I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「サウンド・オブ・サイレンス」サイモン&ガーファンクル

2017.11.10

category : Simon & Garfunkel

Simon Garfunkel - The Sound of Silence1 Simon Garfunkel - The Sound of Silence2


Simon & Garfunkel - The Sound of Silence (1965年)



~“沈黙”に支配された声~

11月5日に76歳の誕生日を迎えたサイモン&ガーファンクルのアート・ガーファンクルが、現在来日中です(11/17まで)。
“天使の歌声”と評される声の持ち主であるアートですが、さすがに76歳ではどうだろう…
とYoutubeを探してみると、今年の映像がありました!

やっぱり天使の歌声♪   (…でも頭頂部は齢相応?)

「サウンド・オブ・サイレンス」は歴史に残る美しい曲である一方、謎の多い作品です…。



~概要~

「サウンド・オブ・サイレンス」は言うまでもなくサイモン&ガーファンクルの代名詞としてあまりに有名な作品であり、ローリング・ストーン誌“The 500 Greatest Songs of All Time 156位”にも数えられた歴史的名曲です。
ただし、ヒットに至るまで意外にも紆余曲折のある作品なので、それも併せてご紹介しましょう。

「The Sound of Silence」はポール・サイモンが21歳(1962年頃)の時に書いたものが元となった作品で、ポールは大学を卒業後6か月ほど出版社やレコード会社に本曲を含む自作曲の売り込みをかけましたが相手にされず、結局自分で歌うことを決意しました(一時「The Sound of Silence」などの権利を彼らに譲渡するつもりだったものの対立が発生し取り止めた)。
その後アート・ガーファンクルとのコンビを復活させた(1957年に【Tom & Jerry】を結成)ところをコロムビア・レコードのプロデューサー、トム・ウィルソンに見出されコーラスとアコースティック・ギターのみで構成された非常にシンプルな「The Sound of Silence」の最初の音源を含む1stアルバム『水曜の朝、午前3時(Wednesday Morning,3A.M.)』を1964年に発表しました。
しかし発売初年度の売上が3,000枚と惨憺たるものであったためポールはヨーロッパへ放浪、アートも学業の道に戻るなどS&Gはデビュー早々から解散含みの状態に陥ってしまいます。

1965年、ポールのロンドンを拠点とする音楽活動が軌道に乗り始め、BBCのラジオ番組で曲が放送され好評を博したためイギリスでソロ・アルバム『The Paul Simon Songbook』を発表、ここでも「The Sound of Silence」は“ポールのソロ作品”として再レコーディング・収録されました。
しかし“瓢箪(ひょうたん)から駒”とはこの事で、同じ頃アメリカのFM局でも「The Sound Of Silence」の人気が高まる現象が起こっていたため『水曜の朝、午前3時』のプロデューサーのトム・ウィルソンは、自身が当時担当していたボブ・ディランの「Like a Rolling Stone」のレコーディング・ミュージシャンを使って、1964年ver.の「The Sound Of Silence」を独断でエレクトリック・ギターとドラムスを加えるなどフォーク・ロック調にリミックスし直して同年9月にシングルとして発売、これが翌年1月にBillboard Hot 100で2週No.1(1966年の54位)という思わぬ大成果を挙げています。

この“棚から牡丹餅”的幸運(?)によって、解散の危機にあったサイモン&ガーファンクルの二人が急きょ招集され、1966年に本シングルを含む2ndアルバム『サウンド・オブ・サイレンス(Sounds of Silence)』を発表すると、これが世界中でベストセラーを記録し、一気に彼らの人気を確固たるものとしました。
翌1967年にはダスティン・ホフマン主演の映画『卒業(The Graduate)』のテーマ曲となり、S&Gの作品群をメインとしたサウンドトラックも全米No.1に輝いています。


 
 



~Lyrics~

Hello darkness, my old friend
暗闇よ、こんにちは…僕の古い友だち
I've come to talk with you again
また君と話しに来た

イントロからの悲しくも寂しげなギターの旋律が印象的であり、出だしから“[darkness]を[my old friend]と呼ぶ主人公”について興味を覚えずにはいられないでしょう。
辞書によると【darkness】には“暗さ、暗やみ、心のやみ、無知、腹黒さ、邪悪、不明瞭、あいまい、秘密…”などネガティブなイメージの定義が並びます。
ただし、ポール自身にとって“darkness(暗闇)は集中力を高めるもの”だそうで、だからこそ[my old friend]なのでしょう。
彼は風呂場で蛇口から流れる水の音を聞くのが好きで、“「The Sound of Silence」は風呂場で電気を消して真っ暗の中で作曲した”そうです。
そんなリラックス・モードから生まれたせいか、歌の出だしは当初“【Aloha(ハワイ語の挨拶)】 darkness”だったと、アートが証言していますよ!

もちろん、本作の主人公にとって[darkness]がポールと同じ意味をもつとは限りませんが…。


And the people bowed and prayed
…そして人々は額(ぬか)ずき、祈った
To the neon god they made
自らが創り出したネオンの神に向かって

【the neon god】は現在も一般的な言葉ではないようで、恐らくポールによる造語と思われます。
これについて巷では[テレビ]や[文明]といった具体的な言及もあるようですが、定かではありません。
ただ、明らかであるのは“それはthey(people)が作ったもの”であり“人々から神の如く崇拝されている”、ということ。

そうした人々と[the neon god]との関係は、主人公にどう映っているのでしょう…。


People writing songs that voices never share
人々は、声を共にするでもない歌を書いている
And no one dared
そして、敢えて
Disturb the sound of silence
沈黙の世界を乱す者もない

「サウンド・オブ・サイレンス」について、ポールは“若者特有の感情を歌ったもの”と説明しているようですが【People】への言及も多く、これは単純に個人的な苦悩だけでなく“【社会】との苦悩”も含まれるのかもしれません。
S&Gと同時代のライバルには“プロテストソングの旗手”と評されるボブ・ディランがあり、ポール自身“ディランの存在なしにこの歌が書けたとは思わない”と認めているほど彼に強い影響を受けていました。
(※プロテストソングとは、政治的抗議のメッセージを含む歌)

このセンテンスが含まれる3番の歌詞には“形だけのコミュニケーションに終始する人々”が描かれており、“自分の意思を伝えようとも、相手の気持ちに耳を傾けようとも、そしてそんな社会の風潮に抗おうともせずただ沈黙しているだけの人々のさまを【the sound of silence】”と形容しているようにも思えます。

そんな社会に耐えきれなくなった主人公は、4番で遂にその疑問を人々へと投げ掛けますが…。



~Epilogue~

The Sound of Silence...

第2次安倍政権発足から間もなく5年、日本は『報道の自由度ランキング』で2012年(野田内閣)の22位から2017年に72位(先進7カ国中最下位)に低下したデータが物語るように、この国を覆う“沈黙の声”は拡大するばかりです。
メディアの中でも最も権力による統制の影響が感じられるのはやはりテレビで、地上波ではここ数年で政権に“もの言う”キャスターやコメンテイターが一掃され[真相究明から腰の引けた報道姿勢]が増え、安倍首相の価値観を反映した番組や出演者が増えた実感があります。

私はこれまで安倍氏の目指す【美しい日本】について[=戦前(特に明治~終戦)の制度や価値観]と認識し、そこへ向かおうとする彼の言動を注視してきました。
その指標の重要な一つとしたのが【メディア統制】で、それは戦前の大日本帝国が【メディアを支配者の利害のための広報】と成さしめることによって国民を容易に欺き、強固な支配体制を築くことを可能にしたからです。
しかし戦前にも[大正デモクラシー]があったように、全体主義に対するリベラル(自由)な精神が尊重された時代もありました。
それを一変させたのが1931年(昭和6年)の【満州事変】で、そこから[覆い隠さなければならない不都合な真実]が増え、嘘を国民に知られないためにメディア統制を強めてゆくことになるのです。


2011年に放送された『NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか(第3回 "熱狂”はこうして作られた)』によると、満州事変以降戦争の拡大により【挙国一致報道】に与した新聞各社の発行部数は日米開戦までで約2倍に増え、こうなると挙国一致報道は国家による単なる押し付けではなく新聞社自身の利益の源であり、もはや権力側と一蓮托生の間柄となっていたように思われます(このため新聞各社は満州事変が関東軍による謀略であることを早くから知っていたにも拘らず、終戦までその事実を一切報じなかった)。
一方、挙国一致報道に抵抗していた朝日新聞などは【国益のため】と説き伏せられ、“木造家屋が密集する日本は空襲されたら終わりである。防空演習は役に立たない”と軍部を批判した信濃毎日新聞などは【不買運動圧力】によって屈服させられました。
そして私が特に印象深かったのが、信濃毎日新聞の件の翌年に行われた
【在京大手6社の新聞記者11人による会合での会話】

記者
“信濃毎日の桐生悠々も防空演習を論じて結局やめる羽目になりましたね”
記者
“経営的圧迫と言いますか自分の新聞が売れなくなるような事は、書かない方がいいと思います”
記者
資本主や自分の同僚に迷惑を及ぼしちゃあいすまんという気持ちが記者にあるんじゃないですか”
記者
“最近は政府の禁止事項が非常に多いんですよ、非常に細かい物まで何十と来てます。いっそ禁止してくれた方が良い、そうなれば苦心して書く必要が無くなります…”


この会話、あなたはどう感じられたでしょう…
私にはまるで、これが現代の記者たちが報道圧力を受けた後の座談会として週刊誌に掲載されていたとしても、何の違和感もありません。

現に、ニュース解説で知られるジャーナリストの池上彰氏は“安倍政権になってから自民党は主なニュース番組をすべて録画して、細かい部分まで毎日のように抗議し、訂正を求め、注文をつけてくる”と証言しており、これをしつこく繰り返されるとテレビ局も“面倒くさいから文句を言われない表現にしよう”となってしまうそうです。
特に安倍氏は自民党が野党に下野した時代に『自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)』という支援組織を立ち上げており(2017年時点の会員数は約1万9000人)、これがネット上で世論誘導を行い、政権批判した番組及びそのスポンサー企業に対し[一斉に抗議・不買圧力の電話]を実行して自民党をサポートしているといわれます。


本来であれば憲法上、政府の独走を【国権の最高機関である国会】(憲法 第41条)と【違憲審査権を有する最高裁】(憲法 第81条)がこれを正すはずですが【国会の2/3は与党】、【政府に違憲を下す判事を内閣が選任するはずがない】という絶望的な現実により、機能停止に陥っています
【第4の権力・メディア】もNHKは政府が人事を支配し、民間はあらゆる懐柔と圧力によって報道を抑圧されています。
偽りの政治がやがて破たんすることは宿命ですが、それが長期に亘ると私たち国民の被害が大きくなることもこの国の歴史が証明するところです。


"Fools", said I, "You do not know
僕は言葉にして言った “愚かな…誰もわかってない
Silence like a cancer grows
沈黙は、癌を育むようなもの

多数の沈黙は、小数の声に支配されます。

この国が健全な機能を取り戻すために私たちができること…
それは、“多数が声を示すこと”です。



「サウンド・オブ・サイレンス」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


Writer(s): Paul Simon /訳:Beat Wolf


暗闇よ、こんにちは…僕の古い友だち 
また君と話しに来た
…何故って、ある幻影がそっと忍び寄ってきて
僕の眠っている間にその種を残し
それが脳に根付いて
今もとどまったままなんだ
沈黙の世界の中…

安息のない夢の中、独り歩いた 
玉石の小道
街路灯の光の輪の下
寒さと湿気に襟を立てた
夜を切り裂くネオンライトの閃光に
この目を射られ
僕は、沈黙の世界に触れた

裸火の中、僕が目にしたのは
一万…たぶんそれ以上の人たち
伝えることなく、ただ喋り
耳を傾けることなく、ただ聞いて
声を共にするでもない歌を書いている
そして、敢えて
沈黙の世界を乱す者もない

僕は言葉にして言った “愚かな…誰もわかってない
沈黙は、癌を育むようなもの
あなたを教え諭す言葉を聞くがいい
あなたに差し伸べる腕を掴むがいい”
…だけど、言葉は音もない雨粒のように落ち
沈黙の井戸の中でこだまするばかり

…そして人々は額(ぬか)ずき、祈った
自らが創り出したネオンの神に向かって
啓示は警告を閃(ひらめ)かせ
言葉を成し、告げた
“預言者の言葉は
地下鉄の壁と、長屋の廊下に記され
沈黙の世界の中で囁かれる…”


~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 映画 

コメント

Beat Wolfさん
この楽曲は出だしの演奏も柔らかくて歌い方も好きです。
ですが、歌詞は...
♪沈黙は、癌を育むようなもの
自らが創り出したネオンの神
預言者の言葉は 地下鉄と長屋の廊下に記され♪
暗闇を通り越して真っ暗闇です。

曲が中盤以降になるにつれギターがかき鳴らされ
歌い方も熱を帯びてきて、映画の新婦を奪いに行く
激しさと熱情を思いださせます。
個人的な主観ですが、主役の2人のキャスティングは
ストーリーと合っていない感じがしてしまいます。スミマセン

2017.11.11  みすてぃ  編集

みすてぃさん

おぉ、お好きですか!
出だしのギターもいいですよね。
でも、歌詞は「暗闇を通り越して真っ暗闇」ですか!
…確かにそのとおりです。(笑)
これにはいろいろな要素が混じっていて一言では説明し切れないので
後の解説記事でお話しますね。

有名な「あのシーン」ですね?(笑)
確かに熱を帯び高まっていくギターや歌い方が
あのシーンの熱情を彷彿とさせます。
それにしても、映画の設定や結末はスゴいですね!
それに負けない俳優を選ぶのも大変だと思います。(笑)

2017.11.11  Beat Wolf  編集

「サイモン&ガーファンクル」・・、ビートルズやエルトンジョンと並んで、小生に洋楽の素晴らしさを教えてくれた恩人です。小学校時代(1967)に不二家CMで流れていたS&Gの「サウンド・オブ・サイレンス」を聴いて感銘。半音のイントロギターから、透明感あるガーファンクルの美しい声、それに合わせるポールサイモンの低音ハーモニー、静寂をテーマとし暗闇の中から響いてくるような美しいS&Gのアコースティック世界には、詩の中に強いメッセージが秘められていました。洋楽に本格的に興味を持ち始めた13歳の頃、「赤い限定盤:S&Gグレーテストヒッツ」を購入、これこそ小生が生まれて初めて買ったLPレコードです。ミセス・ロビンソン」に誘惑される主人公ダスティホフマンが娘役キャサリンロスへの純愛を貫く映画「卒業」のテーマソング、そして「コンドルは飛んでいく」「スカボロフェア」「ボクサー」「明日に架ける橋」など小生も洗練された美しいフォークロック世界に一遍に虜となりました。

2017.11.15  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

サイモン&ガーファンクルが洋楽に入ったきっかけだったのですね。
それにしても小学生でこの曲とは、随分大人びておられたのでしょう。
私だったらその頃、歌謡曲しか聴いていませんでした…。(笑)

でも、たとえ大人でも歌詞を理解するのはとても骨折りです。
そういう意味では、子どもの頃の理解とは別の世界を楽しめる
奥深い曲だと思います。

2017.11.15  Beat Wolf  編集

Beat Wolfさん
最後の動画の演奏と歌い方を聴いていたようです。
曲が進むにつれ心が掻き立てられる曲になっています。
他の動画は聴いたことがなくって歌い方もテンポにスピードも
違う感じがします。
レコーディングとステージとかで違いがあって同じ曲なのに面白いです。
♪暗闇よ こんにちは ~~また君と話しにきた……今もとどまったまま…
沈黙の世界に♪
歌詞は意外な展開になっているのですね。

2017.11.16  みすてぃ  編集

みすてぃさん

最後の動画はS&Gが解散して随分経って一時的に復活した時のライブ映像で
アレンジは「概要」の左上の動画に準じています。
実は、左下の動画のバージョンは少しロック調にリミックスして1位になったものですが
この曲はロック調よりも左上や最後の動画みたいに弾き語りの方が、私も好きです。(笑)

「暗闇よ こんにちは」は
ポール・サイモンにとって暗い方が集中力が高まるからだそうで
それは私自身もそうなので、よくわかります。
つまり、暗闇は彼にとって作曲によい環境ということですね。

2017.11.16  Beat Wolf  編集

Beat Wolf様、こんばんは、Levalloisbeeです。久しぶりにサイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」を聴かせていただき、ありがとうございます。例えば、「明日に架ける橋」「コンドルは飛んで行く」の頃ほどには熟していませんが、若さの息遣いが感じられるオリジナルサントラ盤がやっぱりいいなと思いました、映画「卒業」で初めて聴いた印象が強いのかも知れません。

2017.11.17  Levalloisbee  編集

Levalloisbeeさん

お久しぶりです。
そうでしょう、私もかなり久しぶりに
じっくりこの曲を聴きました。

でもやっぱり思うのは、時代が遠くなるほど
彼らのサウンドの美しさ、繊細さが際立つように感じます。
映画「卒業」は、今回
ダスティン・ホフマンの若さが特に印象深かったです。(笑)

2017.11.17  Beat Wolf  編集

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ジャンルを問わず音楽が大好き♪
古い歌を“過去”として懐かしむだけでなく、『温故知新』…“今”に繋がる何かを探し求めます。



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