「プライベート・アイズ」は1981年の10thアルバム『Private Eyes』のタイトル曲で、1stシングルとしてBillboard Hot 100の2週連続No.1(1982年の年間44位)に輝きました。 前作『Voices』からのNo.1「Kiss on My List」(過去ログ)を彷彿とさせるポップ性は当時のH&Oの音楽性を象徴するテイストであり、それに加えてイントロからのギター(G.E.スミス)&キーボードはインパクト抜群で、そういう系統の楽曲・サウンドの中では最も完成度の高い作品と言ってよいかもしれません。 日本では2001年にSONYのデジタル・カメラ CyberShot DSC-P5のテレビCMに起用されてリバイバル・ヒット、ご記憶の方も多いでしょう。
クレジットには[Daryl Hall, Sara Allen, Janna Allen and Warren Pash]とあり、ダリル・ホールによるとダリルとその恋人サラ・アレンが歌詞、ダリルがコードに関与していますが大半はサラの妹ジャナとロサンゼルスのミュージシャンのウォーレン・パッシュの貢献だそうです。 元々はウォーレン・パッシュが自身のバンドのために書き始めた作品で、その後ジャナのソロ用にと模索をしていたところダリルが気に入って彼らが歌うこととなりました。
しかし作品は当初「I Need You To Need Me」というタイトルで創作が試みられていたものの、ウォーレン・パッシュ自身中々満足できずにいたようです。 アイデアが煮詰まった時は気分転換が有効であるように、彼にインスピレーションを与えてくれたのはロサンゼルスの通り[Ventura Boulevard]で見掛けた映画の看板でした。 その映画こそ1980年の『The Private Eyes』であり、タイトルが示すようにシャーロック・ホームズをネタにしたパロディー作品のようです…。
2つ目のライブ映像では、桑田佳祐が“乱入”しています!
~Lyrics~
I see you, you see me 君を見る僕、僕を見る君… Watch you blowin' the lines でも僕は、君のしくじりを見届けようとしているのさ When you're making a scene …醜態を演じるのをね
恐らく元々のタイトル「I Need You To Need Me」は、ここに入っていたのでしょう。 何だか主人公はイジワルな感じがしますが、ここの【lines(台詞)】は彼女の【lies(嘘)】と深く関わりがありそうです。
2015年1月に発生した[ISILによる日本人拘束事件]で、ジャーナリストの後藤健二氏ら2人の日本人がISILに拘束されている最中でありながら、安倍首相がエジプトで“ISILと戦う国に2億ドルの支援を約束する”と演説し、その後2人は殺害されました。 これについて『報道ステーション』でコメンテーターを務めていた古賀茂明氏が“安倍氏の言動が誘拐犯を刺激し2人の殺害に繋がった”という非難と、“多くの日本人はイスラムを敵視していない”というメッセージを伝えるべきとして[I am not ABE]のプラカードを掲げ、それがきっかけで彼が報ステを含む全てのテレビ(地上波)から干された騒ぎをご記憶の方もあるでしょう。 古賀氏降板の背景には彼の発言に激怒した“官邸によるテレビ局への圧力があったため”と囁かれていましたが、その実行者は菅義偉官房長官の当時の秘書官だったN氏であったことが、古賀氏の近著で明かされています。
その経緯を振り返ると浮かぶのが日本のポップ・デュオCHAGE and ASKA(チャゲ&飛鳥)で、デビュー当初少し話題を呼んだもののその後10年ほどパッとせず「SAY YES」の大ヒット以降90年代を代表するヒット・メイカーとなったことを思い起こします。 そういえば、THE ALFEEも花が咲くまで時間がかかったな…。
~概要~
「キッス・オン・マイ・リスト」は1980年の9thアルバム『モダン・ヴォイス(Voices)』の収録曲で、「How Does It Feel to Be Back」「You've Lost That Lovin' Feelin」といったやや地味めの曲に続く3rdシングルとしてリリース、Billboard Hot 100で3週No.1(1981年の年間7位)に輝いた作品です。
また、この歌は【kiss】がテーマとなっていますがそれを意識して[list, bliss, this, is...]など、韻を要所に配置し抜群のノリを生み出しています。 ただ、【list】に関してはアメリカ人もよく聴き違えるようで、ダリルも“よく歌を聴いてない人は「Kiss On My List」を[Kiss On My Lips(唇)]と間違える”と紹介しているそうです。
I go crazy wondering 驚きで、気が変になる What there is to really see 目の前で起きている現実に
…ちょっとびっくりする発言ですが、二番の歌詞を読むとこれは“失恋ソング”であり、“自分はマジだったのに、彼女はアソビだった”ことへの悔しさが綴られています。 だからこそ、わざわざ悔し紛れに【your kiss is on my list】という“対象者が多数いるような言い回し”をしているのでしょう…“キスの相手なら、君以外に幾らでもいるよ!”って。 でもそれに続くラインには、こう記されています…
Because your kiss is on my list 君の唇が、僕のリストで Of the best things in life 生涯最高のものだから
「マン・イーター」はその絶頂期を形成した1982年の11thアルバム『H2O』からの1stシングルで、Billboard Hot 100で5曲目のNo.1(4週/1983年の年間7位)を記録した最大のヒット曲です。 代表曲に挙げられることの多い「Maneater」ですがH&Oの音楽性からすると象徴的なものではなく… むしろ、“変わったテイスト”といえる作品でしょう。
【maneater】は言葉が示すように“人食い”の意味で、それが派生して“男食い⇒男を弄ぶ女・男好きの女”といったスラングとして解釈されることもあります。 この作品には【She's a maneater】という表現がありますが【bitch】や【hussy】ではない所がミソで、この女性が男を骨抜きにするほど魅力的な一面も持ち合わせていることが窺えます。
一方で意外なのは、ジョンが「Maneater」について“女性の詞と解釈するのが自然だけど、本当は80年代のニューヨークの金持ちたちの強欲ぶりを描きたかったんだ。”と、コメントを残していることです。 でも、やっぱり【She's a maneater】で良かった! “強欲な金持ちの歌”じゃあまりにムードがないし、やっぱり“男を虜にするセクシー美女”が登場した方が妄想が膨らむでしょ?(本物の“人食い”のハナシだと、もっとドン引きですが… )
(Oh-oh, here she comes) ほら、女のお出ましだ She's a maneater アイツは、男を喰らう“マンイーター”