I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「素敵なハイエナジー・ボーイ」アンジー・ゴールド

2017.12.29

category : 1980年代

Angie Gold - Eat You Up1 Angie Gold - Eat You Up2


Angie Gold - Eat You Up (1985年)



~「ダンシング・ヒーロー 」が32年ぶりに“バブリーダンス”として再ブレイク!~

【TDC(大阪府立登美丘高校ダンス部)】の“バブリーダンス”の動画の反響がきっかけで、10月2日付けBillboard Japan Hot 100総合シングルチャートで2位という再ブレイクとなった、30年以上前の荻野目洋子のヒット曲「ダンシング・ヒーロー」。
波紋は音楽チャートに止まらず、ここにきて年末にかけて各メディアで引っ張りだこという荻野目ちゃんはこの12月20日、これまで発表した「ダンシング・ヒーロー」のあらゆる既発・未発表音源を加えた全15バージョンを収録した「ダンシング・ヒーロー ジ・アーカイブス」をリリースする事態となりました。

まずは新年のごあいさつ代わりに、荻野目ちゃん30周年記念盤『ディア・ポップシンガー』から2014年版の「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」のPVをお楽しみください♪


荻野目洋子/ダンシング・ヒーロー(Eat You Up) MV [New Dance Ver.] (Short Ver.)



~“オリジナル” アンジー・ゴールドver.~

「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」は、サブ・タイトル「Eat You Up」を原題とする洋楽曲がオリジナルです。
オリジナルの歌手及び作者(の一人)はイギリス・マンチェスター出身の女性歌手アンジー・ゴールド(Angie Gold)という人で、チャートでの詳細はわかりませんが世界各国で7"&12"盤がリリースされています。
日本では1986年2月第4週付からオリコン(洋楽部門)4週連続No.1という記録が残っているので、恐らく荻野目洋子ver.の大ヒットを受けて日本でもアンジーver.が発売されたのではないかと想像します。

アンジー・ゴールドは幼少の頃からクラブのステージを中心に歌手活動を重ね70年代後半にドイツで、1981年(22歳)にイギリスでレコード・デビューを果たしました。
翌1982年には第11回東京音楽祭に出場、「Get It Over With」で銀賞を受賞しています。

その後しばらくヒットに恵まれなかったものの、転機となったのが1985年の自作曲「Eat You Up」でした。
デビュー当初の幾つかの曲を聴いてみると当時人気だったノーランズやシーナ・イーストンをイメージさせる作品がありますが音楽の流行の移ろいは激しく、1984年頃になるとシーケンサーやドラムマシンを大胆にフィーチャーしたダンス・ミュージック【Hi-NRG(ハイエナジー)】が勃興、デッド・オア・アライヴの「You Spin Me Round (Like a Record)」(過去ログ)などがイギリスやアメリカのポップ・チャートでクローズアップされる時流となっていました。
そのためかアンジーの楽曲にもこの影響が顕著であり、「Eat You Up」ではそれまでの彼女の作品とはかなり違ったアレンジが試みられています。

ところで邦題「素敵なハイエナジー・ボーイ」は主人公による彼氏自慢をイメージさせますが、原題「Eat You Up」は“あなたを食い尽くす”意味で、思いっきりミスリードしているといえます(確信犯でしょうが)。
実際の歌詞の内容も“浮気したボーイ・フレンドへの恨み節”となっており、[素敵なハイエナジー・ボーイ]と称される彼に対して歌中では【Son of a bitch(メス犬・あばずれ女の息子)】呼ばわりされるほど辛辣です。

 



~「ダンシング・ヒーロー」 荻野目洋子ver.~

「Eat You Up」の日本語カバー「ダンシング・ヒーロー」は当時売り出し中で17歳になる女性アイドル歌手・荻野目洋子の7枚目のシングルとしてリリースされ、彼女にとってデビュー以来初めてオリコン週間チャート・トップ10入り(週間5位)を果たした作品となりました。
同時に、当時人気の歌番組『ザ・ベストテン』『歌のトップテン』にも長期間出演することで人気の相乗効果となりシングル売上も累計32万枚で1986年度年間12位、『ザ・ベストテン』同9位/『歌のトップテン』同5位と、自身のキャリアでも最高の成績を挙げています。

原題と全く異なるタイトル「ダンシング・ヒーロー」は所属事務所の社長によって名付けたものだそうで、当時のシングル・レコードにはサブタイトル (Eat You Up)はありませんでした(現在のタイトルは「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」)。
また、上記したようにオリジナルの「Eat You Up」では“浮気したボーイ・フレンドへの恨み節”な歌詞が展開するのに対し、[訳詞:篠原仁志]とある「ダンシング・ヒーロー」は“シンデレラ・ボーイの誘いを待つ主人公”といった内容になっており、英語で歌われる[Do you wanna dance tonight]のフレーズを含め、ほぼ全てオリジナル「Eat You Up」とは異なる歌詞が構築されています。

「ダンシング・ヒーロー」はアルバム収録を含めてこれまで幾つものバージョンが録音されており、1987年のベスト盤『POP GROOVER The Best』には全編英語歌詞による「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) -Special English Version-」まで収められました…
が、しかしこれもまたオリジナル「Eat You Up」の歌詞を用いてはおらず、[英語詞:Marco Bruno]とある英語の歌詞は「ダンシング・ヒーロー」の日本語歌詞を英訳したもの…
でもなく、全く別の歌詞が充てられているという不思議な展開!


それ以外にも興味をそそられたのがデーモン閣下のカバーver.なるシロモノで、まさか悪魔が[あの歌詞]を歌うのかと試聴してみたところ、本当に“「愛してるよ…」なんて 誘っても くれない”って、歌ってましたっ!! 

 
 



~その後の経過と“バブリーダンス”~

「ダンシング・ヒーロー」は、伸び悩んでいた荻野目ちゃんを一気にスターダムに押し上げたインパクトだけあって、その後も現在まで30年以上国民に愛され続けてきました。
1990年代後半頃からは愛知県(江南市・岩倉市など)や岐阜県(美濃加茂市周辺)で【盆踊りの曲】としての使用が始まり、現在まで徐々に全国的な広がりに発展しているそうです。
また、【お笑いネタ】とも相性が良く、『とんねるずのみなさんのおかげです』や『めちゃ×2イケてるッ!』などで取り上げられました。

そんな中で今回荻野目ちゃんの再ブレイクに繋がる重要な役割を果たしたのがお笑い女性タレント【平野ノラによる1980年代のバブル時代をネタとしたコント】で、その際頻繁に用いられたのが荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー 」でした。
これが現代の若者にインパクトを与え、今年8月に行われた『第10回 日本高校ダンス部選手権』夏の公式全国大会のビッグクラスに於いて大阪府立登美丘高等学校ダンス部(TDC)が「ダンシング・ヒーロー 」を【バブリーダンス】としてパフォーマンスを行い準優勝しました。
そして9月、TDCは自身のバブリーダンスのPVを制作しYouTube上で公開、再生回数が12月末日までに3200万回を超えて当年最大のヒット動画となって、年後半にさまざまなメディアで引っ張りだことなった現象は前年の[ピコ太郎]とよく似ています。

 



~Epilogue~

「Eat You Up」は楽曲自体インパクトのある作品ですが、それに携わる人の運命をも変える不思議な力が秘められているようです。
まず、オリジナルの作者であり歌手であったアンジー・ゴールドは、それまでの路線を変更し新たな境地へ挑んだ結果ブレイクを果たし、世界各国でヒットを記録しました。


「Eat You Up」をカバーした荻野目洋子は小学生の頃からタレントとして活動し中学生時代にあだち充原作のアニメ『みゆき』のヒロイン若松みゆき役の声優に抜擢されて話題を集めました(女優・荻野目慶子の妹ということでも話題となった)。
高校生になった1984年に歌手デビューを果たしますが同期の菊池桃子・吉川晃司・岡田有希子らと比べると出遅れ感があり、6枚目までのシングルも16位~32位といったポジションでした。

そんな荻野目ちゃんの運命を変えたのが「ダンシング・ヒーロー」だったわけですが、当時はかなり切羽詰まった[事情]があったようです。
現在彼女が所属する『ライジングプロダクション』は観月ありさなど多数のタレントを抱える事務所となっているものの設立は1985年7月で、実は荻野目洋子のマネジメントを目的として設立された芸能事務所でした。
このため当初の所属タレントが荻野目ちゃん一人しかおらず、本人曰く“(スタッフの)人生がかかっているみたいなもの。すごく重いものが背中にのしかかっていた”状況下で挑んだ曲が「ダンシング・ヒーロー」だったそうです。

それに加え、「ダンシング・ヒーロー」で初めてフィーチャーされたダンスについても“踊りは正直、すごく苦手な方だったと思います。ロボットみたいで、ずっとダメ出しされていました”といいます。
それまで彼女が歌ってきた路線とは曲調も振り付けも全く異なっており、それを乗り越えるため“テレビの収録の直前まで(練習を)やりました”という地道な努力を重ねることで、その後の[ダンシング・ヒロイン]な個性を確立したわけです。


また、「ダンシング・ヒーロー」は30年の時を越えた高校生の人生をも変えました。
2017年、[バブリーダンス]をパフォーマンスした登美丘高ダンス部のキャプテンを務めた女子生徒は小学2年から長年ミュージカルスクールに通ってきた経緯があり、今回の脚光でその実力が認められ芸能プロダクション『フォスター』にスカウトされ、彼女も“好きなことを仕事にできるなんて”と芸能界入りを即決したそうです。
実は、彼女は既に10月からフォスターの子会社『フォスター・プラス(FOSTER+PLUS)』に所属しており、【伊原六花(りっか)】の芸名で高校卒業後から女優業をスタートさせる予定とのことです。
Angie Gold - Eat You Up3


荻野目ちゃんには現在3人の娘さんがいるそうですが、今回の再ブレークで現在中学生の娘さんから“「ダンシング・ヒーロー」のステップを教えて”とのリクエストがあり、“こうだよ”と教えられたことが“素直にうれしかった”といいます。
科学や流行の移り変わりの速い現代にあって、世代の違う親子が語り合える共通の文化は必ずしも多くないと思いますが、子どもたちが生まれる前の古い曲がそんな一助になっていることが、こんなブログをやっている私にとっても“素直にうれしい”今回の出来事でした。



「素敵なハイエナジー・ボーイ」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


Writer(s): Anthony Baker, Angelina Fiorina Kyte /訳:Beat Wolf


昔は“愛してるよ”って…
“オマエだけだよ”って、言ってくれたアナタ
時間はかかったけど、でもわかった
アナタって、諺(ことわざ)どおりの…
[ビッチ(メス犬)の血を引く最低男!]

ずっとそばにいたアタシを
ぞんざいに扱うなんて、アタマの悪い子
だから、今度はウソツキの代償を払わせてあげる…ボウヤ
きっと連れ戻し、跪かせる
(アナタのあるべき場所…)


アナタを食い尽くし、吐き戻して
メチャメチャにしてあげる
イライラ、メロメロにさせて 
その上、逃げ道を全部燃やしてあげる

食い荒らされ、吐き戻され
辺りをウロつかなければよかったと思うでしょう
イライラ、メロメロにさせて
この街の外に追い出してあげる


アタシが二股を許すと
信じているおバカさん
でもアナタのウソなんて、全部お見通し
今度はアタシがお返しする番ね
(首を洗って待っていなさい)

アタシを欺くつもりだったのね…ボウヤ
アナタのお遊びの一部だったなんて
でも、所詮アナタは賢いボウヤでしかない 
そんなの、二度は通用しない
(アナタは、大きなしくじりを犯した)



I'm gonna, I'm gonna...

I'm gonna eat you up, spit you out
And run you right out of this town

Eat you up, spit you out...
Wind you up, turn you on...

アタシだって、もう傷つきやすいネンネじゃない
たくましく成長したの
昔してくれたことなんか、もう喜ばない
せいぜい気をつけることね、だって…
(手荒なアソビも覚えたのよ…ボウヤ)




~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

コメント

凄い選曲で来ましたね~♬

「しもしも~軍団」は明日の紅白も出場との事ですが、果たしてどうなることやら・・・。
荻野目ちゃんも高校ん時大流行してましたが、原曲は「二股かけられた女の恨み節」だった気がします。どう料理されるのか楽しみです。

2017.12.30  地味JAM尊  編集

Beat Wolfさん
ダンシング・ヒーローの元歌ですか。
歌詞によると、元彼に思いっきり報復して
この彼女も彼に負けないほど手の付けられない人に
なってしまった、という曲なのですか?


2017.12.30  みすてぃ  編集

Re: 凄い選曲で来ましたね~♬

「しもしも~軍団」(笑)
NHKが一番欲しいのは荻野目ちゃんとの絡みだと思うので
隠し玉として彼女を登場させるものと、私は見ています。
(NHKは近年、そうした芝居がかった演出が多いでしょう?(笑)

今、レコード大賞に出ていましたが
荻野目ちゃん、若いですね!
でも今年はリアルに「二股かけられた女の恨み節」な
話題が世間を騒がせた1年でしたが?(笑)

2017.12.30  Beat Wolf  編集

みすてぃさん

ダンシング・ヒーロー、ご存知でしたか♪
当時日本で随分ヒットしましたが
意外と元歌は聴いたことがない人が多いかもしれません。

ダンシング・ヒーローはこの歌の日本語カバーですが
歌詞は随分違うでしょ?
英語版の「彼」は、明らかに「ヒーロー」ではありません。(笑)

2017.12.30  Beat Wolf  編集

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2017.12.31    編集

鍵コメさま

お言葉、ありがとうございます。
お陰さまで、新年の励みとなります。
今年1年、ありがとうございました。

2017.12.31  Beat Wolf  編集

Beat Wolfさん
「素敵なハイエナジー・ボーイ」の曲のタイトルも変わり日本語歌詞も
全く別なのでオリジナルの過激さがなくって印象度が全く違います。
再ブレークは登美丘高等学校のダンス部に尽きますね。
曲に振付がつけやすくて、ダンスが合っています~♪

2018.01.03  みすてぃ  編集

みすてぃさん

オリジナルの歌詞は、17歳のアイドルが歌うには
問題がありますね。
昔シュガーという女性グループが「ウエディング・ベル」という曲で
自分をフッた相手に「くたばっちまえ! アーメン」と浴びせ
小気味良かったですが、彼女らは20代でした。

みすてぃさんもご存知でしたか。
バブルな風潮がデフォルメされて楽しいダンスですよね。
気のせいか、「工藤静香」も入っていたような気もしますが?(笑)

2018.01.03  Beat Wolf  編集

新年あけましておめでとうございます。正月は故郷帰省しており昨日から仕事始めで、貴ブログへの新春ご挨拶が遅れて申し訳ございません。ダンシングヒーロー、高校生のバブルダンス凄いですよね!一挙にリバイバルブームですね。今年も洋楽記事交流も含めて楽しく交流させて頂きたくよろしくお願いします。

2018.01.05  ローリングウエスト  編集

懐かしい曲のチョイスですね。
ちょうど、娘にカラオケで今流行ってるから歌ったら?と言われて、「??」だったんですが年末は高校生と荻野目ちゃん大活躍でしたね!

CDではなくテープの頃に、荻野目ちゃんとデーモン閣下聴いてました(笑)年下の友人がテープ入れてプレゼントしてくれたので(*^_^*)

2018.01.05  ☆dct☆  編集

ローリングウエストさん

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

高校生のバブルダンス、ご存知でしたか!
やっぱり直感的にインパクトのある曲は
時代が変わっても魅力が伝わると思います。
まぁ…バブル時代のファッションや風潮は
現代からみると相当強烈なものだったと痛感させられました。(笑)

2018.01.05  Beat Wolf  編集

☆dct☆さん

私たちにとっては「懐かしい」ですが
若者にとっては「今流行り」ですね。
でも歌は歌えても、あのダンスは体がついていきませんよ。
一部、結婚式や忘新年会の余興がアレだと聞きますが…?(笑)

おぉ、デーモン閣下verご存知でしたか…
…しかもテープで!
でもそれをプレゼントしてくれるご友人も素敵です。(笑)

2018.01.05  Beat Wolf  編集

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ジャンルを問わず音楽が大好き♪
古い歌の“温故”から、歳月を重ねた“知新(いま思う・いま考える)”を綴ります。



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