The Beatles - Paperback Writer (1966年)~ジョン・レノンのギターがオークションに出品!~ ジョン・レノンがビートルズの「ペイパーバック・ライター」のレコーディングで使用したギター “グレッチ6120(Gretsch 6120)” がTracksAuction.comに出品され、巷では“100万ドルの値がつく”と話題になっていましたが…。
そもそもこのギターは1967年11月頃ジョンが従兄弟のデヴィッド・バーチ氏に譲ったもので、その彼により今回出品されました。
オークションは今年11月23日に行われ、最低落札価格40万ポンド(約7300万円)に対する入札は無く、不調に終わってしまったようです。
ちなみにギターの高額落札といえば、
エリック・クラプトン が
『いとしのレイラ』 などでプレイしたフェンダー・ストラトキャスター
“ブラウニー(Brownie)” は49万7,500ドル(1999年)、同
「ワンダフル・トゥナイト」 など1970年代に活躍したストラトキャスター
“ブラッキー (Blackie) ” は95万9,500ドル(2004年)でした。
何れも“ギターの神様”の伝説を語る上で欠かすことのできない逸品であるのに対し、今回のジョンの“グレッチ”は…?
ファンの方はご存知のように、
ジョンを象徴するギター といえば
“リッケンバッカー(Rickenbacker 325)” であり、
エピフォン・カジノ や
ギブソン・J-160E が有名ですよね♪
でもジョンがグレッチを使用したのは「ペイパーバック・ライター」などごく限られており、ほとんど印象にありません。
むしろ
グレッチ というと思い当たるのは、
“ジョージ・ハリスン愛用のブランド” です。
出品者もいきなり40万ポンド~なんて、ちょっと欲張り過ぎたのかな…?
John Lennon Gretsch Guitar ~概要~ 「ペイパーバック・ライター」は1966年6月10日(アメリカは5月30日)にリリースされたビートルズ12枚目のオリジナル・シングル(B面は「レイン」)で、同年発売のコンピレーション・アルバム
『オールディーズ(A Collection Of Beatles' Oldies)』 に収録されました。
ポール・マッカートニーがおばさんに“ラブ・ソングじゃない歌”をリクエストされ書いた作品で、リード・ヴォーカルもポール(コーラスはポール/ジョン/ジョージ)ですが、“ジョンは詞の一部を手伝った”(別項で言及あり
)と言っています。
US Billboard Hot 100で は発売3週目という驚異的なスピードで通算12枚目のNo.1を達成するものの直ぐにフランク・シナトラの「夜のストレンジャー」に首位を奪われ、そして次週また奪い返すというデッドヒートを演じ計
2週No.1(年間32位/英MM4週連続・NME2週No.1) に輝き、ミリオン・セラーを記録しました。
当時ビートルズはまだライブ・ツアーを行っていましたが彼らの興味は既に“サウンド追求”に移っており、新たな試みが施されています。
ウィルソン・ピケットに影響されたジョンの発案で初めて
ラウド・スピーカーが導入 され、低音部が鮮明となったことでベースらしからぬヘヴィーな
ポールのプレイがビートルズ・サウンドに於いて存在感 を増しました。
こうした演奏面でのポールの飛躍を可能にしたもう一つの要因が
“ライブ再現を前提としないオーバー・ダビング(多重録音)による音作り” で、ここでは楽器だけでなく3人のコーラスも3回ダビングが重ねられたそうです。
しかしそうした丹念に作り込まれた音がライブ再現できるはずもなく、直後のツアーでは「ペイパーバック・ライター」などレコードとライブのクオリティ・ギャップに頭を悩ませることになります…。
ただ、ビートルズは程なくツアーを止めてしまうのでこの時期の
日本武道館公演での“カラー・ライブ映像” (左)はとても貴重であり、
これを模したCG映像 (右)もポールやリンゴの動き、ポールの表情やジョンの口の動きに、ファンは思わずニヤリ…とする出来なので見比べながらお楽しみください。
The Beatles "Paperback Writer" 投稿者 orz-yakiniku-orz また、「ペイパーバック・ライター」はテレビ番組向けの
プロモーション目的で制作された初めてのシングル曲フィルム として有名で、世界各局のためにモノクロとカラー4バージョンの映像があります。
このうち、今回メインに取り上げたカラー映像はロンドン郊外にある1720年代後半に建てられた英国式風景庭園“チズウィック・ハウス(Chiswick House)”で撮影されたもので、この時ポールは直前にバイク事故で前歯を折ってしまっていたそうです!
The Beatles - Paperback Writer/Rain 投稿者 newcanadian ~Lyrics~ Paperback writer... 【
paperback 】は皮や布などを用いない“紙表紙”のことで、“ソフトカバー”とも言い表されます。
洋書はカバーを被せない雑誌感覚の本も多く(日本では“コンビニコミック”によく見られる)、“主人公は決して高尚な作家を志しているわけではない”…ということになります。
ところでこの、
“作家志望”は音楽にのめり込む以前のポールの夢 でもあったそうですよ!
It took me years to write, will you take a look? 積年費やした作品をぜひ一度、ご拝読いただけませんでしょうか? It's based on a novel by a man named Lear リアの作風を取り入れた小説です 「オール・マイ・ラヴィング」 や「P.S.アイ・ラヴ・ユー」に類する、
ポールお得意の(?)“手紙ネタ” ♪
【
Lear 】とは19世紀のイギリスの画家/ナンセンス詩人
“エドワード・リア(Edward Lear)” のことですが、“ポールとナンセンス”なんて、全く結びつきませんね?
“画家/ナンセンス/詩人”のイメージがピッタリくるのはむしろ
ジョン の方で、実際彼は
大のリア・ファン !
リアの描いた絵を見るとジョンのスケッチの作風とそっくりで、リアから受けた影響が窺えます。
ジョンがこの詞に関与したとすれば、きっとこの部分でしょう…。
If you really like it you can have the rights もし本当にお気に召していただけたなら、あなたも作品の権利を手にできます It could make a million for you overnight きっと、一夜に100万の富をもたらすことでしょう “自分の力量をアピール”して興味を引き、“要望に応じる”柔軟さを示し、最後は“あなたもお金持ちに!”と畳み掛ける…
きっと、ポールはやり手の営業マンになれたでしょう!
でも実際は、デビュー前からブライアン・エプスタインという有能なマネージャーが付いていたし、若くから有名人で自己アピールしなくても“ポールが何者か”などみんな知っているので、その才能が発揮される機会はあまり無いかもしれませんね?
~Epilogue~ And I need a job, so I want to be a paperback writer 私には仕事が必要で、どうしても大衆作家になりたいのです この歌は、作家志望の主人公が“然るべき筋”に自分を売り込む歌。
みなさんは、“売り込み”が得意ですか?
・・・私は、苦手です。(笑)
ここに、
“有望な4人の若者” がいます。
あなたが編集長なら、誰を選びますか?
《
J.L. さん》
“
オレみたいな人間は自分の中に眠っている、いわゆる才能ってやつに10歳…いや、もう8・9歳で気づくものなんだ。何で誰もこの才能を認めてくれないのかと、いつも不思議だったね…。 ”
《
P.M. さん》
“
努力することより、しないことの方が難しいよ。自分の中の最高の、さらにその上を僕は目指す。 ”
《
G.H. さん》
“
要するに、ぼくたち一人一人では、それほど大したミュージシャンではないし、それほど才能があるわけでもない。でも、僕たちが集まってビートルズになれば、一人の時では信じられないようなミュージシャンになれるんだ。 ”
《
R.S. さん》
“
ドラムしかできないからドラマーになったんだ。だけど他のドラマーの音を聴く度に、僕はヘタなんだなと思う。技術的なことは上手くないんだ。でも、僕はどんな動きでも上手にできるよ。たとえば、頭を揺らすとか? ”
…4人とも、魅力的な若者でしょ!?
「ペイパーバック・ライター」 VIDEO Writer(s):Lennon-McCartney /訳:Beat Wolf Paperback Writer… 拝啓…私の本をご拝読いただけませんでしょうか? 積年費やした作品を、ぜひ一度 リアの作風を取り入れた小説です 私には仕事が必要で、どうしても大衆作家になりたいのです ペイパーバック・ライターに 不浄な男の倫ならぬ物語で 彼にべた惚れの妻は、そんなことなど露知らず 息子はデイリー・メールに勤め 安定した仕事ですが、本望は大衆作家になること ペイパーバック・ライターに Paperback writer… おおよそ千ページ程の文量ですが 1・2週間で、もっと書いてご覧に入れましょう お望みならば、更に長編にもできますし 内容変更も厭いません、とにかく大衆作家になりたいのです ペイパーバック・ライターに もし本当にお気に召していただけたなら、あなたも作品の権利を手にできます きっと、一夜に100万の富をもたらすことでしょう もしお気に召さず送り返すなら、お手数ですが…こちらまで でも私にはきっかけが必要で、どうしても大衆作家になりたいのです ペイパーバック・ライターに Paperback writer…最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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1966年 サイケデリック 物語 ビートルズ(その他)
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