I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「悲しき雨音」カスケーズ

2022.06.18

category : ~1960年代

The Cascades - Rhythm Of The Rain (1962年)

雨はネガティブなイメージが多い一方、雨の歌はそれと真逆の癒され、長く愛され続ける曲が多い ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


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tags : 1962年 ポップ せつない愛 雨/虹 

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「夢のカリフォルニア」ママス&パパス

2021.01.12

category : ~1960年代

The Mamas & The Papas - California Dreamin' (1965年)

“北風ぴいぷう”吹く季節は、温暖な地で過ごせたらいいのに…。コーラスが魅力的な冬の名曲 ♪

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tags : -60's フォーク コーラス  偉大な曲 CM曲 環境 

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「マイ・ガール」テンプテーションズ

2018.02.23

category : ~1960年代

The Temptations - My Girl1 The Temptations - My Girl2


The Temptations - My Girl (1964年)



~心を引きつけるもの~

[名は体を表す]といいますが、Beatlesの【beat(拍子)】はまさに[言い得て妙]です。
ではTemptationsの【temptation】はどんな意味が込められているかというと、“心を引きつけるもの”。
よく【music】の三要素はリズム(律動)/メロディー(旋律)/ハーモニー(和声)といわれますが、“心を引きつけるもの”が含まれていなければ【音楽】は名乗れません。

ドキドキしたりハラハラしたり、心躍ったりほっこりさせられたり…
「My Girl」は、きっとあなたに素敵な【temptation】を届けてくれるでしょう。



~概要~

テンプテーションズは1961年にモータウンからデビューした黒人5人組のソウル・コーラス・グループですが、当初しばらくはヒットに恵まれませんでした。
転機の一つは1963年にミラクルズ(The Miracles)のスモーキー・ロビンソンが楽曲提供&プロデュースに関わるようになったことで、1964年初頭には「The Way You Do the Things You Do」を初めてメジャー・ヒットさせています。
もう一つは1964年にメンバーのエルブリッジ・ブライアント(Elbridge Bryant)に代わって加入したデヴィッド・ラフィン(David Ruffin)の存在で、スモーキーはコンサートでの彼の歌声に感動、彼の声にぴったりの曲を書くことができたら大ヒットになると予感してデヴィッドをリードとしたシングルを制作することに決めました。

そうしてスモーキーがミラクルズのロナルド・ホワイトと共作で書き上げたのが「マイ・ガール」で、Billboard Hot 100のNo.1(1965年の10位)に輝きました(2ndアルバム『The Temptations Sing Smokey』に収録)。
また、デヴィッドの後任として1968年に加入したリード・シンガーはデニス・エドワーズですが、その彼がこの2月に髄膜炎による合併症のため亡くなったとのことで(享年74)、ここに追悼いたします。

作者であるスモーキー・ロビンソンをはじめオーティス・レディング、ローリング・ストーンズ、スティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソンほか数多くの大スターにカバーされた楽曲であり、ローリング・ストーン誌【The 500 Greatest Songs of All Time 88位】にもランクされています。
数あるカバーの中でも私にとって印象的だったのは、ホール&オーツが1985年に元テンプテーションズのデヴィッド・ラフィンとエディ・ケンドリックスと共演を果たした『Live at the Apollo』のステージで、まるで子供のようにはしゃいでいるダリルとジョンが忘れられません。

 
 



~映画『マイ・ガール』~

「My Girl」というと、きっと多くの人にとって印象深い(あるいはこれで本曲を知った)と思われるのが1991年に公開された映画『マイ・ガール(My Girl)』でしょう。
1971年の名作『小さな恋のメロディ』を意識したか同じ11歳の少女と少年との淡い恋物語となっていて、少女役にアンナ・クラムスキー、少年役には前年に『ホーム・アローン』で大ブレイクしたマコーレー・カルキンが出演しています。

映画の大ヒットを受けて「My Girl」のシングルも再リリースされており、Billboard AC27位/UK 2位というリバイバル・ヒットを記録しました。
映画とタイアップしたPVも制作されており、テレビでテンプテーションズの白黒の映像を視ていたマコーレーの家にメンバーが訪れ、歌を披露する演出となっています。

 



~Lyrics~

I've got sunshine on a cloudy day.
曇りの日にも輝くお陽さまを手に入れたよ
When it's cold outside I've got the month of May.
外が寒くても、心は5月

作詞のスモーキー・ロビンソンはご存知ブラックミュージック界の大御所で、モータウンの設立時の副社長でした。
ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランから“現代アメリカ最高の詩人”と評された人物でもあり、心模様を【May】と表したのも素敵ですが[day][say][way]と、尽(ことごと)く韻を踏んでいるのもサスガです。

その彼をして“sleeping giant(眠っている巨人)”と言わしめたのが1964年にテンプテーションズに加入したばかりのデヴィッド・ラフィンで、スモーキーは彼の声を“芳醇でまだしわがれていない比類なき声”と形容しました。
(デヴィッドはローリング・ストーン誌【100 Greatest Singers of All Time 65位】にもランクされている)


I've got so much honey the bees envy me.
ミツバチが羨(うらや)むほどの甘い蜜を手に入れたよ
I've got a sweeter song than the birds in the trees.
木々の鳥の囀(さえず)りよりも、甘い歌を

「My Girl」は、【一生に唯一人の女性を見つけた男性の悦び】を描いた歌ですが、実は同年スモーキーが書いた「My Guy」という作品もあります。
「My Guy」は【女性が男性への愛の忠誠を誓う】内容で、モータウンの女性歌手メアリー・ウェルズ(Mary Wells)が歌唱し、Billboard Hot 100の2週No.1を記録しました。

ちなみにメアリーの方が年齢的に下ですがいち早くスターの地位に上っており、モータウンのコンサートではテンプテーションズが彼女のバック・コーラスを務めていたこともあったそうです。


My girl (my girl, my girl)
Talkin' 'bout my girl (my girl).

愛しいあの娘の話をしているからさ

【girl】は“若い女性”ですが、【My Girl】は“恋人”のニュアンスがあります。
ミラクルズは元々ハイスクールの友人らで構成されたコーラス・グループ(当時は[The Matadors]と名乗っていた)で、メンバーのEmerson "Sonny" Rogersが徴兵され、代わりに妹のクローデット(Claudette Rogers Robinson)が加入しました。

クローデットとスモーキーは1959年に結婚、「My Girl」は彼女への愛情から着想を得ていますが、歌詞は彼女個人に捧げたものでなく、世界の全ての女性に向けて書かれたものだそうです。



~Epilogue~

もうすぐ、【ひなまつり】。
少し前、ニュースを検索をしていたところ…

綾瀬はるかの『世界平和』の夢を笑うな!

という見出しがあり、何事かとアクセスしてみると、彼女の“世界平和”発言を【笑い話にするような論調】で、あるサイトが配信していたというのです。
兎にも角にも、事実を確認するために他の配信先や元データ(動画)で確かめてみたところ、映画『今夜、ロマンス劇場で』(現在公開中)の初日舞台あいさつで司会者に【現在実現して欲しい夢】を問われ、それに対する綾瀬はるかと共演者らの応答をレポートした記事で、指摘された配信元は彼女の“夢は世界平和”発言に[周囲はあ然][閉口]したと報じる内容でした。
そして、周囲をあ然とさせたという彼女の発言とは…



オリンピックも開催中ですし、世界平和です。
皆さんがいつも健やかに過ごせる、そんな世の中になればと思います



[閉口]どころか、世間一般とかけ離れた芸能界のトップで活躍するスターがこのような感覚を保たれていることに、私はとてもうれしい気持ちになりました。
(※[あ然][閉口]は配信元編集者独自の形容表現であり、私が動画で見た限り出演者の言動に悪意は無く、現場の雰囲気を表すのにこれらが適切な言葉だったかは疑問が残ります)

ご存知のように綾瀬はるかは【天然】という定評がありますが、今回の発言にあるような雑念のない天然ぶりこそ、彼女が性別・世代を問わず広く愛される所以でしょう。
でも、彼女のこの発言は単なる性格に由るものではなく、生育や家族、仕事としての経験に裏付けられているようです。


綾瀬はるかは広島県広島市出身で、その芸歴で特筆すべきは10年以上に亘って広島や戦争に関するドキュメンタリーに継続して関わっていること、東日本大震災後に福島を舞台とした大河ドラマ『八重の桜』に出演していることです。
その過程に於いて被爆者や被災者と呼ばれる人たちの元を訪ね、彼らの生の声に多く接してきました。

とりわけ彼女の大伯母は原爆で若くして亡くなっており、その妹である祖母から当時の災禍の話を聞き、“私も長く生きとらんから。あんた、忘れんようにね。戦争なんか起こさんように、女性がしっかりせなだめなんよ。女性の力で戦争を起こさんいうことをせなだめよ”と、託されたそうです。
(詳細は、こちらのサイト

I guess you'd say
きっと、あなたは問うだろう…
What can make me feel this way?
“何がそんな気持ちにさせるの?”って

祖母から託された“平和”への願い…
女雛の間に脈々と受け継がれし、永久不変の魂



「マイ・ガール」


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tags : 1964年 偉大な曲 偉大な歌手 ソウル コーラス 

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「ティアーズ・オン・マイ・ピロー」リトル・アンソニー&ジ・インペリアルズ

2017.07.28

category : ~1960年代

Little Anthony The Imperials - Tears On My Pillow1 Little Anthony The Imperials - Tears On My Pillow2


Little Anthony and the Imperials - Tears On My Pillow (1958年)



~ Oldies but goodies ~

前回は1950~60年代の音楽へのオマージュを込めた80年代の作品でしたが、今回は本物の1950年代の作品です。
今回の「Tears On My Pillow」はブログをご覧になる殆んどの方にとって生まれる前の歌であり、全くご存知ない方も多いことでしょう。
でもその血脈は後世の音楽の中にもたくさんの要素が受け継がれており、きっとあなたも何処かでその“テイスト”に触れられているはず。

“Oldies but goodies”...
暫し、時を休めてお付き合いください♪



~概要~

リトル・アンソニー&ジ・インペリアルズは1957年、ニューヨーク・ブルックリンで活動をしていたドゥーワップ・グループ[the Chesters]に、[the Duponts]のヴォーカリストだったAnthony Gourdine(後の"Little Anthony")が加わって[the Imperials]になり、1958年に「Tears On My Pillow」でレコード・デビューしました。
ラジオで曲が流れるようになると、人気DJアラン・フリードが当時18歳だったアンソニーを"Little Anthony"と呼んだことがきっかけとなり、その後グループ名が正式に【Little Anthony and the Imperials】となったようです。

「Tears On My Pillow」はいきなりBillboard Hot 100で4位(年間34位)を記録しR&Bチャートも2位まで上昇、インペリアルズにとって最初にして最高のミリオンセラーを達成した作品となりました。
大ヒットに反して低予算でレコーディングされており、当時レコード会社の資金難による経費節減のため、1954年にペンギンズがヒットさせた「Earth Angel」と同じバッキング・トラックを使って録音されたそうです。
日本盤には邦題も付けられており、曰く「夜のなみだ」!(う~む…

本曲の魅力は何といってもソウル/R&Bバラードの王道といえる、とろけるように甘いテイスト。
リトル・アンソニーの少年っぽい清潔感あるハイトーン・ヴォイスと、やさしく包み込むようなドゥーワップ・コーラスが醸し出す心地よさにあるといえるでしょう。
しかし、実際はタイトルにあるように「Tears On My Pillow」(枕の上の涙)がテーマであり“失恋ソング”となっているので、ご活用の際はご注意を!

 



~カイリー・ミノーグver.~

オーストラリアのポップ・クイーン、カイリー・ミノーグが1989年の2ndアルバム『Enjoy Youself』でカバーしたバージョンは全英No.1に輝いたほか世界的にヒットしたので、「ティアーズ・オン・マイ・ピロー」は彼女がオリジナルと思っておられた方も多いでしょう。
ムービー仕立てのPVは同年カイリーが主演した50年代のオーストラリアを舞台とした映画『恋に走って(The Delinquents)』の映像が編集されています。




~それ以外のカバー~

1978年にオリビア・ニュートン=ジョン主演の大ヒット学園ミュージカル映画『Grease』で、アメリカのロック・バンドのシャ・ナ・ナ(Sha Na Na)もカバーしています。

また、1986年にR&Bグループのニュー・エディションがカバーした際はリトル・アンソニー本人がゲスト・ヴォーカルに参加していますが、今回それを実演している映像を発見しました!

 



~Epilogue~

“声”は人類史上、及び個別の人生に於いて最初に授かる楽器です。
声色は感情を伝え、言語はそれを細部まで表現し、歌はそれをもっと強く心に作用させます。
[ドゥーワッ]とか[シュビドゥビ]といったコーラスを重ねるドゥーワップは元々アメリカの黒人奴隷の労働歌の一つであり、奴隷解放宣言後も、楽器を買う経済的事情や教育に恵まれなかった彼らにとっての音楽の手段でした。
声は、最も身近に音楽を授けてれる楽器でもあるのです。

その後、テクノロジーの発展に伴い楽器や音響・録音機材などが進化を遂げ、それらによる表現の可能性の広がりにより、(コーラスなど)声が果たす楽器としての役割は相対的に低下し、今日に至ります。
しかし最近のポップ・ミュージックについて、長年デヴィッド・ボウイのプロデューサーを務めてきたトニー・ヴィスコンティは“ラジオをつけて聴こえてくるのは90%コンピュータで加工された声で、あまりに完璧なポップ・サウンドでつまらない”と評しています。

確かに近年は声にエフェクト(音響効果)を加えたヴォーカルが主流であり、音声合成システム『VOCALOID』によるバーチャル・アイドル“初音ミク”関連CDがヒットしたことも記憶に新しい所です。
わざわざ人が歌わなくても、コンピュータが歌声らしき音声データを生成してくれる…
そんな時代だからこそ、余計“生の声”にノスタルジーを覚えてしまうのかもしれません。


最後に、「Tears On My Pillow」の流れを汲む日本のドゥーワップの名曲を届けいたします。
この作品は大瀧詠一が作詞/作曲し1976年に吉田美奈子の歌として発表され、1996年にラッツ&スターがカバーし広く知られるようになったスロー・ナンバー。

あなたがやさしい“夢に逢える”ことを祈って…。





「ティアーズ・オン・マイ・ピロー」


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tags : 1958年 ドゥーワップ せつない愛 

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「ラヴァーズ・コンチェルト」サラ・ヴォーン

2017.06.09

category : ~1960年代

Sarah Vaughan - A Lovers Concerto1 Sarah Vaughan - A Lovers Concerto2


Sarah Vaughan - A Lover's Concerto (1966年)



~6月の花嫁は幸せになれる?~

“6月の花嫁は幸せになれる”という【June bride】の伝説はローマ神話の女神[Juno]に由来するといわれますが、日本の6月は【梅雨】の時期でムシ暑いし雨が多いしで、肌感覚からすると“何でこんな季節にわざわざ大事な式典を?”と思ってしまいます。
これに対しジューン・ブライド発祥の地ローマでは6~8月は1年で最も降水量の少ない時期で、農作業の繁忙期を過ぎて区切りがよいということなどから6月の結婚は人気があるようです。
(ちなみにアメリカ西海岸もこの時期雨が少ない)

でもそんな日本でジューン・ブライドの風習が受け入れられたのは、日本人にとってロマンティックな西洋文化への憧れが根底にあるせいでしょう。
一説によるとこの風習を日本で広めたのは[ホテル業界]で、梅雨の時期に減る挙式を増やすためのアイデアだったそうです。
日本人がロマンチストなのか、お仕事熱心な国民性なのかはあなたの判断にお任せするとして…? 



~概要~

「ラヴァーズ・コンチェルト」というと、日本でも音楽の教科書に掲載されるなど親しみ深い洋楽曲の一つです。
(“あ~めのしずく~♪”…でしたっけ?)
作者はアメリカのソング・ライター、サンディ・リンザー&デニー・ランドル(Sandy Linzer and Denny Randell)による作品ですが、“聴き覚えのあるメロディー”には原曲があります。
原曲となっているのは18世紀のオルガン奏者クリスティアン・ペツォールト(Christian Petzold)の『メヌエット』「ト長調 BWV Anh. 114」(かつてはJ.S.バッハの作とされていた)で、これをリンザー&ランドルがアレンジして歌詞をつけたのが「A Lover's Concerto」です。

「A Lover's Concerto」は1965年にアメリカのガール・ポップ・グループ、ザ・トイズ (The Toys) のために生み出されました。
トイズver.はBillboard Hot 100で2位と、彼女らにとって最大のヒットとなったものの「サティスファクション」でブレイクした直後のローリング・ストーンズの「Get Off of My Cloud」にNo.1を阻まれてしまいました。
ちなみに同じ週では4週No.1を記録したビートルズの「Yesterday」が首位を陥落し3位に付けており、“相手が悪かった”と言えますが、年間成績では「A Lover's Concerto」が32位で「Yesterday」38位、「Get Off of My Cloud」の65位を上回っています。

親しみやすいメロディーの「A Lover's Concerto」はシュープリームスなどのカバーがありますが特筆すべきは日本での人気で、1966年に金井克子、1967年に尾崎紀世彦、その後もザ・ピーナッツや桑田佳祐、薬師丸ひろ子らが取り上げています。
しかし日本で最も認知されているといえばやはりサラ・ヴォーンのバージョンであり、ドラマでは『不機嫌なジーン』、CMでは『三菱シャリオグランディス』ほか多数でサラの「A Lover's Concerto」が長年使用されてきました。

サラ・ヴォーンは主に1940年代~50年代に輝かしい成功を収め、“女性ジャズ・ヴォーカリスト御三家”とも評される伝説の黒人ジャズ・ボーカリストです。
…なので「A Lover's Concerto」のイメージでサラ・ヴォーンにアプローチすると全く的外れになってしまうため要注意ですが、彼女は案外ビートルズやカーペンターズのような楽曲も厭わないジャズ・シンガーでもあります。
「A Lover's Concerto」は1966年のアルバム『Pop Artistry of Sarah Vaughan』に収録されており、Billboard Hot 100でも63位を記録しました。

 
 



~Lyrics~

How gentle is the rain
何てやさしい雨だろう
That falls softly on the meadow
やわからかに、そっと草原に降っている

ハッピー・ソングといえば圧倒的に“”のイメージですが、「A Lover's Concerto」はいきなりそれを覆しています。
“雨であらねばならない理由”はストーリーの続きを読めばすぐわかるものの、“softly(柔らかに)落ちる雨”のイメージには困りました。

いわゆる【天気雨】を仮定して“音もしないほど粒が細やかでまばらな雨”を想像しましたが、こういう雨は[落ちる]ような表現が相応しいのか確信が持てなかったのです。
虹が出ている時の雨って、どうでしたっけ…? 


Birds high above in the trees
木立の高く、鳥たちは
Serenade the flowers with their melodies oh oh oh
美しい調べで花々にセレナーデを捧げてる

【Serenade】は特定の音楽形式のことではなく、“恋人や女性を称えるために夕方(または夜)屋外で演奏・歌唱される音楽”をいいます。
…なので、この場面の情景は明るい昼間ではなく、少し日が傾いた時間帯であるのでしょう。

愛を語るために歌が上手になったといえば、やっぱりさんですよね♪
ほかに“愛の歌い手”というとカエルさん、虫さん、…ブヒッ? (…キミ違うでしょ?


Be always true to me
いつも私だけを想い
Keep this day in your heart eternally
いつまでも、どうかこの日の心のままで…

…まさに、【June bride】にぴったりな歌♪
そしてこの歌は『タモリ倶楽部』[あの名物コーナー]に紹介されたことでも有名です。

2行目…
Keep this day in your heart eternally
 “金粉してるよ ハゲてんのに…”

 そりゃぁ50年も共に暮らせば“ぬり”も厚くなるし、髪は薄くなるでしょ?




~Epilogue~

本作のテーマを構成する【concerto】は、ソロ演奏者(ピアノなど)とオーケストラという異なる要素で合奏された[協奏曲]です。
語源は【concertare】で、ラテン語では“競争する”、イタリア語では“協力する”という相反する意味が含まれており、[協奏曲]とは“異なる要素を持つもの同士(ソロとオーケストラ)が互いに競い合い、協力しあう演奏形態”を意味しています。

そして、歌詞を構成する【rainbow】もまた、[雨][太陽(光)]という異なる要素によって創り出される自然界の芸術です。
虹は、太陽の光が空気中の水滴によってプリズムの原理で屈折・反射された光のスペクトルで、雨と光以外にも観察者の位置条件(太陽と反対方向の空を向く)が揃わないと目視できません。


「A Lover's Concerto」~“愛する二人の協奏曲”

私たち人間も、[男性][女性]という二つの異なる要素で構成されています。
両性はいわゆる“ついてるもの”が違うだけでなく脳そのものが異なっており、それが故にモノの感じ方や考え方など差異が生まれるといわれます。
異質との交わりは不可解や労苦を伴うものですが、異なる音や雨と光がその困難を乗り越え音楽や虹をもたらすように、男性と女性の間にも[新たな恵み]を育むことができるはずです。

そして、それを実現させる唯一の根源こそ、【愛】
それは[永遠の愛]などという大仰なものではなく、自分が発している音、相手から伝わる音に日々耳を傾け、それを確かめ合い、調整しながら二つのものを一つにまとめ上げること。
異質の音の集まりが、そうして一つの美しい音楽へと創り上げられるように…。

And if your love is true
その時もし、想いが変わらぬ真実であったなら
Everything will be just as wonderful
生涯は、この上ない素敵なものとなる

愛とは、日々の小さな【concerto[協奏]】。
それを重ねた終着にこそ、[永遠の愛]があるような気がします。



「ラヴァーズ・コンチェルト」


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tags : 1966年 クラシック R&B/ポップ 希望の愛 CM曲 

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