I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「ベイビーズ・イン・ブラック」ビートルズ

2017.04.14

category : Beatles & Solo

Beatles - Babys In Black1 Beatles - Babys In Black2


The Beatles - Baby's In Black (1964年)



~ポール・マッカートニー日本武道館公演~

2015年4月の『Out There! Tour』から2年ぶりに、ポール・マッカートニーが日本へ帰ってきます♪
今回のポールの来日というと、昨年大晦日の第67回NHK紅白歌合戦に彼が映像で出演し“2017年、日本に行くからね”というサプライズ・メッセージを発表したことが日本中の話題となりましたが、追加となった4月25日(火)の日本武道館公演もポール本人のサプライズとして3月9日に届けられたものでした。



前回の武道館公演当時、本ブログでは“1966年のビートルズ公演のセット・リストの再現”を期待し「I'm down」(過去ログ)を特集しましたが、フタを開けてみると意外にも“当時の再現”に対するポールのこだわりはなかったようで、残念ながら通常の『Out There! Tour』のセット・リスト(「ペイパーバック・ライター」(過去ログ)と「イエスタデイ」が該当)以外にビートルズ公演で演奏された曲はありませんでした。

しかし、本ブログでは性懲りもなく2017年武道館公演直前特集として、ビートルズ公演のセット・リストの1曲「Baby's In Black」をご紹介いたします!



~概要~

「ベイビーズ・イン・ブラック」は1964年12月4日に発売された4枚目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ビートルズ・フォー・セール(Beatles for Sale)』の収録曲です。
本作はビートルズのアルバムの中ではカバー曲も多く一般的に地味なイメージがある作品ですが、当ブログではこれまで「Eight Days a Week」や「Mr. Moonlight」、「Rock and Roll Music」の3曲を取り上げており、こうしてみるとなかなかインパクトのあるナンバーが揃っていると思いませんか?

レノン=マッカートニー作品はその名に反し実はどちらか一方だけによる創作が多いですが、「抱きしめたい」(過去ログ)などジョンとポールが終始2人でヴォーカルを分け合うものは本当の共作(貢献度が同等)の場合が多く、2人で歌い通す「Baby's In Black」は数少ない“リアル Lennon–McCartney”の一つです。
あまりロックっぽくない6/8拍子の楽曲をジョンとポールが同時に1本のマイクでヴォーカル録音した臨場感あるハーモニーが全体に豊かな色彩を添えており、どちらがメインのメロディーかの問いに対し、ポールは“どちらもメインさ”と答えています。

「Baby's In Black」はシングル・カットこそなかったものの、アルバム・リリース後1965年6月のヨーロッパ・ツアーからビートルズ最後の公演となる1966年8月29日のサンフランシスコ・キャンドルスティック・パークでのコンサートまで演奏され続けたセットリスト曲で、もちろん日本公演でも披露されました。
その間1965年にアメリカのハリウッド・ボウルで演奏されたライブ音源は1996年にアンソロジー・プロジェクトの一環としてリリースされたマキシ・シングル「Real Love」や、ビートルズ唯一の公式ライブ・アルバム『The Beatles at the Hollywood Bowl』が2016年に初CD化された際のボーナス・トラックに収録されています。



 
 



~Lyrics~

Oh dear, what can I do?
あぁ…一体、どうすればいいっていうの?
Baby's in black and I'm feeling blue
愛しい君は黒い服、僕の心はブルーなんて

【black】と【blue】の対比が効いています。
でも、彼女はなぜ黒を着るのでしょう…。

黒は重厚感や高級感、存在感があり、強さや神秘性を与える色のイメージ効果があります。
反面、無彩で光を反射せず色を吸収・遮断するので、絶望・孤独・恐怖など暗い(マイナスの)気持ちの象徴です。


She thinks of him and so she dresses in black
アイツのことで頭がいっぱいで、君は黒を纏(まと)う
And though he'll never come back, she's dressed in black
決して戻っては来ないのに、黒を纏う

彼女は「恋の奴隷」に? 
“あなた好みの女”になるため、黒を纏うというのでしょうか…。

確かに黒を纏った女性は“ミステリアス&セクシー”なイメージで、それを望む男性も多いでしょう。
でも、彼が決して戻っては来ないのに着続ける理由とは?



~Epilogue~

「Baby's In Black」は、ビートルズに纏(まつ)わる一人の女性がモデルになっているといわれます。
ジョンが美術を学んだリヴァプール・カレッジ・オブ・アートの親友で、1960年ごろビートルズのベーシストとして一時在籍したスチュアート・サトクリフ(Stuart Sutcliffe)という人がいますが、彼の当時のガール・フレンドだったアストリッド・キルヒヘル(Astrid Kirchherr)です《写真》。

二人はビートルズのハンブルク巡業で出逢い、恋に落ちます(アストリッドはドイツ人)。
程なくスチュアートは単身ドイツに残り画家を志し、アストリッドと婚約することになりますが、1962年4月10日に脳出血のため21歳の若さで亡くなってしまいました。

I think of her, but she thinks only of him
僕は君で頭がいっぱいなのに、君はアイツのことばかり
And though it's only a whim, she thinks of him
ただの気まぐれなのに、アイツのことばかり…


しかしアストリッドがビートルズに与えた影響は、「Baby's In Black」だけではありません。
彼女はファッションやデザインに鋭い感覚の持ち主で、彼女が恋人であるスチュアートに施した[moptop]の髪型や彼に着せた[round neck]のジャケットは後に【マッシュルーム・カット】【襟なしスーツ】としてビートルズのヴィジュアル・イメージに大いに貢献した、というのがファンの間での定説となっています。
ただし、アストリッド本人によると[moptop]は当時既にドイツの男の子の間で流行しており、その髪型を大いに気に入ったスチュアートが彼女にカットしてもらったのが実情で、[round neck]のジャケットも彼女の洋服を借りて彼がステージで着用したのが始まりだったそうです。
これに対し、当時革ジャン&リーゼント(いわゆる典型的な不良スタイル)がトレードマークだったビートルズのメンバーは、そんなスチュアートのスタイルを“ママのジャケット”とからかったといいます。

彼女がもたらしたものはそれに止まらず、当時アストリッドは写真家の卵でハンブルク時代のビートルズを被写体として多く撮影していますが、彼女の写し出すモノクロの“half shadow(半影)”スタイルが斬新で、それを大いに気に入っていたビートルズは2ndアルバム『With the Beatles』のアルバム・ジャケットにこの手法を用いました(撮影はロバート・フリーマン)。
また、『With the Beatles』と並びアート・デザインとして人気のビートルズの7thアルバム『Revolver』のジャケット・デザインを手掛けたクラウス・フォアマン(後にマンフレッド・マンのベーシスト)も、アストリッドとの縁によるものです(彼女の元恋人)。

Beatles - Babys In Black3 Beatles - Babys In Black4 Beatles - Babys In Black5


23歳の女性にとって婚約者と死別することは、それを経験したことのない者の想像など決して及ばぬ辛い悲しみであることでしょう。
しかし、同じく“唯一無二”の親友を失ったジョンはアストリッドに対し“生きるか死ぬかはっきりしろ、悩む余地なんてないだろ?”と声を掛けたといいます。
かなり際どい言い回しですが、“生きなきゃならないのだから、前を見ろ”という彼なりの叱咤激励でした。

斯(か)くしてジョンの“愛のムチ”が功を奏したかは定かではありませんがアストリッドはその悲しみを乗り越え、スチュアートの死から5年後(1967年)にビートルズのライバルだったロリー・ストーム&ザ・ハリケーンズでリンゴ・スターの後任ドラマーとなったGibson Kempと結婚を果たしました。

アストリッドはビートルズとの関係を、こう振り返っています…
“私が彼らと築いた最も大切なもの、それは[友情]です。”



「ベイビーズ・イン・ブラック」


Writer(s): Lennon–McCartney /訳:Beat Wolf



あぁ…一体、どうすればいいっていうの?
愛しい君は黒い服、僕の心はブルーなんて
教えて…ねぇ、どうすればいい?

**
アイツのことで頭がいっぱいで、君は黒を纏(まと)う
決して戻っては来ないのに、黒を纏う



僕は君で頭がいっぱいなのに、君はアイツのことばかり
ただの気まぐれなのに、アイツのことばかり

***
あぁ…君がその間違いに気づくまで
どれほど時間がかかるだろう
ねぇ…どうすればいい?
愛しい君は黒い服、僕の心はブルーなんて
教えて…ねぇどうすればいい?

***

**



最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1964年 フォーク・ロック ビートルズ・フォー・セール 

コメント

Beat Wolfさん
今晩は、ビートルズですかー
♪愛しい君は黒い服、僕の心はブルー
僕は君で頭がいっぱいで...♪
ポールマッカートニーですね~♪

2017.04.14  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

みすてぃむーんさんは、黒がお好きでしょうか?
イメージ的には白い(淡い色の)服ですが…。(笑)
でも、彼女の黒は「ワケアリ」なのです!

…そう、もうすぐポールです♪

2017.04.14  Beat Wolf  編集

昨年は武道館来日50周年やライブ映画でビートルズで大いに盛り上りました。そして今年はサージェントペッパーズとマジカルミステリー50周年、来月に特集記事を書くつもりです~!サージェントペッパーズの特集盤が5月にリリースされますね。

2017.04.15  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

そうですね。
特に日本公演はサージェント・ペパー発売直前なので
セットリストに力を関連曲を入れてくるでしょう。
この流れだと、来年はホワイト・アルバム50周年イベント
なんてあるかもしれませんね。

2017.04.15  Beat Wolf  編集

Beat Wolfさん
ビートルズがマッシュルームカットでスリムパンツなので
昔のグループですのに現代の今見ても古び過ぎず時代遅れにも
見えないのが幸いです。
黒の服にそういう意味があったのですね。

基本色は大きく3つで黒、茶色、紺で服と靴とバックをこの
3つの色から選び、好きと似合う色で選択し黒は重さをどこに
明るい色をもってくるのかコーディネート次第で見え方が変わります。
どこかにトレンドをちょっと付け加えます。
淡い色は春に合いますね~♪

ポール・マッカートニーの4/25武道館ですね(*^_^*)
ペイパーバック・ライターは好きですよー

2017.04.17  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

そうです。
黒の服には、「そういう意味」がありました(…といわれています)。
でも確かに現代からみると、リーゼント&革ジャンより
マッシュルームカット&スリムパンツの方が、違和感ありませんね?(笑)

う~ん、やっぱりみすてぃむーんさんは相当なおしゃれさんでしたね!
でも黒・茶色・紺が基本色というのは、予想が外れました…。(笑)
そして、どんな組み合わせも大切なのは「配色」ですよね!
でも、黒を基本色にすると「大失敗」は無さそう…。
私も、春は淡い色を意識します♪

「ペイパーバック・ライター」
ギターだけでなく、歌詞も面白いですよね!
過去ログにあるので、(コメントしなくていいので)どうぞお楽しみください♪
http://lmbeat.blog.fc2.com/blog-entry-135.html

2017.04.17  Beat Wolf  編集

ビートルズは、いつ聴いても良いですね〜(*^_^*)
最初の出だしだけで、昔に戻ります。

黒を纏う。
構わないで放っておいてほしい気持ちのあらわれですよね。想像もつかない悲しみでしょうから。

ジョンのお陰か立ち直って良かった。
彼女が「友情」と言ってるってことは、きっとお陰様ですね。

2017.04.23  ☆dct☆  編集

☆dct☆さん

私もビートルズ世代ではありませんが
直感的にスッと入ってきます。

黒は「構わないで放っておいてほしい気持ち」のあらわれですか…
それじゃあ、☆dct☆さんはまず着ない?(笑)
(社交的なイメージがあるので)

落ち込んだ時、優しく励ました方が良い人と
尻をひっぱたく方が良い人とありますが、彼女は後者?
でも、相手の性格をよく知ってないとなかなかできませんね。(笑)

2017.04.23  Beat Wolf  編集

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