I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「トゥー・トライブス」フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド

2017.08.11

category : 1980年代

Frankie Goes To Hollywood - Two Tribes1 Frankie Goes To Hollywood - Two Tribes2


~ “終戦の日”の思い ~

8月のこの時期は“お盆”や“終戦の日”など、今は亡きご先祖や昔のことに思いを致すもの…
故郷で懐かしい顔ぶれと再会し、穏やかにその時を過ごしたいと願っておられた方も多いと思いますが、今年は“あの国”がそうさせてはくれないようです。

でも昔、日本はアメリカに無謀な戦争を仕掛け多くの人命を失い、国土の大半は焦土となりました。
そして、人と人が憎しみ、争うことがどんなに醜いか…
「Two Tribes」が教えてくれるでしょう。



~概要~

フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド(FGTH)はバグルス/イエスのトレヴァー・ホーンに見出され1983年にデビューしたイギリス・リヴァプール出身のバンドで、過激な歌詞と先鋭的なサウンド、凝った映像で短命ではあったものの強烈なインパクトを残しました。

「トゥー・トライブス」は日本でも知名度の高いデビュー曲「Relax」に続く1984年6月発売の2枚目のシングルで、全英9週連続No.1という金字塔を打ち立て、これは1980年代最長のNo.1となっています。
また、2015年のITV“favourite 1980s number one in a poll”の投票では14位にランクされるなど、長く国民に親しまれている作品です。
一方アメリカでは、PVが“アレ(後述)”のためかBillboard Hot 100で43位と、期待外れに終わっています。
当時最先端のサウンドを構築したのはプロデューサーのトレヴァー・ホーンによる功績で、シングルは12インチを含む7種類のミックスがリリースされ、イギリスだけで200万枚近くのセールスを挙げました。

「Two Tribes」のインスピレーションの起源は1981年12月に公開された映画『マッドマックス2(Mad Max2:The Road Warrior)』の中での【when two great warrior tribes go to war】というラインからの引用だそうで(未確認)、楽曲自体は翌1982年にイギリスBBCの名物ラジオ番組『Peel Session』に出演した際すでに披露されています。
“【Two Tribes(2つの部族)】が戦争しても何の得にはならない”という明確な反戦メッセージは、当時約6万発の核兵器(2014現在は約9000発)を保有していたアメリカとソ連を中心とする“東西冷戦”への批判であり、1984年の『アイヴァー・ノヴェロ賞』(ソングライター・作曲家のための賞)で“Best Song Musically and Lyrically”も受賞しています。

また、「Two Tribes」というと楽曲以上にPVが人気で、80年代の名作ミュージック・ビデオの企画では高頻度で紹介される作品です。
制作したのはエイジアの「Heat Of The Moment」(過去ログ)やハービー・ハンコックの「Rock It」、ポリスやデュラン・デュランの多くのPVで斬新なアイデアを発表し80年代を代表する映像ディレクターと評されたゴドレイ&クレーム(Godley & Creme)で、ここでもそれを如何なく発揮しています。
「Two Tribes」の歌詞には【On the air America】(⇒映画『Love is On the Air』で初主演)や【I modelled shirts by Van Heusen】(⇒アパレル・メーカー『Phillips-Van Heusen Corporation(PVH Corp)』の宣伝キャラクターに起用)など、ロナルド・レーガンの経歴を匂わせるキーワードが組み込まれていること、作品のテーマが東西冷戦であることから当時アメリカ大統領だったレーガンとソ連の最高指導者コンスタンティン・チェルネンコが直接対決するというパロディーになっています。


 
 



~When two tribes go to war... ~

2017年8月、北朝鮮情勢が一触即発の状態に達しています…

金正恩総書記就任以降北朝鮮は核・ミサイル開発を加速させ、日米韓は安保法整備や合同軍事演習・経済制裁・国連決議などの圧力を形成し、これに対抗しようと試みてきました。
近年北朝鮮による日本の排他的経済水域(EEZ)への弾道ミサイル落下はもはや常態化していましたがこの10日、“中距離弾道ミサイル[火星12]4発を島根・広島・高知上空を経由し、アメリカ空軍及び海軍基地のある米領グアム島周辺30~40キロの水域(接続水域)に向けて着水させる作戦計画を今月中旬までに完成し、発射待機態勢を維持したまま金正恩朝鮮労働党委員長の命令を待つ”旨を表明しました。
(※恐らくこれは前日8/9、アメリカが北朝鮮の弾道ミサイル発射基地への先制・精密爆撃のためのB1戦略爆撃機をグアム基地に配備させたことその他への対抗措置と思われる)

これを受けてのトランプ大統領のツイッターでの一々の応答は“省略”するとして、元海上自衛隊海将・伊藤俊幸氏ら日本の専門家の多くは“接続水域にミサイルを撃ち込まれたらアメリカは迎撃する”とみているようです。
(※但し接続水域にあたる海域は国際法上は[公海]で、法的には“本件の迎撃は正当な自衛とはいえない”

もちろんアメリカは北朝鮮と水面下で交渉を継続していると伝えられていますが積年かけて合意できなかった相手との交渉が今回に限って上手くいく保証はなく、8月21日から予定される米韓合同軍事演習が予定どおり実施されるようだと合意形成に失敗した可能性が高く、これを口実として北朝鮮はミサイルを撃ってくるという最悪のシナリオへと足を踏み入れてしまうことも考えられます。


また、平和裏に北朝鮮問題を解決するために不可欠なのが北朝鮮の唯一の軍事同盟国・中国です。
元々中国は“朝鮮半島の核化には絶対に反対”であり、“(米韓、朝)どちら側の武力的挑戦(戦争)にも反対”で、“朝鮮半島の緊張について、平和的手段をもって解決されるべき”との立場を主張してきましたが、8月11日に共産党機関紙・人民日報傘下の『環球時報』は、以下のような踏み込んだ見解を表明しています。

北朝鮮が先に米国に向けてミサイルを発射し、米国が反撃した場合、中国は中立を保つ。
米国と韓国が先制攻撃を仕掛けた場合、中国は阻止する。 (←“武力で”とは言っていない?)

一方、マティス米国防長官は14日、“北朝鮮が米国をミサイル攻撃すれば直ちに戦争に発展する恐れがある”と述べています。
ミサイルを撃つと直ちに体制崩壊への戦争となり、しかも同盟国である中国も味方してくれないという状況下で、果たして北朝鮮はこのままミサイルを発射するのでしょうか…。



~Epilogue~

…翻って、私たち日本はどうなるのでしょう?

安保法成立で集団的自衛権の行使が可能(※但し違憲の疑いに変わりはない)となった日本は、10日の衆院安全保障委員会で小野寺五典防衛大臣が“北朝鮮のミサイルが米領グアムに向けて発射された場合(武力行使の)新3要件に合致すれば(イージス艦による)迎撃可能”といった旨の答弁をしています。
つまりその行使については国際法違反(自国領土・領海外での迎撃)や技術的な問題があるため可能性は低いものの、アメリカに要請されれば実行せざるを得ないという含みなのかもしれません。
しかしこれを実行した場合、自国が武力攻撃を受けたわけでもなく当該国(アメリカと北朝鮮)で武力衝突が生じる前に日本が北朝鮮の所有物に対し攻撃を加えることは【先制攻撃】とみなされる可能性(戦争の始まりとなる可能性)があり、この国が戦後70年大切にしてきた【専守防衛】の精神とは相反する領域に足を踏み入れることになります。

そうした国の防衛任務を担う防衛省は今年、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加した陸上自衛隊の活動記録【日報】の隠ぺい問題で世間を騒がせ、この影響を受け防衛大臣と防衛事務次官・陸上幕僚長のトップ3人が辞任に追い込まれるという前代未聞の不祥事がありました。
【森友学園問題】【加計学園問題】など相次ぐ疑惑の連発に安倍総理は内閣の改造を断行、“深く反省し、謙虚に、丁寧に一つ一つ結果を出していく”と国民の前で誓ったことは記憶に新しい所です。
…しかし今月8日に公表された『2017年版の防衛白書』(防衛省・自衛隊の1年間のできごとなどを記載)には日報問題について一切記載せず、10日の参議院外交防衛委員会でも小野寺防衛大臣が“日報問題の再調査は必要ない”と答弁するなど、組織腐敗の究明をせず、問題を無かったことにしようとする彼らの本質は何も変わっていないように見えます。

北朝鮮情勢が緊迫する中、こうした政府の腐敗を追及している場合ではないとお考えの方もおられるでしょう。
しかし戦争へと向かいかねない今だからこそ、軍事を担う防衛省や自衛隊の最高指揮官であり安全保障を統括する安倍首相の権力運営が適正か、国民がしっかり注視する必要があると思うのです。
何故なら、そうした権力者による不都合な事実の隠ぺいや不正な情報操作・統制の積み重ねを許すとどれほど深刻な事態を引き起こすか、72年前の敗戦は教えてくれています。


今回の事態の最終決断を下すことになるトランプ大統領“戦争が起きるなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ”と発言していますが、権力者とは古今東西そんなものです。
“戦争を始めるのは権力者”であり、“真っ先に生命・財産・自由を奪われるのは一般市民”と相場が決まっているため、権力者は他人事として安易に戦争を始めてしまうのです。

戦争とは、自国民のみならず同盟国、敵国それぞれの人間の命を同時に奪うこと…
他人(ひと)の痛みがわからない人間に、国民の命を預かる資格はありません。

When two tribes go to war
2つの部族が戦争へと突き進んだ時
A point is all you can score
得られるのは、たった1ポイント

 “それでも戦争したいなら、他人をアテにせず戦いたい当人同士が気の済むまで殴り合え!”



「トゥー・トライブス」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


Writer(s): Peter Gill, Holly Johnson, Mark O'Toole /訳:Beat Wolf


(アナウンス)
空襲警報音は
このような音です…

空襲警報をお聞きになったら
ご家族と共に、避難してください…


Ow...
Let's go


2つの部族が戦争へと突き進んだ時
得られるのは、たった1ポイント
Working for the black gas...

カウボーイ No. 1
生まれ変わった貧乏人の息子
エア・アメリカで
ヴァン・ヒューゼンのモデルを務め
Working for the black gas...



防御スイッチを切れ
そして、感じるんだ
俺が愛を及ぼし
いい時代を取り戻してやる
さぁ船出だ
I'm working for the black gas...

勝利を宣言せよ
愛と生命…

歌声に耳を傾けよ
俺に続け…



俺たちは2つの部族と
爆弾を手中にした
さぁ、共に一夜を楽しもう

この世は
性と恐怖が新たな神か
Yeah

2つの部族が戦争へと突き進んだ時
得られるのは、たった1ポイント


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

コメント

いよいよこの曲の登場ですか

当然、あのPVとセットになるんでしょうが。
中学の時に「馬鹿中坊」なりに当時の世界状況など考えたもんでした・・・。

現在は、トランプVS他のTribesになってる世界の現状・・・北朝鮮、中国、ロシア、キューバ、イスラム系国家に温暖化や移民を巡る各国とか。PVのプロレスどころかバトルロイヤルで自分だけ狙われてる感じ?日本国内もクソ状態ですが、アメリカもどうするつもりなんでしょうね??beatwolfさんの調理具合が実に楽しみです。

2017.08.11  地味JAM尊  編集

Re: いよいよこの曲の登場ですか

そうですね…
この作品の面白みはやっぱり「あのPV」ですが
中学生にも世界情勢の勉強になりますね。
(今の中学生にとっては歴史の勉強?(笑)

気がつけば、日本が属する北東アジアは
21世紀最も危険な地域といえるでしょうね。
近隣国はほとんど日本と仲が悪い国ばかりで
その多くが核・ミサイルを日本に向けてセットしている現状。
しかも同盟国アメリカは世界一ケンカっ早く、これらの国とも仲が悪い…。
…日本はよく戦争起きずにきましたね?(笑)

2017.08.12  Beat Wolf  編集

フランキーゴーストハリウッドはリラックスくらいしかしらずに全く不勉強、プログレバンドと深い縁があったんですね~!これからの新たな聴くべきアーティストがまた一つ増えました。

2017.08.16  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

全盛期のイエスのファンはトレヴァー・ホーンを
イエスと認めるかはわかりませんが
『90125』は彼の功績が大きいです。

2017.08.16  Beat Wolf  編集

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