I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「天使のささやき」スリー・ディグリーズ

2016.06.10

category : 1970年代

Three Degrees - When Will I See You Again1 Three Degrees - When Will I See You Again2


The Three Degrees - When Will I See You Again (1974年)



~世界で最も長期間活動を続けている女性ヴォーカル・グループ~

6月21日から、“天使のささやき”スリー・ディグリーズの日本公演がスタートします。
スリー・ディグリーズは1963年に結成され、“世界で最も長期間活動を続けた女性ヴォーカル・グループ”としてギネス認定されている3人組です。
今回参加のメンバーはヘレン・スコット(1963-66,76-)、ヴァレリー・ホリデイ(1967-)、フレディ・プール(2011-)の3人で、近年ライブハウス・レストラン『KENTO'S』などを含め日本で最もパフォーマンスを披露している海外スターといってもよいのでしょう。

50年以上のキャリアを重ねた大ベテランであるだけでなくそのパワーも衰え知らずで、日本馴れしているせいか“モウイチド!”と観客の方がハッパをかけられていますよっ! 





~概要~

スリー・ディグリーズのデビューは1965年ですが、本格的に運が巡ってきたのはそれから8年が経った1973年、フィラデルフィア・インターナショナル・レコード(PIR)に移籍してからのことでした。
このレーベルはアメリカの作曲者ケニー・ギャンブルとレオン・ハフ(ギャンブル&ハフ)が1971年に創立した会社で、彼らの創り出す音楽はソウル・R&Bをストリングスなど導入してソフトで都会的な“フィラデルフィア・ソウル(フィリー・ソウル)”へと進化させ、1970年代前半に一世を風靡しました。


「天使のささやき」は、1973年に発表した3rdアルバム『The Three Degrees』の収録曲(PIR移籍後最初)で、この時のメンバーはシーラ・ファーガソン、フェイエット・ピンクニー、ヴァレリー・ホリデイ(2016来日メンバー)という顔ぶれでした。
翌年2月、ギャンブル&ハフはアメリカの音楽番組『ソウル・トレイン』のテーマTSOP (The Sound of Philadelphia)」を作曲しソウル・バンドMFSBに演奏させていますが、そのコーラス・パートにスリー・ディグリーズが起用され、これが4月にBillboard Hot 100でNo.1に輝いています。

その興奮冷めやらぬ同年6月、スリー・ディグリーズは『第3回東京音楽祭』に参加するため来日し「天使のささやき」を披露、“金賞”受賞によってラジオ各局でNo.1を獲得しシングルも11.3万枚を売り上げました。
(グランプリはルネ・シマールの「ミドリ色の屋根」

しかしこの日本での思わぬ大ヒットが欧米でその評価が見直されるきっかけとなり、9月にシングル「When Will I See You Again」がリリース、アメリカではHot 100で2位(1975年の年間75位)/Cash Box誌No.1を記録。
イギリスでは週間No.1に止まらず年間2位というこの年を代表する大ヒットとなり、1978年にはチャールズ皇太子の30歳の誕生日を祝う式典にスリー・ディグリーズが招かれこの曲をパフォーマンスしました。

もう一つ忘れてならないのはスリー・ディグリーズ自身が「天使のささやき」の日本語ver.をリリースしていることで(作詞;白井章生)、キャンディーズや桜田淳子小泉今日子らがこれをカバーしています。
また、オリジナルの英語ver.をザ・ピーナッツや弘田三枝子らがカバーしました。

 
 



~Lyrics~

When will we share precious moments?
二人で大切な瞬間を分かちあうのは、いつ?

ギャンブル&ハフがハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツに楽曲提供した「二人の絆(If You Don't Know Me By Now)」(過去ログ)は、互いを知り尽くしたパートナーが熟慮の末に別れを切り出すという“積年の重み”を感じさせる作品でしたが、「天使のささやき」はとてもシンプルで初々しさに溢れています。

そのせいかケニー・ギャンブルがピアノで「When Will I See You Again」を彼女らに紹介した時、この曲のリード・ヴォーカルを務めることとなるシーラ・ファーガソンは“こんな誰でも歌える簡単な曲なんて、歌わない!”と、憤慨したそうです。
しかし何百万という大ヒットを遂げ自分たちにとって大切な作品となった後、シーラは“彼の方が正しかった”と自らの過ちを認めています。


Will I have to wait forever?
…ずっとずっと待たされる?

このフレーズは最もこの女性のかわいらしさを伝えていると思うので、“そんな表現”にしてみました。

「When Will I See You Again」の特筆すべき一つは“全文疑問文”で構成されていることで、そのため訳し方によっては“いつまで待たされるの?”と相手を問い詰めているようなニュアンスを与えてしまい兼ねません。
でも曲の雰囲気からは、“そういう趣旨”が込められた歌ではないことがすぐに理解できるはずです。
…なので一つひとつは簡単に見えるこの疑問文の羅列が、詰問になってしまわぬよう日本語表現には案外苦心させられました。


Is this my beginning or is this the end?
私にとって、これは始まり? それとも…

二人は、出逢ってまだ日が浅いのでしょうか…
ふと、中村雅俊主演のドラマ『俺たちの旅』のエンディングに毎回流れる「ただお前がいい」(作詞;小椋佳)の、
“また会う約束などすることもなくそれじゃまたな と別れるときのお前がいい”のフレーズが思い浮かびました。

いちいち約束を交わさなくとも、“また必ず会える”とわかっている安心感…
そういう繋がりってごく当たり前のようでいて、大人になるほど貴重であるように思えます。



~Epilogue~

今回初めて知ったのですが、『天使の囁きの日』という記念日があることをご存知でした?
1978(昭和53)年[2月17日]、北海道幌加内町で氷点下41.2℃という日本最低気温(※非公式)が記録された“極寒の地”のイメージをプラスに変えようと、空気中の水蒸気が凍ってできる“ダイヤモンドダスト⇒天使の囁き”として1994年に同町の[天使の囁きを聴く会]によって制定されたそうです。


…さて、それにしても何で本作品の邦題は「天使のささやき」??
原題の「When Will I See You Again」をはじめ、Lyricsには[angel]も[whisper]もありません。
『The Three Degrees』のレコード・ライナ-を見てみると彼女らの売り文句には“フィラデルフィアのセクシー・エンジェル”と掲げられており、「When Will I See You Again」冒頭の彼女らの悩ましい【Oooooo, haaa...】がこれを象徴するでしょうか…。

でも、どんなに愛らしかろうとも彼女たちは決して[angel]ではありません!
なぜなら、グループの名前である【The Three Degrees】は
“Man, woman, and devil, are the three degrees of comparison.”
(男-女-悪魔は、比較の三段階変化)

…という英語のことわざに由来したものであるからです。
つまり悪魔を最上級の[worst]とすると、女性は比較級の[worse]、男性は原級の[bad]という順列であり、“女性は、男性より悪魔に近い存在”であることを意味しています。
このことから、彼女らが目指したのは純真無垢な“エンジェル”ではなく、セクシーな魅力で男性を虜にする“小悪魔”だったといえるでしょう。

…そういえばスリー・ディグリーズと同じ女性3人組の人気者キャンディーズが、1977年にそれまでの“天使系”から“小悪魔系”へイメージ・チェンジして話題となった「やさしい悪魔」という作品がありました。
ここでの“やさしい悪魔”は女性(自分)ではなくお相手の男性を指しているわけですが、彼については歌中で
【My sweet little Devil】とも言い替えています。

When will I see you again?
あぁ…今度あなたに会えるのは、いつ?

あなたがささやかれたいのは、、“天使”? …それとも、“小悪魔”? 



「天使のささやき」



Writer(s): Gamble and Huff /訳:Beat Wolf


かけがえのない、ひととき…

今度、いつあなたに会えるだろう
二人で大切な瞬間を分かちあうのは、いつ?
…ずっとずっと待たされる?
一晩じゅう、涙に暮れたまま…

いつ、また会えるだろう…
二人の鼓動が一つにときめくのは、いつ?
…これって両想い? …それとも、ただの友だち?
私にとって、これは始まり? それとも…

あぁ…あなたに再び会えるのは、いつ?


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1974年 フィラデルフィア・ソウル 日本で人気 

コメント

Beat Wolfさん、こんばんはー
「天使のささやき」はやさしい悪魔。ふぅ~ん

♪二人で大切な瞬間を分かちあうのは♪と、
この曲が、女らしい心のうちを描いているのを
思うと、2枚目の動画の演奏と歌い方が柔らかく
聴こえてきます。 さてどうなるのでしょうか?

2016.06.10  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

実は、「天使のささやき」と「やさしい悪魔」を
対照させたのにはウラがあります。(秘)

まさに女性らしい歌であり、歌い方ですよね。
こういうテイストは、とても男性には表現できません。
でも男の私でも、彼女らの歌で誰かと「大切な瞬間」を分かちあうことはできます。(笑)

2016.06.10  Beat Wolf  編集

この曲、心和むメロディーですよね。反対に、ドゥ・イットのようなバリバリのディスコもあり、いいグループでしたね。

2016.06.11  お宝トミー  編集

お宝トミーさん

本当ですね。
サービス精神旺盛で、彼女らのステージは見ていてとても楽しいです♪

2016.06.12  Beat Wolf  編集

Beat Wolfさん、こんばんは~
・・・ずっとずっと待たされる?疑問符は女性の可愛らしさ伝え
「・・の?」は問い詰めるニュアンスに取られかねないけど
言葉の微妙なニュアンスをしっかり捉えられて訳されているのですね。

♪・・・いつ?・・・待たされる?始まり?・・・♪
疑問符が何回もでてきても、詰問ではなくて、女らしい歌い方に
終始していますf(^_^p 
すでにいろいろな人がカバーしていたのですね。
ギネス認定のキャリアでパワー衰え知らずはすごいです~

2016.06.13  みすてぃむーん  編集

はじめまして
懐かしいですね
とても好きな曲です

その頃の事思い出しました
シックの(オシャレフリーク)なんか
よく聴いてました

又寄らせて下さい

2016.06.13  晩 ヘレン  編集

晩 ヘレンさん

はじめまして。
この曲の魅力の一つは、たとえ初めて耳にした人でさえも
懐かしい気持ちにさせる所でしょうね。

でも、70年代の曲って
そういう不思議な魅力を持った作品が多い気がします。
そして、この年代といえばディスコ・ソングですよね♪

2016.06.13  Beat Wolf  編集

みすてぃむーんさん

見落としてしまい、順番が逆になってごめんなさい。(謝)
Lyrics全部を掲示してないので実感できないかもしれませんが
本当に最初から最後まで疑問文の連続になっています。
…なので、問い詰めにならないよう苦心しました。

女らしい歌い方…
男性に「Oooooo, haaa」と、高い声で歌われても困るでしょ?
彼女らは日本でとても人気があって、様々な歌手にカバーされています。
ギネス認定されているのは今回初めて知りましたが
ストーンズとほぼ同じキャリアですから!

2016.06.13  Beat Wolf  編集

この曲を初めて聴いたのは、モノマネでビージーフォーだったかな?がやってたのだったと思います。
伸びやかな声、柔らかい歌い方素敵ですね〜
切ない歌詞なんですが、明るい曲調なので全くそんな感じしませんね(^^)

2016.06.15  きり  編集

きりさん

入口は「そっち」でしたか!(笑)
私は、スリー・ディグリーズのは見た事ありませんが
確かに彼らはフィリー・ソウルをよくネタにしてますね。
(スタイリスティックスとか)

でも、実際に会えるのは明日かもしれませんよ?(笑)
そんな遠い未来ではないような気がします。

2016.06.15  Beat Wolf  編集

やっぱり良い曲は、長続きしますね〜(*^_^*)
疑問文続きとは全然知りませんでした。
それも訳し方によっては、全然違う雰囲気で捉えられてしまう。

言葉の中に込められた想いって大切ですね。

2016.06.19  ☆dct☆  編集

☆dct☆さん

古くなるほど感情移入が増す曲ってありますよね?(ユーミンとか)
この歌はたぶん相手に疑問を投げかけているのではなく
自分の心の中で「いつ、また会える?」と、ワクワクしているのだと思います。
…だからこそ、長続きなのでしょうね♪

2016.06.19  Beat Wolf  編集

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