I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「エリナー・リグビー」ビートルズ

2017.09.01

category : Beatles & Solo

Beatles - Eleanor Rigby1 Beatles - Eleanor Rigby2


The Beatles - Eleanor Rigby (1966年)



~「エリナー・リグビー」のオリジナル・スコアがオークションに!~

ビートルズ屈指の美曲「エリナー・リグビー」のオリジナル・スコアが、9月11日のオークションに出品されることになりました。
競売はビートルズの出身地リヴァプール近郊のウォリントンで行われ、約280万円程の落札額が見込まれているそうです。

「エリナー・リグビー」の楽曲自体のクレジットはご存知【Lennon–McCartney】ですが、弦楽八重奏を起用しているため編曲はプロデューサーのジョージ・マーティンが担当し、鉛筆で手書きしたスコアにはマーティンとポールが署名を入れています。
今回の競売では他にも「エリナー・リグビー」にまつわる出品が予定されており、主催者は“世界中で激しい争奪戦になるはず”と息巻いているそうです。



~概要~

「エリナー・リグビー」は1966年8月5日にイギリスでリリースされたビートルズの13枚目のオリジナル・シングル(「Yellow Submarine」と両A面)で、同日発売の7thアルバム『リボルバー(Revolver)』に収録されました。
シングルとしてイギリスではNMEで4週/MMで3週No.1に輝き、アメリカではB面扱いとなったもののBillboard Hot 100で11位を記録、2004年にはローリング・ストーン誌【The 500 Greatest Songs of All Time 137位】にもランクされています。

作者はポールでお得意の“物語風”を展開させていますが、歌詞のアイデアが煮詰まって自己完結できず他のメンバーらにアイデアを出してもらって完成させたようです(詳細別項)。
リード・ヴォーカルはポールで、本曲の歌唱により1966年のグラミーで【Best Contemporary Pop Vocal Performance, Male】を受賞しました。
一方、コーラスにジョン・レノンとジョージ・ハリスンが参加した以外、演奏についてビートルズは一切関与しておらず、このためリンゴ・スターは全く出番がありませんでした。

本曲は「Yesterday」に続いて二度目の本格的ストリングス編成曲ですが、こうしたクラシック志向には当時の恋人であるジェーン・アッシャーの存在が大きく影響を与えています。
ジェーンのお母さんはロンドンの名門ギルドホール音楽演劇学校の教授で、ジョージ・マーティンにオーボエを指導した人であり、当時アッシャー宅に住み込んでいたポールも彼女からクラシック音楽やその知識を授かっていました。
「Eleanor Rigby」はそんなアッシャー宅の地下の音楽室にあるピアノから生まれた曲であり、ポールがジョージ・マーティンに編曲を依頼した際“(アントニオ)ヴィヴァルディ風の弦楽八重奏”と注文をつけた知識も、その産物だったのです。
こうした経緯から生まれたのがヴァイオリン4/ヴィオラ2/チェロ2本という、ビートルズ作品中でも極めて特徴的な音の響きでした。

しかし、「Eleanor Rigby」の特徴的な音の響きは弦楽八重奏だけではありません。
通常のステレオは、左右2つのスピーカーによって実際そばで演奏を聴いているような音に近づけるものですが、『リボルバー』に収録の(オリジナルの)「Eleanor Rigby」では基本的にポールのリード・ヴォーカルは右チャンネルに、コーラスは左チャンネルに、ストリングスは左右両方(中央から聴こえる)に分別され入っており、特にヘッドホンを使うとそれぞれの切り代わる独特な音の感覚を楽しむことができるでしょう。
ただし、後年リミックスが施された「Eleanor Rigby」メイン動画はこの音源)は音質がクリアになっている反面、全ての音が中央から聴こえる普通のステレオ形式に変更されているので、ファンとしては微妙な所です…。

ビートルズ時代を含め「Eleanor Rigby」は長年封印されていた作品でしたが1984年、ポールは自作映画『ヤァ!ブロード・ストリート(GIVE MY REGARDS TO BROAD STREET)』で本曲を初めて再演、その際「エリナーの夢(Eleanor's Dream)」というインストゥルメンタル曲を新たに創作しメドレーとしています。
また、ライブとして最初に披露されたのは1989年9月からのワールド・ツアーで、ビートルズ時代には不可能とされたストリングスの音をキーボードで再現し、ファンを歓喜させてくれました。

カバーはジョーン・バエズ、ヴァニラ・ファッジ、アレサ・フランクリンなどが有名ですが、私は何といってもレイ・チャールズ
彼は1968年に「Eleanor Rigby」をカバーしBillboard Hot 100で35位とヒットさせ、1990年にポールが“グラミー特別功労賞生涯業績賞”を受賞したステージで本曲をトリビュート演奏したことで、とりわけインパクトを残しました。


 
 



~Lyrics~

Ah look at all the lonely people
すべての孤独な人々について考える…

【孤独】という物語の展開に行き詰ったポールは他のメンバーや、ジョンの家に遊びに来ていた元クオリーメンのピート・ショットンに相談を持ちかけており、このラインはジョージ・ハリスンのアイデアだといわれます。
ジョンは1971年に“歌詞の半分以上は僕が書いた”、1980年には“最初のヴァース以外全部僕が書いた”と発言していますが、ポールは“ジョンにはいくつかの言葉を助けてもらったけど、8割は僕が書いた”、ピート・ショットンは“ジョンの貢献は0”と、認識に差異があるようです。

ジョンの“全部僕が書いた”やピート・ショットンの“ジョンの貢献は0”はそれぞれ余りに極端で、不自然さが感じられたため少し掘り下げてみたところ、話し合いの中で「Eleanor Rigby」の結末についてピート・ショットンが“最後はマッケンジー神父がエリナー・リグビーの葬儀を取り仕切る”と提案したのに対し、ジョンはそれを反対するなど意見を異にしており、結果的にポールはピートの意見を採用したため、ジョンはプライドを傷つけられたのではないでしょうか…?
ただ、【孤独】は明らかにジョンの得意とする分野であり、彼は少なからずこの作品に対し“思い入れ(執着)”があったと思うので、“ジョンの作詞による「Eleanor Rigby」”も味わってみたかった気もします。


Eleanor Rigby, picks up the rice
エリナー・リグビーは米を拾う
In the church where a wedding has been
結婚式後の教会

ポールは最初【Miss Daisy Hawkins】の名を思いついたものの満足できず、映画『Help!』で共演した女優【Eleanor Bron】から[Eleanor]を、1966年1月に舞台公演中のジェーン・アッシャーに会うため訪れたブリストルで見掛けた酒店【Rigby&Evens Ltd】から[Rigby]を取って【Eleanor Rigby】としました。

エリナー・リグビーの人物設定についてポールは“何もかも上手くいかないオールド・ミスの掃除婦”としているようで、ライス・シャワーを浴びて若いカップルが人生最良の日を謳歌した宴の後始末を、オールド・ミスが行うというのは何ともせつないものがあります…。


Father McKenzie, writing the words
マッケンジー神父は言葉を綴っている
Of a sermon that no one will hear
誰の耳に届くこともない説教を

一方こちらは最初【Father McCartneyとしたものの、ピート・ショットンに“ポールの実父と誤解されるので変えた方がいい”と指摘され、電話帳を調べて【McKenzie】に決めたそうです。
また、このラインと[靴下を繕う]というアイデアを出したのはリンゴ・スターともいわれます。
確かに、社会的地位も高いであろう年代の男性が独り靴下を繕う姿というのは、侘びしさをかき立てますが…。
(俗人はともかく、そのくらい物を大事にして安易に他力を頼まない高潔さこそ、聖職者の本来あるべき姿?)

ちなみに【Father McKenzie】には[ハザマケンジ]の空耳があり、[ミッキー・マッケンジー(Miki McKenzie)]は水谷豊の最初の奥さまです。 



~Epilogue~

…ところで、この作品には不思議なエピソードがあります。

【Eleanor Rigby】は1966年にポールが架空の人物として創作した名前ですが、ジョンとポールが初めて出会ったリヴァプールのセント・ピーターズ教会、そのウールトン共同墓地の中に【Eleanor Rigby】の名が刻まれた墓石《写真・左》が、1980年代になって発見されたというのです!
どんな名前も、世界を探せば大抵[同名異人]が見つかるものですが、ポールの出生地(ウールトン)、しかもジョンとの運命の出会いがあった場所でそれが見つかるという偶然…?
ちなみに、ポール本人は近年も基本的に“Eleanor Rigbyは架空の人物”という立場を通している一方、現実との奇妙な一致について“無意識のうちに影響を受けたかもしれない”とも言及しています。

Beatles - Eleanor Rigby3 Beatles - Eleanor Rigby4
 右は「Eleanor Rigby」をモチーフとして、1982年にスタンリー・ストリートに設置されたエリナー・リグビーの銅像。


では墓地に埋葬されたEleanor Rigbyさんとは、一体どんな生涯を送った人なのでしょうか?

墓石の記録によると彼女は独り身ではなく既婚者で、1939年に44歳で亡くなっています。
別の情報によると彼女はリヴァプールの病院で働いていた経歴があり、私は1956年に47歳で亡くなったポールのお母さん(ウールトン病院の元看護師)の生涯との類似を感じました。
ポールはこの時14歳、母を亡くした悲しみはもちろん、それまで涙を見せたこともなかった父が大泣きしている姿に衝撃を覚え、本当に大変なことが起きたのだと悲しみを深くしたそうです。
もしも母を亡くして間もないポールがこの墓と出あっていたなら、きっとその事を思い出さずにいられないでしょう。
ポールが【Eleanor Rigby】に込めた想い、そして当初なぜ【Father McCartney】を登場させようとしたのか、彼の心に少し近づけたような気がします。


All the lonely people
孤独なるすべての人々
Where do they all come from?
それは、何処からやって来るのか…

人は、誰もが孤独なものである。
そして、かけがえないものを失った時、その宿命を識る。
暗闇があるからこそ、光を求め彷徨(さまよ)う。
“生きる”とは、後戻りできないその闇を“時間切れ”まで前に進むこと…。



「エリナー・リグビー」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


Writer(s): Lennon–McCartney /訳:Beat Wolf



すべての孤独な人々について考える…

エリナー・リグビーは米を拾う
結婚式後の教会
まるで夢幻の世界に生きている
ドアそばの壺に取り置いた
化粧を顔に施し、窓辺で待っている
…一体、誰のために?

**
孤独なるすべての人々
それは、何処からやって来るのか…
孤独なるすべての人々
あなたの、在るべき場所とは?

マッケンジー神父は言葉を綴っている
誰の耳に届くこともない説教を
きっと、立ち寄る者さえない
ご覧…靴下を繕うあの姿
この夜更け、そばにいる者さえない
…一体、何を気にして?

**


エリナー・リグビーは教会で息を引き取り
その名と共に葬られた
誰に見送られることもなく
マッケンジー神父は手の泥を拭い
墓から戻ってくる
…そこに、救われた者はない

**
孤独なるすべての人々
それは、何処からやって来るのか…
孤独なるすべての人々
あなたの、在るべき場所とは?


~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

コメント

【リボルバー】このアルバムから数々の名曲を生んでいますね。ポールの声で織りなす「エリナーリグビー」は歴史的な名曲で永遠の受け継がれますね。美しいホルンの響きがコラボする癒しの名曲「フォーノーワン」、ジョージがリードボーカルを取ったアップテンポ曲(英国の税金制度を諷刺)「タックスマン」とインド音楽魅力に傾倒しており「ラブ・ユー・トゥ」、ひょうきんな雰囲気で遊び心で重層録音編集を楽しんでいる「アイム・オンリー・スリーピング」、美しいバラード曲「ヒア・ゼア・アンド・エヴリウエア」、このアルバムの魅力はいつまでたっても褪せません。

2017.09.04  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

そうですね。
リボルバーに限らず、ビートルズのアルバムは名曲の
オンパレードだと思います。

「エリナーリグビー」は歴史的な名曲ですか…
確かに専門誌でもオールタイムの名曲として評されているし
何といっても美メロですよね。
サウンドは時代遅れにもなりますが
曲の美しさは、時代が変わっても変わりありませんね。

2017.09.05  Beat Wolf  編集

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古い歌の“温故”から、歳月を重ねた“知新(いま思う・いま考える)”を綴ります。



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