I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「シャウト」ティアーズ・フォー・フィアーズ

2018.06.08

category : Tears For Fears

Tears For Fears - Shout1 Tears For Fears - Everybody Wants To Rule The World2


Tears For Fears - Shout (1984年)



~概要~

ティアーズ・フォー・フィアーズ(以下;TFF)は、1980年代に世界的な成功を収めたイギリスのバンドです。
全英No.1に輝いたデビュー・アルバム『ザ・ハーティング』(1983年)の後、TFFは84年8月にシングル「Mothers Talk」(全英14位)、同11月に「Shout」(全英4位)をリリース、この頃「Shout」がスズキ・カルタスのCMソングに起用され[オレ・タチ(館ひろし)、カルタス]、TFFが日本で広く知られるきっかけとなりました。

85年2月に上記2枚のシングルを収録した2ndアルバム『シャウト(Songs from the Big Chair)』、3月に同アルバムからの新たなシングル「Everybody Wants to Rule the World」が発売されるとアメリカでも一気にTFFの人気に火が点き、同曲は全米No.1に登り詰めます。
この勢いに続いてアメリカでリリースされたのが「Shout」で、8/3付からBillboard Hot 100で3週連続No.1(年間21位)を記録、見事2曲連続No.1を達成しました。

アルバム『シャウト』はトータルで8カ月の期間をかけて制作されていますが、「Everybody Wants to Rule the World」は僅か1週間で完成したのに対し、「Shout」と「Head over Heels」は2曲だけで4カ月費やされました。
作者の一人であり「Shout」のリード・ヴォーカルを執ったローランド・オーザバル(Roland Orzabal)によると、“小さなシンセサイザーとドラム・マシンで創ったんだけど、当初はマントラ(仏の真実の言葉)みたいな繰り返しのコーラスだけだった”といいます。
プロデューサーのクリス・ヒューズに聴かせた所、“シンプルだし、5分で録音できるね”…と言われたものの、数週間経ってもまだそれは途半ばだったそうです。
ローランドが歌詞を思いつかず悩んでいるのを見てイアン・スタンリー(key)が幾つかのアイデアと方向性を出してくれ、それが契機となってようやく前へ進んだ…という難産でした。


 



~Lyrics~

Shout, shout
大きな声で叫んでごらん
Let it all out
胸の内にある感情を、全て吐き出すのさ

【Tears For Fears】というユニット名は、ジョン・レノンが1970年ごろ治療を受けたことでも知られるアメリカの心理学者アーサー・ヤノフ(Arthur Janov)の著書『Prisoners of Pain』(1980)に由来します。
彼の提唱する【原初療法(primal therapy)】は“心の奥深くに潜む苦痛の記憶を幼少期まで遡り、そのすべてを吐き出すという治療法”です。

難しい理論はともかく、確かに悩みを人に聴いてもらったり、カラオケでお腹から声を出して“shout”すると、気持ちがスッキリしますよね?


They gave you life
奴らはこんな時代を与え
And in return you gave them hell
代わりに、君は非難の嵐を浴びせた

素直に読解すると“【life】を与えてくれた[They]に【hell】を返す”となり、不自然です。
(※【life】には“終身刑”というネガティブな意味もある)

実は、「Shout」は単に原初療法をテーマとしているわけではなく、作者ローランドは“実際には【政治的抗議】がより関係するテーマで、当時多くの人を不安に陥れた東西冷戦への抗議を促す歌”と説明しています。
また、メンバーのカート・スミスは自ら考えたり、実際に行動したり、政治を問い糺そうともせず彼らに盲従する風潮が浸透してしまった人々と社会に対する激励と、補足しています。



~“法の正義”は何処に~

学校法人『森友学園』への国有地売却に於いて不自然な8億円値引きに対する【背任容疑】と、その決裁文書で安倍昭恵首相夫人や複数の政治家らの名前を含む300カ所以上に改ざん・削除が確認された【虚偽公文書作成容疑】などについて、財務省幹部や対象職員38人全員を不起訴処分とすることを発表した大阪地検特捜部。
これを受けた財務省は6/4に『調査報告書』で一連の問題行為を総括、佐川前理財局長の停職3か月相当をはじめとする幹部20人の処分(停職2/減給3/戒告5/内規処分・文書厳重注意3/口頭厳重注意5/職務上の注意2)を発表しましたが、公文書300カ所以上を改ざん・削除し、“交渉記録は廃棄した”と虚偽的答弁して1年以上も国会に無駄足を踏ませた罪は“この程度”で済まされるものなのでしょうか…(ちなみに、“セクハラ罪という罪はない”セクハラで先日処分された外務省課長は停職9カ月)。


ただ、今回の大阪地検特捜部による不起訴処分は予想したとおりでした。
…というのも、素人の私たちの大半が直感できる程度の明白な欺瞞をプロ中のプロである検察が見抜けないはずはないし、その気があるなら籠池夫妻のように証拠隠滅や口裏合わせする暇など与えず、速攻でガサ入れしているでしょう(強制捜査なしに立件はあり得ない)。
今年3月に佐川前理財局長の国会での証人喚問が決まった直後、“大阪地検特捜部が決裁文書改ざんの経緯について佐川氏に任意聴取する方針”という情報が流れ、これは佐川氏に“刑事訴追の恐れがあるので証言を控える”の口実を与えるためでは、と私の疑念を深めました(実際に証人喚問で佐川氏がそれを50連発したのは記憶に新しい所でしょう)。

今回の不起訴処分の理由について、山本真千子・特捜部長は“文書の効用を失ったとは言えず、うその文書を作ったとは認められない”としています。
虚偽公文書作成罪を問う場合“権限を持つ者が文書の趣旨を大幅に変えることが成立要件”とされているそうですが、官僚にとって彼らの人事権を握る安倍首相の夫人・昭恵氏の意向に絶大な影響力があることは想像に難くはなく、その首相夫人の名前を決裁文書から削除したことが“文書の趣旨を大幅に変えること”に当たらないとは、私には到底考えられません(実際、交渉記録の経過を辿ってみると、2014年4月28日に森友側から昭恵夫人が「いい土地ですから、前に進めてください」の言葉と親密さを証明する写真を提示されて以降、財務省の態度が一変したことが窺える)。


しかし更に調べてみると、大阪地検特捜部は当初、森友学園への強制捜査とセットで近畿財務局を背任容疑でガサ入れすることを考えていたとも一部で報じられています。
それが実現しなかったのは大阪地検の上層部が許可しなかったためで、その背後には地検が属する法務省のトップ黒川弘務・法務事務次官の意向が働いていたとの指摘があります。
黒川氏はこれまでも安倍内閣の小渕優子経産相の【政治資金規正法違反容疑】や、都市再生機構(UR)をめぐる甘利明・経済再生担当相の【あっせん利得処罰法違反容疑】を不起訴処分にするなどの“貢献”があり、昨年官邸が“衝撃的人事介入”してまでも彼を次官に留めたことからも、安倍首相との関係性が窺い知れるでしょう。
(ただし、民主党政権時に小沢一郎議員(民主党)の資金管理団体・陸山会をめぐる【あっせん利得処罰法違反容疑】も不起訴処分としており、“常に権力寄りのスタンス”を取ってきた官僚との評価もある)。
また、法務省といえば悲願だった【共謀罪法】を、昨年安倍政権によって国民世論の反対を押し切って強行採決という手段を用いてまでも成立してもらった“恩義”を考えれば、今回の不起訴も最初から“既定”だったのかもしれません。

他方、元検察官の郷原信郎弁護士は、“検察が虚偽公文書作成で起訴したら、裁判所はほぼ間違いなく有罪判決を出すであろう…しかし、検察が「組織的な虚偽公文書作成」が疑われる事件を起訴することは凡そあり得ない”と言及しています。
郷原氏によると、【陸山会事件】の検察審査会による強制起訴の際、東京地検特捜部が検察審査会に対し事実に基づかない虚偽の捜査報告書を提出して欺き虚偽有印公文書作成罪で告発されたにも拘らず、最高検察庁がそれを作成した検事全員を「不起訴」とした前歴があるため、今回の財務省による虚偽公文書作成罪を起訴した場合、そのような検察の前歴が公判で厳しく追及されることになり、よって起訴はあり得ないと予測したそうです。


“安倍政権との親密さ”か、“検察自身の保身のため”か…

何れの理由であれ、“【法の番人】の大看板を掲げて多大な予算を獲得していながら、実は何もしない(するつもりもない)組織”というのは、最もタチが悪いと言わざるを得ません。
【巨悪】を扱うつもりがないなら最初からそう宣言し、予算と権限の規模を割譲し、政府から独立した【巨悪】を専門に扱う第三者機関(裁判所も含めて)を創設しなければ、いつまでも同じことが繰り返されるのではないでしょうか…。



~Epilogue~

私は、この政権下で次々と起こる異常な問題・事件の一つひとつを“健康診断が示すデータ(現実)”のようなものと捉えています。
もしも一昨年は【血液ドロドロ】、昨年は【動脈硬化】、今年は【動脈硬化+高血圧】という結果を突き付けられたら、きっとあなたは何か胸騒ぎを覚えるでしょう?
つまり、検査の結果は“あなたの体内で起きている健康の現実を指し示している”のです。
一見コワモテで体が大きくて、ケンカには負けたことがない人でも、【血液ドロドロ】で【動脈硬化】が進んでいたら、いつ何処で心筋梗塞や脳出血で命を落としても不思議ではありません。

国家の運営も、それと同じだと思うのです。
一見経済的に豊かで、世界有数の大国として繁栄し、そしてバックには世界一の軍事大国が付いている…。
でも内部の統治システムを診てみると、あちこちに【血液ドロドロ】や【動脈硬化】の“致死的不健康”の兆候がみられるのです。
【血液ドロドロ+動脈硬化】という結果は不都合だからとデータを改ざんしたり、その現実を隠ぺいしたところで心筋梗塞や脳出血の危険性という現実から逃れられるわけではありません。
もしその不健康を改善したいなら、まず①現実を認め、②その原因と対処法を調べ、③反省の下に改善のための努力をする…以外にないでしょう。


「徹底的に調査し、膿を出し切ることに全力を尽くす」

安倍首相の決まり文句ですが、彼も同じことを言っています。
しかし、安倍氏は“【膿】とは何かを決して認めず”、“膿を覆い隠し膿を守ろうとしている”ように見えます。
これまで1年以上も野党が森友・加計事件当事者の国会召致を要求しても応じず、最重要人物はメディア取材も許さず、脇役は呼んでも「記憶にない」「訴追の恐れで証言拒否」を連発し、あろうことか一連の問題の疑惑解明のために設けられた臨時国会冒頭で安倍首相が衆院解散を行使しました。

財務省が一連の森友事件についての調査報告書を公開した6/4の会見で麻生財務大臣は、「(改ざんの動機が)分かりゃ苦労しない」と悪びれもせず言い放ちました。
一方、政府が“今国会の目玉”と称する『働き方改革法案』は、2月に“意図的裁量労働制データの捏造”と言われても仕方のない不自然なデータの実態が次々と明らかになって一部取り下げられたものの、以後もデータの2割削除を余儀なくされるなど相変わらず信頼性の乏しい根拠を前提に議論が進められ、加藤厚生労働大臣の【ご飯論法】と欺瞞の連続によって、反省と十分な検証がされないままデタラメな議会運営がなされています。


“【膿】とは、安倍氏自身の“嘘(ぎまん)”に基づく内閣運営であり、
安倍氏自身の独善に基づく“差別(えこひいき)”による公権力の私物化であり、
知性に基づかない地位と縁故が全てに優先して“忖度”させ人を操る統治システムである”


そのことを安倍首相自身が国民の前で認め、反省を示し、これを改めると誓わない限りたった一つの問題解決はおろか、これからも同じような問題が繰り返されるでしょう。
しかしここに及んでも、安倍氏自身にその動きは全く見られません。
好ましくない言動を権限のない他人がただ“改めよ”と注意しても効果が薄いように、少数野党の批判の影響力など僅かなものであり、問題は議会多数を占める与党が如何に危機感を持って良識ある解決に導くかですが、残念ながら“自民党にとって優先すべきは国難の解決より議員定数を増やすこと”にあるようです。


司法は見て見ぬふりを決め込み、与党は党利党略に走り、政治と行政の暴走を制御できないこの国の統治システム…
間もなく国会が終わり、野党の追及の場がなくなるとメディアも単独で政府の不正を糺すことを避けるでしょう。
しかし誰もモノ言わなくなったからといって、国民の記憶と関心が薄れたからといって、【膿】が放置されたままで自然に解決されることはありません。
むしろ、今回“検察が「首相夫人」程度の名前を公文書から削除しても起訴に値しない”とお墨付きを与えたことは、“殆んどの公文書改ざんは許される”という風潮を全国の行政機関まで蔓延させることになるでしょう。

Shout, shout
大きな声で叫んでごらん
Let it all out
胸の内にある感情を、全て吐き出すのさ

たかが【血液ドロドロ】、たかが【動脈硬化】と軽んじていたら、これがいつ何処で心筋梗塞を引き起こすかもしれません。
この国が【膿】に冒され統治システムの健全さを失っている時、最後にそれを救い得るのは国民一人ひとりの良識の声なのです。



「シャウト」


Writer(s): Roland Orzabal, Ian Stanley /訳:Beat Wolf



大きな声で叫んでごらん
胸の内にある感情を、全て吐き出すのさ
僕にとって、それは声を張り上げずできることだけど
君も、こんな風に語り掛けてごらん
さぁ!

ひどい時代にあっても
魂まで売り渡してはいけない
黒か白かで分けるのではなく
それぞれ、本当にちゃんと理解すべきなんだ

一つしか答えを持たない思考が
君を、ただ言いなりに働く童子とさせてしまった
そんなものには、さよならのキスを送ろう
そんなもの、跳び上がって喜ぶべきことではない



奴らはこんな時代を与え
代わりに、君は非難の嵐を浴びせた
氷のように冷たい争い…
僕らは生き抜いて、この顛末を共に語り継ぎたい



君がガードを下ろし
その心を変えることが僕にできるなら
きっと、その内なる感情を拓いてあげたい




~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

コメント

ティアーズ・フォー・フィアーズは大好きなバンドでしたロック・デュオで音楽性が高くセンスある独自世界を展開、まさにビートルズの再現を意識して音源の録音編集に拘り妥協を許さず創造を極めていましたね。このバンドで有名な曲は何と言っても全米1位に輝いた「ルール・ザ・ワールド」や「シャウト」ですが、小生は「サージェントペッパーズ」が再現されたかのような「シーズ・オブ・ラブ」が一番好きです。この曲を初めて聴いた時「これはまさにビートルズの中期サウンドではないか!」と目を丸くしました。

2018.06.08  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

おぉ、ティアーズ・フォー・フィアーズがお好きだったのですね。
確かにビートルズを知っている方だと
「シーズ・オブ・ラブ」はビートルズ中期のサウンドを連想します。
当時は彼らも若かったので、日本でも若者を中心に支持されましたが
上の世代の方も納得させるしっかりとしたサウンド作りがなされていたと思います。

2018.06.08  Beat Wolf  編集

首相外遊の度に後ろで手を振る恥知らずを見るたびに

Shoutしても耳糞つまってんだろーなと諦めてしまう自分が悲しいんですけどね。昔から「今の政治はダメだ」って年長者たちが言ってきましたけど、ずっと「昔から同じ」なんですかね?なんか「わかってて悪びれない」んじゃなくて「わかんないから分かんない」のかな?って思います。某大学理事長もスタンスが同じなんでは・・・。

TFFは『Songs From ~」が高1の夏だったんで、殊更思い入れが強いです。シングルの評価よりアルバム全体で一つの作品と思い、何百回も聴いてました。(そういや俺タチ、カルタスって言ってましたね)

2018.06.13  地味JAM尊  編集

Re: 首相外遊の度に後ろで手を振る恥知らずを見るたびに

…確かに耳糞つまってたら、Shoutしても聴こえないでしょうけど
逆に聴きたくないことがあるなら、耳糞つまらせるのも一手かもしれません。(笑)

「今の政治はダメだ」とは言いますが
それじゃあ「もっと前は今より良かったか?」と考えると…
「あんまり変わりないな」という結論に至ってきました。
でも、現政権と比べると…
「昔の方が相当マシ」と、断言できます!

「わかんないから分かんない」人でも
総理や副総理になれてしまう時点で
この国の命運は決まっているのかもしれませんけどね。(涙)
某大学も…?

何百回には、恐れ入りました!
確かにシングルだけでなくアルバムも売れましたからね。
でも、歌詞は難解です…。
カルタスのCM、見つかりませんでした。

2018.06.13  Beat Wolf  編集

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ジャンルを問わず音楽が大好き♪
古い歌の“温故”から、歳月を重ねた“知新(いま思う・いま考える)”を綴ります。



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