テンプテーションズは1961年にモータウンからデビューした黒人5人組のソウル・コーラス・グループですが、当初しばらくはヒットに恵まれませんでした。 転機の一つは1963年にミラクルズ(The Miracles)のスモーキー・ロビンソンが楽曲提供&プロデュースに関わるようになったことで、1964年初頭には「The Way You Do the Things You Do」を初めてメジャー・ヒットさせています。 もう一つは1964年にメンバーのエルブリッジ・ブライアント(Elbridge Bryant)に代わって加入したデヴィッド・ラフィン(David Ruffin)の存在で、スモーキーはコンサートでの彼の歌声に感動、彼の声にぴったりの曲を書くことができたら大ヒットになると予感してデヴィッドをリードとしたシングルを制作することに決めました。
そうしてスモーキーがミラクルズのロナルド・ホワイトと共作で書き上げたのが「マイ・ガール」で、Billboard Hot 100のNo.1(1965年の10位)に輝きました(2ndアルバム『The Temptations Sing Smokey』に収録)。 また、デヴィッドの後任として1968年に加入したリード・シンガーはデニス・エドワーズですが、その彼がこの2月に髄膜炎による合併症のため亡くなったとのことで(享年74)、ここに追悼いたします。
作者であるスモーキー・ロビンソンをはじめオーティス・レディング、ローリング・ストーンズ、スティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソンほか数多くの大スターにカバーされた楽曲であり、ローリング・ストーン誌【The 500 Greatest Songs of All Time 88位】にもランクされています。 数あるカバーの中でも私にとって印象的だったのは、ホール&オーツが1985年に元テンプテーションズのデヴィッド・ラフィンとエディ・ケンドリックスと共演を果たした『Live at the Apollo』のステージで、まるで子供のようにはしゃいでいるダリルとジョンが忘れられません。
その彼をして“sleeping giant(眠っている巨人)”と言わしめたのが1964年にテンプテーションズに加入したばかりのデヴィッド・ラフィンで、スモーキーは彼の声を“芳醇でまだしわがれていない比類なき声”と形容しました。 (デヴィッドはローリング・ストーン誌【100 Greatest Singers of All Time 65位】にもランクされている)
I've got so much honey the bees envy me. ミツバチが羨(うらや)むほどの甘い蜜を手に入れたよ I've got a sweeter song than the birds in the trees. 木々の鳥の囀(さえず)りよりも、甘い歌を
「My Girl」は、【一生に唯一人の女性を見つけた男性の悦び】を描いた歌ですが、実は同年スモーキーが書いた「My Guy」という作品もあります。 「My Guy」は【女性が男性への愛の忠誠を誓う】内容で、モータウンの女性歌手メアリー・ウェルズ(Mary Wells)が歌唱し、Billboard Hot 100の2週No.1を記録しました。
Little Anthony and the Imperials - Tears On My Pillow (1958年)
~ Oldies but goodies ~
前回は1950~60年代の音楽へのオマージュを込めた80年代の作品でしたが、今回は本物の1950年代の作品です。 今回の「Tears On My Pillow」はブログをご覧になる殆んどの方にとって生まれる前の歌であり、全くご存知ない方も多いことでしょう。 でもその血脈は後世の音楽の中にもたくさんの要素が受け継がれており、きっとあなたも何処かでその“テイスト”に触れられているはず。
“Oldies but goodies”... 暫し、時を休めてお付き合いください♪
~概要~
リトル・アンソニー&ジ・インペリアルズは1957年、ニューヨーク・ブルックリンで活動をしていたドゥーワップ・グループ[the Chesters]に、[the Duponts]のヴォーカリストだったAnthony Gourdine(後の"Little Anthony")が加わって[the Imperials]になり、1958年に「Tears On My Pillow」でレコード・デビューしました。 ラジオで曲が流れるようになると、人気DJアラン・フリードが当時18歳だったアンソニーを"Little Anthony"と呼んだことがきっかけとなり、その後グループ名が正式に【Little Anthony and the Imperials】となったようです。
「Tears On My Pillow」はいきなりBillboard Hot 100で4位(年間34位)を記録しR&Bチャートも2位まで上昇、インペリアルズにとって最初にして最高のミリオンセラーを達成した作品となりました。 大ヒットに反して低予算でレコーディングされており、当時レコード会社の資金難による経費節減のため、1954年にペンギンズがヒットさせた「Earth Angel」と同じバッキング・トラックを使って録音されたそうです。 日本盤には邦題も付けられており、曰く「夜のなみだ」!(う~む…)
本曲の魅力は何といってもソウル/R&Bバラードの王道といえる、とろけるように甘いテイスト。 リトル・アンソニーの少年っぽい清潔感あるハイトーン・ヴォイスと、やさしく包み込むようなドゥーワップ・コーラスが醸し出す心地よさにあるといえるでしょう。 しかし、実際はタイトルにあるように「Tears On My Pillow」(枕の上の涙)がテーマであり“失恋ソング”となっているので、ご活用の際はご注意を!
「A Lover's Concerto」は1965年にアメリカのガール・ポップ・グループ、ザ・トイズ (The Toys) のために生み出されました。 トイズver.はBillboard Hot 100で2位と、彼女らにとって最大のヒットとなったものの「サティスファクション」でブレイクした直後のローリング・ストーンズの「Get Off of My Cloud」にNo.1を阻まれてしまいました。 ちなみに同じ週では4週No.1を記録したビートルズの「Yesterday」が首位を陥落し3位に付けており、“相手が悪かった”と言えますが、年間成績では「A Lover's Concerto」が32位で「Yesterday」38位、「Get Off of My Cloud」の65位を上回っています。
サラ・ヴォーンは主に1940年代~50年代に輝かしい成功を収め、“女性ジャズ・ヴォーカリスト御三家”とも評される伝説の黒人ジャズ・ボーカリストです。 …なので「A Lover's Concerto」のイメージでサラ・ヴォーンにアプローチすると全く的外れになってしまうため要注意ですが、彼女は案外ビートルズやカーペンターズのような楽曲も厭わないジャズ・シンガーでもあります。 「A Lover's Concerto」は1966年のアルバム『Pop Artistry of Sarah Vaughan』に収録されており、Billboard Hot 100でも63位を記録しました。
~Lyrics~
How gentle is the rain 何てやさしい雨だろう That falls softly on the meadow やわからかに、そっと草原に降っている