I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」ビー・ジーズ

2018.01.12

category : Bee Gees

Bee Gees - You Should Be Dancing1 Bee Gees - You Should Be Dancing2


Bee Gees - You Should Be Dancing (1976年)



~バリー・ギブ、ナイトを叙勲~

前回のリンゴ・スターに引き続き、今回もバリー・ギブのナイト叙勲による特集です。
ご存知のようにビー・ジーズは[ギブ三兄弟]を中心としたファミリー・ユニットですが2003年に三男モーリス(53歳没)、2012年には次男ロビン(62歳没)が既に他界しており(ちなみにメンバーではない歌手で四男のアンディも1988年に30歳の若さで夭折している)、生存している唯一のメンバーである長男バリーは“この栄誉に対し、弟たちは僕と同じだけ貢献がある”といった趣旨のコメントをしています。

ビー・ジーズといえば、やっぱりバリーのファルセットと兄弟ならではの息の合ったハーモニー…
「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」は、まさにビー・ジーズの魅力がいっぱい詰まった作品です。



~概要~

「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」は1977年の映画『サタデー・ナイト・フィーバー(Saturday Night Fever)』で、ジョン・トラボルタが圧巻のダンス・パフォーマンスを演じるシーンが有名ですが、実はこの映画のために書かれた楽曲ではなくビー・ジーズ1976年のアルバム『チルドレン・オブ・ザ・ワールド(Children of the World)』に収録された作品でした。
同アルバムからの1stシングルとしてカットされ、同年9月に自身3作目となるBillboard Hot 100のNo.1(年間31位)に輝いています。

ビー・ジーズは前作『Main Course』でそれまでのソフト・ロック路線を「Jive Talkin」などディスコ路線に転換し大成功を収めていますが、所属レーベルの都合により『Children of the World』ではプロデューサー(アリフ・マーディン)の変更を余儀なくされてしまいます。
そこでリンゴ・スターの「You're Sixteen」(過去ログ)を成功に導いたリチャード・ペリーが選ばれたものの2日で決裂、結局前作に携わったスタッフの中からこれと思った2人(Albhy GalutenとKarl Richardson)が担当することとなり、不安の中での再出発でした。
しかし「You Should Be Dancing」が大成功を収めたことで不安は一掃、以降ビー・ジーズ及びバリー・ギブ関連作品に欠かすことのできない共同制作者( Gibb-Galuten-Richardson)として13曲の全米No.1シングルの輩出に関与することになります。

『Saturday Night Fever』サウンドトラックへの参加はビー・ジーズのデビュー以来のマネージャーであり、同映画のプロデューサーでもあったロバート・スティッグウッドの依頼によって『Children of the World』のレコーディングの最中にもたらされたものでした。
当初の要望では[新作4曲]でしたが、実際にはイヴォンヌ・エリマンが歌った「If I Can't Have You」を含む新作5曲に、既発の「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」と「ジャイヴ・トーキン」(映画本編では使用されていない)を加え計7曲を提供、(結果として)うち6曲が全米No.1に輝くという前代未聞のモンスター・アルバムが生まれる原動力となりました。

「You Should Be Dancing」は1999年にイギリスのクラブDJ[Blockster]にカバーされ全英3位を記録、2012年のアメリカ人気テレビ・ドラマ『glee/グリー』でのダレン・クリス(Darren Criss)らによるパフォーマンスも印象深いカバーです。


 
 



~ジョン・トラボルタの悲劇!?~

映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の中で「You Should Be Dancing」の見事なダンス・パフォーマンスを披露し、世界にディスコ・ブームを巻き起こした俳優ジョン・トラボルタですが、実は意外な事実があります。

トラボルタの経歴を遡ってみると[幼少よりダンスを習った]とあるもののダンサー志望というわけではなくデビューはブロードウェイのミュージカルで、役者として何年も踊っていましたがこの映画に臨むまで【ディスコ未経験】だったそうです。
それでも通常であれば高度な技能を要するダンス・シーンにはプロのダンサーを代役に立てて問題はないはずですが、『サタデー・ナイト・フィーバー』ではダンサーの代役を使わない方針だったため、“トラボルタの悲劇”が始まります。

ダンス・レッスンの初日に振り付け師から「You Should Be Dancing」の振り付けが示されると、それはまるで運動選手並の要求水準で、トラボルタ本人は恐ろしくなってプロデューサーのロバート・スティッグウッドに“絶対できない”と降板の電話を入れたものの逆に説得されて続投することとなりました。
しかしギャップを埋めるためにはかなりの筋力と運動能力の上積みが必要であり、昼3kmのランニング&夜3時間のダンス・レッスンという数カ月を乗り越えて9kgの減量と体力UP&振り付けの習得を果たしたそうです(トラボルタは当時の心境を“調教されてる馬の気分”と表現している)。

いとも簡単に高度な技の数々を繰り出しているように見えますが、僅か2分という短い映像にはトラボルタの涙ぐましい努力が集約されています…。





~Epilogue~

ビー・ジーズというと当初、映画『小さな恋のメロディ』のサウンドトラックに集約されるピュアなテイストを持ったコーラス・グループというイメージでしたが、1970年代半ばに当時流行だったディスコ路線に転換しており、ファンの一部から“商業主義”と批判を浴びました。
しかし同時代に顕著な成功を収めたアバ(ABBA)やカーペンターズの例をとってみても、彼らに共通するのは【当時の象徴であっただけでなく、後世も耐え得るしっかりした楽曲・サウンドを創作していた】という事実です。

「You Should Be Dancing」を一聴すると直感的に印象づけられるのはラテンやファンク (funk)のリズム系で、従来のビー・ジーズの魅力とは対極のフィーリングにあるように思えます。
しかしそうしたリズム系の音一つひとつに耳を凝らしてみるとモーリスのベース・ラインやCSN&Yのスティーヴン・スティルスが参加したというパーカッション、トランペットなどアレンジが絶妙であり、非常に洗練されていることがわかるでしょう。
また、ヴォーカル・パートのみの音源を聴いてみるとハーモニーの美しさはやはりビー・ジーズならではであり、どれだけ音を重ねたのだろうと思わせられるぶ厚いサウンドはミキシングに10人がかりを費やしたというからオドロキです。



80年代を象徴するマイケル・ジャクソンも考え合わせると、一時代を築いた人たちの音楽や映像に対する拘(こだわ)りはある種異常であり、だからこそ後世を含む多くの人々に共感され得る創作が生まれたのだと改めて実感させられました。


What you doin' on your back, aah?
そんな風に仰向けになって何しているの ...aah?
You should be dancing, yeah
それより、踊るべきさ

心躍らせる映像とフレーズ…
その陰にあるトラボルタやビー・ジーズの努力と創意も、どうか心にとどめていてくださいね。



「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」


Writer(s): Barry Gibb Robin Gibb Maurice Gibb /訳:Beat Wolf



愛しいあの娘は真夜中に動意づき
それは、夜明けまでずっと続く
僕を天に昇らせ
ずっとあたためていてくれる

**
何しているの?
そんな風に仰向けになって ...aah?
それより、踊るべきさ
ダンスをね ...yeah

あの娘は悩ましいほど魅惑し
僕を悦ばせる
力を与え
この血に降りてくる

**

**

You should be dancing, yeah...


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1976年 ダンス/Funk 映画70's サタデー・ナイト・フィーバー 

コメント

Beat Wolfさん
ビー・ジーズでトラボルタのフィーバーですか。
当時は大ヒットですね。
周りにいる人たちのノリに衣装もすごいです。
歌詞もですが。

2018.01.13  みすてぃ  編集

みすてぃさん

フィーバーは日本でも「現象」になるほど
影響を及ぼしましたね。

でもこの曲とトラボルタのダンスを改めて見ると
やっぱりワクワクしてきます。
もし私がこの場にいたなら
やっぱり大喜びして声援を送るでしょう。(笑)

歌詞もそうですが、音楽って心を躍らせてくれるものですね♪

2018.01.13  Beat Wolf  編集

Beat Wolfさん
ビージーズは昔のアルバムジャケット写真を見たことがあり一昨年に数年前の
特別コンサート映像を見たら全然人もあの独特の高音も出ていなかったので
変っと思っていました。
兄弟たちが早くに亡くなられていたのですね。

トラボルタがダンスの為に猛特訓を重ねていたのは、役とはいえ大変
でしたね。
あのダンスの終わりまでの踊り方は確かに簡単には踊れ
ませんよねー(´ヘ`;)

2018.01.16  みすてぃ  編集

みすてぃさん

アルバム・ジャケットを眺めるのも、楽しいですよね。
中にはジャケットに魅かれて買ってしまったり?(笑)

そうですね。
リンゴ・スターは殆んど地声で歌ってるのでいいですが
ファルセットで歌うのは負担がとても大きく
少しの不調で出せなくなると思います。
私も、ホイットニー・ヒューストンのライブでガッカリしたことがありますから。

実はこの時、トラボルタにはそれ以上に辛い出来事がありました。
逆に、苦しいトレーニングがあったお陰で
それを紛らすことができたとも言っています。

あのダンスは上下動があるので、相当筋力を使うと思います。(笑)

2018.01.16  Beat Wolf  編集

Knight Fever?←このボケですよね

小学生の頃に延々と街中、ラジオ、テレビでかかってました。
裏声を出す真似もしてたな~マイケル以前に。

アンディ亡くなったのは知ってましたが、1人ぼっちになってたとは知りませんでした。天国で兄弟たちに見せれる土産が出来て良かったですよね。

別件ですが、リンゴ・スターコメントへのお返事有難うございました。
おかげ様で角が引っ込んだ様子です・・・。

2018.01.18  地味JAM尊  編集

Re: Knight Fever?←このボケですよね

「Knight Fever」
…サスガです。(笑)
当時私は歌謡曲程度しか知らず、映画も見てはいませんでしたが
否応なく「フィーバー」に巻き込まれていました。
裏声は、小田和正で挑戦しました。(汗)

意外とこの家系は短命ですよね。
でもバリー自身も心臓発作の経験があるそうなので
安心できません…。

別件について、実は何も心配していません。
だって地味JAM尊さんが愛妻家であることは
私などより、奥さまがよくご存じのはずですから。
これからも「夫婦漫才」で、末長く。(笑)

2018.01.18  Beat Wolf  編集

ビージーズといえばやはり映画「小さな恋のメロディ」(1971年)ですね~!「メロディフェア」「インザモーニング」「若葉のころ」(First of May)・・・。マークレスター&トレシーハイドが初恋に陥りトロッコを漕いで2人で旅立つのメルヘン世界でした。そのビージーズがディスコソングで再ブレイクしたのは本当に驚きました。

2018.01.18  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

ローリングウエストさんも
やはり「小さな恋のメロディ」でしたか。
日本では特に人気がありますよね。

でも、よくこれほどまでに音楽性を変えたものです。
もっと凄いのは、そのどちらも成功させたことで
これはビートルズなど数少ない存在だけ為し得た偉業ですね。

2018.01.19  Beat Wolf  編集

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