I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「ワンダーウォール」オアシス

2017.08.04

category : Oasis

Oasis - Wonderwall1 Oasis - Wonderwall2


Oasis - Wonderwall (1995年)



~リアム・ギャラガー来日公演~

イギリスのロック・バンド、オアシス(Oasis)の元ヴォーカリストであるリアム・ギャラガー(Liam Gallagher)が8月17日にZEPP TOKYOで一夜限りの単独公演を行います。
今回の来日では、引き続きロック・フェスティバル『SUMMER SONIC 2017』への参加も予定されています。


ところでオアシス名物といえば[兄ノエルvs.弟リアムの兄弟ゲンカ]ですが、その終わりなき[百年戦争の発端]について、リアムが最近出演した『Howard Stern Show』で明かしています。

15歳の時、外で飲んで家に帰ったら(酔って)電気のスイッチも見つけられなくて、そしたら小便漏れそうになってその場で出したらノエルが買った新しい音響システムに小便をしちまってたんだ。あれは根に持ってると思う
(※要約編集;原文はもっとヤバい…)


「Wonderwall」の最新のパフォーマンスも披露してくれました♪



~概要~

「ワンダーウォール」は1995年10月にリリースしたオアシスの2ndアルバム『モーニング・グローリー[(What's the Story) Morning Glory?]』の収録曲で、3rdシングルとしてカットされ全英2位/126万枚売り上げ、アメリカBillboard Hot 100で8位(1996年の年間56位)を記録、オアシスにとってアメリカで唯一のTop10シングルです。
作者はノエル・ギャラガーで、リハーサルで初めて違うベース・ラインでこの曲を弾いた時、リアムは“バカ野郎、何やってんだ!オアシスはファンク・バンドじゃない”と気に入らない風だったものの、後になって彼が歌うことを希望したため自分で歌いたい気持ちを抑えてリアムに譲った経緯がありました。
…にも拘らず1996年の『MTVアンプラグド』に出演した際、喉の不調を理由にリアムが収録直前に突然歌うのを降りてしまったため(彼の場合“よくあること”ですが)、代わりにノエルが「Wonderwall」を含めた全曲でヴォーカルを務めています。

2012年のロンドン・オリンピックの閉会式に於いて、オアシスは既に解散していたため、ノエル以外のメンバーで構成されるビーディ・アイ (Beady Eye)が「Wonderwall」をパフォーマンスしたことをご記憶の方も多いでしょう。
しかし兄弟仲が悪かったせいかその際わざわざ兄であり仲間であるノエルの承諾を窺う必要があったそうで、実はこの時ノエルも参加を打診されていたものの彼は“イランの核開発のプログラムとか、そんな感じのトップ・シークレットの問題が関わっている”との理由で断ったとか!? 


モノクロで描かれるPVは、1996年のブリット・アウォーズで“Best British Video”を受賞した名作です。
この映像で特徴的な“回転するレコード”を見るたび同時期日本でヒットしたスピッツの「ロビンソン」と重なり“スピッツがマネした?”と当時思い込んだものですが、発売日を調べると「ロビンソン」が1995年4月、「Wonderwall」が1995年10月なのでマネしたのはオアシス…
…なワケないですね?

ちなみに、「Wonderwall」のPVでは2番の歌詞の所でチェロを演奏していることになっていますが、実際にレコーディングで使用された楽器はポール・ "ボーンヘッド" ・アーサーズによるメロトロンでした。
“意外なこと”にこの曲はドラッグ撲滅キャンペーンの一環を担っており、PVも1995年にMDMA(エクスタシー)摂取により18歳で亡くなったイギリスの女子高校生の葬式をサポートしたそうです。


「Wonderwall」について、U2のジ・エッジやBlurのアレックス・ジェームス、Metallicaのラーズ・ウルリッヒらが“自分が書けていたら”と嫉妬するなど、多くのミュージシャンにカバーされています。
作者ノエルのお気に入りはアメリカのシンガー・ソングライターのライアン・アダムス(Ryan Adams)で、彼のアコースティック・テイストを“お前にこの曲をやるよ。俺たちはこんなに上手くやれなかったから”と賞賛し、自らも彼のようなアレンジで演奏していました。
逆にお気に召さなかったのがワン・ダイレクション(One Direction)で、“陳腐なポップ・ミュージックをやるクソバカども”と例によってボロ[クソ]にこき下ろしています。


 
 



~Lyrics~

Back beat, the word is on the street
“Back beat”...通りで噂が囁かれてる
That the fire in your heart is out
君の心の火はもう消えてしまったって

【back beat】は音楽用語で、四分の四拍子の曲で二拍目と四拍目にアクセントを置くスタイルですが、ここでの意味は不明です。
但し「Wonderwall」発表の前年、デビュー前のビートルズを描いた映画『Backbeat』が公開となっており、ビートルズ・マニアのノエルがこれを観ていないとは考えられません!




And all the roads we have to walk are winding
二人が歩まなければならない全ての道は曲がりくねり
And all the lights that lead us there are blinding
導く全ての光は、目を眩(くら)ませる

【the roads ... winding】も、ビートルズ・ファンならピンとくるでしょ?
「The Long And Winding Road」(過去ログ)はビートルズ末期の作品で、当時のポール・マッカートニーの心境を綴ったとされる名曲です。

ビートルズ解散直前のポールの心情は“推して知るべし”ですが、果たして「Wonderwall」の主人公は…?


I don't believe that anybody
…そして、今この瞬間も信じない
Feels the way I do about you now
僕ほど君を求め、感じる誰かが他にいるなんて

ちょっとばかり表現を盛っていますが、ご容赦を。
1996年にノエル自身がNMEに語ったところによると、「Wonderwall」は当時の恋人メグ・マシューズ(Meg Mathews)のために書かれたものだそうです(97年に結婚)。
しかし彼女と離婚した後には“これは想像上の友だちがやってきて、あんたを自分自身から救ってくれる話”と説明するようになったとか…?



~Epilogue~

本曲のタイトル【Wonderwall】は直訳すると[不思議な壁]ですが、言葉としては一般的ではありません。
この特殊な言葉についてリアムは“[Wonderwall]はどのようにも捉えることのできる、美しい言葉だよ。バスのチケットを探し回り、そいつをやっと見つけて、引っぱり出す。畜生、[Wonderwall]はそういう時のための言葉さと、独特の言い回しで解説しています。


一方、【Wonderwall】はジョージ・ハリスンがビートルズ在籍中の1968年に発表ししたソロ・アルバム『不思議の壁(Wonderwall Music)』に依るといわれています。

ノエルの“ビートルズは俺にとって、すべてはそれに尽きる最も重要な存在。そこに始まり、そこで終わる”という発言からも、彼がどれほどビートルズに多大な影響を受けているか想像に難くはないでしょう。
ただしこのアルバムは映画のためのサウンドトラックであり、収録される「Wonderwall To Be Here」ほか19曲の殆んどはインストゥルメンタルの上、多くはインドのボンベイで録音されたという通りのサウンドで、そこからはオアシスの「Wonderwall」をイメージさせるものは感じられません。

むしろ興味深いのは、映画のストーリーです。

この映画はある老科学者が、ジェーン・バーキン演じる若い娘(ちなみに、ここでの彼女の役名は“Penny Lane”!)の美しさに心を奪われてしまう…という物語ですが、二人はアパートの隣人であり、彼は接する部屋の【wall(壁)】の穴から日夜彼女を覗き見ることで想いを慰めています。



And after all
そして、やっぱり
You're my wonderwall
君こそ、僕の“wonderwall”だから

彼と彼女の不思議なカンケイ…
映画で[wall]の果たした役割を考えると、「Wonderwall」の意味も“見えてくる”かもしれませんネ? 


Oasis - Wonderwall3

…ところで余談ですが今回、この映画に登場する老科学者のストーカーっぽい行いは、私が子どもの頃に見た強烈な記憶を思い出させました。
昔『土曜ワイド劇場』の名物シリーズで天知茂が名探偵・明智小五郎を演じる“江戸川乱歩の美女シリーズ”というのがあって、その中でも鮮烈なイメージが残っている「人間椅子」(ドラマでのタイトルは 「禁断の実の美女」)のエピソードです。
醜貌のため女性と縁遠い椅子職人(レオナルド熊)が、自分が入れる革張りの椅子を作ってそこに座った美女の感触を密かに楽しむ…という、衝撃的(変態的?)な内容。
ここでの椅子職人の心境を題材にすると、もっと“濃い”歌が出来上がりそう? 



「ワンダーウォール」


Writer(s): Noel Gallagher /訳:Beat Wolf


今日こそ、“その日”となるだろう 
“あの頃”を君に思い出させるんだ
でもそろそろ、君も気づくべきだった
自分の為すべきことに
…そして、今この瞬間も信じない
僕ほど君を求め、感じる誰かが他にいるなんて

“Back beat”...通りで噂が囁かれてる
君の心の火はもう消えてしまったって
そんなの全部耳に入ってると確信してるけど
君ときたら、疑うことを知らない
…でも、今この瞬間だって信じない
僕ほど君を求め、感じる誰かが他にいるなんて


二人が歩まなければならない全ての道は曲がりくねり
導く全ての光は、目を眩(くら)ませる
君に言いたいことは
たくさんあるというのに
どう伝えたらいいか、わからない

**
だって、たぶん…
僕を救えるのは、君しかいない
そして、やっぱり
君こそ、僕の“wonderwall”だから


今日こそ、“その日”となるはずだった
でも君が、“あの頃”を思い出すことはない
そろそろ君も気づくべきだった
自分の為すべきでないことに
…そして、今この瞬間も信じない
僕ほど君を求め、感じる誰かが他にいるなんて


**
**

たぶん
僕を救えるのは、君しかいない…


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1995年 ブリットポップ 男の恋 名作MV 

コメント

オアシスは名盤モーニンググローリーなどを聴いてみましたが今一つ彼らの魅力がわからないんですよ。コールドプレイとかは大好きなのに・・。ビートルズになりたいという志向をもつティアーズ・フォー・フィアーズも好きですが、何故かまだオアシスにはビビッツと来ない。魅力に嵌るコツを教えて下さいませ。

2017.08.04  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

『モーニング・グローリー』はまさにオアシスの中核的作品で
「Don't Look Back in Anger」とか、彼らの魅力が凝縮しています。
中心メンバーは大のビートルズ・オタクで
「Wonderwall」には、幾つものビートルズのエキスが入っていますよ♪

2017.08.04  Beat Wolf  編集

ギャラガ―兄弟のアホっぷりは置いておいて、才能は認めないと…

この盤は凄く聴きましたね~。当時は「ブラーVSオアシス」とか洋楽雑誌やFM誌で煽ってましたが、この盤で「勝負あった!」と思いました。アルバム全体に含まれてるであろう「カブト虫エキス」が感じ取れるように勉強したいです。(ビートルズの旧盤は結構持って入るんですけどね…)

レオナルド熊さんのイスへの侵入の仕方については勉強したくはないですが。

2017.08.07  地味JAM尊  編集

Re: ギャラガ―兄弟のアホっぷりは置いておいて、才能は認めないと…

そうですね
良い子は彼らの素行をマネしてはいけません!(笑)

「ビートルズVSストーンズ」もマスコミによる産物でしたからね。
ただ、ビートルズ・ファンはオアシスの方が自然に入れると思います。
でもビートルズの旧盤放置はもったいないですよ?

実は今回youtubeでイスへの侵入シーンを当時以来確認しました!
あの役はやっぱりレオナルド熊さんでなきゃ、ダメですね?(笑)

2017.08.07  Beat Wolf  編集

いつもBeat Wolfさん、盛りだくさんで
どこを切り取って話そうか?考えてしまいます(*^_^*)

ライアン・アダムスの素晴らしいこと✨
でも、Oasisの声も好きです。

モノクロで描かれるPV。発売日がはっきりしていて良かった(笑)
ロビンソン、懐かしい!

レオナルド熊さん、コメント控えます(*^_^*)

2017.08.14  ☆dct☆  編集

☆dct☆さん

いつも長文で申し訳ありません。(笑)
でもいつもお付き合いいただき、ありがとうございます♪

実は、ライアン・アダムスは私も今回が初めてで
「こんなアレンジもあるんだ…」と意表を突かれました。

モノクロでレコードが回るシーンは印象的です。
特にロビンソンはカラオケでもあの映像が使われていたので
うれしかったのを覚えています。

レオナルド熊さん、ちょっと女性ウケが悪い…?(笑)

2017.08.15  Beat Wolf  編集

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