2016年9月は、ビートルズ・ファンにとって実り豊かな秋となりました! まずは9月9日、ビートルズ解散後1977年にアナログ盤として発売されこれまでCD化されていなかった“ビートルズ唯一の公式ライブ・アルバム”『The Beatles at the Hollywood Bowl』が、最新リミックス&リマスターによって遂に初CD化が実現したことです。
そして9月22日、ロン・ハワード監督を迎え制作されたビートルズ公式ドキュメンタリー新作映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK』が全国公開されました。 「Eight Days A Week」はもちろんビートルズの楽曲(過去ログ)から採られたものですがこれは当時の彼らが“あり得ないほど忙しかった”ことの象徴であり、この映画はそうしたビートルズのめまぐるしい日々をライブ映像を中心に構成したドキュメンタリーです。
まずは、その2作品のプロモ映像からどうぞ♪
~概要~
「ツイスト・アンド・シャウト」はビートルズのイギリス盤公式オリジナル・1stアルバム『Please Please Me』の収録曲であり、イギリスでは1963年7月12日に4曲入りEPとしてカットされNMEで2週連続4位・MMで2位を記録しました。 アメリカでは「抱きしめたい」(過去ログ)で“ビートルズ旋風”発生後の1964年3月2日にシングルとしてリリース(B面は「There's A Place」)、Billboard Hot 100で4週連続2位(年間40位)と悔しい結果に終わっていますが、これは全く同じタイミングで彼らの「Can't Buy Me Love」が5週連続No.1に君臨し続けていたためです。
ジョン・レノンのけたたましい“shout”はまさにビートルズを代表するロック・ナンバーといえる作品ですが作者はレノン=マッカートニーではなく、バート・ラッセル・バーンズとフィル・メドレーです。 「Twist And Shout」は、まず1961年にフィル・スペクターがプロデュースするThe Top Notesという新進ヴォーカル・グループに提供されたものの、作者のバート・ラッセル・バーンズはこの出来ばえに“歌を台無しにした”と不満を示し、1962年にR&Bグループのアイズレー・ブラザーズ (The Isley Brothers) を自らがプロデュースする形でレコーディングし直し、Hot 100の17位とヒットさせました。
ビートルズver.はアイズレー・ブラザーズに影響を受けたコーラスやスタイルが施されており、彼らがデビュー直後の1962年12月にハンブルクのスター・クラブの興行で早くもレパートリーとして取り入れています(『Live At The Star-Club In Hamburg, Germany; 1962.』に収録)。 1stアルバム『Please Please Me』はたった1日(十数時間)で全14曲のレコーディングを完了したといわれますが、「Twist And Shout」はその最終曲でした。 この日ジョンは風邪のためのどの調子が悪く牛乳や喉飴でケアをしながらの参加であり、激しいシャウトを求められる本曲を最後に回す配慮がなされたとはいえ、マスター音源となったテイク1で既にジョンは声が割れており、テイク2で気合いを入れるためシャツを脱いで頑張りましたがこの時もはや彼の声は使い物にならないほど嗄(か)れていたそうです。
~進化し続けた「Twist And Shout」~
恐らくファンの方にとって、「Twist And Shout」は“コンサートのオープニング・ナンバー”というイメージが強いことでしょう。 しかしそれは1964~65年頃のことで、1963年のツアーではラスト・ナンバーでした。 前述のとおり「Twist And Shout」はビートルズのオリジナルではないにも拘らず、デビュー直後の1962年から1965年8月のツアーの殆んどで演奏されており、そのことから考えると“ビートルズのコンサートに欠かすことのできないナンバー”といった方がより正確なようです。
ビートルズは1964年8月と1965年8月の2度、ロサンゼルスのハリウッド・ボウル(野外音楽堂)で公演を行っており、そのどちらでも「Twist And Shout」が演奏されました。 このうち『The Beatles at the Hollywood Bowl』に収録されている「Twist And Shout」の音源は1965年8月30日のもの《右》ですが、今回の検索では“1964年8月23日の演奏を舞台袖から撮影した映像”《左》を発見したので、マニアの方はぜひ1965年のものと比較しながらお楽しみください♪
~Epilogue~
「ツイスト・アンド・シャウト」というと、後世まで語り草となっている有名なエピソードがあります。
1963年、「Please Please Me」に端を発した一連の大ヒットにより国中がビートルズに夢中となっていたイギリス。 その11月4日、エリザベス女王やアン王女ら王侯貴族が多数列席する王室主催の音楽演奏会『The Royal Variety Performance』に、ロック・バンドとして歴史上初めてビートルズが招かれ演奏した舞台でのことです。 「From Me To You」-「She Loves You」-「Till There Was You」と歌い継ぎ、ジョンが最後の曲を次のように紹介しました…。
“For our last number I'd like to ask your help. The people in the cheaper seats clap your hands. And the rest of you, if you'd just rattle your jewellery. We'd like to sing a song called Twist And Shout.”
* さぁ、心を躍らせよう(Shake it up, baby) ツイスト・アンド・シャウト!(Twist and shout) C'mon... さぁ、こっちにおいで (Come on baby) こっちへ来て、すべてを発散させるのさ(Work it on out)
さぁ、始めよう (Work it on out) 君って、とびきりカワイイ! (Look so good) ほら、こんなにも僕の心を躍らせてる(Got me goin') …こうなる予感 がしてたんだ(Like I knew you would)
*
** 身をよじらせ踊る、かわいい娘 (Twist, little girl) 君のツイスト、とびきりカッコイイ!(Twist so fine) こっちに来て、体を寄せあい踊ろう (Twist a little closer) “君は僕のもの”って、心に焼きつけておくれ(Let me know you're mine)
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