ビリー・オーシャンはカリブ海にある小さな島国トリニダード・トバゴ(イギリス連邦)に生まれ8歳で渡英、1971年にLes Charles名義(本名)で歌手デビューしました。 1976年に名をBilly Oceanと改め、同年「Love Really Hurts Without You」を全英2位に付けるなどヒットを飛ばしますが勢いは長くは続きませんでした。
1984年、5thアルバム『Suddenly』からアメリカでもTop5ヒットを3連発し、すっかり人気者になったビリーに舞い込んだ次の仕事はマイケル・ダグラス&キャスリーン・ターナー主演の大ヒット映画『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』の続編『ナイルの宝石(The Jewel of the Nile)』の主題歌でした。 映画の公開に先行し1985年11月にリリースされた「ゲット・タフ」は翌年にかけて大ヒット、Billboard Hot 100の2位(1986年の年間31位)を記録しています。 イギリスではビリーにとって初の全英No.1に輝いた記念すべき作品であり、1999年にはアイルランドの人気男性グループのボーイゾーン (Boyzone) によってカバーされ、再び全英No.1を獲得しました。
I'm gonna make you stand and deliver 君を立ち止まらせ、想いを告げよう And give me love in the old-fashion way そして君は、“古典的な方法”で僕に愛を授ける…
【stand and deliver】には、強盗の決まり文句“止まれ! あり金を全部置いて行け”のような使い方がありますが、ここはそんな場面じゃありませんよね? 【deliver】は2行上の【river】と韻を踏むため用いたと思われるものの解釈に困る言葉であり、ここでは“〔考えなどを〕口に出して言う”を適用しました。
原題に掲げられている「When the Going Gets Tough, the Tough Get Going」は一般に “状況が厳しくなったとき、強者たちが動き出す”といった意味として英語圏でよく用いられることわざです。 ただし【tough】は“悪党・容赦がなく残忍な人”として用いられたりもするので、必ずしも良い意味ばかりで使われるとは限らないかもしれません。 フレーズの起源は、アメリカ第35代大統領ジョン・F・ケネディの父で投資家/政治家のジョセフ・P・ケネディの言葉とも、アメリカン・フットボールの名指導者クヌート・ロックニーの言葉ともいわれます。