Elvis Presley - Love Me Tender (1956年)~エルヴィス「Love Me Tender」清志郎~ 「Love Me Tender」は言わずと知れた“King of Rock and Roll”エルヴィス・プレスリーの有名曲ですが、これには【元歌】があるってご存知だったでしょうか?
しかも、エルヴィスの「Love Me Tender」を元歌とした有名な日本語カバーまであるのです。
それこそ、“ザ・キング・オブ・ロック”忌野清志郎率いる伝説のロック・バンド・RCサクセション。
今回は【同じ曲なのに全く違う】、この二つの作品を特集いたします。
【2011.3.11】を決して忘れない…。
~概要~ 日本で“ミスター”と言っただけで国民の多くがプロ野球の長嶋茂雄選手を思い浮かべるように、アメリカで“the King”で通用する存在こそエルヴィス・プレスリーです。
そのエルヴィスのデビューは1954年(55年までにインディーズで5枚のシングルをリリース)、そしてメジャーのRCAレコードに移籍した1956年には「Heartbreak Hotel」でいきなり大ブレイク、ここから“the King”伝説が始まります。
この年だけで既に4曲の全米No.1シングルを量産していたエルヴィスは、ミュージカル西部劇
『やさしく愛して(Love Me Tender)』 (当初のタイトルは『The Reno Brothers』)で映画デビューすることが決まり、劇中で彼は「Love Me Tender」を含む4曲を歌いました (End title version
) 。
映画はアメリカ南北戦争(1861-1865)の頃を舞台としており、そうした経緯からか1861年にウィリアム・ホワイトマン・フォスディック作詞/ジョージ・R・プールトン作曲の
アメリカ民謡「オーラ・リー (Aura Lee)」 を、『王様と私』のケン・ダービー(Ken Darby)が歌詞を書き換え「Love Me Tender」が生まれました。
1956年9月9日、エルヴィスは『エド・サリヴァン・ショー』
に初出演し「Love Me Tender」を披露すると、翌日には100万枚を越える予約が殺到したそうです。
9月28日にシングルが発売され、11月3日から
Billboard chartsで5週No.1(年間15位) に輝いていますが、「Love Me Tender」に首位の座を奪われたのもエルヴィス自身の「Hound Dog/Don't Be Cruel」で、同一歌手によって1位が受け継がれたのは史上初の出来事であり、この間彼によって達成された【16週連続No.1】も歴史に残る大記録となりました。
また、「Love Me Tender」はナット・キング・コールやフランク・シナトラ、バーブラ・ストライサンド
、ノラ・ジョーンズほか多くのミュージシャンにカバーされており、ローリング・ストーン誌
【The 500 Greatest Songs of All Time 437位】 にランクされました。
ちなみに、私が特に気になった
ジェイムズ・ブラウンver. は、予想通り原曲を留めてはいませんでした!?
VIDEO VIDEO VIDEO VIDEO ~清志郎、 親会社・東芝に一世一代の大喧嘩?~ 数多くカバーされた「Love Me Tender」の中でもとりわけ異色なのは、日本のロック・バンドRCサクセションの日本語カバーver.です。
論より証拠、出だしの
歌詞 をオリジナルと重ねてみると…
Love me tender, Love me sweet 何 言ってんだー、ふざけんじゃねぇー Never let me go 核などいらねー VIDEO オリジナルの世界観を全く反映しない、強烈なプロテスト・ソングです(protest;抗議)!
1988年、本作の作詞者でありRCサクセションのヴォーカリストでもある忌野清志郎(2009年に死去)は
反戦・反核をテーマとした洋楽カバー ・アルバム『COVERS』とシングル「ラヴ・ミー・テンダー」を制作、発売予定日まで明記して全国に告知をするも、
所属レコード会社からの命令によって急遽発売中止 となる騒ぎが起きました。
諦め切れない清志郎は、古巣キティレコードから作品の発表にこぎ着けますが…。
実は、RCサクセションの所属レコード会社とは『東芝EMI』であり、
親会社『東芝』は日本を代表する原子力関連メーカー だったのです!
~2017年、名門・東芝の株式上場廃止危機の背景にある日本の危うさ~ 2017年、
東芝は原子力事業の巨額損失が仇となって株式上場廃止の危機 に追い込まれました。
その大きな要因は2006年に適正価格の3倍の約54億ドル(約6370億円)の高値で買収したアメリカ原子力関連企業ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー
(WEC)が 、2017年に1兆4000億円もの損失を出して
経営破たん したことでした。
ただそもそも原発事業自体、1979年の「スリーマイル島原子力発電所事故」や1986年の「チェルノブイリ原子力発電所事故」の事故リスクの甚大さを鑑みて基本的に商売として成立が難しくなっており、WECもアメリカとイギリスの間でたらい回しにされていた会社でした。
更には2011年に発生した東日本大震災及び
「東京電力福島第一原発事故」によって 日本国内での「原発の安全神話」は崩壊し、
世界中が原発の危険性を確信 したことを考えると、この破綻は自明の理であるように思えます。
しかし世界が震撼した福島第一原発事故発生直後でさえ、
東芝・佐々木則夫社長(当時)が“(原発市場は)縮小というより、増えるのではないですか”(日経ビジネス11年8月29日号)と強気 でいられたのは何故でしょう?
【“国策”の名の下に、沈みゆく東芝】 原発関連の情報を調べていると度々出てくる言葉に
「国策」 がありますが、やはり東芝問題でも例外ではありません。
国策…つまり「国家の基本的方針の下に進められる政策」であり、中には
「経産省が東芝に“買え”と後押しした」 という指摘もあります。
経済産業省は原子力政策を所管する国家機関であり、もちろん
それは「内閣の意思決定の下に行使される」 という前提です。
特に
2006年から現在までの(第1次~第4次)安倍内閣は経産省との結びつきが強く (安倍氏の祖父・岸信介元首相は戦前の商工省出身)、この間経産省出身の官僚として内閣総理大臣秘書官を務め、原発推進・再稼働ほか数々の安倍内閣の政策を立案し「影の総理」とも囁かれるほど重要な役割を果たしてきたのが
今井尚哉 氏でした。
今井氏の
叔父・今井敬氏は日本原子力産業協会理事長 (元経団連会長)であり、安倍家と今井家は岸信介氏の時代からの関わりであることを考えても、この政権にとって「原発推進が如何に外せない政策」であるかが窺えます。
第1次安倍内閣が発足すると、経産省は
『エネルギー白書2007』 で「原子力立国」「2030年以降も総発電電力量の30%~40%」
「原子力産業の国際的展開を推進」 など打ち出しており、世界でお荷物扱いされていたWECを東芝が相場の3倍の高値で買収したのも、この頃です(東芝の粉飾決算が始まったのもこの頃とされる)。
また、当時の東芝関係者は「周囲が“本当に大丈夫か”と不安視する案件でも、佐々木社長の後ろ盾と、今井氏とも繋がっている彼(WEC買収の担当者)に
“国策だ”と言われると、誰も言い返せません。財務部門もストップをかけられなかった 」と証言したとされます。
【“総理のご意向”では、世界に通用しない】 「政府が右というを左と言えぬ」「総理のご意向」「忖度」「神風が吹いた」「国策捜査」という近年の流行語も、これらが安倍首相に直接関わりのあった人たちから出た言葉であることを複合して考慮すると、今この国の政治でどのような運営がなされているのかは明白です。
しかし
「総理のご意向」や「国策」は国内で通用しても、国外では全く通用しません 。
その最たる例こそ「原子力産業の国際的展開を推進」であり、福島第一原発事故発生直後は「原発は危険」という直感的反応でしたが、
近年もはや世界は「脱炭素(再生可能エネルギー)こそ一獲千金の大ビジネスチャンス」と我先に投資先を競っている時流 となっています。
「石油王ロックフェラー兄弟ファンドが化石燃料への投資から撤退」し環境ビジネスへの投資先を探し、世界一のCO2排出国が100基の石炭火力発電所の建設を中止して
「風力・太陽光発電をここ5年で4倍に増やし再生可能エネルギー世界一となった中国」 、石油大国アラブ首長国連邦が「太陽光パネルで2.6円/kWh(日本の石炭火力の1/5のコスト)の発電を実現」させているのです。
【日本国民の税金で「全額債務保証」してまで、外国の原発を造る必要性?】 東日本大震災直後、私は
“資源に乏しく原発の危険性が証明された今だからこそ、日本が世界に先んじて再生可能エネルギーを進めるべき” と確信しましたが、先んじて動いたのはむしろ諸外国の方で、
中国が4倍 に増えた一方、日本は2016年の時点で
'11年比+4.3%しか増えていません 。
何故なら、日本は
安倍内閣の「2030年も電力の約2割を原発で賄う」方針 により、新規中小事業者がいくら自然エネルギー発電を申請しても役所が書類で、既存大電力会社が
“(実際は空きがあるのに原発用の容量を確保しておくため)送電網に空きがない”と撥ね付けている との調査報告があります。
原発の輸出についても
「東芝がダメなら日立&三菱重工」 と、日立製作所の中西宏明会長を次期経団連会長に担ぎ、安倍首相はいまだ原発を売り込もうと彼らを連れて世界を飛び回っています。
しかも時代遅れとなった原発の不利を埋めるためか
海外での原発新設に対し 日本の3メガバンクと政府系金融JBICが融資を行い、さらに事故などによる貸し倒れの際には
「日本政府(=日本国民の税金)が全額債務保証」 するという特約まで付けているというのです(何兆円単位です!)。
空母の時代に戦艦大和、格安航空の時代にリニア新幹線、自然から電気が作れる時代に原子力発電
無用の長物に見合わぬ巨額投資…ツケは、それを許した国民が払わされるのです。
~原発のリスクは、あらゆる災害と切り離して考えられない~ 2011年(平成23年)3月11日に発生した【東日本大震災】。
地震の規模M9.0は国内に於いてこの100年で最大、世界でも5番目に当たります。
天災は人命や自然、社会、財産、生活…あらゆるものに甚大な被害を及ぼしますが、この地震が史上類を見ない震災となったのはINESレベル7という最悪の【原子力発電所事故】を伴ったものだったからです。
2018.2.27現在も
7万3000人の方が避難生活 を強いられ、増え続ける福島第一原発構内の放射性物質を含んだ汚染水はあと5・6年で満杯となり、先月の世論調査で
福島県民の66%が放射性物質に不安 を感じている現状は、この震災が未だ終わっていないことを指し示しています。
しかし地震列島である日本に於いて、懸念すべきは既発の地震だけではありません。
政府の地震調査委員会が最近発表した長期評価における地震発生確率の変更で、特に気になったものを掘り下げてみました。
【
南海トラフ巨大地震 】
地震の規模 : M8~9
地震発生確率: 30年以内に70~80%程度
南海トラフは静岡から四国にかけての太平洋側に存在する深さ4000m級の海溝《写真・左》で、これまでもM8クラスの大地震が約100~200年周期で発生しています。
西日本の太平洋側に沿うように長く伸びた海溝であることから
東海・東南海・南海 との連動型に発展することも想定され、2012年に内閣府は
想定最大死者数:32万3000人 と発表しました。
更に、付近には日本最大級の断層[
中央構造線断層帯 ]《写真・右》が走っており、2016年の熊本地震(M 7.3)はこの断層で、過去に中央構造線断層上にある愛媛・大分・京都で連動して地震が発生しました。
また、静岡県
浜岡原発 は南海トラフ付近に、鹿児島県
川内原発 と愛媛県
伊方原発 は中央構造線断層帯上にあります。
[3.11]の約半年前に地震による原発事故が迫っていると警鐘を鳴らしたジャーナリストの広瀬隆氏は、
西日本の原発大事故がもたらす被害 について、次のように指摘しています。
“
台風は西から東へ偏西風の流れに沿って進みますが、原発の大事故のときに放射能が流れやすい進路も同じ。川内原発と伊方原発から偏西風の向きに放射能が流れれば、日本列島全域が汚染される ”
【
千島海溝沿い(十勝沖▽根室沖▽色丹島沖及び択捉島沖連動)地震 】
地震の規模 : M8.8以上
地震発生確率: 30年以内に7~40%
上の数字は3つの領域が連動した場合のもので、個別では十勝沖M8.0-8.6(7%)、根室沖M7.8-8.5(70%)、色丹島沖7.7-8.5(60%)。
私がこの海域を着目する理由は、近くに[
六ヶ所再処理工場 ]があるからです(ほかにも核施設が多い)。
六ヶ所再処理工場は青森県下北半島のつけ根にある上北郡六ヶ所村にある日本原燃が所有する核燃料の再処理工場で、ここには全国54基の原発から発せられた
使用済み高レベル放射性廃棄物 が3年前の時点で
2827トン 運び込まれほぼ満杯状態となっています。
福島第一原発の事故は、吉田昌郎所長が“東日本壊滅”を想定した史上最悪レベルの事故でした。
(風向きで放射能の8割が太平洋に運ばれるなど、偶然と幸運の連続によって結果的に被害が少なく済んだ)
六ヶ所再処理工場は全国54基の原発から排出された13年分の放射性廃棄物が蓄えられて おり、上記・広瀬隆氏の言葉を借りれば
“この再処理工場で大事故が起これば、日本が終る ” そうです。
~Epilogue~ 安全性でも、経済性でも極めてリスクの高い原子力発電。
30年前、息子(清志郎)がそれを訴えるも、親(東芝)は耳を貸さず突き進み、やがて東芝は進退きわまり存亡の危機に陥りました。
[バブル崩壊]のように経済的失敗は後で取り返すことも可能ですが、
放射能災害は経済的損失に止まらず人命や国土・郷土を半永久的に失う 可能性があります。
今、
世界はその事に気づき脱原発・脱炭素(再生可能エネルギー)へと加速している のに、福島第一原発事故を体験した当の日本人だけ何故それができないのでしょう?
安倍政権の支持者の少なからず“大東亜戦争(太平洋戦争)は間違った戦争ではない、負けていない”と考えているそうですが、そのために精力を注いで過去の汚名を返上できたとしても、
現在の世界から“19・20世紀型の発電から転換できない国”と批難され新エネルギーの競争に負けたのでは何の意味もありません 。
いくら理屈をこねても ほんの少し考えりゃ 俺にもわかるさ ~清志郎 ガチガチ頭の親(安倍政権)が過ちを認めず、自ら悔い改めることができないなら、
子(国民)がそれを果たさないと、この国はやがて滅びます。
取り返しのつかないダメージを被る前に…。
「ラヴ・ミー・テンダー」 VIDEO Writer(s): Music: George R. Poulton, Lyrics: Ken Darby /訳:Beat Wolf いたわるように愛しておくれ とろけるやさしさで 決して僕を放さないでおくれ 人生を至福へと導いてくれた君 心から愛してる * いたわるように愛しておくれ いつわりない真心で 夢はすべて満たされた 愛しい君への "I love you" きっと、いつまでも いたわるように愛しておくれ ずっと、いつまでも 胸の深く、受け入れておくれ 僕の拠(よ)るべき場所 決して離れない * いたわるように愛しておくれ 愛を込めて “あなたは私のもの”と言っておくれ いつまでも、僕は君のもの この世の終わりまで *最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
スポンサーサイト
tags :
1956年 偉大な曲 フォーク 映画-60's * 東日本大震災 原発
コメントを投稿