Fleetwood Mac - Little Lies (1987年)~クリスティン・マクヴィー、17年ぶりの復帰~ フリートウッド・マックというと何かと
“噂” の絶えないバンドで、常に解散を囁かれながらも今年で結成47年目になりました。
そんなバンドに、黄金期を彩った看板ヴォーカリストの一人クリスティン・マクヴィーがこの9月30日のツアー初日から復帰したというニュースが伝わっています。
クリスティンがフリートウッド・マックのツアーに参加するのは1997年以来17年ぶりのことで、メンバーからは“僕らの
「Songbird」 が戻ってきた”と紹介され、観衆には“お帰りなさい”の大歓声で迎えられたそうです。
本日はこれを記念し、そのステージで演奏されたクリスティンによる名曲「リトル・ライズ」を選曲してみました♪
"Little Lies" Minneapolis 09-30-14 ~概要~ 「リトル・ライズ」は1987年の14thアルバム
『タンゴ・イン・ザ・ナイト(Tango in the Night)』 からの3rdシングルで、アメリカ
Billboard Hot 100で4位(年間51位/英5位) を記録したポップ・ナンバーです。
クリスティンの“McVie”姓が示す通りメンバーのジョン・マクヴィーの奥さんでしたが1977年に離婚していて(以降もMcVie姓を芸名として名乗る)、この曲は86年10月に再婚したばかりの12歳年下キーボーディストEddy Quintelaとの共作によって生まれました。
『タンゴ・イン・ザ・ナイト』は前作『ミラージュ』から5年ものブランクと、ギクシャクしたメンバーの関係を感じさせない楽曲と調和が揃った素晴らしいアルバムに仕上がりましたが、やはり実際の人間関係はシビアなものがあったようです。
「リトル・ライズ」のジャケット
【冒頭の写真・左】 を見ると、
クリスティン (前列・右)&
ジョン (後列・左)と、
スティーヴィー・ニックス (前列・左)&
リンジー・バッキンガム (後列・右)の
“2組の別れたカップルが遠い対角線にいる” ことや、この曲のPVにも“そういう配慮”が感じられます。
しかし、今回クリスティンのフリートウッド・マック復帰に際しての写真
【冒頭の写真・右】 を見て、私は驚いてしまいました。
2組の元カップルは親しげに隣り合い手を触れているし、スティーヴィー&リンジーに至っては!?
歳月が、人と人のわだかまりを冷ましてくれたのでしょうか…。
~Lyrics~ If I could turn the page もしも、過去というページをめくることができるなら In time then I'd rearrange あの日に戻って、やり直ことも叶うのに このフレーズが好きです。
まず、人生を
“page” に喩えているのが気が利いているし、
“rearrange” という面倒な単語を引っ張り出して韻を踏ませている所。
あと、誰もが心の奥に隠し持っている
“あの日に戻って、やり直せたら” …という後悔の気持ちを冒頭に置いて、皆の心をグッと引き寄せるのに十分な入り。
あなたは、どんなページを回想したのでしょう…?
But I couldn't find a way いいえ、きっと無理ね So I'll settle for one day To believe in you あなたを信じることに心を傾けたい 後悔とは、
“もしも” と
“できない” の堂々巡りです。
残念ながら人生では過去をやり直すことはできず、変えられるのは現在(広義では未来)だけ。
現在は過去の失敗の上に重なっているので、マイナスから再スタートするしかありません。
“諦める”か、“再チャレンジ”するか?
一番迷うところです…。
No more broken hearts これ以上傷つくのは、イヤ We're better off apart 私たち、別れた方がいいわ “別れたい” vs.
“別れたくない” 揺れています…
いいえ、彼女の本心は決まっているのではないでしょうか…。
傷ついたのは
“嘘” ですか? …それとも
“知りたくなかった現実” に?
どっちも傷つきます…
いいえ、彼女が最も恐れるのは
“傷つける相手さえ、そばにいなくなる” こと…。
~Epilogue~ 私たちは誰もが幼少から“嘘をついてはいけません”と躾けられ、社会の中でそれは時に“犯罪”として重く罰せられることもあります。
でも生まれてこの方、一度も嘘をついたことのない人はいないでしょう?
嘘の妙味は“労せずしてその場逃れができる”手軽さにあり、その為つい私たちは“コノ手”を用いてしまいがちですが、最初の嘘を守るために新たな嘘を重ねねばならなかったり、バレて予想以上のツケを払わされたりと、後で自分の首を絞めることも少なくありません。
一方、ほとんどの嘘は“自分のため”につきますが、ごく稀に(?)“他人のため”に用いる場合があります。
嘘(うそ)は偽(いつわり)と同義であり、
偽りとは“人の為(ため)” にある…
…ワケはないですよネっ!
Tell me lies 嘘でもいい Tell me sweet little lies 甘く、やさしい嘘で私を欺いて… この物語の主人公は、自ら嘘で欺かれることを望んでいます。
嘘の下手な彼にとって、それを貫くことは相当な苦痛を伴うことでしょう。
それでも、敢えてそれを求めるのは“嘘が、彼女の為につかれるものだから”。
“相手のために為される行為”… 彼女が望んでいるものとは?
“わたしは不幸にも知つてゐる。時には嘘によるほかは語られぬ真実もあることを。” 芥川龍之介 「リトル・ライズ」 VIDEO 続きはこちら >>
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