Heart - All I Wanna Do Is Make Love To You (1990年)雨の夜、あなたは私の目の前に現れた 傘もコートもなしに、道端に立ち尽くし… これは、前回
「雨に唄えば」 の映像に感じ入った私が詠んだ詩…
…では、ありません!
実は、今回のテーマ曲「愛していたい」の冒頭部分です。
…ということで、今回も“雨の中、ずぶ濡れで立つ男”の登場により物語が展開して参ります。
前回のように、お巡りさんに睨まれたりはしないですけどネっ!?
~概要~ ハートはアメリカのロック・バンドで、
“女ロバート・プラント”と称される姉アン・ウィルソン のパワフルなヴォーカルと
妹ナンシーの華麗なギター・プレイ が人気を集め、80年代のMTVやヘヴィ・メタルのブームで一気に全米の頂点に登り詰め、今年
“ロックの殿堂入り” も果たしました。
この頃までに1985年『Heart』の全米No.1~1987年『Bad Animals』の2位と躍進へと導いたプロデューサーのロン・ネヴィソンに換えて、90年のアルバム『ブリゲイド(Brigade)』では新たに
リッチー・ジトー を起用し全米3位と大ヒット、彼はこの年ビルボード誌のプロデューサー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれています。
一方で彼は88年にチープ・トリックの「永遠の愛の炎」や89年のバッド・イングリッシュの「ホエン・アイ・シー・ユー・スマイル」などロック・バラードにも精通していて、本作「愛していたい」でもドラマティックなサウンドで全米2位を挙げました。
~作品~ 「愛していたい」の作者はデフ・レパードのプロデューサーとして有名な
ロバート・ジョン“マット”ラング で、70年代後半に書いたものがベースになっています。
当初はこれをイーグルスのドン・ヘンリーに歌ってもらうつもりでしたが叶わず、1979年にR&B歌手
Dobie Gray に提供されました。
ただしハートのバージョンは彼女らのために書き変えられたもので、タイトルでありサビのフレーズにもある“All I Wanna Do Is Make Love To You”以外は歌詞も曲も全く別物となっています。
~Story~ 物語はある雨の夜、主人公の女性が雨の中ずぶ濡れで道端に立つ男に遭遇することに始まります。
その瞬間から彼に恋をし一夜を共にしますが、彼女は翌朝には黙って彼の元を去ってしまうのです。
なぜなら、彼女には既にパートナーが…。
「愛していたい」はいわゆる
“一夜の恋”を描いた作品 であり、そのため発売当初も波紋を呼びました。
この理由について、歌詞では“彼に叶わない僅かな隙間を、あなたに求めた…”と書かれ抽象的ですが、ミュージック・ビデオでは主人公の女性は赤ちゃんを抱いて“あなた”と再会しています。
アンの説明によると“パートナーの男性は子どもを生殖できない事情”を抱えていて、その部分を“あなたに求めた”というストーリーのようです。
~CMソング~ しかしこの点は歌っているアン本人も気にしていて、ハートの代表作の一つであるにも関わらずライブでも歌うのを暫く避けてきました。
その後1994年夏にホームタウンであるシアトルで行った“アンプラグド”スタイルのステージでは、憧れのジョン・ポール・ジョーンズ(元レッド・ツェッペリン)に“独自の形で歌えばどう?”とアドバイスされ、“Love like strangers(見知らぬもの同士としての恋)”という歌詞を“Love like rain is falling(つまり、運命に引き寄せられるように恋に落ちたという意味合い)”に換えて歌っています。
この時の模様はライブ・アルバム『The Road Home』に収められ、ここから「愛していたい」の
アコースティック・バージョン が
トヨタ・ランドクルーザーのCMソング に起用され、日本でヒットしました。
~Rock Ballad~ 歌詞が“タブー”に触れている点は気になりますが、私はこの歌が大好きです。
問題とされる
Lyrics(英語詞)も、メロディーへの乗せ方が抜群にセンスが良く 、そこから紡がれるリズムや韻がとてもカッコイイ…。
それを彩るアンのヴォーカルは、その魅力を120%まで引き出してくれています!
また、
ロマンティックなメロディー は、いかにもハートらしさに溢れています。
激しく燃え上がる恋の熱情を描くにはロック・バラードは最適で、抑えきれない恋慕のせつなさを見事に演出しています。
一方で、暑苦しくなりがちなこのテのサウンドを、クールに刻むベース・ラインが引き締めている点も、見逃してはなりません。
~Epilogue~ 思えば雨…特に激しい雨って、映画などで物語を印象付ける重要な役割を果たすことも多いですネ。
激しい雨に殴り合ったり、相合傘に心の距離を縮めたり?
雨の多いこの季節、今年は私たちにどんな物語が用意されているのでしょう…。
「愛していたい」 Writer(s): Robert John "Mutt" Lange/訳:Beat Wolf 雨の夜、あなたは私の目の前に現れた 傘もコートもなしに、道端に立ち尽くし… だから車を寄せ、乗らないかと声を掛けたの あなたは笑顔で応え、しばらく車を走らせた 名前を尋ねるなんてできなかった、雨の中独り立ち尽くす人に… 運命は恋と告げている…出逢いの瞬間から でも誤解しないで、それは一夜限りのこと ただ、愛が欲しかった あなたもそうだと言って 互いを求め合った 抱きしめてくれる熱い腕が恋しくて… やがて、心当たりのホテルで 魔法のような一夜を過ごし、あなたは全てを叶え 瞬く間に、そしてたっぷり私の“女”を輝かせた 翌朝、あなたが目覚める前に私は去った “私は花、あなたは種”と書き残し… 二人は庭を巡り、ただそれを植えただけ 私を探さないで、どうか… これからは想い出として、心の中に… ただ、愛が欲しかった 一夜の恋…それと知りながら 互いを求め合った 抱きしめてくれる熱い腕が恋しくて… そう…二人は愛し合った 見知らぬもの同士として 一晩中 求め合った… ある日、二人は巡るように出くわした 彼が目を疑うほど驚いたのは、想像できるでしょう? どうか、どうか解って…そう頼んだわ 私には愛する人がいる 彼に叶わない僅かな隙間を あなたに求めたの… ただ、愛が欲しかった 一夜の恋…それと知りながら 互いを求め合った ねぇ、あなたもそうだと言って ただ、愛が欲しかった 一夜の恋…それと知りながら 互いを求め合った あなたも、そう言って… All night long ... 最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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1990年 ロック/ポップ せつない愛 雨 CM曲 ロバート・ジョン“マット”ラング
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