I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「ライティングズ・オン・ザ・ウォール」サム・スミス

2015.11.20

category : Sam Smith

Sam Smith - Writings On The Wall1 Sam Smith - Writings On The Wall2


Sam Smith - Writing's On The Wall  (2015年)



~サム・スミス『In the Lonely Hour Tour』~

今年2月の『第57回グラミー賞』で、新人ながら主要3部門を含む最多4部門を受賞し話題を独占したサム・スミス。
しかし来日直前に声帯を痛め緊急手術、5月に予定されていた初の日本単独公演がキャンセルとなってしまったのは記憶に新しい所でしょう。
術後の回復は順調で、その『In the Lonely Hour Tour』のリベンジ公演が11/24・25に行われます。

実は、サム・スミスはグラミー授賞式出席直後の2/14にアルバムのPRのため一度来日しており、日本人の礼儀正しさや“本物の日本食”に感銘を受け、すっかり親日家となったそうです。
(※イギリスでは“何かドス黒いもの”を食べたらしい)
そんなサムから日本のファンへ、メッセージが届けられています♪



~概要~

サム・スミスは、その声を“天使の歌声”と評される美しいファルセットが持ち味のイギリスのシンガー・ソングライターで、現在23歳。
グラミーを受賞した名曲「Stay With Me」やデビュー・アルバム『In the Lonely Hour』の世界的大ヒットにより一躍国民的スターとなった彼の活躍は、まるで3年前の同国出身の女性歌手アデルを彷彿させるものでした。
しかし国民的歌手となった彼女がその後“国民的映画”の主題歌を担ったように、サムの下にもその依頼が届くことになります…。

「Writing's On The wall」は今年10月26日にロンドンでプレミア上映された007シリーズ第24作映画『007 スペクター(Spectre)』の主題歌です(日本公開は12月4日)。
同曲は日本時間9月25日に世界一斉デジタル配信開始され12の国と地域のiTunesでNo.1を獲得、全英シングル・チャートでもNo.1に輝きました(Billboard Hot 100では71位)。
半世紀にも亘る007シリーズの歴史に於いて数々の名曲が提供されてきましたが、意外にも本国イギリスでNo.1になった曲はこれまで1つも無く(全米No.1はある)、この偉業によってサムの名はギネスに刻まれることとなりました。


サム・スミスの歌う「Writing's On The Wall」には3代目ジェームズ・ボンド役だったロジャー・ムーアもお墨付きを与えていて、“美しいオーケストラで心に残るメロディ、よくできてるよ。”とコメントしているそうです。
一方、007シリーズの大ファンを公言し自らも主題歌の先輩であるデュラン・デュランのサイモン・ル・ボンは、“僕の好みじゃないな、僕らの曲の方がいい出来だよ。でも、彼はサム・スミスだからね…美しい声の持ち主だし、僕は彼の大ファンだよ。”と、自らの作品に軍配を上げました。
(サイモンの発言は映画に抱くイメージの違いであり、デュラン・デュランの「A View To A Kill」は007の“スリリングなアクション”を、「Writing's On The Wall」はジェームズ・ボンドの“逃れ得ない宿命と心の痛み”に焦点を当てている違いに因るものと思われます。)

サム・スミス自身は、彼にとって自分以外…とりわけ架空のキャラクターをテーマに作品を創作することは初めての経験であり、長い歴史を誇るシリーズを考慮し時代を問わないクラシックなものにしたかったという意図を明かしています。
自らを“僕はラヴソング専門”と分析するように、彼は“失恋の痛み”を歌わせたら右に出る者はないタイプの歌手です。
サムはシリーズの根源的なテーマとして愛の果たしている意味の大きさに着目し“自分の強みを生かせる”と、ジェームズ・ボンドが背負った宿命の哀しみを描き、その作品の出来には満足していると振り返っています。《資料

一方でBBC『グレアム・ノートン・ショー』に出演した際「Writing's On The Wall」について“歌うには本当にしんどい曲”と語っており、ここで聴くことのできる至上のファルセットも本人にとっては“歌い切るには股間を握りつぶして気合いを入れないとできないくらい、ホントしんどいんだ”とか!? 


 



~Lyrics~

I've spent a lifetime running
駆け回るばかりの人生
And I always get away
…いつだって、何者からか逃げていた

スパイは諜報活動をはじめ謀略、破壊、暗殺…
敵地に深く潜入する必要があるため、任務は常に危険と隣り合わせです。
前作は007の出生の地“スカイフォール”をテーマとしていましたが、今回も007は冒頭からある人物を追跡しており、そのことは何やら彼自身の少年時代に関わる重要な秘密へと繋がっているそうです。
果たして、007は“駆け回るばかりの人生”から解き放たれることになるのでしょうか…。
本当に解き放たれてしまったら、シリーズ終わっちゃうじゃん?

シリーズはともかく、主演のダニエル・クレイグは“またボンドを演じるなら、手首を切った方がマシ”と発言をしているとも報じられており、ダニエル自身はリアルに“駆け回るばかりの人生”から解き放たれる…?




If I risk it all
もし僕が危険を冒しても
Could you break my fall?
堕ちるこの身を、受け止めてくれる?

007シリーズの見所というと、ナンといってもスリリングな“アクション”と、スパイならではの“秘密兵器”ですね♪
サム・メンデス監督が“スタント、アクション、爆発にCGは使わない”と公言している通り、ローマ市街地を完全閉鎖してボンド・カー“アストンマーティン DB10”と“ジャガー C-X75”とのカー・チェイスが撮影されました。

また、劇中で7.5秒続く大爆発の規模はTNT換算で68.47トン、灯油8418リットルと爆薬33キロが使われ、映画史上世界最大規模としてギネス記録に認定されたそうです!

 


But with you I'm feeling something
でも、君と一緒ならば思える…
That makes me want to stay
“ここに、留まっていたい”

007シリーズのお楽しみはアクションに限らず、ボンド・ガールとの“ムフフ”ですよね? 
しかも、今回はレア・セドゥとモニカ・ベルッチ、ステファニー・シグマンという国際色豊かな3人の美女が登場します♪
特に、モニカは歴代最年長となる51歳という熟女(これまでの平均年齢は29歳)!
ボンドさん、“本命”は誰?

でも『男はつらいよ』がそうであるように、“ムフフ”が見所の長寿シリーズで主人公の恋は成就しない宿命…?





~Epilogue~

シリーズ第24作『Spectre』の詳細はまだあまり伝わっていませんが、スペクターと聞いて古くからの007ファンの方は覚えがあるのではないでしょうか?
SPECTRE】は“SPecial Executive for Counter-intelligence, Terrorism, Revenge and Extortion(対敵情報、テロ、復讐、強要のための特別機関)”の略称で、1971年の『007 ダイヤモンドは永遠に』までジェームズ・ボンドの宿敵として登場した悪の組織です。
しかし原作者イアン・フレミング(及びイオン・プロ)と共同執筆者らの間で係争が起こり、以来これらのキャラクター権がイオン・プロによる映画で使用できなくなっていましたが(1983年の『ネバーセイ・ネバーアゲイン』を除く)近年の和解交渉により、本作品で44年ぶりに復活しました。

スペクターにはエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドなる首領が存在し、“白いペルシャ猫を膝の上に抱き抱えながらもその全貌は映さない”というミステリアスな描き方は、後の映画やドラマの“悪の首領”に多く派生が見られました。
今回の『Spectre』ではブロフェルドの名は見当たりませんが、ウィキペディアに列記される“フランツ・オーベルハウザー”なる登場人物のリンクをクリックしてみると、不思議なことにブロフェルドの項が参照されるのです!
実は、これまでブロフェルドは身分を偽ったり変装や整形などで容姿を次々と変えるキャラクターとして描かれており(その割にはテリー・サバラスのスキン・ヘッドばかりが強烈に印象に残ってる!?)、今回もしかしたら…?

 From Russia with love (1963)


For you I have to risk it all
…それでも、君のため危険を冒さなければならない
Cause the writing's on the wall
“壁の文字が告げている”から…

主題歌のタイトルにもなっている「Writing's On The Wall」は、“不吉な前兆”を意味する慣用句です。
旧約聖書『ダニエル書』第5章の中で、“バビロンの王ベルシャザルが宴会を催していたところ突如空中に手が現れ、壁に“バビロンが滅びて、王は死ぬ”と書くと、その夜ベルシャザルは殺害されてしまった”…という逸話に由来します。
“現れた手”は神よりの使者であり、書かれた文字は“神のお告げ”だということです…。

ところで、【spectre】には映画に登場する悪の組織名以外に、別の意味があります。
頭から離れない経験の心的表象”や“気味悪く現れている人影”という、得体のしれない化け物のようなもの…。
もしそれが“不吉な前兆”と結びついているとしたら、第24作『Spectre』で007は任務上の敵だけでなく“ジェームズ・ボンド個人の宿命”と闘わなければならないのかもしれません。
でもそれって、私たち人間誰もが一生に何度か向き合わねばならない大きな試練であり、それが生きるということなのでしょう。

そして、男にはたとえ危険を冒してでも闘わなければならないときがある…。



「ライティングズ・オン・ザ・ウォール」


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tags : 2015年 映画 007 バラード 哀愁 アカデミー歌曲賞 

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