Earth, Wind & Fire - September (1978年)~9月21日、何かが起こる!?~ ディスコを象徴するファンク・バンドとして日本でも人気の高いアース・ウィンド&ファイアー(以下EW&F)が、現在来日中です(~9/22)。
リーダーのモーリス・ホワイトが2月に他界するなど今年はEW&Fにとって試練の年となりましたが、その長年の功績が認められ『第58回グラミー賞』では“特別功労賞生涯業績賞”が授与されました。
現在もバンドはフィリップ・ベイリー(vo/etc.)、ヴァーダイン・ホワイト(b;モーリスの弟)、ラルフ・ジョンソン(vo/perc)を中心に精力的にライブ活動を続けており、フィリップの“ジュニア(息子)”も参加しているそうです。
でも世界中で競争率が高いであろう“この時期”せっかく来日してくれたのに、プラチナ・チケット必至の“9月21日”に公演が行われないのはナゼだろう…?
~概要~ デビューから8年が経ちアルバムを出せばプラチナ・セールスの常連となっていたアース・ウィンド&ファイアーは1978年、それまでのキャリアの総決算として初めてのベスト盤
『The Best of Earth, Wind & Fire Vol.1』 をリリースしました。
このベスト盤には未発表の新曲も含まれており、そのうちの一つビートルズのカバー「Got to Get You Into My Life」を1stシングルに、そして今回特集する「September」は2ndシングルとしてカットされ
Billboard Hot 100の8位(1979年の年間78位) を記録しています。
「September」はまさに1970年代後半のディスコ・ブームを象徴するファンキーなダンス・ナンバーであり、彼らのキャリアに欠かすことのできない代表曲です。
作者はメンバーのモーリスとアル・マッケイに加え、作詞にはEW&Fが所属するコロンビア・レコードで広告やライナーノーツの仕事をしていた
アリー・ウィリス (
《Epilogue》の項も参照)が初めて参加しています。
(彼女は後に「Boogie Wonderland」や「Sunday Morning」などにも貢献)
そのアリーの参加が決まる以前、彼女がスタジオのEW&Fに会いに行った際ちょうど彼らが作曲していたのが「September」で、そのイントロのギターを少し聴いただけで“
この曲、間違いなく大ヒットする!あぁ神様、どうか彼らが私と仕事をしたいと思ってくれますように… ”と願望したそうです。
「September」が特筆すべきは、ただ単にディスコ・ブームでヒットした流行歌ではなく、発表から40年近く経った今日も新しい世代に求め愛され続けていることにあるといえるでしょう。
数々のカバーやサンプリング、映画やドラマ(
続・平成夫婦茶碗 )のテーマ曲、CM、ゲーム、スポーツ選手のコール・ソング…など様々な形で起用されてきました。
その大きな理由は「September」のミュージック・ビデオで顕著に表れており、MTV未開局でMVがまだプロモーションとしての価値が開拓されていなかったこの時代から、加工技術を駆使し残像をフィーチャーした映像を制作するなど、こうした新しいもの・面白いものへの積極的な探求心が3年後
「レッツ・グルーヴ」(過去ログ) に結実したといえるでしょう。
こうした姿勢は
マイケル・ジャクソン(カテゴリ) のそれと共通するところであり、時代を越えて愛され続ける要因なのだと私は思います。
VIDEO VIDEO ~Lyrics~ Our hearts were ringing 二つのハートは響きあい In the key that our souls were singing. 二つのソウルは調子を合わせ歌う 英語で心臓の拍動音を調べてみると【thump-thump(θʌ́mp;サンプ)】【bang-bang】【pit-a-pat】といった例が挙げられていますが、どれもちょっと日本人にとってはピンとこないイメージです。
言葉の意味と音の響きから勝手に解釈し敢えて日本語表現に当てはめてみるとしたら、thumpは鈍くぶつかる音なので[ドクドク]、bangは叩く音で[バクバク]、pit-a-patはパタパタしてるので[トクトク]…という感じでしょうか?(※あくまでも個人のイメージです)
もしもこのフレーズのようにときめきを表すであろうring(ベル音)なら、【jingle(チリンチリン)】…?
でも拍動音っぽくないし、私にはやっぱり日本語の[ドキドキ]が一番しっくりきます♪
Ba de ya - dancing in September 9月にダンスしただろう? Ba de ya - never was a cloudy day 雲ひとつない、あの夜のことさ 心を合わせるといえば、“共同作業”でしょう!
否が応でも、一つの目的を達成するために気持ちやタイミングを合わせないと上手くいきません。
ダンスは必ずしも共同作業ではありませんが、一人で踊るより誰かと呼吸を合わせ時々アドリブを入れたりなんかした方が圧倒的に楽しいものですよね?
しかも互いに体を密着させられるし! まったくコイツは…。 Now December found the love we shared in September. 9月に響きあわせた恋は、12月に愛を実らせた Only blue talk and love 甘いささやきと、愛を交わす ファンク・ミュージックというと大抵どこかに“下ネタ”が含まれるものですが、この洗練されたファンクにも!?
訳では一応キレイにまとめてありますがここでの【blue】は[憂鬱]ではなく、スラング的に“エッチな意味合い”が含まれると考えられます。
この曲は「September」というタイトルですが、【Now December】とあるように現在の時制は12月です。
しかし、EW&Fには
「December」 という曲が存在することをご存知でしょうか?
これは2014年のホリデイ・シーズンにリリースしたアルバム『Holiday』の中に収録された作品で、“【September】の部分を【December】”にして“21日を25日”にした替え歌となっています。
VIDEO ~Epilogue~ モーリス・ホワイトと共に作詞に当たった
アリー・ウィリス (
《概要》の項を参照)は、モーリスの言葉の意図をよく理解できず何度も彼と問答を交わしたといいます。
“コーラスの【Ba de ya】って、意味を持たないんじゃありません?”
…“いや、それこそがいい所なんだ。きっと、みんなそこを思い浮かべる。”
“どうして9月21日なのですか?”
…“特別な意味はない。たとえそれが現実であろうとなかろうと、それは言えない。”
何だか『論語』のやりとりみたいですが、実際に作詞の共同作業の前にモーリスの考え方を理解するためアリーは東洋哲学の本を読まされ、それには数カ月を費やしたといいます。
そして全てを終えた彼女は、自分なりの“答え”を見つけることができました。
“たぶん9月21日は、歌い易かったからじゃないかな…? モーリスとのレッスンで学んだ大切なことは、歌詞は音楽の【groove(楽しい部分)】を妨げてはならないということ。究極的に重要なのは【the feel(感じること・触れること)】ね。” Do you remember ねぇ覚えてる? the 21st night of September? 9月21日の夜のことを “その夜”を感じ、あなたもゆったりとした時間をお楽しみください♪
「セプテンバー」 VIDEO Writer(s): M.White, A.McKay, A.Willis /訳:Beat Wolf ねぇ覚えてる? 9月21日の夜のことを 雲が追い払われるように 恋が、まねごと遊びの二人を変えた夜のことさ… 二つのハートは響きあい 二つのソウルは調子を合わせ歌う 君と二人で踊った夜… 思い出してごらん? 星たちが暗闇を奪った夜のことを * Ba de ya - ねぇ、答えてごらん… Ba de ya - 9月にダンスしただろう? Ba de ya - 雲ひとつない、あの夜のことさ ** Ba duda, ba duda... 想いは、いつも君と共に そして君の心と手を繋ぎ、見つめ 甘いささやきと、愛を交わす 忘れないでいて… 確かな愛は、いつだってここにあることを 9月に響きあわせた恋は、12月に愛を実らせた 甘いささやきと、愛を交わす 忘れないでいて… いま二人が分かつ本物の愛のことを * ベルは鳴り響き 二つのソウルは歌い続ける 忘れないでいて? 雲ひとつない、あの夜のことを… * **最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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1978年 ダンス/Funk 名作MV CM曲 ドラマ
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