「ビューティー・アンド・ザ・ビースト~美女と野獣」は、1991年のディズニー・アニメ映画『美女と野獣(Beauty and the Beast)』の表題曲です。 タイトルからして“Beauty”と“Beast”がデュエットしそうなイメージですが、この映画でヒロイン・ベルの声を演じたアメリカの女優ペイジ・オハラの歌唱は“あまりにブロードウェイ的”としてディズニーに却下されてしまいました。
これにより実際の劇中で歌っているのはBeastの召使い“ポット夫人”で、それを演じているのはトニー賞・ミュージカル主演女優賞の受賞歴もあるイギリスの女優アンジェラ・ランズベリー。 彼女はテレビ・ドラマ『ジェシカおばさんの事件簿』でお馴染みの人ですが(私は個人的に『ナイル殺人事件』のミセス・サロメ・オッターボーン役が強烈な印象)、1991年時点で66歳となる彼女がこの歌を歌うことについて自身でも戸惑いがあったといわれます。 ただし、“息子の愛の成就をやさしく見守る母心”のような彼女の「Beauty and the Beast」はレコーディングに立ち会ったスタッフの涙を誘い、2004年のAFI『アメリカ映画主題歌ベスト100』で62位にランクインするなど高く評価されている歌唱です。
一方、ディズニーは映画の宣伝用に「Beauty and the Beast」をシングルとしてリリースすることを決め、カナダ人歌手セリーヌ・ディオンを雇いレコーディングを試みるものの彼女の知名度不足を心許なく思い(『Unison』がヒットする前?)、「愛のセレブレーション」(過去ログ)などデュエットで多くの実績のあるR&B歌手ピーボ・ブライソンと組ませることにしました。 このバージョンは映画のエンド・クレジットで使用されBillboard Hot 100で9位(1992年の年間64位)とヒットし、1992年のセリーヌのアルバム『Celine Dion』にも収録されています。
1992年3月、第64回アカデミー授賞式では劇中で歌ったアンジェラ・ランズベリーとシングルver.セリーヌ&ピーボの豪華メドレーが実現、「Beauty and the Beast」は“アカデミー歌曲賞”を受賞しました。 また、翌年2月の第35回グラミーではセリーヌ&ピーボver.が“最優秀ポップ・パフォーマンス賞デュオ/グループ”を受賞しています。
2017年、ディズニーの実写版『美女と野獣』のテーマ曲を歌っているのはアリアナ・グランデ&ジョン・レジェンド。 アリアナ(Ariana Grande)は2013年のデビューからBillboard 200で2作連続No.1を達成した23歳のシンガー・ソングライターで、親日家としても知られます。 ジョン(John Legend)は今年の第89回アカデミー賞で最多の6部門を受賞したミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』にも出演している人気のR&B歌手/ピアニストです。 ところで、この劇中では誰が「Beauty and the Beast」を歌っているのだろう…。
~Lyrics~
Tale as old as time 時の歩みほどに悠久の物語 True as it can be それは、この上ない真実
Bittersweet and strange ほろ苦さと面妖が出逢い Finding you can change 自らの過ちを学び Learning you were wrong 自らも、変わり得ることに気づく
猛々しく粗暴な野獣はベルの優しさに触れることで心の安らぎを覚え、彼女によって拓かれた心には思いやりと人を愛する感情を芽生えさせてゆきます。 その変わりゆく心と、それに出逢えた悦びこそが作品のテーマ曲「Beauty and the Beast」であり、二人はこの曲と共にダンスを踊り、互いの心に芽生えたぬくもりを確かめ合うのです。
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