I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
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「セプテンバー」アース・ウィンド&ファイアー

2016.09.12

category : Earth, Wind & Fire

Earth, Wind Fire - September1 Earth, Wind Fire - September2


Earth, Wind & Fire - September (1978年)



~9月21日、何かが起こる!?~

ディスコを象徴するファンク・バンドとして日本でも人気の高いアース・ウィンド&ファイアー(以下EW&F)が、現在来日中です(~9/22)。
リーダーのモーリス・ホワイトが2月に他界するなど今年はEW&Fにとって試練の年となりましたが、その長年の功績が認められ『第58回グラミー賞』では“特別功労賞生涯業績賞”が授与されました。
現在もバンドはフィリップ・ベイリー(vo/etc.)、ヴァーダイン・ホワイト(b;モーリスの弟)、ラルフ・ジョンソン(vo/perc)を中心に精力的にライブ活動を続けており、フィリップの“ジュニア(息子)”も参加しているそうです。

でも世界中で競争率が高いであろう“この時期”せっかく来日してくれたのに、プラチナ・チケット必至の“9月21日”に公演が行われないのはナゼだろう…?



~概要~

デビューから8年が経ちアルバムを出せばプラチナ・セールスの常連となっていたアース・ウィンド&ファイアーは1978年、それまでのキャリアの総決算として初めてのベスト盤『The Best of Earth, Wind & Fire Vol.1』をリリースしました。
このベスト盤には未発表の新曲も含まれており、そのうちの一つビートルズのカバー「Got to Get You Into My Life」を1stシングルに、そして今回特集する「September」は2ndシングルとしてカットされBillboard Hot 100の8位(1979年の年間78位)を記録しています。

「September」はまさに1970年代後半のディスコ・ブームを象徴するファンキーなダンス・ナンバーであり、彼らのキャリアに欠かすことのできない代表曲です。
作者はメンバーのモーリスとアル・マッケイに加え、作詞にはEW&Fが所属するコロンビア・レコードで広告やライナーノーツの仕事をしていたアリー・ウィリス《Epilogue》の項も参照)が初めて参加しています。
(彼女は後に「Boogie Wonderland」や「Sunday Morning」などにも貢献)
そのアリーの参加が決まる以前、彼女がスタジオのEW&Fに会いに行った際ちょうど彼らが作曲していたのが「September」で、そのイントロのギターを少し聴いただけで“この曲、間違いなく大ヒットする!あぁ神様、どうか彼らが私と仕事をしたいと思ってくれますように…”と願望したそうです。

「September」が特筆すべきは、ただ単にディスコ・ブームでヒットした流行歌ではなく、発表から40年近く経った今日も新しい世代に求め愛され続けていることにあるといえるでしょう。
数々のカバーやサンプリング、映画やドラマ(続・平成夫婦茶碗)のテーマ曲、CM、ゲーム、スポーツ選手のコール・ソング…など様々な形で起用されてきました。

その大きな理由は「September」のミュージック・ビデオで顕著に表れており、MTV未開局でMVがまだプロモーションとしての価値が開拓されていなかったこの時代から、加工技術を駆使し残像をフィーチャーした映像を制作するなど、こうした新しいもの・面白いものへの積極的な探求心が3年後「レッツ・グルーヴ」(過去ログ)に結実したといえるでしょう。
こうした姿勢はマイケル・ジャクソン(カテゴリ)のそれと共通するところであり、時代を越えて愛され続ける要因なのだと私は思います。

 



~Lyrics~

Our hearts were ringing
二つのハートは響きあい
In the key that our souls were singing.
二つのソウルは調子を合わせ歌う

英語で心臓の拍動音を調べてみると【thump-thump(θʌ́mp;サンプ)】【bang-bang】【pit-a-pat】といった例が挙げられていますが、どれもちょっと日本人にとってはピンとこないイメージです。
言葉の意味と音の響きから勝手に解釈し敢えて日本語表現に当てはめてみるとしたら、thumpは鈍くぶつかる音なので[ドクドク]、bangは叩く音で[バクバク]、pit-a-patはパタパタしてるので[トクトク]…という感じでしょうか?(※あくまでも個人のイメージです)

もしもこのフレーズのようにときめきを表すであろうring(ベル音)なら、【jingle(チリンチリン)】…?
でも拍動音っぽくないし、私にはやっぱり日本語の[ドキドキ]が一番しっくりきます♪ 


Ba de ya - dancing in September
9月にダンスしただろう?
Ba de ya - never was a cloudy day
雲ひとつない、あの夜のことさ

心を合わせるといえば、“共同作業”でしょう!
否が応でも、一つの目的を達成するために気持ちやタイミングを合わせないと上手くいきません。
ダンスは必ずしも共同作業ではありませんが、一人で踊るより誰かと呼吸を合わせ時々アドリブを入れたりなんかした方が圧倒的に楽しいものですよね?

しかも互いに体を密着させられるし!  まったくコイツは…。


Now December found the love we shared in September.
9月に響きあわせた恋は、12月に愛を実らせた
Only blue talk and love
甘いささやきと、愛を交わす

ファンク・ミュージックというと大抵どこかに“下ネタ”が含まれるものですが、この洗練されたファンクにも!?
訳では一応キレイにまとめてありますがここでの【blue】は[憂鬱]ではなく、スラング的に“エッチな意味合い”が含まれると考えられます。

この曲は「September」というタイトルですが、【Now December】とあるように現在の時制は12月です。
しかし、EW&Fには「December」という曲が存在することをご存知でしょうか?
これは2014年のホリデイ・シーズンにリリースしたアルバム『Holiday』の中に収録された作品で、“【September】の部分を【December】”にして“21日を25日”にした替え歌となっています。 





~Epilogue~

モーリス・ホワイトと共に作詞に当たったアリー・ウィリス《概要》の項を参照)は、モーリスの言葉の意図をよく理解できず何度も彼と問答を交わしたといいます。

 “コーラスの【Ba de ya】って、意味を持たないんじゃありません?”
 …“いや、それこそがいい所なんだ。きっと、みんなそこを思い浮かべる。”

 “どうして9月21日なのですか?”
 …“特別な意味はない。たとえそれが現実であろうとなかろうと、それは言えない。”

何だか『論語』のやりとりみたいですが、実際に作詞の共同作業の前にモーリスの考え方を理解するためアリーは東洋哲学の本を読まされ、それには数カ月を費やしたといいます。
そして全てを終えた彼女は、自分なりの“答え”を見つけることができました。

“たぶん9月21日は、歌い易かったからじゃないかな…?
モーリスとのレッスンで学んだ大切なことは、歌詞は音楽の【groove(楽しい部分)】を妨げてはならないということ。究極的に重要なのは【the feel(感じること・触れること)】ね。”



Do you remember
ねぇ覚えてる?
the 21st night of September?
9月21日の夜のことを

“その夜”を感じ、あなたもゆったりとした時間をお楽しみください♪ 



「セプテンバー」


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tags : 1978年 ダンス/Funk 名作MV CM曲 ドラマ 

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「レッツ・グルーヴ」アース・ウィンド&ファイアー

2016.02.12

category : Earth, Wind & Fire

Earth, Wind Fire - Lets Groove1 Earth, Wind Fire - Lets Groove2


Earth, Wind & Fire - Let's Groove (1981年)



~Maurice White 1941-2016 R.I.P.~

2月3日、アース・ウインド&ファイアーの創設メンバーでリーダーであったモーリス・ホワイト《写真》が亡くなりました(享年74)。
モーリスは1990年代初めから難病パーキンソン病を患っており、直接の死因は伝えられてはいないもののここ数ヶ月は病状が悪化していたそうです。
モーリスの弟でバンド・メンバーのヴァーディン・ホワイトは“自宅で睡眠中に安らかに息を引き取った”と伝え、ナイル・ロジャースやクインシー・ジョーンズ、レニー・クラヴィッツ、オバマ大統領など多くの著名人も哀悼を捧げました。

奇しくもアース・ウインド&ファイアーは今年2月15日(日本時間16日)に催される第58回グラミー賞授賞式で“特別功労賞生涯業績賞(Lifetime Achievement Award)”の受賞が決まっていただけに、その栄誉が追悼となってしまったことが残念でなりません。
(ちなみに今回のグラミーでは、イーグルスジャクソン・ブラウングレン・フライを、レディー・ガガデヴィッド・ボウイの追悼パフォーマンスを行う予定があるそうです!)
今夜は、モーリスの代表曲としてお馴染みの「Let's Groove」をお届けします…。



~概要~

アース・ウインド&ファイアー(以下;EW&F)は、モーリス・ホワイトが“土(Earth)・空気(Air)・火(Fire)”の要素があるという占星術の発想を基にネーミングされたアメリカのファンク・バンドで、1970年代のディスコ・ブーム(1975年-1979年)に黄金期を迎えますが、ブームの終焉と共にバンドの人気にも陰りが見え始めます。
EW&Fにとって、時代の風に逆らい独自のダンス・ミュージックを貫きながら、最新テクノロジーの産物である電子楽器を先駆けて試みようとしていた時期でもありました。

1981年、EW&Fは11thアルバム『天空の女神(Raise!)』を発表。
先行シングル「レッツ・グルーヴ」はミリオンセラーに輝く堂々たる大ヒットを記録したものの、Billboard Hot 100では“5週連続3位”(1982年・年間33位)という悔いの残る結果に終わってしまいました。
何故ならこの時、上位には“10週連続No.1”に君臨する「フィジカル」(オリビア・ニュートン=ジョン/カテゴリ)と、“10週連続2位”を継続中の「ガール・ライク・ユー」(過去ログ)フォリナーが存在していたからです!
また、第24回グラミー賞でも本作品は“Best R&B Performance by a Duo or Group with Vocal”にノミネートされながら、受賞は逃しています。

一方、モーリスが作者、リード・ヴォーカル、プロデュースに寄与した「Let's Groove」は聴きどころがいっぱい!
まず何といってもキャッチーで楽しい楽曲、そしてダンス・ミュージックに不可欠な“ノリ”、看板であるホーン・セクションと新たなシンセサイザーの融合…
そして、特に“耳を惹く”のが冒頭からふんだんに使われている“ヴォコーダー”で、新生アースが目指す方向性が集約されています。
【vocoder】は[voice]と[coder]を合わせた名称であることが示すように、マイクを通して入力した人の声を機械的な声に合成するエフェクターの一種で、当時世界の注目を集めた日本のバンド“YMO”の「テクノポリス」や“スティクス”の「Mr.Roboto」なども有名ですね♪
また、「Let's Groove」は日本でも人気が高く、2013年にはラウンドワン(ボウリング)のCM曲に起用されたのをご記憶の方も多いでしょう。

 



~Lyrics~

Move yourself and glide like a 747
体を動かして、747みたいにグライドさせてごらん
loose yourself in the sky among the clouds in the heavens
心を解き放ち、天空の雲へと飛び込もう

【747】が[glide(滑空する)]といえば、やはり“ボーイング747型機”でしょうか…。
ボーイング747は1970年から世界中で運用されるアメリカ・ボーイング社製の超大型旅客機で、現在まで約半世紀に亘り生産され続けるロングセラー・モデルです。
また、【glide】はダンス用語でもあり、“滑るような優雅な動き、またはそのようなダンス”を指し表します。

PVでは[空]どころかEW&Fらしい[宇宙とピラミッド形]を背景に歌っていますが、さすがに当時の技術では人が自在に空を滑空する映像は無理だったか、メンバーの動きは“至って重力に従ったもの”です!? 
しかし“残像効果”をはじめとする当時のテクノロジーの粋を尽くした映像は見応えがあり、音楽との融合により並の映画以上に想像を膨らますミュージック・ビデオの魅力がいっぱい詰まった作品といえるでしょう。


You will find peace of mind on the floor
きっと、君はこのフロアで心の安らぎを見つける
Take a little time, come and see, you and me
もっと時を重ねよう…そしてまたここで会おう、君と僕

主人公が彼女に叶えてあげたかったものは、【peace of mind】?
二人はこのダンス・フロアで知り合い、彼は彼女をダンスに誘い、次はもっと関係を深めたいと願っている…
果たして、彼はチャンスを得ることができたのでしょうか…。


We can boogie on down, down, down, down
君とならブギを踊り続けることができる、力尽きるまで…

【boogie】は20世紀初頭にピアノの演奏スタイルの一つブギウギ(boogie-woogie)として派生し、そのリズムはギターなど様ざまな楽器に転用されジャズやブルース、カントリー、ロックへと融合されてゆきました。
心地よいリズム感があるためダンス・ミュージックとしても親しまれ、競技ダンスの一ジャンルにもなっており、[boogie]は“ロックに合わせて踊る”という意味もあります。

ブギはかなり速いテンポを刻むのでダンスとしては激しい運動量があり、これに同調している主人公のテンションの高さも想像できるでしょ? 

 



~Epilogue~

ところで、R&Bファンクを代表する“Earth, Wind & Fire”と、J-POPのポップ・アイコン“DREAMS COME TRUE”の共通点は何でしょう?
ちょっと漠然としているので、範囲を絞ってこうしましょう…

 「レッツ・グルーヴ」と「決戦は金曜日」の共通点は?

「決戦は金曜日」を作曲したドリカムの中村正人はモーリス・ホワイトを“僕の音楽の父(いや、神様)”と公言するほど彼を尊敬しており、本人談によると“「決戦は金曜日」は「Let's Groove」とシェリル・リンの「Got to be Real」っていう2曲の曲を合体させて作った”そうです!
彼の念願が叶って1994年にドリカムの「WHEREVER YOU ARE」のバックボーカルをモーリスが務めた際、彼は“私はあなたの作った音楽をさんざんパクって日本で今売れちゃってます。”と告白したそうで、するとモーリスは“それでいいんだ”と言って認めてくれたといいます。

イントロが同じ

ドリカムが日本歴代屈指のセールスを誇る成功者である事と、EW&Fが日本で人気が高いのには案外共通点があるようですね? 


さて、タイトルにもなっている【groove】は、元々は“細長い窪みや溝”を指す言葉ですがレコード盤の規則的な針溝が波形(うねり)をイメージさせることから、音楽用語としてはリズムやテンポが生み出す“ある種の高揚感やノリ”を表す言葉として用いられ、スラングとして“楽しく愉快なこと”という意味もあります。
【spice】は[薬味・香辛料]であり、“それが無くても食事の第一目的(栄養補給)は成立する”類いのものです。
しかしスパイスがあることで食欲を増したり、より風味を楽しむことができますよね?
そして、【the spice of life】…

人生に、【spice(趣)】【groove(楽しみ)】がなくても生きてゆけるのかもしれません。
でも、一人でいる時も、二人でいる時も、みんなでいる時もそれがそばにあったなら、より人生を味わい深いものにしてくれるはずです。
一日3回の食事でも、週に1回のデートでも、月に1回の“ムフフ”でも…? 

ドリカムやEW&Fの最大の魅力であり共通点は、“音楽を楽しむ心”なのだと思います。
特にEW&Fは音楽でも、PVでも、ステージのパフォーマンスでも観衆を楽しませることを第一に、そして演奏しながら踊るといったように彼ら自身もそれを楽しむことを決して忘れません。
それを身を以って教えてくれたのが、モーリス・ホワイトという人でした。



あなたは「Let's Groove」を聴いている時、どんな気持ちになりますか?
それこそが、私たちが日々を生きてゆく上で最も大切な感覚の一つであると、私は思います。
そのためには、あなた自身が日常の中に【spice】や【groove】を見つけ出すこと!
あとは…

Let's groove tonight
さぁ、グルーヴしよう
Share the spice of life
人生のスパイスを分かち合うのさ



「レッツ・グルーヴ」


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tags : 1981年 ダンス/Funk 名作MV CM曲 ドラマ 

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