Richard Marx - Endless Summer Nights (1988年)~Endless Summer?~みなさんは、夏がお好きですか?
9月に入り暦の上ではもう秋のはずですが、近年は地球温暖化の影響で実際の気温や皮膚感覚とはズレが大きくなってきていますね。
でも夏の暑さにはもうウンザリなのに、去りゆく季節にちょっぴり寂しさを覚えるのは何故?
今日は、季節が移り変わっても心の中はずっと“Endless Summer”を追いかける男の物語…。
~概要~「エンドレス・サマー・ナイツ」は1987年の1stアルバム
『Richard Marx』からの3rdシングルとして
Billboard Hot 100で2位(1988年の年間31位)を記録、これで“デビュー以来続くシングルTop3以上の連続記録”を更新することとなりました。
また、この作品が夏をテーマとしているのはタイトルの通りですが、Billboardスタッフが選ぶオールタイム・ベスト
“Top 30 Summer Songs”でも堂々の6位にランクする定番曲でもあります。
作詞・作曲・プロデュース共にリチャード自身による作品で、ベースには“世界最高峰のベーシスト”ネイザン・イーストが参加しました。
作品はリチャードが恋人の
シンシア・ローズ(後の妻)とハワイへ旅行した時に浮かんだそうで、「Endless Summer Nights」のゆったり感は“ハワイの夜の波打ち際”の雰囲気なのかもしれませんネっ♪
PVは“プールバー”が舞台になっていて、当時のビリヤード・ブームを知る人にとっては懐かいことでしょう。
2色の映像で構成され、淋しげな一人の男(カラー/現在)が恋人との楽しい想い出(セピア/過ぎ去った夏)を回想するストーリーとなっていますよ。
Endless Summer Nights Live~Lyrics~Summer came and left without a warning音もなくやって来て、去りゆく夏All at once I looked and you were gone振り返ると、そこに君はいなかった【
without a warning】は“前触れもなく”ですが、そのままだと季節の変化に敏感な日本人には少し違和感があります。
そんな風に突然訪れた、彼女との別れ。

でも、本当に“前触れ”は無かったのでしょうか…?
The way your hair would glisten in the sun君の髪が煌めいて眩しかったRising in the afternoon燦燦の昼下がり(the afternoon)Making love to you under the moon愛を重ねた燦爛の月(the moon)この連は、“ハワイの想い出”なのでしょうか?

“髪が煌めく”というとブロンドを思い浮かべますが、リチャードの恋人シンシアはまさにそうなのです!
2行目から韻を活かした巧みな表現となっているので、和訳も“昼下がりの燦燦/愛を重ねた月の燦爛”と言葉遊びを試みましたが、あまりに揃い過ぎるとラップみたいなので詩的趣きを考慮し上のようにまとめました。
ちなみに燦燦(さんさん)も燦爛(さんらん)も同義で、共に“光り輝く”の形容です。
So let's stay lost in flightだから、このまま一緒に飛び発とうOh, won't you please surrender?ねぇ、降参してくれる?突然、彼の元を去ってしまった彼女。
諦めることなく、彼女の帰りを信じ続ける彼。
でも最後、念を押すように“降参してよ?”ってお願いしてるトコロが私のお気に入り♪
~Epilogue~二人は、いわゆる“ひと夏の恋”だったのでしょうか?
PVでは、女性の方から誘っているようにも見えます。
もしかしたら、本当は“連れの男”から逃げたかったのかもしれません。
心に隙間がある時、人はその隙間を埋めてくれる“何か”を心の中で渇望するものです。
だからこそ、人と人は結びつく…。
I remember every momentどの瞬間も、この心に刻まれている of those endless summer nights永遠に終わらない夏の夜…日本にも、こんな物語があります。
ある日男が、苦しんでいる女を助けてあげました。
やがて女は“姿を変えて”男の前に現れ、二人は恋に落ち夫婦となります。
働き者の女のお陰で男の生活は豊かになりますが、禁じられていた
“ある約束”を破ったため、女は男の前から姿を消してしまうのでした…。どこか、見覚えがあるのでは?

これは木下順二の戯曲、
『夕鶴』です。
一方にとっては
“たった一度の過ち”でも、もう一方にとってそれは
“致命的な過ち”ということはあります。
相手がかけがえのない存在だからこそ、
“その間にある大切な何かを守るため袂を分かつ”という選択もあり得るのではないでしょうか?
人と人の絆って、近しいほど実は繊細なもの…。
「エンドレス・サマー・ナイツ」
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