I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

「アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ」ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース

2018.05.11

category : Huey Lewis And The News

Huey Lewis And The News - I Want A New Drug1 Huey Lewis And The News - I Want A New Drug2


Huey Lewis And The News - I Want A New Drug (1984年)



~概要~

「アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ」はアメリカのロック・バンド、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース1983年の3rdアルバム『スポーツ(Sports)』からの2ndシングルで、1枚目の「Heart and Soul」に続いてBillboard Hot 100の6位(年間55位)を記録しました。
このバンド特有のハートフルなロック・ナンバーですが珍しくdance mixもリリースされており、Billboard US Dance/Disco Top 80でNo.1に輝いた(全キャリアで唯一)のをはじめ海外でもヒットを遂げています。

ヒューイ・ルイスとギタリストのクリス・ヘイズによる作曲で、ヒューイによると彼が代理人の家に行く途中車の中でほんの数分で出来たもので、代理人の家に着いた途端に急いで紙をもらって書き留めたそうです。
当時、映画『ゴーストバスターズ』の制作者側から「I Want a New Drug」をサウンドトラックに使わせて欲しいと要望があったものの、ヒューイがこれを断ったという経緯もありました。
その後、主題歌に採用されたレイ・パーカー Jr.の「Ghostbusters」があまりに本曲と似ていたため、ヒューイが盗作で訴えるという騒ぎに発展したことはあまりに有名な話です。

一方、本曲の“パクり”が公認されたのはパロディ界のレジェンドとしてお馴染みアル・ヤンコビック(“Weird Al” Yankovic)で、「I Want a New Drug」を捩(もじ)った「I Want A New Duckではサックスの代わりに文字通り“アヒルの大合唱”がフィーチャーされていますが、アルはアヒルの研究のために図書館に1週間通ったそうです。
また、「I Want a New Drug」のPVはライブの仕事が入っているのに寝坊してしまったヒューイが台所に氷水を張って無理矢理顔を突っ込んで二日酔い(?)を覚まし、お気に入りの黒Tシャツと真っ赤なスーツに着替えて、車と船とヘリコプターを乗り継いで「I Want a New Drug」をメンバーが演奏中のステージに駆けつけるという道中を描いたものになっています。


 
 



~Lyrics~

I want a new drug
新しいクスリが欲しい
One that won't make me sick
病気にさせたりせず

【drug】は、【ドラッグストア】で一般人が買い物するように“合法薬物”を指すものと、覚せい剤・麻薬類など【危険ドラッグ】と表現されるような“違法薬物”も含まれます。
ロック界で【drug】というと後者を指すことが多いですが、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースは基本的にそうした趣向のバンドではありません。
(ただし、1995年に脱退したベーシストのマリオ・シポリナが後年覚醒剤所持で逮捕された例はある)


One that won't hurt my head
アタマがガンガン痛くならず
One that won't make my mouth too dry
口がカラカラに乾いたり

…とはいえ、この歌に描かれる症状の数々は一々中毒者のそれをイメージさせます。
しかし薬物摂取で異常な症状が現れるのは麻薬の類ばかりでなく、市販薬・処方薬でも起こる危険があります。

頭痛薬を常用する頭痛持ちの人が次第にその頻度や持続時間が増加するなど症状が悪化し、医者に相談した所【薬物乱用頭痛】と診察され、薬を止めたら頭痛が改善した事例…
つまり、“痛みを緩和するために服用していた頭痛薬が逆に頭痛を多発させる原因”となってしまうというのです(薬の使用量・頻度が増えると、脳が痛みに敏感になってしまう)。


One that makes me feel like I feel when I'm with you
いつも一緒にいる気分にさせてくれるやつがいい
When I'm alone with you
…君と二人っきりでいる時のような

急にムードが変わりましたが、サビとして繰り返される部分なので重要なメッセージです。
ここまでくると彼が欲しがっている【New Drug】とは何か、お判りでしょう…
PVでもこのフレーズが流れる度、“それ”が映し出されています。
よい“お薬”との出逢いは、人生を豊かにしてくれるものです。

 彼の手の中にはまだ、“ジェネリック(特許切れの後発薬)”が残っていたりして?
 ナンか、奥歯に物の挟まったような言い方ね…。



~Epilogue~

4月中旬、メニエール病のため年内の公演全てを中止すると発表したヒューイ・ルイス。
【メニエール病】とは、“激しい回転性のめまいと難聴・耳鳴り・耳閉感の4症状が同時に重なる症状を繰り返す内耳の疾患”で、病気が完成してしまうと難治であるとされています。

5月7日、彼はNBCの『Today』に出演し、自身の病状について語っています。
ステージに上がると、ジェット・エンジンのような音がしたんだ。何かおかしいと思った。
君の声は聞こえるし、この場や電話で話すことはできるけど、歌うことができない。音楽が聞こえない。何だってできるよ。自分が最も好きなこと以外はね…





コンサートやカラオケなど大音量の中に数時間いると直後に耳鳴りや耳の聴こえ難さを感じることがありますが、そんな毎日を何十年も続けているミュージシャンにとって、耳の障害は職業病といえるものでしょう。
一般に耳の老化は20代から始まり、特にモスキート音のような高音から聴こえなくなると言われています(※こちらのサイトで“耳年齢”をご確認できます)。
特に大音量を長時間聴き続けることは耳の老化を早める危険があるそうで、WHO(世界保健機関)は“91db(デシベル)の音は1日1時間以内に”と警鐘を鳴らしています。

“たかが耳の不自由”と侮るべきでない理由の一つは、耳の中で音を認識する役割を果たす【有毛細胞】は“いったん傷害されるとその再生がきわめて困難”で、基本的に二度と回復できないとされていることです。
そしてもう一つ耳の重要な機能は【平衡感覚】で、これは単に運動能力を左右するだけでなく、ここに障害が生じると何もしていなくても【眩暈(めまい)】を発症させ日常を破たんさせます。
私も一度だけ回転性めまいを体験したことがありますが、横になっていると普通であるのに体を起こしただけで激しい眼振(目が回る)と嘔気に襲われ、一日中寝ているほかに何もできませんでした。


映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でオーディションの審査員として、「The Power of Love」を演奏するマーティ(マイケル・J・フォックス)に“もういい、音が大きすぎる”と言い渡す役を演じたヒューイ・ルイス(カメオ出演)。
マイケルは1990年代に難病・パーキンソン病を発症するも、2013年には13年ぶりにドラマで主演を務めるなど奮闘をみせています。
ヒューイも現在、カフェインと塩分を控える基本的な対処法をはじめ様々な新技術を試しながら病と闘っているそうです。

I want a new drug
新しいクスリが欲しい
One that does what it should
ちゃんと効果が現れるやつ

音刺激を知覚する内耳の有毛細胞はこれまで再生不可能とされてきましたが、2013年の研究では【γ(ガンマ)セレクターゼ阻害剤】という薬をマウスの内耳に投与したところ、有毛細胞数の回復が確認されたとの報告がなされています。
この研究がいつ実用化に至るかはわかりませんが、近い将来この薬がヒューイと世界中の患者の方々の苦しみを救う決め手になってくれるといいですね。



「アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ」


Writer(s): Chris Hayes, Huey Lewis /訳:Beat Wolf


新しいクスリが欲しい
病気にさせたりせず
クルマをクラッシュさせたり
厚さ3フィートなんて感じさせないやつ

新しいクスリが欲しい
アタマがガンガン痛くならず
口がカラカラに乾いたり
目が真っ赤っ赤にならないやつ


ナーバスな気持ちにさせたり
分別なくさせたりするのはゴメンだ
いつも一緒にいる気分にさせてくれるやつがいい
…君と二人っきりでいる時のような

新しいクスリが欲しい
こぼれたりせず
値段はあまり高くなくて
錠剤のやつ

新しいクスリが欲しい
心がどこか消え失せたりせず
一晩中眠れなくしたり
一日中眠らせたりしないやつ



新しいクスリが欲しい
ちゃんと効果が現れて
でもあまりキモチ悪くさせたり
逆にあまりキモチよくさせ過ぎないやつ

新しいクスリが欲しい
何より、心配いらなくて
やたら饒舌にさせたり
顔に汗や吹き出物が出さないやつ




最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

コメント

裁判に勝てる薬は

持っていたんだろーな。

自分はこの曲を12inchシングルで買いましたよ。
アレンジがカッコ良くて好きだったんですが
あの音源はCD化された・・・のかな?

2018.05.12  地味JAM尊  編集

ヒュールイス&ニュースまだ特集したことがないんですよ。「パワーオブラブ」「ジスイズイット」「ハート・オブ・ロックンロール」などハート&ソウルフルな熱い色々な名曲があるのですが・・。1985年くらいから洋楽の興味が薄くなってきたからなあ・・。

2018.05.12  ローリングウエスト  編集

Re: 裁判に勝てる薬は

今以てレイ・パーカーが「ゴーストバスターズ」の作者として名を許され
ヒューイ側がお金を受け取って和解していることが、その答えでしょう。

おお、凄い!(汗)
私はアルバムだけで満足してました…。
ヒューイ・ルイスにしてはダンサブルで珍しいですよね。

2018.05.12  Beat Wolf  編集

ローリングウエストさん

人それぞれですから、仕方ないですね。
でも彼らは当時の流行のサウンドというより
シンプルでオーソドックスな所があるので
前世代の方にも親しみやすいと思います。

2018.05.12  Beat Wolf  編集

思わず「耳年齢」試しました(笑)
年より若く出たので良しとしましょう。

健康が一番ですね(*^_^*)

もう一つは、「良いお薬」との出会いですか(笑)

2018.05.22  ☆dct☆  編集

☆dct☆さん

おぉ、試されたのですね!
ストレスも耳に良くないといわれるので
日ごろから上手くケアされている☆dct☆さんはお若いのでしょうね。

お薬には
「幸せの薬」もあれば、「不幸せの薬」もありますからね?(笑)

2018.05.23  Beat Wolf  編集

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