I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「アンフォゲッタブル」ナタリー&ナット・キング・コール

2016.01.15

category : Nat 'King' Cole / Natalie Cole

Natalie Cole with Nat King Cole - Unforgettable1 Natalie Cole with Nat King Cole - Unforgettable2


Natalie Cole with Nat 'King' Cole - Unforgettable (1991年)



~追悼、ナタリー・コール~

これまで9つのグラミーを受賞したR&B/ジャズ・シンガーのナタリー・コールが昨年12月31日、鬱血性心不全のため亡くなりました(享年65)。
ナタリーは2008年にC型肝炎を公表、翌年に腎移植手術を受けるなど健康に問題を抱えながらも歌うことを決して止めようとはせず、昨年11月からの公演は体調を崩しキャンセルとなったものの最後まで音楽と向き合う意思を持ち続けた人でした。
彼女と親交のあるアレサ・フランクリンは“涙をこらえなくては。ナタリーがどれだけ辛い闘いを強いられてきたかを知っているから。長い、長い闘いでした。”と、その闘病が苦しい日々であったことを語っています。

また、1月11日にはグラディス・ナイト、チャカ・カーン、ライオネル・リッチー、スモーキー・ロビンソンら多くの友人が葬儀に参列、スティーヴィー・ワンダーは“ナタリー、僕らがあなたの精神と思いやりを受け継ぐからね。”と言葉を贈りました。



~概要~

ナタリー・コールは言わずと知れたジャズ・ミュージック界の巨人ナット・キング・コールの実娘(次女)であり、1975年のデビュー以来何度もグラミーを受賞するなど、偉大な父に劣らぬ輝かしい実績を残した歌手です。
1991年、ナタリーは父ナット・キング・コールのカバー・アルバム『アンフォゲッタブル (Unforgettable... with Love)』を発表。
「Unforgettable」はその主題となる作品であり、名匠デイヴィッド・フォスターがプロデュースを担当、Billboard Hot 100で14位を記録するヒットとなりました。

「アンフォゲッタブル」はアメリカの作曲家アーヴィング・ゴードンの手による楽曲で、当初「Uncomparable(比べられない)」だったタイトルが「Unforgettable(忘れられない)」に改められたそうです。
1951年ナット・キング・コールが歌って世に知られるようになり(ナットのオリジナル音源は、2000年にグラミーの殿堂入りを果たしている)、その後1961年には改めてステレオver.がレコーディングされました(今回発見したBBCでの貴重なライブ映像もどうぞ♪)。
今回メインとした1991年のナット&ナタリーver.では“父娘デュエット”が実現していますが、ナットは1965年に他界してしまっているので生前のナットの音源(恐らく1961年ver.)をオーバー・ダビングした“バーチャル・デュエット”ということになります。

娘から父へのトリビュートとして捧げられたアルバムは大いなる共感とともにBillboard 200のNo.1に輝くと、全世界で1,400万枚のセールスを記録。
圧巻は同年度の第34回グラミー賞で、2次元の世界の父と3次元の娘がグラミーという晴れ舞台で共演する演出はお約束と分かっていても感動的であり、「Unforgettable」は“最優秀楽曲賞(Song of the Year)”と“最優秀レコード賞(Record of the Year)”を含む4部門、アルバム『Unforgettable... with Love』は“最優秀アルバム賞(Album of the Year)”を含む3部門を受賞、最終的に主要3部門を含む7部門を独占しています。

カバーは多数あり、ナットのテイストに近いサミー・デイヴィスJr.(1965)やルー・ロウルズ(1977)、“クイーン・オブ・ソウル”アレサ・フランクリン(1964)、そして意表を突くJackie Chan(2002)…
ジャッキー・チェン!? 

 
 



~Lyrics~

Unforgettable, that's what you are
忘れられない…あなたのことが

この作品以降ジャズ・シンガーのイメージの強いナタリーですが、デビュー当初の彼女はR&Bシンガーでした。
偉大なジャズ・ミュージシャンである父ナットと、デューク・エリントンの楽団歌手だった母マリアという両親の下に育った彼女は、幼少時ナットによく「Kemo Kimo」という曲を歌ってもらっていたそうです。
(私も今回初めて聴いた曲ですがこのテイスト、大好き!こんなお父さん、ステキ過ぎ

R&Bやロックに傾倒するようになったのはアレサ・フランクリンやジャニス・ジョプリンの影響ともいわれますが、これほど濃密なジャズ一家に生育したナタリーは何故“その道”を歩まず、コンサートで父の曲のカバーを要望されても断ってきたのでしょうか…。

Natalie Cole with Nat King Cole - Unforgettable3  Kemo Kimo


ナタリーは15歳の時に父ナット(45歳)を失い、その後も最初の夫は34歳、兄弟も36歳と、何れも若くして大切な家族を亡くしていますが、人生で最も辛かった出来事がナットの死だったそうです。

私は一人の10代の少女として父を敬愛していました。そんな父の死でボロボロになり、何年もの間、父の思い出から逃げ、父の音楽さえ遠ざけていました。はからずも音楽の世界に入ったとき、リズム・アンド・ブルースの歌い方を学ぶことに興奮しました。ソウルを歌うのはとても楽しかったけれど、深い安らぎと大きな満足感を得られたのは、思い切って父に関係のある歌を歌ってからのことでした。

Unforgettable, though near or far
忘れられない…近くあろうと、遠くあろうと


ナタリーは、今となっては遺作となってしまった2013年のスペイン語アルバム『Natalie Cole en Español』で、ナットが1958年に歌った「Acércate Más」をカバーし再び“父娘共演”を果たしています。

‘Acercate Mas’は近づくという意味です。父を失っていてもお互いがより近づいたことで、心からの安らぎになり、私たちは死を深刻に考え過ぎているのではないかと思うようになりました。魂は死なないのです。音楽も死にません。そして魂を音楽と結び付ける愛に死は無縁です。その魂、音楽、愛は永遠なのです。

And forever more (and forever more)
そして、これからもずっと…





~Epilogue~

忘れられない人…

ナタリーが抱く父への【忘れられない】は、彼の死に始まりました。
そしてその想いは、彼女をその哀しみから逃れさせるために愛する父の音楽をも遠ざけてしまったのです。
それは本当の自分を偽ることでもあり、やがて彼女は薬物に溺れるようになってゆきます。

しかし、堕ちゆく娘を救ったのも父でした。
「Unforgettable」を包む父のぬくもりが、忘れていた大切なものを娘に思い出させたのです。
ナタリーが抱く父への【忘れられない】の意味が、変わってゆきました…。


【忘れられない】は、苦しみではない
それは、いつまでも消えることのない心のともし火
私が愛し、愛され生きた証し
あなたとめぐり逢えて…

That someone so unforgettable,
こんなにも、誰かのことが心を離れないなんて
Thinks that I am unforgettable too
どうかあなたも、そんな風に私を想っていてくれますように…


............................................................................................................. to 1.23



「アンフォゲッタブル」


Writer(s): Irving Gordon /訳:Beat Wolf


忘れられない…あなたのことが
忘れられない…近くあろうと、遠くあろうと
心に寄り添い離れない愛の歌のように
あなたへの想いが、どんなにこの胸を灯してくれただろう
これまでめぐり逢った、ほかの誰よりも…


忘れられない…その、あらゆるすべて
そして、これからもずっと
あなたは心の中にあり続けるだろう

**
あぁ…信じられない
こんなにも、誰かのことが心を離れないなんて
どうかあなたも、そんな風に私を想っていてくれますように…


**


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1991年 R&B 安らかな愛 デュエット グラミー最優秀レコード賞 グラミー最優秀楽曲賞 美声 

コメント

こんばんは^^
ナット・キング・コールは声量もメリハリも効いて、とても歌が上手いですね。
歌詞は「信じられない こんなにも誰かのことが・・・どうかあなたも、
そんな風に・・・」と、人の心のひだが繊細に表現されているのですね。

この後も楽しみです♪

2016.01.15  みすてぃむーん  編集

悲しいニュースです。
ナタリーが出て来た時は衝撃的で、しかもお父さまにそっくりで、日本でも人気でしたね。
ラスヴェガスなどのショービジネスで活躍していたようですが、去年、たまに入る喫茶店で流してたのがナタリーのCDでした。
あまりに早過ぎてまさかです。

2016.01.15  carmenc  編集

みすてぃむーんさん

こんばんは♪
ナット・キング・コールの声って、本当にウットリしますよね。

>信じられない…
これまでと全く違う感覚、あるいは確信?。
>そんな風に…
「そんな風に」言ってもらえて、とってもうれしいです!(笑)

2016.01.15  Beat Wolf  編集

carmencさん

そうですね。
でも近年闘病生活をしながら音楽活動も続けていたようで
頭が下がります。
そういう意味で、デヴィッド・ボウイと似た状況でしたね。
本当に残念です。

2016.01.15  Beat Wolf  編集

こんばんは。「アンフォゲッタブル」はいい曲で、父娘でコラボしてさながら
LIVEしているようです。
ナタリー・コールはわずか15歳で父を亡くし、その後も家族と夫をも亡くして
悲しすぎます。
でも歌の才能があって大きな救いです。病気との闘いで大変な生涯
だったのですね。
デビット・ボーイさんとナタリー・コールさんも共に安らかに
眠ってください・・・・。
言葉がありません。

2016.01.19  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

お父さんが亡くなるのが、あまりに早過ぎました。
歌手としての名声はともかく
プライベートでは辛いことも多かったでしょう。
マイケルとかホイットニーもそうでした。
何より、病気はイヤですね。

そうこう言ってるうちにまた今日も訃報が…
気が重いです。

2016.01.19  Beat Wolf  編集

優しさに包まれる曲ですね☆

人は何故、こんなにも辛く悲しい思いをしなければならないんでしょう?
それと同じくらいの愛と想いを受けていると信じたいですね。

曲や歌に魂や愛、想いが宿っているから
人は感動し、勇気をもらえるのかもしれませんね。

2016.01.25  ☆dct☆  編集

☆dct☆さん

そうですね♪

残念ながら、悲しみは愛情の深さに比例します。
でも、「感情は時価」でもあるので良くも悪くも、時と共に変動します。

人は、それぞれにそうした想いを宿しているからこそ
曲や歌の中にある、それぞれに通ずる想いに勇気をもらえるのでしょう。

2016.01.25  Beat Wolf  編集

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