I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「ワンダフル・クリスマスタイム」ポール・マッカートニー

2017.12.08

category : Christmas

Paul McCartney - Wonderful Christmastime1 Paul McCartney - Wonderful Christmastime2


Paul McCartney - Wonderful Christmastime (1979年)



~ポールから、ビートルズ・メンバーへのクリスマス・プレゼント~

ポール・マッカートニーが1965年にビートルズの他の3人へのクリスマス・プレゼントとして制作した音源『Unforgettable』が、今月1日にYouTubeで公開されました。
この音源はポールがDJとなってナット・キング・コールやビーチ・ボーイズ、エルヴィス・プレスリーなどの曲を紹介する内容となっており、自宅にあるテープレコーダー2台を使って録音されたもので、ポール自身は“クレイジーで、前衛的なもの、夜遅くに聴いて楽しめるものを他のザ・ビートルズのメンバーのために作ってみたんだ。基本的に友人のためのものでしかないんだけどね”と、解説しています。

…あなたはもうクリスマス・プレゼントをご用意されましたか?
私はポールに倣って、本記事をクリスマス・プレゼントといたしましょう♪


Paul McCartney's Christmas Disc 1965



~概要~

「ワンダフル・クリスマスタイム」は1979年11月16日発売のポール・マッカートニーのシングルで(B面は「Rudolph The Red-Nosed Reggae」)、ビートルズ解散後初のソロ・シングル「Another Day」(1971年)以来8年ぶり、そして実現するはずだったウイングスの日本公演直前の1980年1月5日に全英6位を記録しました。
1979年6月、ポールはウイングスのアルバム『Back To The Egg』をリリース後6週間ほど自宅スタジオに籠って一人でレコーディングを行っており、この音源は翌年のソロ・アルバム『McCartney II』として発表されることとなりますが、「Wonderful Christmastime」もこの時の録音によるものです。

作詞・作曲、ヴォーカル&演奏の20トラック以上、プロデュースをポールが一人で担当し、それ以外にも特筆すべきといえば当時流行だった【テクノ・ポップ】がフィーチャーされていることでしょう。
これは当時日本のYMOや喜多郎・オフコースらも使っていたシーケンシャル・サーキット プロフェット5(Sequential Circuits Prophet-5)というアナログ・シンセサイザーによるもので、洋楽ではキム・カーンズの「ベティ・デイビスの瞳」(過去ログ)にも使用されたものです。
ただしポールはシンセサイザーの専門家ではないためか、新しい玩具に夢中になった子どもが弾きまくっているように電子音が強調されており、伝統的な作風が好まれる傾向のあるクリスマス・ソングの中にあって“少しやり過ぎ感”があるせいか、当時はあまり評価が高い作品とはいえませんでした。


しかし2000年代に入ってから急に新しい世代によるカバーが増えたことでクリスマス・ソングとしての人気が確立され、カイリー・ミノーグのポップスはもちろんDe La Soulのヒップホップ、Helixのヘヴィー・メタル、Eli Young Bandのカントリーといった実に幅広いジャンルからのアプローチがみられます。
このためポールは現在でも本曲だけで年間40万ドルの印税収入があり、累積だと1500万ドルにも上るそうです!

2013年にはアメリカの人気番組『Saturday Night Live』でポール自身がコメディを演じると共に本曲を披露したり、昨年12月には『The Tonight Show』で司会のジミー・ファロンや番組の“ハウス・バンド”を務めるザ・ルーツ、今年3月に日本でも公開された映画『SING/シング』のキャラクターとその声優陣(スカーレット・ヨハンソン、リース・ウィザースプーンほか)らと共にアカペラ・バージョンの楽しい映像を公開しました。


PVにはウイングスのメンバーが登場していたり、本曲リリース直後の1979年11月23日に母校リバプール・インスティテュートからウイングスのツアーをスタートさせているように、もしも1980年の【日本での事件】と【ジョンの死】という“まさか”が起こらなかったら、ポールの運命も少し変わっていたかもしれません。

 
 



~Lyrics~

The mood is right
ムードはばっちり
The spirit's up
気分も上々

イギリスに於いて11月中旬頃から街がクリスマス・モードに入るのは日本と変わりありませんが、お店ばかりが飾り付けを先行する日本とは違いイギリスのクリスマスは“準備が大変”といわれます。
クリスマスをカウントダウンするための【アドベントカレンダー(Advent calendar)】《写真・左》や、たくさんの人と交わす【クリスマスカード】、パーティー参加人数分の【クリスマスプレゼント】、【クリスマスツリー】などの準備に加え、クリスマス前2週間位となると地域や職場・学校などのクリスマス行事への参加が忙しくなるそうです。

この時期のイギリス人の慌ただしさは、日本の年末年始に喩えられます。

Paul McCartney - Wonderful Christmastime3


We're here tonight
今夜はみんな揃ってるし
And that's enough
それで十分さ

イギリスのクリスマスは【家族と過ごす日】(または親戚・親しい友達)であり、12/25がメインで当日はお店や交通機関さえお休みしてしまうそうです。
当日の流れとしては午前中に教会のミサへ参加し、帰宅してプレゼントを交換し合うと午後から【クリスマス・ディナー】が始まって、夕方にエリザベス女王のクリスマスのスピーチがあります。

日本ではチキンやスポンジケーキを食べますが、イギリスではターキー(七面鳥)と【クリスマス・プディング】です。
クリスマス・プディング《写真・右》はイギリスの伝統的なクリスマス・ケーキで、日本でいうプリン(custard pudding)と違い小麦粉の生地にドライフルーツやナッツ類を加えてオーブンで焼いたりした硬めのお菓子です。
オーブンに入れる前、生地に指輪やコインなどを埋め込んでおいて家族で切り分けて食べる際に運勢を占って盛り上がる…というのも、伝統的な慣習とされます。


The feeling's here
…そうさ、このフィーリング!
That only comes
それは、この季節にだけ訪れる
This time of year
特別な感覚

クリスマスといえば何といってもその“幸福感”で、「ワンダフル・クリスマスタイム」はまさにそれを表しています。
それは自分一人だけの幸せでなく、社会や地域全体がその喜びを共有しようと心を一つに願うからこそ生まれる特別な感覚。

日本の神道では神事を行う前に自分自身の穢(けが)れを水などで体を洗い流し“身を清める”作法がありますが、キリスト教の降誕祭は“心を清める”でしょうか…。
洋の東西を問わず“聖なるもの”に相対する時、人は謙虚になれるようです。



~Epilogue~

Beatleたちのクリスマス・ソング

スーパースターと呼ばれるミュージシャンは大抵何かしらのクリスマス・ソングやクリスマス・アルバムの類いを出しているものですが、意外にもビートルズはそうした作品をリリースしていません。
敢えてこじつけるなら1964年12月4日に発売で“クリスマス・セール”に引っ掛けてタイトルされたアルバム『Beatles for Sale』がありますが、選曲自体はクリスマスに関連したものではありませんでした。
解散後はご存知のように、ポールの「ワンダフル・クリスマスタイム」やジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)」がスタンダード・ナンバーとなっています。

また、最もクリスマスが似合いそうなリンゴ・スターはメンバー中唯一クリスマス・アルバム『I Wanna Be Santa Claus』(1999)を発表しています(タイトルが何とも彼らしい♪)
一方、ジョージ・ハリスンはヒンドゥー教徒なので恐らくクリスマス・ソングはありませんが、1974年12月6日に「Ding Dong, Ding Dong」というシングルをリリースしBillboard Hot 100で36位と小ヒットしました(タイトルと発売時期は明らかにクリスマス・セールを意識している!)。
この曲は【参加ミュージシャンがあり得ないほど豪華】で、ドラムスにリンゴ・スター、ギターにロン・ウッドとミック・ジョーンズ、ベースにクラウス・フォアマン、ピアノにゲイリー・ライト、ホーンにトム・スコットらを揃え、更にはPVでジョージ自らがビートルズ時代の自分の衣装を着せ替え人形状態で見せるサービスぶりで、とりわけ【襟なし服】は見ものです!

 
Ringo Starr - Christmas Eve / George Harrison - Ding Dong, Ding Dong


Beatlesのクリスマス・ソング

…実は“非公式”であれば、ビートルズ・オリジナルによるクリスマス・ソングが存在します!
しかも作詞・作曲はジョン、ポール、ジョージ、リンゴのメンバー全員という超レア作品!!

「Christmas Time (Is Here Again)」は、イギリスのファン・クラブ向けに1967年のクリスマスに製作されたソノシート・レコード(雑誌の付録に付いてくる赤いペラペラのアレ)のために録音された歌。
楽曲自体は【Christmas time is here again】ほかの短いフレーズをひたすら繰り返す極めて単純な構成で、恐らくその場の即興で創られたものと想像しますが、メンバー全員によるハーモニーがビートルズらしくて魅力的です。

その後1995年、「Free as a Bird」に本曲の短縮編集バージョンがカップリングされました。
(本項ではComplete Versionを紹介)


The Beatles - Christmas Time (Is Here Again)


…さて、2017年のクリスマスまで2週間となりました。
早く来て欲しいような、ずっとこの楽しみのままでいて欲しいような…?

私はこれまで何曲もクリスマス・ソングを聴いてきましたが、日本のクリスマスとの感覚の一番の違いは“平和に対する願い”です(あくまで一般論として)。
ただ単に1年毎に自動的にやって来る年中行事としてではなく、平和があり、ささやかな宴を催す食料があり、その幸せを分かち合う家族があるからこそ楽しい祝日…。
それ故、彼らはその幸福感を味わえない貧しい人々や戦火の中に置かれた人々に思いを致し、今この瞬間を幸せに迎えられることへの感謝の気持ちをクリスマス・ソングに込めるのだと。
その意識が心にあるのと無いのでは、“その日”の意味が全く違ったものになるような気がします。
そして、忘れてはならないことがもう一つ…

Simply having a wonderful Christmastime
素敵なクリスマスを、シンプルに楽しもう



「ワンダフル・クリスマスタイム」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


Writer(s): Paul McCartney /訳:Beat Wolf


ムードはばっちり 
気分も上々
今夜はみんな揃ってるし
それで十分さ

素敵なクリスマスを、シンプルに楽しもう

パーティーが始まる
…そうさ、このフィーリング!
それは、この季節にだけ訪れる
特別な感覚

Simply having a wonderful Christmastime♪

聖歌隊の子どもたちが歌ってる
Ding dong, ding dong...
Ooh, ooh...Doo-doo...

Simply having a wonderful Christmastime♪

街のあちこちに
祝福の言葉があふれ
乾杯してる
うつむかないで、ほら…

Simply having a wonderful Christmastime♪


~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 クリスマス 

コメント

そうか~、クリスマスソングといえばジョン&ヨーコのイメージがありましたが、ポールも歌っていましたね。あちこちで往年の名曲が流れていますね。ジョージマイケル1周忌を迎え感慨深く彼の名曲を」聴いている人ダンフォーゲルバーグの恋人の歌を聴いている人世代それぞれの名曲がありますね。

2017.12.09  ローリングウエスト  編集

Beat Wolfさん
ポール・マッカートニーですか、初めて聴きました。
クリスマスタイムをシンプルにワンダフルに
楽しもうですか~♪
だんだんと近づいてきましたね。

2017.12.10  みすてぃ  編集

ローリングウエストさん

ローリングウエストさんの時代はジョン&ヨーコだったのですね。
でもジョージマイケルに感慨をお持ちとは恐れ入りました!
昔はリアルタイムで語れるクリスマスソングがありましたが
最近はなかなか…。(涙)

2017.12.10  Beat Wolf  編集

みすてぃさん

おや、初めてお聴きになりましたか。
この曲は古いですが、近年の方がよく流れていますので
街のお花巡りの道すがら
クリスマスソングにも耳を澄ましてみてくださいね。(笑)

2017.12.10  Beat Wolf  編集

クリスマスソングのプレゼント🎁
最高ですね✨ありがとうございます😊
この季節いろんなクリスマスソングを聞いて過ごします(*^_^*)
妄想にふけりながら(笑)

ビートルズのソノシート・レコード欲しかったですね(*^_^*)
なんだかみんなで歌を唄い楽器を鳴らす楽しみ方を教えているようです。
人と一緒に楽しむことが人も楽しませ癒せる💖
音楽は伝わってくるから良いですよねえ。

2017.12.12  ☆dct☆  編集

Beat Wolfさん
この曲はボールから友達へのクリスマスプレゼント
だったのですね。

最初はソノシートだったのてすか。
もしかして入手していることは.....
クリスマスの準備はもう整っているのですか~♪

2017.12.12  みすてぃ  編集

☆dct☆さん

喜んでいただけて、うれしいです。
クリスマスソングはクリスマス気分を盛り上げるのに
欠かせない要素です。
そして、妄想できるからこそ楽しいと思います。(笑)

実はこのレコードを含むボックス・セットが
間もなく発売されるのです!
完全なマニア向け限定商品ですが…。

そうです、自分一人だけより
一緒に楽しむと、もっと喜びが拡がります。
それが音楽であり、クリスマスですよね♪(笑)

2017.12.12  Beat Wolf  編集

みすてぃさん

プレゼントって贈り主の人柄が表れますね。
わざわざテープを人数分編集して配るなんて
ポールは本当にマメな人だと思います。

ソノシートは持っておりません。
でも、もうすぐ日本でも発売されるそうです。
…とても高価ですが!
クリスマスの準備といっても
準備するほどでもない、「シンプルなクリスマス」です~。(笑)

2017.12.12  Beat Wolf  編集

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ジャンルを問わず音楽が大好き♪
古い歌の“温故”から、歳月を重ねた“知新(いま思う・いま考える)”を綴ります。



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