Huey Lewis And The News - I Want A New Drug(1984年)
~概要~
「アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ」はアメリカのロック・バンド、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース1983年の3rdアルバム『スポーツ(Sports)』からの2ndシングルで、1枚目の「Heart and Soul」に続いてBillboard Hot 100の6位(年間55位)を記録しました。 このバンド特有のハートフルなロック・ナンバーですが珍しくdance mixもリリースされており、Billboard US Dance/Disco Top 80でNo.1に輝いた(全キャリアで唯一)のをはじめ海外でもヒットを遂げています。
ヒューイ・ルイスとギタリストのクリス・ヘイズによる作曲で、ヒューイによると彼が代理人の家に行く途中車の中でほんの数分で出来たもので、代理人の家に着いた途端に急いで紙をもらって書き留めたそうです。 当時、映画『ゴーストバスターズ』の制作者側から「I Want a New Drug」をサウンドトラックに使わせて欲しいと要望があったものの、ヒューイがこれを断ったという経緯もありました。 その後、主題歌に採用されたレイ・パーカー Jr.の「Ghostbusters」があまりに本曲と似ていたため、ヒューイが盗作で訴えるという騒ぎに発展したことはあまりに有名な話です。
一方、本曲の“パクり”が公認されたのはパロディ界のレジェンドとしてお馴染みアル・ヤンコビック(“Weird Al” Yankovic)で、「I Want a New Drug」を捩(もじ)った「I Want A New Duck」ではサックスの代わりに文字通り“アヒルの大合唱”がフィーチャーされていますが、アルはアヒルの研究のために図書館に1週間通ったそうです。 また、「I Want a New Drug」のPVはライブの仕事が入っているのに寝坊してしまったヒューイが台所に氷水を張って無理矢理顔を突っ込んで二日酔い(?)を覚まし、お気に入りの黒Tシャツと真っ赤なスーツに着替えて、車と船とヘリコプターを乗り継いで「I Want a New Drug」をメンバーが演奏中のステージに駆けつけるという道中を描いたものになっています。
~Lyrics~
I want a new drug 新しいクスリが欲しい One that won't make me sick 病気にさせたりせず
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でオーディションの審査員として、「The Power of Love」を演奏するマーティ(マイケル・J・フォックス)に“もういい、音が大きすぎる”と言い渡す役を演じたヒューイ・ルイス(カメオ出演)。 マイケルは1990年代に難病・パーキンソン病を発症するも、2013年には13年ぶりにドラマで主演を務めるなど奮闘をみせています。 ヒューイも現在、カフェインと塩分を控える基本的な対処法をはじめ様々な新技術を試しながら病と闘っているそうです。
I want a new drug 新しいクスリが欲しい One that does what it should ちゃんと効果が現れるやつ
Huey Lewis And The News - Do You Believe In Love (1982年)
~<HUEY LEWIS AND THE NEWS JAPAN TOUR 2017>~
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主題歌「パワー・オブ・ラヴ」を歌い、“まさに1980年代のアメリカン・テイスト”を体現するアメリカン・ロック・バンド、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースが4年ぶりとなる日本公演を行います(11/20-24)。 とりわけ11月22日は彼らの全米トップ20入りした14曲+『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のEDテーマ「バック・イン・タイム」などを加えた全17曲という豪華なセットリストの特別公演『ALL THE HITS』が予定されているそうです。
「ビリーヴ・イン・ラヴ」は1982年の2ndアルバム『ベイエリアの風(Picture This)』からの1stシングル、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースとしては初のヒット曲でBillboard Hot 100の7位(年間51位)を記録しました。 『Picture This』のオリジナル・ジャケット《写真・左》はヒューイの顔写真であるのに対し、日本盤(アナログ盤)『ベイエリアの風』《写真・右》では当時FM情報誌『FM STATION』の表紙を担当し人気を集めていた鈴木英人によるイラストが当てられています。
「Do You Believe In Love」の作者はAC/DCやフォリナー、デフ・レパードなどHR/HM系のプロデューサーとして当時大ヒットを連発していたロバート・ジョン・マット・ランジ(Robert John "Mutt" Lange)。 本曲はそのロバートが1979年にプロデュースしたイギリスのロック・バンド【Supercharge】に提供した楽曲で、ロバート自身がヴォーカルを務めていたものがオリジナルです。 元々タイトルは「We Both Believe in Love」でしたがヒューイのレコーディングの際に彼の提案で「Do You Believe In Love」に変更され、歌詞の一部も改められています。
一見畑違いで国籍も異なるロバートとの関わりは、メンバーのヒューイとショーン・ホッパー(key)がかつて所属していたことのあるクローバー(Clover)というバンドのプロデュースを、ロバートが務めていたことに依ります。 クローバーはエルヴィス・コステロのデビュー・アルバム『My Aim is True』の演奏を務めたことでも知られるバンドですが自身のヒットには恵まれておらず、解散後二人は【American Express】を結成しシングルをリリースするも失敗、改名して1980年に1stアルバム『Huey Lewis and the News』を出すものの、これもチャート・インできず…。
このため所属レコード会社からは次のアルバムからヒットが出なければ解雇すると告げられ、加えて「Do You Believe In Love」をアルバムに含めることを強く求められていました。 結果、本曲及びアルバムはヒット(Billboard 200で13位)して首がつながっただけでなく、曲作りの“コツ”を掴み次作『Sports』の大ブレイクへと繋がってゆくわけです。
~Lyrics~
I was walking, down a one way street ワン・ウェイ・ストリートをボクは歩いていた Just a looking, for someone to meet ステキな“誰か”に出会うことを期待しながら
ただ、【信じる】の本質はその真実性ではなく、[信じたい][信じよう]という[願望][意思]であり、従って【believe in love】とは[愛を強く願う][愛を貫き通す]といった強い気持ちが込められた言葉だと私は考え至りました。 [believe]や[love]の強さをお金で換算できるモノで示すのは具体的で価値判断し易いですが、それで価値を量れるモノって何だか[believe]や[love]の本質を台無しにしてしまう恐れがある気がします。
「スタック・ウィズ・ユー」はその1stシングルとしてリリースされた作品で、Billboard Hot 100では「パワー・オブ・ラヴ」に続いてNo.1を獲得しています(3週/年間21位)。 作者はメンバーのヒューイとクリス・ヘイズ(g)で、アルバム用に用意した曲をマネージャーのボブ・ブラウンに聴かせた所ダメ出しされ、2人とも4時間部屋に押し込められて完成させたのがこの作品でした。