I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「カミング・アップ」ポール・マッカートニー

2018.08.31

category : Beatles & Solo

Paul McCartney - Coming Up1 Paul McCartney - Coming Up2


Paul McCartney - Coming Up (1980年)



~概要~

「カミング・アップ」はポール・マッカートニー1980年5月16日(UK)発表の2ndソロ・アルバム『マッカートニーII (McCartney II)』の収録曲で、同4月11日に先行シングルとしてカットされ、全英2位/アメリカBillboard Hot 100でNo.1(3週/年間7位)を記録しました。
本曲のスタジオ音源はポールのソロ作品ですが、それ以前にもウイングスのUKツアーで演奏されており、シングルB面には1979年12月17日に行われたWingsのグラスゴー公演(スコットランド)のライブ音源「Coming Up(Live at Glasgow)」が収録されています。
アメリカでは、契約先であるコロムビア・レコードが“アメリカ人はポールの本当の声の方を好む”との判断から、B面のライブver.をプロモート(事業推進)する独自の方針が採られ、ラジオ局も主にライブver.を流し、シングルを買った人の多くもそれを想定して購入していたため、実質的に「Coming Up(Live at Glasgow)」がA面と認識されました。

「Coming Up」はウイングスの『Back to the Egg』発表後の1979年夏にポールがスコットランド自宅農場のスタジオでワンマン・レコーディングしたもので、スタジオver.はポールがヴォーカル/キーボード/ギター/ベース/ドラムス、奥さんのリンダがコーラスを担当しました。
当時はクラフトワークやYMOなど“テクノポップ”(Technopop)が世界的なブームとなっており、サウンドにはその影響が強く感じられます。
実際にポールは、まず最初にドラム・トラックから取り掛かり、ギターとベースを加え、ヴォーカルは後回しというリズム重視の創作過程が採られ、ポールの声も【vari-speed】というテープマシンを使用して録音されました。

PVもワンマンな創りとなっていて、“The Plastic Macs”なる怪しげなバンド(Plastic Ono Bandに敬意を表したネーミング)をポールとリンダが一人何役も務めています。
その何れも個性的なキャラクター揃いですが実在の人物で、ハンク・マーヴィン(The Shadowsのギタリスト)やロン・メイル(Sparksのキーボード)、ジョン・ボーナム(Led Zeppelinのドラマー)、バディ・ホリー、アンディ・マッケイ(Roxy Music.のサックス)、フランク・ザッパなどをポールが一人で演じました。
でも、忘れてはならないのはそこにBeatles時代のポール自身も含まれていることで、それについてポールは“(役が多過ぎて)最後はほとんどウンザリしてしまったよ。でも昔の衣装を着たらそれが過去のことだと思えなくて、本当に20年前に戻ったような感覚だった”と語っています。

意外な所ではジョン・レノンが“a good piece of work”と高く評していることで、とりわけ“ライブ・バージョンよりスタジオ・テイクの方がぶっ飛んでて好き”と言及したそうです。
ジョンは1980年10月に「(Just Like) Starting Over」で音楽界に復帰していますが、ポールの「Coming Up」がそれを早めたとする説もあります。

「Coming Up」は1989年からの『The Paul McCartney World Tour』以降ライブで取り上げられることの多いナンバーで、2009年にポールが出演した『Late Show with David Letterman』ではビートルズ時代以来の『Rooftop Concert』を実現させていますが、本曲もそのセットリストの一つとして演奏されました。


 
 



~Lyrics~

You want a friend you- can rely on
頼れる友だちがお望みかい?
One who will never fade away
決して色褪せることのないやつ

このラインは、何れも短命に終わったビートルズやウイングスのことを思い起こさせます。
特にウイングスはセールスこそ好調だったもののアルバム毎にメンバーが入れ替わっているような内情で、常にポールの悩みの種でした。

ポールにとってビートルズ時代はジョン・レノンがよき相談相手でしたが、いざ互いに袂を分けてみると音楽界の頂点に立つ彼らの領域にアドバイスできる人間などそうそういるものではなく、加えて“(友情の)色褪せることのないやつ”となると…
そういう意味で、ビートルズ解散後ジョンもポールも孤独だったといわれます。


You're not alone, we all could use it
きみは一人ぼっちじゃない、みんながそれを望んでいる
Stick around we're nearly there
だから離れずいるんだよ、もうすぐだから

サウンドが“おフザケ”気味なので歌詞もチャラいと思うかもしれませんが、意外とマジメでしょ?
平和とか自由とか、よりよい未来とか…。

そう、それを望んでいるのは一人だけじゃない、“みんなが望んでいる”だけに、時にそれを巡って争いが生じてしまうこともあります。
争って“Winner Takes It All(勝者が全て取る)”か、争いを避け“share(みんなで分け合う)”か…

あなたなら、どっち?


It's coming up, it's coming up
芽生えの時が近づいている
It's coming up like a flower
It's coming up, 花のように

「Coming Up」はポールにしては珍しいテクノポップ調の曲ですが、日本のテクノポップ・バンド YMOのアルバム『増殖』収録の「NICE AGE」に、こんなフレーズ(間奏部分)があります。

“ニュース速報…22番は今日で1週間経ってしまったのですけれども、でももうそこにはいなくなって彼は花のように姿を現わします。Coming up like a flower…”

「Coming Up」は1980年4月発売、『増殖』は同年6月発売…これは単なる偶然の一致?





~Epilogue~

「Coming Up」が発表された“1980年”は、ポールにとって決して忘れることのできない年。
一つは同年12月8日に発生した“ジョン・レノン殺害事件”(過去ログ)、そしてもう一つは1月16日にポール自身が起こした“日本での大麻所持による逮捕”です。
この来日はウイングスの日本公演のためのものですが、ポールの逮捕によって同公演は全て中止となっただけでなく、結果的にウイングスの活動休止から解散への流れを導きました。

そして、この時日本の留置場で付けられたポールの番号が“22番”でした。
また、YMOの「NICE AGE」で“22番”“Coming up like a flower”とアナウンスしている女性はサディスティック・ミカ・バンドの加藤ミカ(1975年以降は福井ミカ)で、実は1月16日の事件当日ポールに同行していたメンバーの一人だったのです。
ウイングス1979年のアルバム『Back to the Egg』にはビートルズの『ホワイト・アルバム』のアシスタント・プロデューサーだったクリス・トーマス(Chris Thomas)がプロデューサーとして携わっていますが、彼は1974年にサディスティック・ミカ・バンドのプロデューサーも務めており、以来ミカとは恋仲で、そうした縁から彼女はポールの来日に際しての案内役を任され、事件が起こらなければウイングスとYMOのセッションが行われる予定だったといいます(YMOの高橋幸宏も元ミカ・バンドのメンバー)。


当時ポールがYMOに少なからず影響を受けていたことは、彼に“らしくないアルバム”『McCartney II』を創らせたことからも想像に難くありませんが、特にそれを感じさせるのがインストゥルメンタルの「Frozen Jap」
日本での逮捕から4カ月後に発表された作品のタイトルに【Jap】という日本人への蔑称を用いたことから(※日本盤では「Frozen Japanese/フローズン・ジャパニーズ」に変更された)、事件を知っている誰もが“日本人への遺恨”を連想すると思いますが、曲自体はYMO 1978年の「FIRECRACKER」を彷彿とさせる“癒やしアジアンテイストなテクノポップ”です(※「FIRECRACKER」はアメリカの作曲家Martin Dennyのカバー)。

ただし「Frozen Jap」の“録音時期は来日前(1979年 6-7月)”であり、ここからは個人的な推測ですが、ウイングス初の来日公演で日本の観客を喜ばせようと日本をイメージした曲をレコーディングしたものの、予想外の日本側の仕打ちに“わからず屋め!”という愛憎を込めてタイトルだけ「Frozen Jap」に変更したのではないでしょうか…。

 


ところで、ポールは今年6月にCBSのトーク番組『The Late Late Show with James Corden』の人気コーナー【Carpool Karaoke(相乗りカラオケ)】に出演し、日本で逮捕され留置場に入れられた際のエピソードについて回顧しています。
ポールがこの事件で拘留されたのは1980年の1/16-1/25までの9日間ですが、“有名人じゃなかったら7年間の労役だった”と告白しました。
また、留置場で最後の日に他の囚人と一緒に共同浴場で入浴したそうで、その理由について“イチゴ畑で永遠に(Strawberry Fields Forever)働いてるような匂いがしてきたから”と、彼ならではのユーモアを交えてその時の状況を説明したそうです。

ここに紹介したエピソードはアメリカで8月20日に放送されたSP版で加えられた映像の中で語られた話で、下の動画はそれが含まれない通常版と思われます。
ただし、内容はポールがリヴァプールで当時暮らしていた家やペニー・レイン(過去ログ)を巡ったり、現地パブでサプライズ・ギグを行うなど、非常に楽しい内容になっているのでファンの方は必見です(字幕は日本語翻訳も可)!



今月ニュー・アルバム『Egypt Station』を発表し、来月は日本公演が控えている御齢76歳の“Sir Paul McCartney”。
この映像を見ていると、彼がツアーを止められない理由がよくわかるでしょう? 



「カミング・アップ」


Writer(s): Paul McCartney /訳:Beat Wolf


永遠に続く愛がお望みかい?
決して色褪せることのないやつ
それなら、僕が解決の手助けしてあげよう
だからそばを離れずいるんだよ、いいかい…


It's coming up, 芽生えが近づいている
It's coming up, 花のように
It's coming up, yeah...

頼れる友だちがお望みかい?
決して色褪せることのないやつ
もしその答えを捜し求めているなら
そばを離れずいるんだよ、いいかい…



平和と理解がお望みかい?
誰もが自由でいられるような…
それなら、僕らは心を一つにできる
きっとやり遂げられる、だから離れずおいで


It's coming up, 君と、僕のために


It's coming up, 体じゅうの骨が、そう感じてる

よりよい未来がお望みかい?
誰もが、分かち合えるようなやつ
きみは一人ぼっちじゃない、みんながそれを望んでいる
だから離れずいるんだよ、もうすぐだから

It's coming up... どこでも
It's coming up, 花のように
It's coming up, みんなが分かち合うために
It's coming up,yeah
It's coming up, どのようにしても
It's coming up, 花のように
Coming up


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1980年 テクノ 名作MV ポール・マッカートニー 

コメント

今年もポールさん来日、何年連続なんだろう。それにしてもお元気ですね~!ポールもミックも100歳まで頑張ってほしいですね。

2018.09.01  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

そうですね。
こればかりは本人に聴いてみないとわかりません。
たぶんミックの方が強いと思いますが
他のメンバーはどうでしょう…?(笑)

2018.09.02  Beat Wolf  編集

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