2 続く…らしい。



「想い出のサマー」


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tags : 1985年 ロック/ポップ 青春 爽快  

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「フロム・ザ・ハート」ブライアン・アダムス

2014.07.18

category : Bryan Adams

Bryan Adams - Straight From The Heart1 Bryan Adams - Straight From The Heart2


Bryan Adams - Straight From The Heart (1983年)


~Prologue~

みなさんは、ブライアン・アダムスをご存知ですか?
カナダ出身のロック・シンガーで、90年代の“映画『ロビン・フッド』や『三銃士』のテーマ曲を歌った人”といえば思い出していただけるかもしれません。
これらの名バラードは世界中で大ヒットしましたが、夏がまだ若いこの時期は、青臭くて汗の似合うロック・バラードはいかがでしょう?

ブライアン自身の成長と共に歌の表現も変わってゆくので、一人の男の成熟過程もお楽しみください…。



~概要~

「フロム・ザ・ハート」は1983年の3rdアルバム『カッツ・ライク・ア・ナイフ(Cuts Like a Knife)』からの1stシングルで、ブライアンにとって初めてBillboard Hot 100でTop10入り(週間10位/年間71位)を果たした作品です。

彼は当時23歳でしたがこの作品はデビュー前の1978年、まだ18歳の時に書いたもので、友人のEric Kagnaが考えたタイトルからストーリーが創作されました。
しかし作品は彼本人によるレコーディングが実行されぬまま、1980年に Ian Lloyd によって初めて世に出ることとなります。
82年末にようやくブライアンがこの曲のレコーディングを果たしシングル・リリースまで至るものの、Rosetta Stone のカバーver.が1ヶ月前、チャートを上昇中にもボニー・タイラーのカバーがリリースされるなど同作品の発表時期が重なってしまいました。



~年代に伴う変化~

オリジナル音源版

現在ブライアンの公式YouTubeチャンネルでUpされている動画は3種類ですが「フロム・ザ・ハート」の“オリジナル音源”はこれに含まれていないので(多分PVは制作されていない)、とても貴重です。
また、この動画は歌詞をナビゲートしてくれるので、一緒に歌うにも便利ですよ♪

メインに採用した映像は唯一当時の映像(ライブ)ですが、ブライアンも観衆も互いの応答に慣れていないのか、まだぎこちなさがあります。
でも未成熟だからこそ、若者の溢れるアツい想いを“真っ直ぐに伝えよう”と懸命なひたむきさが作品本来の世界観を表していて、心を揺らされることでしょう…。




ライブ 1

30代前半ぐらい…?
20代の頃に比べると、ルックスも音楽もかなり洗練されています。
“青臭さ”も取れ、男として心身のバランスの良い年代です。
パフォーマンスにも、それが感じられます♪




ライブ 2

40代…?
オリジナルは“甘酸っぱさ”が魅力ですが、ここでそれは“黄昏(たそがれ)”に変貌しています。
若い頃は“自分が盛り上げなくちゃ”という気負いが先行しているのに対し、ここでは“会場の空気はみんなで創るもの”と達観しているかのようです。
あぁ、こんな素敵な雰囲気の中の一員でいたいなぁ…。





~Lyrics~

I could start dreamin' but it never ends
胸に芽生えたこの夢は、決して終わらない
As long as you're gone we may as well pretend
君が行ってしまうなら、“ふり”だっていい

“片思い”であろうと、この夢を描き続ける覚悟を決めたのでしょう…。
過去に同じ心境のTOTO「ストップ・ラヴィング・ユー」を紹介しましたが、こういう“負けないぞ!”の感情を含ませるのにロックほど打って付けな音楽表現はないですね!


You say it's easy but who's to say
“簡単”と君は言うけれど、そんなの誰にも分かりはしない
That we'd be able to keep it this way
僕らがずっと変わらずいられるかなんて

人と人は、遠い未来を見過ぎて不安になり、現在という時間を共有している喜びを忘れ心を違えてしまうことがあります。
もし、人に尻尾が生えていたなら 
その瞬間の喜びをもっと素直に、偽りなく伝えられるのに…。


Tell me we can make another start
“もう一度、やり直せる”と、言っておくれ
You know I'll never go
そうさ、僕は離れない

彼は毎日、心の中で同じ問答を繰り返しているのでしょう。
こうしている限り、彼は心の中で彼女と一緒にいられるから。
“離れない”は、物理的な孤独は耐えられても心理的な孤独は耐え難いということ。
本当の孤独とは、心の中にさえ思い浮かべるべき人が存在しなくなった時…。



~Epilogue~

ブライアンがこの作品に創作当時の自分を投影していると仮定するなら、主人公も18歳位?
18歳といえば人生に於いて大きな分岐点となる時期です。
進学や就職で地元を離れる必要性が生じ、それまで親しくした人たちとも多く別れが訪れることになります。
私は、そんなストーリーを想像してしまいました…。

恋人は強い絆があるから大丈夫と思いきや、遠距離でその強い絆を維持するのが困難となり別れてしまうケースも少なからず、この主人公もそうだったのかもしれません。
“替わりが利く”相手なら別の人を見つければ良いのですが、そうでない人は…。

As long as I know
その日が来ると信じてる
It's coming straight from the heart
心から、ただ真っ直ぐに…



「フロム・ザ・ハート」


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tags : 1983年 バラード/Rock ピュアな愛 

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