I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「ライズ」ケイティ・ペリー

2016.07.29

category : Katy Perry

Katy Perry - Rise1 Katy Perry - Rise2


Katy Perry - Rise (2016年)



~リオ五輪・放送テーマ・ソング~

間もなく開幕するリオデジャネイロ・オリンピック。「Rise」はアメリカ“三大ネットワーク”TV局NBCの放送テーマ・ソングです♪
日本でもオリンピックとなると各放送局でテーマ・ソングを掲げ中継するスタイルが定着していますが、それはいつから始まったかご存知でしょうか…
NHKが最初にテーマ・ソングを掲げたのは1988年のソウル・オリンピック。
…では、誰の何という曲だったでしょう?(正解は、この曲

以来大黒摩季の「熱くなれ」、ゆず「栄光の架橋」、Mr.Children「GIFT」、いきものがかり「風が吹いている」など多くの名曲が生まれてきましたが、リオ大会でも各局は安室奈美恵や嵐、SMAP、EXILE、福山雅治、和楽器バンドなど何れ劣らぬビッグ・ネームを揃えています。
…まずは、当ブログお勧めの「Rise」のご紹介から♪



~概要~

ケイティ・ペリーは2016年7月1日現在、世界で最もTwitterでフォローされている(約9,008万人)アメリカの女性シンガー・ソングライターです。
2008年のメジャー・デビュー以来、マイケル・ジャクソンの『Bad』に並ぶ“1枚のアルバムから5曲連続No.1”を達成するなど現在のポップス界で際立った存在で、アメリカの経済誌『Forbes』によると2014年6月1日からの1年間で1億3,500万ドル(約164億5,400万円)を稼いで“この1年間で最も報酬を得た女性ミュージシャン”に認定されています(2位はテイラー・スウィフトの8,000万ドル)。

今回「ライズ」はNBCのオリンピック・テーマに起用されていますがこれは事前の依頼を受けて創作されたものではなく、この数年来ケイティの中で温め続けられてきたものが基になっている作品です。
シングルはこの7/14にiTunesなどを通しデジタル配信され、翌15日に[KatyPerryVEVO]がオリンピックとタイアップしたPVをYoutube上で公開しました(…が、日本では7/30から視聴できなくなっており、[Vevo USA]ver.が視聴可)。
一方、ケイティ出演による「Rise」オリジナルのMVも制作されているようですが、オリンピックのプロモを優先させるためか8/1時点では部分的に編集した映像だけが公開されています。
ちなみに“リオ五輪・公式テーマ・ソング”はブラジルらしいサンバにラップを取り入れたThiaguinho and Projotaの「Alma e Coração」で、“魂と心”をテーマとした元気ソングです♪

ケイティにとって「Rise」は2014年夏の「This Is How We Do」以来約2年ぶりのシングルであり、リリースされたばかりでチャートは途中経過になりますが8/6付でBillboard Hot 100 初登場11位を記録しています。
この数字は彼女にとって3番目に高い位置でのチャート・インであるそうなので、記念すべき10曲目のNo.1に輝くのも時間の問題でしょう。


これまでケイティというと女の子向けのラブ・ソングを歌うイメージがありましたが、「Rise」はそのスタイルに従わず荘厳な歌詞の世界観が織り込まれており、31歳となった彼女の内面の変化を窺わせる作品でもあります。
また、昨年秋ケイティは米大統領選への出馬を表明したヒラリー・クリントンへの全力支持を宣言しており、今年7/28の民主党全国大会にはヒラリーの応援に駆けつけ(この大会にはレディー・ガガも出演)、リリースしたばかりの「Rise」を生披露しました。

ケイティの両親は筋金入りの共和党員だそうで、それにも係わらず対立候補を応援するというのはどんな背景があったのでしょう? ケイティの言葉…
(私たちの社会は)すごく大きな変化が起きようとしています。これは、この10年でもっとも大切な選挙です。

この言葉こそ現在の彼女を動かしている理由があり、「Rise」に込められた想いでもあるのです…。


 
 



~Lyrics~

Can't write my story
誰も、私の筋書きを描けはしない
I'm beyond the archetype
アーキタイプを越えた彼方にこそ、私があるのだから

主人公は、【archetype(典型)】や【conform(〔規則・習俗に〕従う)】といった類いの価値観を明らかに否定しています。
私たちが一般社会で生きてゆくためにこれらの習得は必須ですが“人並み”に過ぎず、世界一を目指すアスリートにとってそれでは全く勝負にならないことでしょう。

スピード・スケートで世界記録を連発し長野オリンピックで金メダルも獲得した清水宏保選手は、身長162cmで喘息持ちだったため人からは“スポーツなんて無理”と言われ続けましたが、“非常識と言われたことでも、結果を出せば常識に変わる。自分で限界を作らなければ潜在能力はいくらでも開発できる”と、努力を重ねたそうです。
常識からは、奇跡は生まれない…。


Oh, ye of so little faith
己を信ずる心の揺らぎしものよ
Don't doubt it, don't doubt it
汝、疑う勿(なか)れ

何気なく使われている【ye】が、重要なヒントを教えてくれています。
【ye】は[you]の古語表現で、聖書や修辞的な文でよく見られる言葉です。
 何だかエラそうでニガテだな、こういう輩…?  …なんですって!? 

ケイティは牧師の娘であり、自身もキリスト教系の学校に通った経歴があるので、こうした感覚は身近なものでしょう。
2番の歌詞で[So I call on my angels. They say...]の後に続いていることから、これは“天使の言葉”なのかもしれません。(…エヘヘ♪ 


When you think the final nail is in
あなたの脳裏に“最後の爪の時”が過(よぎ)ろうと
Think again
すぐに、それを思い改めるであろう

日本で[ネイル]というと“おしゃれな爪”のイメージですが、ここでの【the final nail】は“とどめを刺す・命取り”といった意味でしょう。
何行か上に[ハゲワシ]が登場しているので、“ハゲワシが狙いを定めた獲物に鋭い爪を立てトドメを刺す”場面が自然に浮かんできました。

…でもスポーツは、“もう勝負は見えた”という状況を覆して逆転することって結構あるものです。
特に格闘技系は、それまで積み上げたポイントを無視して“一発KO”があるので、しばしば大逆転劇を生みます。



~Epilogue~

I will transform
ライダぁー変身!  著しい曲解が含まれます)

当たり前ですが、改造人間である[仮面ライダー]はオリンピックには参加できません! 
でも、誰にも知られず超人的な能力を手に入れられるとしたら、あなたはどうしますか?
金メダルを得ると別人のように人々から賞賛され、夢のような多額の金銭や仕事が舞い込んでくると想定できる状況下に於いて…。

世界最大のスポーツの祭典『Olympic Games』が人々に広く愛されている大きな理由の一つは、“公平”
世界各地から様々な国籍や人種・文化・宗教など異なる選手が集まるわけですから、それらによって差別されることがないのはもちろん、競技者らが心置きなく力と技を競うために不可欠な条件こそ、“公平”です。
近年、オリンピックの“見せ物(商品)”としての価値がどんなに高騰しようと、“ルールを逸脱した変身(ドーピング)”は観客・スポンサーの最も嫌う要素であり、彼らの信頼を失えば忽(たちま)ちにでも『Olympic Games』そのものの存在価値は根底から瓦解するものであることを、IOCは自覚するべきでしょう。


もう一つオリンピックの存在価値に不可欠な要素が、“平和”
…平和で、安全でなければスポーツ・イベントどころではありません。
実は、ケイティ・ペリーが「Rise」に込めた真の願いこそ“平和”であり、テロや銃乱射事件が世界で頻発している最中にオリンピックを迎えねばならない今だからこそ、この曲をリリースしたいと思ったそうです。
ケイティの言葉…

次のアルバムのために取っておくのではなく、いま完成すべきだと思いました。
何故ならこれまで以上に、世界は一つになる必要があるのだから。
私たちの心が一つになれば、国籍を越えて世界中が恐怖に打ち勝つことができる。
強さと勇気を兼ね備えたオリンピック選手たち以上に、その良いお手本はありません。
” (要約編集)

ケイティのようなタイプの歌手が積極的に政治活動に関与したり、それまでと全く異なる作風を創作するというのは、それだけ差し迫った“危機感”があったからと察せられます。
強者が弱者から全ての権益を奪い、その不公平が弱者の怒りと憎しみを生み、テロや暴発を育む。
両者の思想と行動はより敵対に傾き、差別と憎しみはさらに増幅、そして争いは果てしなく拡がっている現実

まさに国籍や人種・文化・宗教、貧富に発する対立です。

オリンピックは熾烈な【競争】を繰り広げる舞台でありながらそれを遺恨とはせず、“争いを平和裏に帰結させ、友好へと変える知恵”があります。”
…そんなオリンピックも1908年の第3回ロンドン大会中にイギリスとアメリカ選手団の間で諍いが生じ、米ペンシルベニア大主教がアメリカ選手団を戒めたことで鎮静し、その時の言葉がクーベルタン男爵を介してオリンピックの理念として掲げられるようになったのが有名な“オリンピックは参加することに意義がある”でした。
そして、言葉はこう続けられています…

人生において重要なことは、成功することではなく、努力することである。
根本的なことは、征服したかどうかにあるのではなく、よく戦ったかどうかにある。


世界一流の美技や各国のメダル争いは大きな楽しみではありますが、今だからこそ“その訓え”を心に刻みたいものです。



「ライズ」


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tags : 2016年 負けない心 オリンピック 

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