I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「里見八犬伝」ジョン・オバニオン

2018.03.23

category : Soundtracks

John OBanion - I Dont Want This Night To End1 John OBanion - I Dont Want This Night To End2


John O'Banion - I Don't Want This Night To End(1983年)



~I Don't Want This Night To End~

3月は別れの季節。
日本では淡く儚い桜の開花が卒業や転勤の時期と重なり、惜別の情を桜色に染めます。
そんなこの時期の風情を端的に表したのが【卒業ソング】や【桜ソング】であり、クリスマス・ソングと並び実に多くの創作が試みられてきました。

「里見八犬伝」はいわゆる卒業ソングではありませんが、同年ヒットしたH2Oの「想い出がいっぱい」や柏原芳恵「春なのに」に近いテイストで、この季節にぴったりな【別れの名曲】です。



~概要~

ジョン・オバニオンは1981年にデビューしたアメリカの歌手で、同年「僕のラブソング(Love You Like I Never Loved Before)」が全米24位を記録しています。
翌1982年3月、彼は『第11回東京音楽祭』に出場し「きみだけのバラード(I Don't Want To Loose Your Love)」で見事グランプリを獲得、その存在が日本で知られるきっかけとなりました。
(ちなみにこの時の金賞には高橋真梨子の「for you…」、銀賞にはアンジー・ゴールド(「ダンシング・ヒーロー」の作者)の「Get It Over With」が入賞)

東京音楽祭には「きみだけのバラード」の作曲者ジョーイ・カーボーン(Joey Carbone)も同行・来日しており、日本での仕事を増やしたいという彼の意向が日本側に伝えられ、その結果生まれた作品こそ翌1983年12月公開の映画『里見八犬伝』の主題歌でした。
映画のサウンドトラックからジョン・オバニオンが歌唱する「八剣士のテーマ (White Light)」がオープニングに、「里見八犬伝(I Don't Want This Night To End)」はエンディングに用いられ、1983年10月に日本国内で発売されたシングル「里見八犬伝/八剣士のテーマ」は17万枚を売り上げ1984年のオリコン・シングル年間77位を記録するヒットとなっています。

このヒット以降、作曲者ジョーイ・カーボーンはテリー・デサリオ 「オーバーナイト・サクセス」ほか、少年隊やSMAP、嵐、KAT-TUNなどのジャニーズ系をはじめ、近年に至るまで実に広範に楽曲を提供しJ-Pop界で活躍を続けました。
一方のジョン・オバニオンはその後1991年公開の映画『波の数だけ抱きしめて』に「僕のラブソング」が起用されたものの、特記するほどの日本との関わりはみられず、2007年に交通事故の後遺症により59歳でこの世を去っています。

 
 



~Lyrics~

But I have got a job to do
でも、僕にはやるべき務めがある
Got to see things through
やり遂げなくてはならないんだ

映画『里見八犬伝』は江戸時代後期(1842年に完結)の滝沢馬琴による長編伝奇小説『南総里見八犬伝』を原作とする【角川映画】で、時代劇でありながら大胆な特撮や特殊メイク、千葉真一率いるJAC(ジャパンアクションクラブ)による派手なアクション、ロックや洋楽を取り入れるという当時としては非常に斬新な試みが取り入れられた作品でした。
物語は安房国を巡る争いで、里見家を滅ぼされた静姫が八剣(犬)士の助力によって仇敵を打ち果たすストーリー。




Oh my darling love me tonight
今夜、僕を愛しておくれ
And chase the morning shadow with you heavenly light
二人の天の光で朝の幻影を追い立てよう

静姫(薬師丸ひろ子)と八犬士は主従関係にありますが、そのうちのひとり犬江親兵衛(真田広之)は静姫と恋に落ちます。
当初親兵衛はやんちゃな子供みたいで剣の腕も未熟だったものの、終盤は愛するものを守るナイトに変貌し獅子奮迅の活躍をみせました。
薬師丸ひろ子は『セーラー服と機関銃』『探偵物語』に続く主演作で当時人気の絶頂期にあった一方、真田広之との“ムフフ”なシーンは19歳の清純派を打ち破るかなり大胆なもので、隠れた見所の一つとなっています(このシーンでも「里見八犬伝」が使われている)。


Now in hours I have to say goodbye
だけど、もうすぐさよならを言わなくちゃ
Well you know I have to go
そうさ、僕は行かなくてはならない

本懐を遂げ、静姫を親族の城に送り届けると親兵衛の役目も終わりです。
一城の姫君となった静姫は、もはや一介の無法者に過ぎない親兵衛の手の届く相手ではありません。
二人には、必然ともいえる別れの時が訪れます…。

「里見八犬伝」の歌詞を訳して一番困ったのは、映画『里見八犬伝』は正反対な結末であること!
映画を基に歌詞が書かれているはずなのに、両者の筋書きには補い難い齟齬(そご)があるのです。
その一例がこの部分で、映画では【務めを終えたため別れる】のに対し、歌は【務めを果たすため別れなければならない】設定となっています。
そのギャップがMaxとなるのが、「里見八犬伝」が流れるエンディング・シーン…。



~Epilogue~

【会者定離(えしゃじょうり)】

仏典の一つ、遺教経の【生者必滅会者定離】に由来する諺(ことわざ)です。
“生きている者は必ず死に、出会った者は別れる定め”なんて、幼子に話したらそれだけで大声あげて泣かれそうな残酷な言葉ですが、それが[無常]なる万物の理(ことわり)である以上、どうしようもありません。
むしろ、その厳然たる理の中にこそ、“生きる術(すべ)”のヒントが隠されている気がします。


【一期一会(いちごいちえ)】

安土桃山時代の茶人・千利休は、【わび・さび】の中に茶道の極意を見出しました。
【さび(寂)】は“時間の経過によって劣化した表面に、その内部的本質が滲み出る美しさ”
【わび(侘)】は“[さび]など貧粗・不足の中に美しさを見出す心”です。
生まれたての輝くような美しさではなく、その輝きが後退し長年少しずつ積み重なったからこそ形成される美しさ…
何だか、私たちが人生で目指すべき境地と似ています。

人生は出会いという喜びに始まり、別れの悲しみで幕を閉じる宿命にあります。
でも、人との出会いは不確かであり、めぐり合わせも無常で儚いものであるからこそ、その出会いを喜び、今この時を共にしてくれた人への感謝の気持ちが湧いてくるのでしょう。
【一期(一生)に一会の心】として…。


I don't want this night to end
夜よ、どうか終わらないで
Don't say goodbye
さよならを口にしたくないから

どんな夜も、やがて朝はやってきます。
でも、その出会いがあなたにもたらしたものは“一夜の悲しみ”だけではありません。
それに勝る“万夜の喜び”、そして感謝の心…

“大切な時間を、ありがとう。”



「里見八犬伝」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪
Writer(s): Kathi Pinto, Joey Carbone /訳:Beat Wolf


二人には宵(よい)の移ろいさえ目に入らない
あるのは、辺りを包む魔法
名残を惜しむ時間…
だけど、もうすぐさよならを言わなくちゃ
そうさ、僕は行かなくてはならない
この胸が切られるように辛いけれど…


夜よ、どうか終わらないで
さよならを口にしたくないから
ただ、君のぬくもりに抱きしめられていたい
夜よ、どうか明けないで
まやかしでもいい、もう少しだけ
明日のことは、忘れていよう

君の瞳に映る憂いの藍…
でも、僕にはやるべき務めがある
やり遂げなくてはならないんだ
目の届かない遠くあろうと、僕は君のそばにいる
その日まで、指折り数えておいで…
きっと君のもとへと帰るから



今夜、僕を愛しておくれ
二人の天の光で朝の幻影を追い立てよう
僕は君の腕の中で強くなれる
今夜、僕を愛し
君が旅立ちの時、この想いも連れて行っておくれ




~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪

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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 映画 

コメント

正月に里見八犬伝、ノーカットでTokyoMXでやってて

嫁が録画しながらヨダレと涙まみれになって見てました。今Beat Wolfさんの訳詞を見て、「こういうクサい詞がホントにあうんだよ。若い真田広之見なくちゃっ!Beat Wolfさんって、いいセンスしてるね」との伝言を承りました・・・。ありがとうございました。

2018.03.24  地味JAM尊  編集

Re: 正月に里見八犬伝、ノーカットでTokyoMXでやってて

新年に放送されていたのですね!
私も今回映画を久しぶりに見たのですが
真田広之の若いこと、若いこと!!
この頃トシちゃんとかマッチとか人気でしたが
私が女だったら真田広之を応援したでしょう。

奥さまの慧眼が、地味JAM尊さんを選ばせたわけですね?(笑)

2018.03.24  Beat Wolf  編集

この映画も見ましたしジョンオバニオンにも一時嵌っていました!完全に忘却の彼方でしたが懐かしい~!

2018.03.28  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

映画、ご覧になったのですね。
ジョン・オバニオンはいなくなってしまいましたが
薬師丸ひろ子まだまだ現役でうれしい限りです。

2018.03.28  Beat Wolf  編集

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古い歌を“過去”として懐かしむだけでなく、『温故知新』…“今”に繋がる何かを探し求めます。



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