I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「マン・イン・ザ・ミラー」マイケル・ジャクソン

2013.06.21

category : Michael Jackson

Michael Jackson - Man In The Mirror1 Michael Jackson - Man In The Mirror2


Michael Jackson - Man In The Mirror(1988年)


~もうすぐ4年~

2009年6月25日、衝撃的なマイケル・ジャクソンの急死からもうすぐ4年が経とうとしています。
そんな矢先に愛嬢パリスが起こした自殺未遂騒動は、マイケルが背負っていた重荷がどれほど彼を苦しめていたかを窺い知るようでした。
本来ならこの作品は今回の特集で取り上げる予定ではありませんでしたが、パリスが“自分を変える”ことができるよう願いを込めて、この難しい作品に挑戦してみることにしました…。


~Data~

歴史上最高のレコード・セールスを記録することとなった1982年のアルバム『スリラー(Thriller)』の次回作として発表された1987年の『バッド(BAD)』は、セールスの上では前作に及ばぬものの数々の記録を打ち立てています。

そのうちの一つは「マン・イン・ザ・ミラー」によって樹立されており、アルバムから4枚目のシングルとなった本作品がBillboardでNo.1(2週・年間21位)に輝くことにより、1977年の『サタデー・ナイト・フィーバー』以来となる“同一アルバムから4曲No.1”を達成しました。
(後に5thシングル「ダーティー・ダイアナ」により自らの記録を5曲に更新!)
また、グラミーでも最優秀レコード賞にノミネートされた作品です。


~作品~

作者はサイーダ・ギャレットグレン・バラード
グレンは『スリラー』のレコーディングにも参加したキーボード・プレイヤーで、1996年にアラニス・モリセット『Jagged Little Pill』のプロデューサーとしてグラミー・最優秀アルバム賞を授賞しました。
一方サイーダは『バッド』のプロデューサー、クインシー・ジョーンズの秘蔵っ子歌手で本作の作詞及びコーラスを担当しただけでなく、1stシングルとなった「キャント・ストップ・ラヴィング・ユー」でマイケルとのデュエットも務めています。

元々『バッド』のためにマイケルは60曲以上の自作曲を用意していたといわれますが、クインシーはそれで十分とは考えていなかったようです。
そこで、彼は近しいライターを集めて“決定打となる曲が欲しい”と要請しています。
これを受けてグレンが歌詞を考え、サイーダがそれを鼻歌混じりにメロディーを付けて完成したのが「マン・イン・ザ・ミラー」で、当人もクインシーも大満足の作品が出来上がりました。
しかしマイケルの自作曲は60曲以上もあったため、彼がこれを採用する保障はありませんでしたが…。


~「ウィ・アー・ザ・ワールド」の影響~

この頃、20代後半を迎えていた青年・マイケルには彼の人生を変える大きな出来事がありました。
1985年の、“USAフォー・アフリカ”への参加です。
テーマ曲「ウィ・アー・ザ・ワールド」でお馴染みのこのプロジェクトは“アフリカの飢餓と貧困救済のために企画されたチャリティー”で、マイケルは作曲などを担う中心的役割を果たしました。
後のマイケルの行動を見て明らかなように、この経験は深く彼の心に感銘を与えたようです。
そうした経緯からも、「マン・イン・ザ・ミラー」がアルバムに採用されたのは必然だったのかもしれません…。

「マン・イン・ザ・ミラー」は、『スリラー』までのマイケルとは趣きの異なる社会的なメッセージを帯びた作品で、“鏡の中の男”に“それでいいのか?改めるべきだよ”とに問うている形です。
問うているのは“I see the kids in the streets With not enough to eat”の部分で、作品はマイケルが書いたものではないものの、これは「ウィ・アー・ザ・ワールド」でアフリカに関わる機会の多くなった“彼が直接目にした光景とそのもの”だったと思います。
飢えた子どもたちを目の当たりにしながら何もしてあげられず、訪問のスケジュールをこなさなければならなかった“マイケルの懺悔”とも重なるのではないでしょうか…。


~飢餓根絶のために私たちができること~

アフリカから遠く離れた私たち日本人も、普通の大人であれば“この地球上で飢餓により毎日多くの人命が失われている”現実を、誰もが認知しています。
(現在、全世界での一日の餓死者は4万人・一年だと1500万人以上に上り、うち7割は子どもといわれる)
そんな圧倒的な数字を見せられて“じゃあ自分に何ができる?”と自問してみても、多寡の知れた己の非力を突きつけられるだけに終始してしまうのではないでしょうか?
しかし、こうした“他人の善意”というものは長続きするはずもなく、またそれが根本的解決に繋がらない事は“USAフォー・アフリカ”はじめ多くのチャリティー・イベントの結果からも明らかです。

では、世界を飢餓から救う手だては無いのでしょうか?
それを実現可能な手だては、恐らくたった一つ…。

実は、現在世界で生産されている穀物の生産量は年間23億トンで、これは全世界の人が生きてゆくのに必要な量のおよそ2倍あります。
しかしその大半は牛・豚・鶏など家畜のエサとして与えられているため、人間が必要な分にも不足が生じているというワケです。
もし、この一部を安い価格で人々に提供できたなら、世界の飢餓問題を根本的に解決できる決め手に成り得るでしょう。
ただし現在の穀物の大量生産を可能にしているのは大規模な機械の導入に依るものであり、大量の燃料消費があってのことです。
幸いアフリカはこうした資源が豊富であり、食糧生産国と連携を図れば実現可能なはずですが…。

問題は、関係国が自国の利害に固執せず人道的見地から互助関係を築けるかにあります。
また、私たち一般消費者が畜産品の値上げを許容できるか、ということでしょう。
世界の飢餓を救うのに大切なのは一個人の善意ではなく、それを反映し永続できる政策やしくみを創ることだと思います。
そういう意味ではちょっと政治的な意思表示が求められることになりますが、各国が本腰を入れて動かない限り根本的な問題改善には繋がらないでしょう…。


~終わりに~

パリスには是非、大好きなお父さん・マイケルが大切に続けてきた活動に触れてほしい。
世界には、もっと苦しく絶望的な環境の中で懸命に今日を生きようとしている子どもたちがいっぱいいることを。
人生には、“自分の直接的な悦びによる幸福感”だけでなく、“誰かを喜ばせることにより得られる幸福感”もあることを。

そして、悲しみに暮れている全ての人に、この歌を…。



「マン・イン・ザ・ミラー」


Writer(s): Siedah Garrett, Glen Ballard/訳:Beat Wolf


一生に二度もない位
自分を変えてみよう
きっと素晴らしいよ
それまでとは違う自分
あるべき姿へと近づくんだ

お気に入りの冬コートの
襟を立てたって
心に冷たい風が吹き込んでくるよう…
通りの子どもたちが
食べ物も足りず空腹だというのに
正視しない僕って?
子どもたちの求めを、見ないふりなんて…

黙殺された夏、割れたビンの先
そして、ある一人の男の魂…
どれも流れる風に身を委ねるばかりで
みんな行く当てもない
だからこそ、知って欲しいんだ

僕は、鏡の中の男と向き合うことから始めるよ
変わらなきゃと、問い続けよう
どんな願いも、形に示さねば叶うものではない
世界をより良いものにしたいと願うなら
自分自身を直視し、そして改めよう

一人善がりな愛にとらわれていた僕も
Iやっと気づいたんだ
家もなく、5セントにさえ困る人がいることを
そんなの何処にもいるって誤魔化す自分で本当にいいのか?

深い傷跡を残す柳、絶望に悲しむ人の心
色褪せてしまった夢…
どれも流れる風に身を委ねる類いで
安住の地さえ持たない
だから、僕は自ら始めることにしたんだ

鏡の中の男と向き合うことから始めるよ
変わらなきゃと、問い続けよう
どんな願いも、形に示さねば叶うものではない
世界をより良いものにしたいと願うなら
自分自身を直視し、そして改めよう

僕は、鏡の中の男と向き合うことから始めるよ
変わらなきゃと、問い続けよう
どんな願いも、形に示さねば叶うものではない
世界をより良いものにしたいと願うなら
自分自身を直視し、そして…
改めよう!


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1988年 R&B/ゴスペル 社会 

コメント

初めて聴いた時

鳥肌がたって、感動したことを思い出します。

マイケルが世界中に大切なメッセージを
訴えている。

高校生だった時、すごく衝撃を受けたね。

今、改めて聴いて、涙が出ました。

パリスも
大変かもしれないけど
生まれ変わったつもりで
頑張って欲しいですね。

2013.06.22  chiyuki  編集

Re: 初めて聴いた時

私も今回、じっくりこの曲と向き合って改めてマイケルのスゴさを感じたよ。
実は、私はこの曲のオリジナル・ショート・フィルムがあまり好きでなく
今回作った動画では、この曲本来のメッセージを込めたつもりだよ。

パリスは、ぜひアフリカを訪問してほしい。
きっと、人生観が変わると思うな…
マイケルが、そうだったように…v-290

2013.06.22  Beat Wolf  編集

正直に思うコト。

当時の彼の状況下を考えると、
「お利口さん」な歌の部類で、正直好きでない歌。

感動?今さら?何を?誰に?何のため?
何をすることが「生きているうちにしなくては、本当はいけなかったこと」だったのでしょうねぇ…。

他人のコトより、まず自分。
そして作ってしまった家族。
そして、他人の順番なのでは?

ハッキリ言って、
子供がいる人間として「不用意」過ぎた、行動が多過ぎた…。

死んでは「意味がない」のです。何事も。

鏡に映った、誰を見ていたんでしょうねぇ?マイケルは…。
「神」な自分?「不老不死」な自分?
ただの『人間』なのに…。(憤る私…)

辛辣でごめんなさい<(_ _)>

2013.06.23  sunbluelovely  編集

Re: 正直に思うコト。

う~ん…
何か面白くないことでもありました?

確かにマイケルは良くも悪くも心が幼くて、矛盾の多い人です。
パリスの現在の不幸も、親であるマイケルの不徳もあるでしょう。
「他人のコトより、まず自分」…
ご指摘は、ごもっともです。

ただ、sunbluelovelyさんは私を信用して「正直に思うコト」を言ってくれたと思いますが
あくまでここは「ネット上」で、誰が見てるか分からないので危ないですよ…v-290

2013.06.23  Beat Wolf  編集

詩の内容はさておき躍動感あふれるメロディーのパワフルな楽曲に感動ですね。これも名曲です。マイケルはなんであんなにひとつひとつの動きがグルーブしているのでしょう。

2013.06.23  わんわんわん  編集

Re: タイトルなし

日本でいう、美空ひばりの類でしょう。
ダイヤの原石を幼い頃から懸命に磨いたからこそ、辿り着くことができたのだと思います。

2013.06.24  Beat Wolf  編集

訂正しないけれど…。

文章は、どーも苦手なので、
どう思われるのか?どう受けるのか?は分かりませんが…。

マイケルさんの世に出した「歌(音楽)」は全て、パーフェクトで、どれも素晴らしく、人の心を引き付けると強く思ってます。今でも。
日本の音楽の教科書に沢山載せればいいのにっ!とも本気で思いますもの。

ただ、子供だったマイケルも聞いたことがある者としては、世界平和感よりは、ガツガツに悪乗りしているような「歌」のほうが、本来、彼の持っている「ユーモア」の部分が出ている気がして、彼らしい気がして、5000倍くらい好きということです。
死んでなんて、ズルイ。
死んでは、何も始まらないし、彼は100まで強欲でも生きなくちゃいけない「人」だったと思うのです。
立場も、歴史も、業績も、父親としても。

2013.07.02  sunbluelovely  編集

Re: 訂正しないけれど…。

考え方や価値観に違いがあるのは、当たり前です。
だからこそ今回の事を教訓に、お互い仲良くやっていきましょう。
これからも、よろしくお願いしますv-410

2013.07.02  Beat Wolf  編集

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