I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「スリラー」マイケル・ジャクソン

2016.10.21

category : Michael Jackson

Michael Jackson - Thriller1 Michael Jackson - Thriller2


Michael Jackson - Thriller (1984年)



~発表!“有名故人の長者番付 2016”~

先日、アメリカ『フォーブス』誌が今年の“有名故人の長者番付”を発表しました。
この1年間(2015年10月~2016年10月)で最も稼いだ上位5人を並べてみると…

5位 プリンス – 2500万ドル(約26億円)
4位 エルヴィス・プレスリー – 2700万ドル(約28億円)
3位 アーノルド・パーマー – 4000万ドル(約41.5億円)
2位 チャールズ・シュルツ – 4800万ドル(約50億円)

さすがに誰もが知っている有名人が並んでいますが、彼らを退け頂点に立ったのは誰だと思います?
…と、その前に最も稼いだ現役のスターを報告しておくと、1位はやはりテイラー・スウィフトで1億7000万ドル(約175億円)でした!

さて、故人の第1位は大方の皆さんのご想像通り、マイケル・ジャクソンです。
でもその金額がオドロキで、マイケルの1年間の収入は推定“8億2500万ドル(約860億円)”!!
ただしその内7億5000万ドル(約780億円)は、彼が権利を所有していたビートルズ楽曲を含むソニー・ATV・ミュージックの出版カタログの売却によるもので、でもたとえそれを差し引いたとしても約80億円の収入があったことになるのですから、どっちにしろ1位だったことに変わりません。
しかし先日50歳での妊娠が明らかになったジャネット・ジャクソンといい、凡人にとってこの2人は“何もかも信じ難い兄妹”ですね!?



~概要~

「スリラー」は1982年12月1日に発売されたマイケル・ジャクソンの6thソロ・アルバム『Thriller』からの“7thシングル!”で、その発売はアルバム・リリースから実に約1年2か経過した1984年1月23日のことであり、これがBillboard Hot 100で4位(年間78位)を記録したことにより、彼は“同一アルバムから7曲連続Top10入り”という前人未到の快挙を成し遂げました。
1984年の第26回グラミー賞では『Thriller』関連が“8冠”に輝いたことで有名ですが、このうち「スリラー」のパフォーマンスによってマイケルは“Best Male Pop Vocal Performance”を受賞しています。


「Thriller」の作者はマイケルではなく、前作での「Off The Wall」や「Rock With You」の作詞・作曲を手掛けたロッド・テンパートン(Rod Temperton)で、マイケルのプロデューサーであるクインシー・ジョーンズにその才能を買われたライターでした。
その彼が今年10月6日に亡くなった(享年66)との報道があり、その追悼の意味からも今年のハロウィンは「Thriller」を特集しようと思いました。

Michael Jackson - Thriller3 Rod Temperton 1947-2016

ロッドによると作曲にインスピレーションを与えたのはジャクソンズのファンク・ナンバー「This Place Hotel」だそうですが、1981年のリック・ジェームス「Give It To Me Baby」の方が近いものがあるようにも思えます。
また、権利の折り合いがつかず実現はならなかったものの『Thriller』のセッションでは日本のYMOの1979年のヒット曲「BEHIND THE MASK」(作曲;坂本龍一)のカバーが試みられており、何処となく「Thriller」にはそのエッセンスが含まれているような気も…?
マイケルの歌う「ビハインド・ザ・マスク」は、2010年に未発表曲集『MICHAEL』で初めて公開)
一方、作品の当初のタイトルは「Starlight Sun」や「Give Me Some Starlight」だったものの、“子どもたちにアピールできるものにしたい”というマイケルの意向から「Thriller」に改められた経緯があったそうです。

「スリラー」というとマイケルのライブの定番曲ですが初披露は意外と遅く、発表から5年近く経った1987年の『Bad World Tour』でした。
ちなみに、世界で最初にそのパフォーマンスを目にする栄誉に浴したのが日本で、ジャンボ・ジェットのチャーター機で来日したりチンパンジーのバブルス君にまで話題が及ぶなど日本中が大騒ぎとなり、さらに翌年も再来日するなどこのツアーで計23公演を行い、祖国アメリカを除けば世界的に突出した数の公演を日本で行っています。
しかしツアーの歴史を振り返ってみると「Thriller」の生歌を聴けたのはこの2年間だけで、残念ながら1992年の『Dangerous World Tour』以降は口パクとなってしまったようです。






~Lyrics~

There's no escapin' the jaws of the alien this time (they're open wide)
“エイリアン”による“死の恐怖(jaws)”から逃れる術はない
This is the end of your life
…もはや、一生の終わり

【thriller】は、スリルを与える人・物・創作(小説・映画…)のことです。
そうしたテーマのせいか、この作品には“thrillerな映画のタイトル”が随所にちりばめられています(※あくまで、私の解釈です)。
『Alien/エイリアン(1979年)』や『Jaws/ジョーズ(1975年)』をはじめ『Second Chance/第二の機会(1953年)』『Grizzly/グリズリー(1976年)』『The Ghoul/ブラッディ ドクターローレンスの悲劇(1975年)』などがあり、結果としては『Creature/クリーチャー(1985年)』も含まれるでしょうか…。


So let me hold you tight and share a killer, diller, chiller
だからキツく抱きしめさせて?…ゾクゾクするほどステキなことを分かち合おう
Thriller here tonight
今夜、ここで…

SFでマイケルの“遊び”に振り回されっぱなしのガール・フレンドを演じているのは、オーラ・レイ(Ola Ray)《写真・左》。
1980年6月号のプレイメイト(雑誌『PLAYBOY』のモデル)として脚光を浴びた人で、他には『48時間』や『ビバリーヒルズ・コップ2』にも出演しています。
劇中では仲良しの二人ですが、2009年5月にはこのSFへの出演料が十分支払われていないと係争にまで発展しており、その騒ぎの中マイケルが突然死去してしまいました(6月25日)…。

Michael Jackson - Thriller4 Michael Jackson - Thriller5

For no mere mortal can resist
すでに命運尽きた人間に
The evil of the thriller
悪霊の使いに抗う術はない…

この作品に無くてはならない不気味なナレーションの締めくくりのラインで、この言葉を最後に“男”は不敵な高笑いと共に部屋を去って行きます。
“男”の名はヴィンセント・プライス(Vincent Price)《写真・右》、かつて“三大怪奇スター”と称された戦後のアメリカ・クラシック・ホラー映画の第一人者です。
その名の通り『肉の蝋人形』や『ハエ男の恐怖』といった“いかにも”な出演作を歴任し、彼を敬愛して止まないティム・バートンの『シザーハンズ』への出演が遺作となりました。



~おまけ映像 笑って許して?(笑)~

 
 



~Epilogue~

そして、「Thriller」といって忘れてはならないのが世界で最も有名といっていいミュージック・ビデオ。
ミュージシャンにとって売りモノは音楽であって、MVはプロモーションのための手段に過ぎないという認識を大きく変えたのがポピュラー音楽専門チャンネル『MTV』の開局であり、マイケル・ジャクソンでした。
マイケルは自身のMVを“ショート・フィルム(短編映画)”と捉えており、詞は脚本で、それを音楽と映像で極限まで表現し切ることを目指していたのです。
そうして出来上がったのが約14分にも及ぶSF「Thriller」で、彼はこの短い映像(MVとしては普通の3倍ありますが)のために50万ドル(当時のレートで1億1500万~1億2000万円)の制作費をつぎ込み(普通のMVの10倍)、映画『狼男アメリカン』の監督であるジョン・ランディスと特殊メイク担当のリック・ベイカーを雇い、ゾンビがフォーメーションを組んで繰り広げるダンスと斬新で迫力ある映像を融合し、誰もがアッと驚くクオリティにまで昇華させました。


“Due to my strong personal convictions,
これは私個人の強い信念に基づくものであって、
I wish to stress that this film in no way endorses a belief in the occult.”
決してオカルト信仰を支持するものではないことをお断りしておきます。

これは歌詞ではなく、SF「Thriller」冒頭に記される免責事項
キリスト系の教会の多くが“ハロウィンは世俗のイベントでありその習俗がキリスト教的ではない”と認識しており、一部の教会からは“ハロウィンは子どもたちに世の悪魔や闇を‘楽しみ’として誤った方向に導くもので、これはオカルトである”といった否定的な見解もあるそうです。
「Thriller」についてもこれと似た見解があり、映像の公開時そのオカルト性や暴力的なシーンが含まれると批判を受けました。
特にジャクソン家は“エホバの証人(Jehovah's Witnesses)”の信徒であり、当時マイケルもこれに属していたため、“ゾンビやクリーチャーは教義に反する”とエホバの証人の指導者から抗議され、SFに免責を入れたともいわれます(こうした軋轢のせいか、マイケルは1987年に教団とは縁を切ったらしい)。


2009年…
マイケルの生涯最後の公演になるはずだった『THIS IS IT』
ここでも、「スリラー」は披露される予定でした。
そのために3D化した新たな映像まで制作し、マイケルの生のパフォーマンスと、飛び出す3D映像を合成して観客のド肝を抜くステージを計画していました。
ここに紹介するのは、新たな映像と『THIS IS IT』でのマイケルのリハーサル映像を編集したものです。



That it's a thriller, thriller night
まさにそれがスリラー、スリルが訪れる夜
'Cause I can thrill you more than any ghost would dare to try
何故なら、僕がどんなゴーストよりゾクゾクさせてみせるから


天が遣わしたちょっとイタズラなエンターテイナーと、ドキドキ・ハラハラのハロウィンをお楽しみください♪ 



「スリラー」

お急ぎの方は“Short Version”をどうぞ♪


Writer(s): Rod Temperton /訳:Beat Wolf


[Verse 1:]
真夜中近づくころ…邪悪な何者かが、暗闇に身を潜めている
月明かりの下…あなたは、心臓が止まるほどの光景を目の当たりにする
悲鳴を上げようにも、迫りくる恐怖が声を奪い
身の毛のよだつ嫌悪に魅入られると、その身も凍り始め
身動き一つ、できなくなってしまう

[Chorus:]
何故なら、これがスリラー…スリルが訪れる夜
襲い来る獣から、あなたを救う者などいない
…それこそがスリラー、スリルが訪れる夜
今宵、あなたは命を懸けて内なる殺し屋と戦いを繰り広げる

[Verse 2:]
ドアの閉まる音に、あなたはもう逃げ場がないと悟り
その手の冷たさに、明日という陽に見(まみ)えぬと憂う
目を閉じ、これが想像の産物であれと願うも
その間中も、背後に“奴(creature)”の足音がヒタヒタと忍び寄る
…もはや、一刻の猶予もない

[Chorus:]
これがスリラー、スリルが訪れる夜
40の目玉を相手に、“二度目のチャンス(Second Chance)”はない
…それこそがスリラー、スリルが訪れる夜
今宵、あなたは命を懸けて内なる殺し屋と戦いを繰り広げる

[Bridge:]
闇夜を支配する化け物らの呼び掛けに
死者は仮面舞踏会へと歩みを始め
“エイリアン”による“死の恐怖(jaws)”から逃れる術はない 
…もはや、一生の終わり

[Verse 3:]
あなたを捕らえようと、悪霊たちは血眼で四方から迫り来る
ダイアル・ナンバーを変えない限り、奴らはあなたに憑き纏うだろう
…だから今こそ、ともに体を寄せ合おう
一晩中、僕がスクリーンに浮かぶ恐怖から守ってあげる
きっと…

[Chorus:]
まさにそれがスリラー、スリルが訪れる夜
何故なら、僕がどんなゴーストよりゾクゾクさせてみせるから
…これこそがスリラー、スリルが訪れる夜
だからキツく抱きしめさせて?…ゾクゾクするほどステキなことを分かち合おう
今夜、ここで…

[Rap - Vincent Price:]
暗闇が地上を覆い
真夜中の時が迫るころ
奴らは血を求め、這い回り
あなたの近隣を全て、恐怖に陥れる
そして、困難を打ち倒す強い意思を持たず
これと遭遇したなら、その誰もは
為す術なく地獄の猟犬の餌食となり
魂の抜けた屍(かばね)として、朽ち果てねばならない

この世のものとも思えぬ死臭が
四万年積もり、蓄えられた強烈な悪臭となり、漂う
屍肉を喰らう“灰色の(grizzly)”“悪鬼(ghoul)”が墓を出(い)で
あなたに死の運命をもたらさんと、迫り来る
生き延びようと抗おうにも
その体は恐怖に震え
すでに命運尽きた人間に
悪霊の使いに抗う術はない…


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1984年 ダンス/Funk グラミー 名作MV ハロウィン 

コメント

Beat Wolfさん、こんばんは
「スリラー」リズムもメロディーもよくって
マイケルの歌声を聴く限り、恐くはないですが
ラストの別な人の声は恐く、詞も恐くおまけに
カボチャの目も口も恐い(@_@;)

2016.10.21  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

確かに「スリラー」は曲自体魅力的ですが
作品にはまだ「秘密兵器」がありますよね?(笑)

でも「ラストの別な人の声」と「カボチャの目と口」はコワいですか!
解説では「ラストの別な人の声」に触れますが
「カボチャの目と口」がコワいのは、自分で克服してくださいね?(笑)

2016.10.21  Beat Wolf  編集

Beat Wolf さん、こんばんは。
いつも解説に付いていくことに集中していましたが、
マイケル特集なので、初めて動画を全画面にして
ダンスを見てみました。

ステージが暗くなるとジャケットがキラキラと輝くと
ジャケットは重いのだろうなとか、マイケルの足首は
しなやかにクルッと回ったりの巧さで全身でのダンスも
天才的と改めて思いました~♪

ボーカルはダンサーの動きについていくのも歌うのも
大変なのに歌もダンスも凄いし、生涯最後になるはずだった
「TIHIS IS IT」は叶わぬままで本当に残念ですね(。-_-;)

2016.10.24  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

「スリラー」について、本当はまだまだ書きたいことはあるのですが
時間もないし長過ぎるので、ここで止めときました。(笑)
マイケルの全画面ダンスですか、私は久々にDVDを引っ張り出してきました!

マイケルの体って、一体どうなっているのでしょうね?
あのしなやかな膝の動きを見ていると
まるで骨が無いかのように変幻自在で、足首もクルッと回ります!

確かに歌も100%+ダンスも100%は不可能です。
それじゃあ歌50%+ダンス50%で満足できるかというと…
その辺りが難しいですね。
「TIHIS IS IT」では、映像が客席まで飛び出してくる
ことを考えていたみたいですよ♪

2016.10.24  Beat Wolf  編集

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