I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「スリッピング・スルー・マイ・フィンガーズ」アバ

2018.05.04

category : ABBA

ABBA - Slipping Through My Fingers1 ABBA - Slipping Through My Fingers2


ABBA - Slipping Through My Fingers (1981年)



~概要~

「スリッピング・スルー・マイ・フィンガーズ」はスウェーデンのポップ・グループ“ABBA”1981年11月の8th(最終)アルバム『The Visitors』の収録曲です。
作者はメンバーのビョルン・ウルヴァースとベニー・アンダーソン、リード・ヴォーカルはアグネッタ・フォルツコグ。
一部を除きシングル・カットはなく、南米盤『The Visitors』にはスペイン語ver.も収録され、スペイン語圏でシングルもリリースされたそうです。
“母と娘の物語”をイメージさせる歌詞ですが、実際にビョルンとアグネッタの娘さんからインスピレーションを得て生まれた作品です。

日本では同年夏にコカ・コーラが販売促進用の企画として“スーパー・レコード”(写真左/非売品)を製作しています。
当時はコカ・コーラの瓶の王冠や缶のプルタブが“くじ”になっていて、それを集めると特別な賞品がもらえるというイベントがよくありましたが、これもその一つです。
このスーパー・レコードの企画にはアバ以外にもノーランズやドゥービー・ブラザーズ、三原順子、クリスタル・キングが参加しており、シングル盤は未発表曲の赤いカラー・レコード(裏面がピクチャーディスク仕様)、LPは独自選曲による編集盤となっていました。

「Slipping Through My Fingers」は、1999年に始まったABBAのヒット曲から成るミュージカル『マンマ・ミーア!(Mamma Mia!)』の構成曲の一つでもあります。
2008年にはメリル・ストリープを主人公とした同映画が公開され、あの『タイタニック』を凌ぐイギリス史上最高のヒットを記録しました(後に『アバター』がその記録を更新)。


 



~Lyrics~

Schoolbag in hand, she leaves home in the early morning
通学かばんを手に、朝早く家を出るあの子
Waving goodbye with an absent-minded smile
ぼんやり笑顔で、行ってきますと手を振っている

「Slipping Through My Fingers」は、1973年に生まれた自身の長女Linda Elin Ulvaeusが7歳の時に学校へ行く姿をビョルンが見て創作したものだそうです。

子どもは好きなもの・興味のあるものに対する集中力が極めて高く、反面その瞬間それ以外の事象(路上での安全など)に対する集中力が【absent(不在の、欠けて)】になりがちです。
大人だと訓練されていて、そのとき何を優先すべきかある程度意識分散でコントロールできますが、子どもは興味次第の所もあるので切り替えがまだ上手くありません。
その辺りが“ぼんやり”に見えて、親にとっては心配になってしまうところでしょう…。


I'm glad whenever I can share her laughter
あの子と笑いを分け合うことが、いつだって私の喜び
That funny little girl
しあわせの笑みを誘う、小さな天使

一方、ビョルンとアグネッタは1978年末頃には別れを決意し1980年7月に離婚しているので、この曲が創作された頃は彼らにとってかなり難しい時期だったことでしょう。

『The Visitors』が発表される1か月前の1981年10月にアグネッタは『Nu tändas tusen juleljus』というスウェーデン向けのクリスマス・アルバムをリリースしていますが、これが実は娘リンダとのデュエット・アルバムでもありました《写真》。
このアルバムは後年CDとして再リリースされ、1990-2000年代にかけてベストセラーにもなったそうです。

ABBA - Slipping Through My Fingers3 



~2018年は“ABBAの年”!~

1982年の解散から36年が経つ2018年、今年はアバにとって解散以降最大の年となりそうです。

一つは、解散以来初めて4人がスタジオ入りして2曲の新曲を発表する予定である、ということ。
そのうち「I Still Have Faith in You」はメランコリックな曲だそうで、12月にアメリカと英国で放送されるテレビ番組内で“デジタルABBA”によって披露される予定となっています。
もう1曲の「Don’t Shut Me Down」はダンス・ミュージックではないがアップテンポな曲だそうで、2019年からの開催が計画されているABBAtarsなるホログラム・ツアーで聴くことができそうです。

もう一つはアメリカ・イギリスなどで7月20日、日本では8月24日から新作映画『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー(Mamma Mia! Here We Go Again)』が公開予定となっていることです。
タイトルのとおり2008年の映画『マンマ・ミーア!』の続編で、10年後の現在と、ドナがソフィの父親候補3人と出会った青春時代を描く内容となっています。
前作のキャストに加えて今作では若きドナ役を『シンデレラ』のリリー・ジェームズ、そして私が特にぶったまげたのがドナの母親役にあのシェールが出演するというのです!
(まさか、Tバックで歌わないでしょうね…?(御齢7×歳) 



何れにしても、今年はABBAから目が離せません!



~Epilogue~

映画『マンマ・ミーア!』は、シングル・マザーとして仕事と子育てに奮闘した母ドナ(メリル・ストリープ)と、一人娘ソフィ(アマンダ・サイフリッド)の物語。
ソフィが結婚式を挙げる日、母が娘のドレスの着付けを手伝う場面でドナが「Slipping Through My Fingers」を歌います。



ママは苦労したわ。子育てもホテルも何もかも1人で…
自分を育てるため、20年間苦労を一人で背負ってきた母を案じる娘。
でもそれでよかった。こんなに幸せだもの…”
娘の言葉に、長年の【苦労】を【幸せ】だったと答える母。

エスコートしてくれる?
バージン・ロードを実の父親にエスコートされることを夢みていたソフィは、その役目を20年間苦楽を共にした母ドナにお願いすることに決めました。
うれしさが込み上げ、何度もそれに頷くドナ。
母娘の心が、一つになった瞬間…。

Sometimes I wish that I could freeze the picture
写真みたいに、この瞬間を凍らせられたらいいのに…


自身の娘が学校に通う姿を見て作品を書いたビョルンは、「Slipping Through My Fingers」について次のように語っています。
親だったらみんなこの感覚に覚えがあるんじゃないかな?
たとえ子どもたちと起きている時間の全てを一緒に過ごしたとしても、まだ何か取り逃がしている気がすること
…”

Each time I think I'm close to knowing
ようやくそこに近づいたと思うたび
She keeps on growing
あの子はもっと先へと成長し
Slipping through my fingers all the time
いつだって、私の指からすり抜けていってしまう…

そんな“想い”もあったのだと、“あの頃”気づいてあげられた子どもはあまりいないでしょう。
でも成長を遂げた今なら、それを埋め合わせてあげられるかもしれません。 



「スリッピング・スルー・マイ・フィンガーズ」


Writer(s): Benny Andersson, Björn Ulvaeus /訳:Beat Wolf


通学かばんを手に、朝早く家を出るあの子
ぼんやり笑顔で、行ってきますと手を振っている
押し寄せる母親の悲哀から、付き添うように見守る私
腰を下ろしたまま、小さな背中が見えなくなるまで…

まるで、永遠の別れの気分
彼女の世界に参加できないなんて…
あの子と笑いを分け合うことが、いつだって私の喜び
しあわせの笑みを誘う、小さな天使


いつだって、私の指の間をすり抜けてゆく
その一瞬一瞬を
心に焼付けようとするけれど 
いつだって、私の指からすり抜けてゆく
あの子のこと、私は本当に理解しているだろうか…
ようやくそこに近づいたと思うたび
あの子はもっと先へと成長し
いつだって、私の指からすり抜けていってしまう…


二人が寝坊した朝食のテーブル
寝ぼけ眼(まなこ)で、大切な時間を無駄にしてしまう
やがてあの子が出掛け、取り残された片割れの憂鬱
自責が止まらない…

素敵な冒険はどこに?
二人で行こうと計画したたくさんの場所
(いつだって、私の指の間をすり抜けてゆく)
そうね…幾つかは実現し、多くは果たせなかった
でも、何故? 私にはわからない…




写真みたいに、この瞬間を凍らせられたらいいのに…
そして、時間という奇妙なトリックから救いたい
この指の間からすり抜けてゆくものを

Slipping through my fingers all the time...

通学かばんを手に、朝早く家を出るあの子
ぼんやり笑顔で、さようならと手を振っている…


~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 映画 

コメント

アバは今年秋に久しぶりに新しいアルバムを出しますね。まだ1回しか記事(悲しきフェルナンデ)しか書いていなかったので今年はビョルン&ベニー、アバをまたレポしようかなと思っています。

2018.05.04  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

アバは70年代を代表する一組ですね。
しかも、後世からも愛されつつけています。
なので、アバを取り上げないのは勿体ないですよ!(笑)
今年はアバにとって特別な年になると思います。

2018.05.04  Beat Wolf  編集

こんばんは
いいですね、この曲。
その当時(70年代)、いたるところから流れていたのでABBAは良く聴きました。
一昨年あたりからReunionの動きがあった感じですが、今年新曲を2曲録音している様で、発表が楽しみです。
それにしても、映像ではみんな良いお歳を召されていますね。

2018.05.06  FirstMESA  編集

FirstMESAさん

リアルタイムからよく聴いてらしたのですね。
でももう30年以上出していないのに
ここへ来ての新曲は驚かれたことでしょう。

みなさん、70歳前後ですからね…
でもそこは、21世紀のテクノロジーが助力してくれるようですよ。(笑)

2018.05.07  Beat Wolf  編集

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古い歌を“過去”として懐かしむだけでなく、『温故知新』…“今”に繋がる何かを探し求めます。



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