Cream - White Room (1968年)~ジャック・ブルース死去~ エリック・クラプトンが1960年代に在籍し、実働僅か2年で伝説となったロック・バンド“Cream”の元ベーシスト兼ヴォーカリストのジャック・ブルースが、10月25日に亡くなりました(肝疾患と思われる/享年71)。
ジャックはロック界を代表するベーシストとして同世代・後進を問わず多大な影響を与え、彼の死を悼んだリンゴ・スターやトニー・アイオミ(ブラック・サバス)、フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)ほか多くのコメントが寄せられたそうです。
盟友である
エリック・クラプトン からは、“
彼は素晴らしいミュージシャンで作曲家だった。そして、僕にとってとてつもなく大きなインスピレーションだった。 ”のメッセージと共に、エリック自身のアコースティック・ギターによる
「For Jack」 という追悼曲が捧げられています。
Jack Bruce(1943-2014) ブラウザの環境(IE?)によって「For Jack」の再生画面が正しく表示されない場合は
直接
オフィシャル・サイト でお聴きください。
~概要~ クリームは1966年に“The Graham Bond Organisation”のジンジャー・ベイカー(dr)が、当時早くも“CLAPTON IS GOD”と形容される存在となっていたエリック(g/vo)を新しいバンドに誘い、彼の“ジャック・ブルース(b/vo)を加えるなら”という条件の下に結成され、同年1stアルバム『Fresh Cream』でデビューしました。
1968年7月、3rdアルバム
『クリームの素晴らしき世界(Wheels of Fire)』 がリリースされますが、それとほぼ同時期に“バンドの解散(の意向)”という悲しい知らせが発表されてしまいます。
同年9月、「ホワイト・ルーム」はアルバムからの1stシングルとしてカットされ
Billboard Hot 100で6位(年間69位) を記録するものの、まさにその光の陰でクリーム最後のライブ(1968年11月26日のロイヤル・アルバート・ホール)が遂行され、バンドは実働2年という短い歴史の幕を下ろしました。
「ホワイト・ルーム」の作者は作曲がジャック・ブルース/作詞が詩人ピート・ブラウンで、もう1つの代表曲「Sunshine of Your Love」もこの二人のコンビによるものです。
「ホワイト・ルーム」…というか、クリーム・サウンドの特徴の一つであるギター音の独特な歪みは“
ワウペダル (Wah-wah pedal) ”というペダルを足で操作するエフェクターを用いたもので、当時のジミ・ヘンドリックスの影響を受けています。
オリジナルのリード・ヴォーカルはブルース ですが、1985年の
“LIVE AID” 以降エリックも「ホワイト・ルーム」をステージで歌っているので、この曲を(露出の多い)エリックの作品と思っている方も少なくないのではないでしょうか?
VIDEO Eric Clapton (Live Aid 1985) 2005年にクリームが再結成 されたロイヤル・アルバート・ホールのステージでは、ジャックとエリックが分け合うカタチで歌われました。
Cream (Royal Albert Hall 2005) ~Lyrics~ In the white room with black curtains near the station. “その駅”の近くにある、黒のカーテンに閉ざされた白い部屋 Black-roof country, no gold pavements, tired starlings. 黒い屋根で覆われた国…黄金の舗道も無く、疲れたムクドリが佇む この作品は抽象的で、論理的な成文というより何かを暗示する言葉を羅列して構成されています。
“その駅”、“黒カーテンの白い部屋”、“黒屋根の国”、“黄金の舗道が無い”、“疲れたムクドリたち”…
何を意味するか、あなたもご一緒に想像してみでくださいネ?
Silver horses run down moonbeams in your dark eyes. 銀色の馬が月光を駆け下り、お前の黒い瞳に宿る Dawn-light smiles on you leaving, my contentment. 暁陽が微笑み、俺を満たしお前は去りゆく この作品は独特な言葉遣いが多いので、私も言葉を創ってみました!
暁 (あかつき)の
陽 (ひ)と書いて、“
ぎょうよう ”。
早速辞書を2,3当たってみると該当せず、どうやら“新語”っぽい♪
ところが、ネットを検索してみると“先客”が…!?
【暁陽】は“人名”として用いられることがあるようで、【あきひと】という呼び方もありました。
それ以外にも、最近は【暁陽=あきひ・あけひ】と読ませる人もいるようで…
でもコレって、男の子? 女の子?
I walked into such a sad time あぁ、これ程まで悲しい時間の渦に足を踏み入れてしまった at the station .
“その駅”で… この物語に於いて、“
the station ”はとても大切な意味を持っていると思われます。
一般的にも“駅”は人と人との出会いの場であり、別れの場。
主人公にとっても、それが当てはまるかもしれません。
“
walked intoが悲しみのはじまり ”だとしたら、二人の間に何があったのでしょう…。
~Epilogue~ あなたはこの歌に、どんな物語を想像しましたか?
何せロックだし彼ら自身が“曰く付きな人達”なので、ロックの世界にどっぷり浸っている人ほど“
これは麻薬を示唆した歌で、駅は主人公とヤクの売人と接点 ”…といった連想を働かせるかもしれません。
確かにそれでも筋が通るし、私が意味を理解できなかった3番の歌詞(At the party… )の不可解さも説明が可能でしょう。
どんなストーリーを描くかは、あなたの心に全て託されています…。
I'll wait in the queue when the trains come back; 俺は待つ…列に並び、列車の帰りを Lie with you where the shadows run from themselves. お前の幻影を抱き…影さえ逃れんとする暗闇の中 私が描いたのは、“倫ならぬ恋”…
あるいは、“コール・ガールとの恋”なのかもしれません。
相手の女性は割り切って付き合っているのに対し、主人公は“自分だけのものにする”ことを強く望んでいます。
二人の現在が交わるのが“駅”や“黒カーテンの白い部屋”・“黒屋根の国”と秘密めいており、これらの場所は実在というより彼の心象風景なのかもしれません。
二人が描く未来は一致しておらず、だからこそ彼らの世界には“黄金の舗道(=希望?)”が存在しない。
彼は、孤独な暗黒の中で一人待ち続けることでしょう。
いつか“列車”が帰って来ることを信じ、いつまでも、いつまででも。
それがきっと、彼女に“
walked into ”してしまった彼の生きる意味…。
「ホワイト・ルーム」 Writer(s):Jack Bruce, Pete Brown /訳:Beat Wolf “その駅”の近くにある、黒のカーテンに閉ざされた白い部屋 黒い屋根で覆われた国…黄金の舗道も無く、疲れたムクドリが佇む 銀色の馬が月光を駆け下り、お前の黒い瞳に宿る 暁陽が微笑み、俺を満たしお前は去りゆく 俺は待つ…太陽の決して輝くことのない、この場所で ここで待つ…影さえ逃れんとするこの暗闇の中 お前は言った…“その駅”にお前を繋ぎ止める弦など無い、と 駅の入場券…休みなく駆動するディーゼル…別れの車窓… あぁ、これ程まで悲しい時間の渦に足を踏み入れてしまった “その駅”で… 立ち去る刹那から、湧き上がる新たな情動を抑え切れぬほど 俺は待つ…列に並び、列車の帰りを お前の幻影を抱き…影さえ逃れんとする暗闇の中 パーティの人混み…彼女は親切だった 古傷にとって救いは、今はそれも癒えたこと 黄色い虎がジャングルに身を屈め、彼女の黒い瞳に宿る 身支度を整える女…別れの車窓…疲れたムクドリ… 俺は眠る…孤独な群れと共に、この場所で 影さえ逃れんとする、暗闇に横たわり…最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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