I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「アイ・ライク・ショパン」ガゼボ

2018.06.01

category : 1980年代

Gazebo - I Like Chopin1 Gazebo - I Like Chopin2


Gazebo - I Like Chopin (1983年)



~概要~

「アイ・ライク・ショパン」は1984年に日本で20.3万枚を売り上げ、オリコン洋楽シングル・チャートで13週連続1位を獲得し総合年間でも66位に入り、同年の洋楽曲として最大のヒットを記録したガゼボのシングルです(以下、75位「ファー・フロム・オーヴァー」、77位「里見八犬伝」、81位「Say Say Say」、94位「フットルース」)。

ガゼボは外交官の父とアメリカ人歌手の母を両親にもつイタリアの歌手で、22歳の1982年にデビュー曲「Masterpiece」がイタリア国内で2位を記録するなど、幸運な音楽活動をスタートさせています。
翌83年にリリースした2枚目のシングルが「I Like Chopin」で、これがイタリアをはじめオーストリア/ドイツ/スイスなど15カ国でNo.1を記録、全世界で800万枚を売り上げる大ヒットとなりました。
ガゼボは大の映画好きだそうで、「I Like Chopin」のPVは歌の内容とは全く関係のない、2時間サスペンスも真っ青なストーリー展開(メイン動画)!

1984年になると余波は極東の日本にも及び、「I Like Chopin」を日本語歌詞で書き換えた「雨音はショパンの調べ」小林麻美によってカバーされ、オリコン週間3週連続No.1(年間12位)を獲得、52.0万枚を売り上げる大ヒットとなりました(別項参照)。
この大ヒットの影響で原曲であるガゼボの「アイ・ライク・ショパン」にも脚光が集まって上記のようなヒットに至っていますが、この2つのバージョンを合わせると楽曲の総売り上げは72.3万枚となり、これは同年のセールスでみると年間2位に相当する異例の大ヒットといえる成績です(1位「もしも明日が…。」96.9万枚/2位「ワインレッドの心」69.6万枚)。

日本では一般に“ガゼボはこの一発で終わった”と認識されていると思いますが、実は21世紀の現在も彼は歌手として現役バリバリです!
さすがに「I Like Chopin」以降目立ったヒット曲はみられないものの、その後も2~3年おきぐらいでコンスタントにアルバム発表を続けており、今年も『Italo By Numbers』をリリースしています。


 
 



~Lyrics~

Remember that piano
あのピアノを忘れないで
So delightful unusual
とても心地よくて、でもほかにはない…

【piano】ときて【Chopin】というと、やっぱり“あのショパン”を連想するでしょう。
音楽の教科書にも登場する19世紀のポーランドの作曲家、フレデリック・ショパン(Frédéric François Chopin)。

私が人生で初めて触れたショパンは宇津井健/水谷豊がピアノ・コンクールに挑戦するドラマ『赤い激流』で、毎週そのフレーズが繰り返された「英雄ポロネーズ」(ポロネーズ第6番変イ長調「英雄」/La Polonaise héroïque)。
でもこれだと確かに【unusual(並はずれの)】ですが、「I like Chopin」に流れるピアノのテイストとはイメージがかけ離れています。

 

Used to say
いつも話していたね
I like Chopin
ショパンが好きだって

一方、ショパンの代表曲の一つ「雨だれの前奏曲(作品28 第15番)」(The Prelude Op. 28, No. 15)は“雨音”のような連打音が特徴の作品で、まさに“ピアノの詩人(le poète du piano)”たる趣きです。
[A-B-A]という三部形式で構成されており、優美で心地よい[A]に対し[B]は“雨音”が重苦しさを醸し出しています。
これは一体、何を意味しているのでしょう…(別項参照)。

ちなみに、ショパンの『24の前奏曲』はJ.S.バッハの『平均律クラヴィーア曲集』に触発された全24曲の異なる調性の小品から構成されている作品で、「第7番“イ長調”」は“胃腸薬”『太田胃散』のCM曲としてお馴染みですネ?


Rainy days 断ち切れず 窓を叩かないで

小林麻美の「雨音はショパンの調べ」より。
小林麻美は1972年に麻丘めぐみらと共にデビューした元アイドル歌手ですが、当初から殆ど笑顔を見せず猫背で気だるそうに歌っていたためアイドルとして大きな成功は得られなかったようです。
しかし1984年、31歳の大人の女性となって発表した「雨音はショパンの調べ」では、彼女のそうした【アンニュイ(ennui;倦怠)】が“都会的でファッショナブル”と評され、曲だけでなくアイコンとして人気を博しました。

一方、「雨音はショパンの調べ」は原曲「I Like Chopin」とは一部を除いて別の日本語詞となっており、作詞は松任谷由実が担当、2003年の『Yuming Compositions: FACES』でセルフ・カバーしています。





~Epilogue~

【雨】と【ピアノ】の共通点というと、“叩く”でしょうか…
楽器が奏でる音は吹奏楽器のように“息(空気)で音を出す”ものや、弦楽器のように“擦り合わせて音を出す”もの、打楽器やピアノのように“叩いて音を出す”ものなどが浮かびますが、空から降って何かと衝突する雨音はやはり打楽器系の音が直感的です。

ショパンの「雨だれの前奏曲」は、病気療養(肺結核といわれる)のため当時の恋人ジョルジュ・サンドと赴いたスペイン東部にあるマヨルカ島で過ごした一冬の体験が投影された作品です。
邪魔者から解放され恋人と水入らずでいられた穏やかな時間、そして島を襲った突然の嵐と悪化する一方の闘病生活の絶望を、“雨だれの音”を通して表現しているとされます(諸説ある)。


また、1985年の稲垣潤一のシングル「バチェラー・ガール」(作詞 : 松本隆 作曲 : 大瀧詠一)は、“雨はこわれたピアノ/舗道の鍵盤を叩く”と喩えました。
検索の過程で思わぬ“掘り出し物”だったのが、杉真理「バカンスはいつも雨」(1982年)。
当時グリコ・セシルチョコレートのCMに使われていた曲で、お気に入りの一曲でしたが近年すっかり忘れており、今回の発見は物置の奥から幼い頃の思い出の品を見つけたようなうれしさが込み上げてきました(…それにしても、堀ちえみが若い!)。

 


Rainy days never say goodbye
Rainy days...さよならは決して言わない

とかく、気分まで“湿りがち”な梅雨…
でも、日本の童謡「あめふり」(作詞:北原白秋、作曲:中山晋平)では、雨の日にお母さんが迎えに来てくれる雨音を“ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン”と表現しました。
ドリフターズは、“雨音さえもコント”にして笑わせてくれました。

雨の季節、あなたがやさしい響きの雨と出あえますように…。



「アイ・ライク・ショパン」


Writer(s): Pierluigi Giombini (music) Gazebo (lyrics) /訳:Beat Wolf


あのピアノを忘れないで
とても心地よくて、でもほかにはない
至上の感覚
センチメンタルな心を騒がせる


いつも話していたね
ショパンが好きだって
そしてまた、僕を愛してくれたらいいのに…

**
Rainy days...
さよならは決して言わない
共にあるその時を、心より願うから
Rainy days...
あなたの瞳に溢れる雨
教えておくれ、僕の道が何処にあるのかを


照り返す陽の光の中に
あなたの顔を浮かべている
青い空に描く泡沫(うたかた)の幻
永遠の気慰み


**


~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

コメント

みんな1回はチョピンって読みますよね

それはそれとして
堀ちえみのCM「恋シル、セシル」で思い出しました。
杉真里さんの曲だったんですね。

雨の歌だとブルース・ホーンズビー&ザ・レインジの「マンドリン・レイン」思い出します。弦楽器ですが。

(ところでユーミンはサビの日本語を何故「アハーン♡」にしたんでしょうか?)

2018.06.06  地味JAM尊  編集

Re: みんな1回はチョピンって読みますよね

「チョピン」って、加藤茶のヅラおやじですか?(笑)
堀ちえみは「あのキャラ」が確立される前で、初々しいでしょう。
「マンドリン・レイン」も美しい曲ですね(ちょっと悲しいですけど)。

でも「アハーン」については
地味JAM尊さんの方がお詳しいのでは?(笑)

2018.06.06  Beat Wolf  編集

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