I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「9 To 5 (モーニング・トレイン)」シーナ・イーストン

2019.03.09

category : Sheena Easton

Sheena Easton - 9 to 5 (Morning Train) (1980年)



~概要~

シーナ・イーストンは1980年2月にレコード・デビューした、イギリスの女性歌手です。
デビュー・シングル「Modern Girl」が全英56位と結果を出せぬまま、同年5月16日にリリースされたのが2ndシングル「9 To 5」でした。

同年夏、シーナに転機が訪れます。
イギリスBBCのドキュメンタリー番組『The Big Time』で、ポップ・スターを目指すシーナの日々を追った『Sheena Easton - Pop Singer』が7月2日に放送され、反響を呼んだのです。
これはレコード・セールスに絶大な影響を及ぼし、「9 To 5」は全英3位(年間9位)の大ヒットを記録しました。
この成功によってポップ・スターとして本格的な活動を展開することとなり、翌1981年1月18日に「Modern Girl」と「9 To 5」を核とした1stアルバム『モダンガール(Take My Time)』を発表しています。

一連の出来事はシーナに国境と海を越えさせるに十分なインパクトであり、タイトルを「9 to 5 (Morning Train)」と変更しながらも(後述)1981年2月にアメリカで初めてシングルがリースされ、5月にBillboard Hot 100でNo.1(2週/年間12位)に輝きました。
勢いはこれに止まらず、『US Cash Box』やオーストラリア、カナダ、ニュージーランドでのNo.1をはじめ世界各国で大成功を収め、第24回グラミーでは【最優秀新人賞】も受賞しています。

その波は日本にも及んでおり、1981年6月第1週付よりオリコン週間シングル・チャート(洋楽部門)で2週連続No.1に輝いています。
2008年には、キャメロン・ディアスを起用したソフトバンクの携帯電話CMシリーズに起用され、着うた配信サイト『レコ直 TV・CM・シネマ』のランキングで7位を記録するなど再び脚光を浴びました。


 



~夢の世界と現実とを繋ぐ“train”~

本作は「9 to 5 (Morning Train)」というタイトルで広く知られていますが、オリジナルは「9 To 5」でした。
1980年5月にイギリスで発表された時は「9 To 5」だったものの、アメリカで発売された1981年2月は奇しくもドリー・パートンの「9 To 5」(同名異曲)が全米No.1に輝く大ヒットを遂げていた時期であり、それと混同しないようシーナの側が配慮したことによります。
ただ、歌詞的にみると「9 To 5」も「Morning Train」も彼女にとってさほど重要なテーマではなく、本当に言いたいのは【My baby】についてであることは疑いありませんネ? 

My baby takes the morning train
愛しいあの人は朝の電車で出掛け
He works from nine to five and then
9時から5時まで働いて

一方、PVのテーマは「Morning Train」と言ってよいでしょう。
…といっても、現代では滅多に目にすることのない列車【蒸気機関車(Steam Locomotive)】で、ここに登場するのは1885年に製造された【LSWR 415 class】(No 488)という車両です《写真・左》。
撮影されたのはイングランド南東部、イースト・サセックス州を走る全長17.7 kmの【ブルーベル鉄道(The Bluebell Railway)】という廃線になった路線を復活させて汽車を走らせる保存鉄道ですが、国や自治体によるものではなく、鉄道好きの人たちがお金を出し合って買取り、彼らがボランティアで働いて運営している鉄道だそうです。

やっぱり自然や緑の中を走るのはこういうレトロな列車が旅情を誘うなぁと眺めていると…
更に心を惹いたのが、終点【シェフィールド・パーク駅】《写真・右》!

Sheena Easton - 9 to 5 1

まるでハリーポッターの世界? 



~Epilogue~

“シンデレラ・ガール”誕生から39年…
シーナ・イーストンが、間もなく来日いたします。

シーナは当時20-21歳でしたが、「9 To 5」は“彼の留守中も彼を心に描き”、“帰ったら二人で一晩中楽しむ”…といった女の子らしい微笑ましい物語である一方、よく考えたら“彼女は同棲か結婚してる?”みたいにも受け取れます。
しかし実際、シーナは1979年に結婚しており、【Easton】はその夫の姓でした。
ただ、二人は8ヵ月で離婚したといいますから、本曲発表時彼女が[Miss or Mrs.]どちらだったかは詳しい時系列がないのでわかりません。

もう一つ興味深いのは、デビュー曲「Modern Girl」と2nd「9 To 5」の描く女性像が真逆なことで、当時「Modern Girl」に共感してレコードを買った人は、続く「9 To 5」の保守的な女性像に相当戸惑いを覚えたことでしょう。
恐らく斬新な「Modern Girl」が予想外に売れなかったので正反対の選曲をしたと想像するのですが、「9 To 5」がアメリカでヒットした年はオリビア・ニュートン=ジョンが大胆なレオタードに身を包んだ「Physical」や、ジェーン・フォンダのフィットネス『Jane Fonda's Workout』が社会現象化し、女性の権利を訴えたドリー・パートンの「9 To 5」も大ヒットした時流であり、むしろそんな逆風の中でよくヒットしたとも思えます。

でもどんなに時が移ろうと、人が幸せを得るために大事なものは変わらない気がします。
まずは、健康であること。
そして、次に大事なもの…

All day I think of him
一日中彼を想い
dreamin' of him constantly
ずっと夢に描いていること



「9 To 5 (モーニング・トレイン)」


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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

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「ラヴァー・イン・ミー」シーナ・イーストン

2016.10.14

category : Sheena Easton

Sheena Easton - The Lover In Me1 Sheena Easton - The Lover In Me2


Sheena Easton - The Lover In Me (1988年)



~ベストヒット80's/シーナ・イーストン&ジョディ・ワトリー~

1980年代洋楽のヒット・ナンバーを東京フィルハーモニー交響楽団が演奏する『ベストヒット80's ミーツ シンフォニー』が10月28・29日に東京ドームシティホールで開催予定ですが、このイベントには80年代を代表する歌姫シーナ・イーストン&ジョディ・ワトリーのゲスト出演が決まっているそうです。
さらに、“ベストヒット80's”といえば洋楽ファンは連想するであろう『ベスト・ヒットUSA』ナビゲーターの小林克也も参加することになっていて、詳細はご本人が“懐かしいあの名調子”で紹介してくれています。

ジョディ・ワトリーといえば歌・容姿ともに当時を代表するセクシー・アイコンの一人ですが、一方これに対抗するシーナ・イーストンのお色気路線といえば、やはり「The Lover In Me」でしょう。
シーナの色っぽい“ムフフ”なPVもご用意してありますので、どうぞお楽しみに♪





~概要~

「ラヴァー・イン・ミー」は1988年の9thアルバム『ラヴァー・イン・ミー(The Lover in Me)』からの1stシングルで、Billboard Hot 100で2位(1989年の年間41位)を記録した作品です。
シーナにとって1984年の「Sugar Walls」以来約5年ぶりのTop10ヒットですが、ゲスト参加としては1987年にプリンスとの「U Got the Look」の2位もありました(「Sugar Walls」もプリンスの楽曲)。

1980年にデビューしたシーナは80年代前半は正統派のポップ・シンガーというイメージがありましたが、80年代半ばから“ファンク王子”と共演していることからも分かる通りブラック・ミュージックへのアプローチを試みており、彼女にとって転換期でもありました。
“シンデレラ・ガール”として一躍話題を集めたシーナも、“MTVの申し子”マドンナの出現によって衆目を奪われ、80年代半ばはジャネット・ジャクソン、80年代後半頃はポーラ・アブドゥルといった、何れもセクシーさとダンスを持ち味とした女性シンガーが際立った活躍をみせていた時流から、彼女もそのスタイルを意識せずにはいられなかったことでしょう。
プリンスとの共同関係は『The Lover in Me』でも継続されており、殿下はこのアルバムでシーナのために2曲を提供しています。

しかし80年代後半頃プリンス以上にアメリカのダンス・シーンに影響を与えていたのはボビー・ブラウンやペブルス、キャリン・ホワイトらを次々にスターへと導いていたL.A.リード&ベイビーフェイスで、「ラヴァー・イン・ミー」は彼らによる楽曲・プロデュース作品でした。
そのため「The Lover In Me」はそれまで以上に“黒っぽい強烈なダンス・ビート”をフィーチャーし、オーソドックスな楽器と最新の機材を巧みに融合させ洗練されたサウンドが創り上げられており、シーナ自身も“水を得た魚”のように生き生きと艶っぽい歌声とオーラで魅せてくれています。

 



~Lyrics~

Talk about the love you're missing
アナタがフラれたって噂
Maybe then it's true
…たぶん、それは本当でしょう

…別にそれを意識して選曲したわけではないのですが、見事に前回の「ダウンタウン・トレイン」からストーリーが繋がるでしょ!?
「Downtown Train」は一人の男性が、想いを寄せる女性と“Downtown Trainで会いたい”と願いを込めた作品であり、“もしも会えなかったら?”を想像したとき、色っぽい小悪魔がこんな風に彼に囁き掛ける場面が浮かんできたのです…。
でもシーナにPVのように色っぽく囁き掛けられたら、アナタならどうします?

 …やっぱ女のコは、小悪魔に限るよね♪


When they say love is blind
他人は、それを“恋は盲目”で片づけてしまうけれど
I can help you if you listen
アナタが耳を傾けてくれるなら、ワタシが苦しみから救ってあげる

ここは【they】を[彼ら]ではなく、“他人”とすることに拘りました。
だって“それ”は他人事だと冷静でいられますが、“自分のこと”だと誰だって迷子になってしまうものでしょ?
でも彼女の気持ちはアソビなんかじゃなく、その愛は“生涯保証つき”というのですから安心です!

 …アレっ? でもそう言うシーナ本人は確か××××じゃなかったっけ??



~Epilogue~

「ラヴァー・イン・ミー」は前回「Downtown Train」の難解さに比べ、全体にヒネリのない素直な歌詞といえます。
ただしテーマに掲げられる【The Lover In Me】は一見平易な単語ばかり並んでいるようにみえて意外と厄介で、素直に“私の中の恋人”と訳しても何だか意味がはっきりしません…。


If you talk about good loving
もしも素敵な恋を語るなら
Let's talk about the lover in me
ワタシという恋人だけ


実際の文脈上から判断するとここでの【the lover =私】なのに、その後【in me】を重ねて“くどい表現”をするからややこしくなるのですが、タイトルにもなっているくらいなので“それこそが重要なメッセージ”であるはずです。
人は、重要な事柄ほど念を押すように何度も確認したがるものであり、女性の“愛してる?”もそうした気持ちの表れなのでしょう。
とりわけ歌詞に登場するお相手は“ほかの誰かを探しに街中を駆け回る”人らしいので、彼女が【the lover in me!】【in me!】【in me!】と何度もアピールするのも無理からぬことにも思えます。

アナタの何気ない日常の中にも、相手のホンネを代弁する重要な一言が隠されている

…かも? 
(“くどい表現”にはお気をつけあれ…)



「ラヴァー・イン・ミー」


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tags : 1988年 ダンス/Funk 女の恋 LA/ベイビーフェイス 

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