I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「マギー・メイ」ロッド・スチュワート

2018.09.21

category : Rod Stewart

Rod Stewart - Maggie May1 Rod Stewart - Maggie May2


Rod Stewart - Maggie May (1971年)



~概要~

「マギー・メイ」は、ロック界を代表する“スーパースター”ロッド・スチュワートにとって、初めてのヒット曲といえる作品。
ロッドは1960年代初頭からあちこちを渡り歩きながら音楽活動を行っていましたが成功と言えるほどの結果は得ておらず、1967年に【ジェフ・ベック・グループ】のヴォーカリストとして参加しようやく実力に見合った成功を収めました。
しかし69年にバンドは解散、バンド・メイトのロン・ウッドらと【フェイセズ (Faces)】を結成する傍ら、1stソロ・アルバムを発表しています。

1971年5月、3rdソロ・アルバム『エヴリ・ピクチャー・テルズ・ア・ストーリー(Every Picture Tells a Story)』を発表、7月に最初のシングル「A面;Reason to Believe/B面;Maggie May」がリリースされ、「Reason to Believe」はアメリカBillboard Hot 100の98位でランク入りしました。
しかしラジオ局を中心に「Maggie May」の人気が急上昇、10月にHot 100のNo.1(5週/年間2位・全英5週No.1/年間2位)に輝いた頃には「Maggie May/Reason to Believe」と、「Maggie May」がA面扱いされるようになっていました。

ロッド本人によると当初「Maggie May」の扱いは、シングルB面どころか殆んどアルバムに入り損ねるところだったそうで、その理由は“(周りの)誰にも気に入ってもらえなかったんだ。メロディーが無いって…”というものでした。
また、本曲が彼の運命を変えるきっかけとなったことについて、“クリーブランドの熱心なDJがレコードをひっくり返して(B面の「Maggie May」をかけて)くれなかったら、俺は今でも(誰に知られることなく)シコシコやってただろう。運のいいヤツっているもんだ”と語っています。
そんな「Maggie May」は2010年、ローリング・ストーン誌【The 500 Greatest Songs of All Time 131位】の評価を獲得しています。

本曲レコーディングには共作者のMartin Quittenton(A.Gt.)、フェイセズからロン・ウッド(E.Gt.)とイアン・マクレガン(H.Org.)らが参加しています。
また、「Maggie May」は“マンドリンをフィーチャーした最初の大ヒット曲”としても知られ、Ray Jacksonという人が演奏していますが、彼は本曲の他にも「Mandolin Wind」などでマンドリンを演奏したにも拘らず同アルバムのクレジットに個人名を記載されず、ロッドが“Lindisfarne(バンド名)のマンドリン・プレイヤーによって演奏された。名前は忘れてしまった”と紹介していたとか!

世代を越えて愛され続け、今日まで何れの年代もロッドによってステージで歌われ続けた「Maggie May」ですが、やはり思い出深い一つは1993年に出演した音楽番組『MTVアンプラグド』でしょう。
盟友ロン・ウッドらと共に演奏された名曲の数々はアルバム『Unplugged...and Seated』としても大ヒットし、アコースティックなサウンドが似合う「Maggie May」はその目玉の一つでした。


 
 



~Lyrics~

Wake up Maggie I think I got something to say to you
起きてよマギー、言いたいことがある
It's late September and I really should be back at school
9月ももうすぐ終わるし、俺も学校に戻らなきゃ

主人公は、どうやら学校へ通う年齢のようです。
9月の終わりというと日本ではとっくに学校が始まっている時期ですが、イギリスの夏休みは5・6月頃~8月末・9月末ぐらいまでと極めて長く、彼は夏休みの期間をずっとマギーの所へ転がり込んでいたものと想像させます。

日本の1~2カ月程度の夏休みでもよほど計画的に自制して過ごさない限り生活そのものを持て余し気味になりがちですが、うるさい親のいない他人の家に転がり込んで4ヶ月近く夏休みを過ごすと、どうなるのでしょう…。


The morning sun when it's in your face really shows your age
朝日が“その顔”を照らすと、実の年齢(とし)まで露わになる
But that don't worry me none in my eyes you're everything
だけど“この目”はそんなの気にしない、俺にとってはあんたがすべて

“朝日に照らされると実の年齢が露わになる”って…
マギーって、どうやら“学生である主人公より相当年上”のようです。
彼が何カ月も転がり込んでいられる環境であることから考えると、“独り暮らしの社会人女性”?

一方、主人公は薄々“遊ばれてる?”とやり切れない感情を抱えながら、その若さゆえか彼女への想いは一途です。
その言及から、“容姿以外に惚れている(若くない容姿が好き?)”ようですが…。


Or steal my daddy's cue and make a living out of playing pool
それとも親父のキューを盗んで、玉突きで生きてみるか
Or find myself a rock and roll band that needs a helpin' hand
あるいは、助けが必要なロックンロール・バンドに途を見出すか…

ここは、ロッド自身の足跡を感じさせます。
ロッド・スチュワートは「Maggie May」の大ヒットで“ソロ歌手”として認められ、今日までの約半世紀のキャリアの殆んどをソロとして歩んできましたが、フェイセズ以前まではさまざまなバンドを渡り歩きました。

ロック歌手を目指す前ロッドがサッカー選手を目指していたことは有名ですが、1973年に全英8位を記録したフェイセズのシングル(ロッド/ロン・ウッドの共作)に「玉突きリチャード(Pool Hall Richard)」という作品があり、ビリヤードも選択肢の一つだったかもしれません。
ただし【pool】は“賭け金”という意味からイギリスでは“賭け玉突き”を指すこともあり、彼が真っ当なプロを目指したかは特定できません(むしろ賭け玉突きの方が作品に合っている?)。



~Epilogue~

まずは、この映像をご覧ください。



投稿主によるとこの映像は1961年のニュース映画のアウトテイクで、『the 6th Beaulieu Jazz Festival』(イングランド南岸ニュー・フォレスト)に訪れていたビートニク(Beatnik)を映したものらしいのですが、この中に登場するギターを背負った若者に見覚えがありませんか?
…そう、彼が若きロッド・スチュワート(Roderick David Stewart)だというのです!

ロッドがこれを自分と認めたかは不明ですが、“1961年(16歳)に『the Beaulieu Jazz Festival』に行った”ことはイギリスの音楽雑誌『Q』2007年1月号で本人も認めています。
しかも、「マギー・メイ」はここで出逢った女性とのことについて、おおよそ実話とまで告白しています。
それについて、具体的に語ってくれているのですが…

about the first woman I had sex with!
…訳しません!

ただし、この女性の名前は【Maggie May】ではなく、“リヴァプールの古い民謡を引用した”と語っています。
その民謡とはビートルズも『レット・イット・ビー』でカバーした「Maggie Mae」(Maggie Mayとも綴る)のことで、ここに歌われる女性“Maggie Maeは娼婦”です。
ロッドは『the Beaulieu Jazz Festival』のビアテントで年上の女性に強引に口説かれ“貴重な体験”をしたそうですが、彼女が娼婦であったかはわかりません。


Oh Maggie I wish I'd never seen your face
マギー、あんたと出逢わなければよかった
You stole my heart but I love you anyway
だけど心を盗まれた俺は、それでもあんたに惚れている 

彼女との出逢いは、“その若者”の人生にどんな影響を与えたのだろう…。



「マギー・メイ」


Writer(s): Rod Stewart, Martin Quittenton /訳:Beat Wolf


起きてよマギー、言いたいことがある
9月ももうすぐ終わるし、俺も学校に戻らなきゃ
散々あんたを楽しませてきたけれど、いいように使われた気もする
あぁマギー、もう限界だよ
あんたは、ただ自分の孤独逃れに俺を家から誘い出した
でも心を盗まれた俺にとって、それは心を抉(えぐ)られた傷

朝日が“その顔”を照らすと、実の年齢(とし)まで露わになる
だけど“この目”はそんなの気にしない、俺にとってはあんたがすべて
あんたのどんなジョークも声を上げ笑う俺に、ご機嫌取りの必要もなかった
あぁマギー、もう限界だよ
あんたは、ただ自分の孤独逃れに俺を家から誘い出した
でも魂を盗まれた俺にとって、それは魂の抜けた“行い”の痛み

必要だったのは、手を貸し導いてくれる友
だけどあんたは恋人か
母親のような関係に変え、俺の心をすり減らした
してくれたのは、ベッドで俺をめちゃめちゃにすること…
そして朝になると、この頭を蹴るんだ
あぁマギー、もう限界だよ
あんたは一人になりたくないがため、俺を家から誘い出した
でも心を盗まれた俺は、あんたから離れようにも離れられない

教科書まとめて、学校へ戻ろうか…
それとも親父のキューを盗んで、玉突きで生きてみるか
あるいは、助けが必要なロックンロール・バンドに途を見出すか…
でもマギー、あんたと出逢わなければよかった
お陰で俺はひどい笑い者さ
そして、他に何も目に入らない愚か者
心を盗まれた俺は、それでもあんたに惚れている 

マギー、あんたと出逢わなければよかった
いつかそのうち、家に帰ろう…


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1971年 フォーク・ロック 男の主張 偉大な曲 

コメント

この曲のマギーって

「やり手のベテランオネエ」って誰かに吹き込まれて30年以上本気で信じてきたんだけど、訳詞を見る限り違うみたい。ビトちゃん、ホントの所どうなの?

2018.09.22  地味JAM尊(5歳)  編集

Re: この曲のマギーって

地味JAM尊(5歳)!(笑)

「やり手のベテランオネエ」って、酒席ネタですか?(笑)
でも「当たらずとも遠からず」だと思います。
詳しくはこの後…。

2018.09.22  Beat Wolf  編集

フェイセス時代のロッドはソウルフルなボーカルスタイルとステージと一体となったLIVEが若者の大きな支持を受けましたね~。同時にソロ活動していたロッド自身の英米NO1大ヒット曲はRWの一番のお気に入り曲です。続くリリース「ユー・ウェア・イット・ウェル」は「マギー・メイ」と兄弟曲のような軽快な曲でしたね。

2018.09.24  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

この「Maggie May/Reason to Believe」は
ロッドの魅力を象徴するシングルだと思います。
かなり個性的な声ですが、ここで確立された軽快感/哀愁という持ち味が
後の成功の基礎となったのではないでしょうか…。

2018.09.24  Beat Wolf  編集

男の人じゃなかったんだ~

最初に自分に「男」だと吹き込んだのが誰だったか思い出せません・・・
ぼーっと生きてたのかな?

2018.09.26  地味JAM尊(5さい)  編集

Re: 男の人じゃなかったんだ~

でも本人がそう言ったからといって
それが真実とは限りません。
もしかしたら本当は…?(笑)

2018.09.26  Beat Wolf  編集

なんとも不可思議な曲ですよね。

 ローリングウェストさんのブログから来ました。
 僕はかねがね、「なぜ“マギーメイ”があんなにヒットしたのか」が不思議でたまらないと思っていました。ここでも、「旋律がないからだめだと言われた」と言うエピソードを紹介なさっていますが、全くそのとおりだと思うんですよね(笑)。
 でも当時の英国人の琴線に触れる何かがあったんでしょうね。
 個人的には“ステイ・ウィズ・ミー”のほうが断然いい曲だと思いますけどね(笑)。

2018.10.05  ☆彡ふらんぼう  編集

Re: なんとも不可思議な曲ですよね。

はじめまして。

そうですね。
ロックの場合、旋律が強過ぎない方がクールで
男らしく、カッコよくなる気がします。
ポールやエルトン、ビリー・ジョエルら「メロディー・メイカー」
が創るロックは旋律が強過ぎて甘くなりがちですから。(笑)

「ステイ・ウィズ・ミー」は、まさにロック・ファン好みの選曲ですね。
やっぱりロッドの「ハスキー」はワイルドな曲が映えますね。

2018.10.05  Beat Wolf  編集

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