「ヴァロッテ」は1984年の1stアルバム『Valotte』のタイトル曲で、アメリカでは1stシングルとしてBillboard Hot 100の9位(1985年の年間78位/イギリスでは2ndシングルとして週間55位)を記録し、これら一連の活躍が評価され1986年にグラミー新人賞にノミネートされています(受賞者はシャーデー)。 奇しくも同年1月にはジョンが死の直前までレコーディングし未完となっていた遺作『Milk And Honey』が発表されクローズアップされていた折、10月になって“父そっくりな風貌と歌声を持った息子”が登場したのですから、世間はアッと驚いたというワケです。 この人気は日本にも及び、「ヴァロッテ」が起用されたHONDAシティのCMにはジュリアン本人が出演し話題を呼びました。
【Valotte】とは歌詞やメッセージを示す言葉ではなく、ジュリアンらが作曲のため滞在したフランス中央部の静かな街ヌヴェール(Nevers)にある小さく美しい古城【Manor de Valotte】に由来しています。 一方、歌詞に度々登場する“川沿いの風景”はアルバムをレコーディングしたアメリカ・アラバマ州のスタジオ『Muscle Shoals』のそばを流れる“テネシー川”をイメージしているそうです。 作品は“哀愁漂うワケありのラブ・ソング”といった解釈が一般的ですが、端々にちりばめられた言葉を見るほどに、私には“アノ方へのメッセージ?”に思えてならない…(次項以下参照)。
~Lyrics~
Sitting on the doorstep of the house I can't afford 僕には買えない“その家”の玄関先に座っていると I can feel you there そこに、“あなた”を感じることができる
“僕は、実の父のことをあまり知りません。 John Lennonの子として生まれ共に数年間暮らしましたが、 その後亡くなるまでに顔を合わせたのは数えるほどで、本当に‘その人物’のことを知らないのです。 僕は、父がいる時もいない時も数々の愛憎関係を経てきたし、 10代・20代の頃の僕の人生は怒りに満ちていました。 なぜなら、何が起こっているのか、なぜこのような状況になっているのか理解できなかったからです。 父のだらしなさと愛と平和への態度にものすごく腹をたてていたし、 父の言う愛と平和は、僕の家庭には全くなかったのです…。”
Thinking of a reason, well, it's really not very hard 理由なんて…そんな難しいことじゃないさ to love you even though you nearly lost my heart たとえあなたが僕を忘れようと、僕はあなたを愛さずにはいられないだけ