I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「ホワット・シー・ウォンツ」バングルス

2018.09.28

category : Bangles

Bangles - If She Knew What She Wants1 Bangles - If She Knew What She Wants2


The Bangles - If She Knew What She Wants (1986年)



~概要~

「ホワット・シー・ウォンツ」はアメリカのガールズ・バンド、バングルス(The Bangles)がブレイクするきっかけとなった「Manic Monday」(過去ログ)に続いてアルバム『シルバースクリーンの妖精 (Different Light)』からリリースされた2ndシングルです。
1stシングル「Manic Monday」(全米2位)と3rdシングル「Walk Like an Egyptian」(全米No.1)というインパクトに挟まれ本曲はBillboard Hot 100で29位という地味なアクションでしたが、私にとってはこの2曲以上にお気に入りであり、ビートルズ・フリーク揃いであるバングルス本来の魅力を味わえる作品といえるでしょう。

歌っているのは「Manic Monday」のヴォーカルを務めたスザンナ・ホフス(Susanna Hoffs)で、残りのヴィッキー&デビー・ピーターソン姉妹とマイケル・スティールらが“掛け合うコーラス”は、まさにビートルズ初~中期を彷彿させる魅力を感じさせます。
作者はアメリカのシンガーソングライターのジュールズ・シアー (Jules Shear)…というより、“シンディ・ローパー「All Through the Night」(過去ログ)を書いた人”、と言った方がイメージし易いでしょう。
「If She Knew What She Wants」は元々ジュールズ・シアーが1985年に自身のアルバム『The Eternal Return』で発表した楽曲で、バングルスはその歌詞の一部を変更した上でカバーしています(後述)。

PVは、2種類制作されています。
一つは広く知られる【北米版】で、一部“モノクロ映像”が用いられたり“メンバーのムフフなシーン”がフィーチャーされており、スザンナのお母さんで映画監督のTamar Simon Hoffsが制作したものです。
もう一つはヨーロッパで見られた【UK版】で、こちらは“セピア色”と“回転するセット”が特徴となっています。


The Bangles - If She Knew What She Wants (UK Version)
 
 



~Lyrics~

If she knew what she wants
もしも彼女が自分の欲しいものを知っていたなら
(He'd be giving it to her)
(きっとカレはそれをあなたに与えてくれたはず)

バングルスver.の「If She Knew What She Wants」は、【she】と【he(sheの恋人?)】の関係に対する【I(sheの友人?)】の視点で描かれており、この構図はビートルズの「恋のアドバイス 」を思い起こさせます。
「恋のアドバイス 」は背中を押すように囃し立てる勢いがありますが、本曲の遠い懐かしさを感じさせるメロディとバングルス特有のあたたかく厚みのあるコーラスは、まるで友人(または女性全般)をやさしく見守っているかのようです。


But she wants everything
だけど、彼女は全てを欲しがったり
(He can pretend to give her everything)
(カレは全て与えられる“ふり”をする)

彼女は全てを欲しがったり、欲しいものは何もないと言い出したり、一体どんな人物なのでしょう…。
“全部欲しい”と言われたら、カレだって全部あげられる“ふり”でもするしかないでしょ?
(ドラえもんじゃないんだから!)

…かといって、“欲しいものは何もない”というのも少しさみしいかも?
こんな風に、相手の届く範囲に上手に投げてあげなきゃ♪ 



 …オレ、犬じゃね~し!


I'd say her values are corrupted
彼女の気分は“風”次第
But she's open to change
風の変化に動じ易い

【風】に相当する言葉は原文に無く、“作文”しました。
どうやら彼女は“移り気”な所があって、周りの人を振り回してしまうことがあるのかもしれません。
…だからといって【corrupt(堕落する、買収される、不道徳な、邪悪な…)】というのも、あんまりな気がします。

人の言うことを聞かないタイプではなく、【open to】から察すると“状況や人に影響され易くて気持ちがコロコロ変わる”タイプなのかもしれません。



~Epilogue~

If she knew what she wants
もしも彼女が自分の欲しいものを知っていたなら…

「If She Knew What She Wants」は、元々は作者ジュールズ・シアーが自ら歌うために書いた作品であり、【I(男性)】の【she】に対する視点で描かれています。
話の筋からすると、【I】と【she】は恋人(夫婦)関係でしょうか…。



なのに、【she】は“自分の欲しいものがわからない”というのです。
もしも灼熱の砂漠を飲まず食わずで一日中歩き回っていたとするなら、そのとき欲しいものが何かを迷うことはないでしょう。
つまり【she】には、そこまで切実に得なければならないものが無いということになります。
でも既に最愛の人を得て、大事にされ、穏やかな暮らしが生涯続くと思えるなら、“それ以外に欲しいものはない”と思っても不思議ではありません。

世の中には自分で使い切れないほどのお金を稼いでもまだ“底なしに欲しい”人もいれば、どんなに欲しいと願っても“一滴の水さえ得られない”人も存在します。
程度の差こそあれ“飢えている”という点でこの両者は“不満”状態にありますが、その何れでもないといういう意味で【she】は“満たされている”といえるのです。


 むしろ、【she】はこんなタイプ?


(I'd be giving it to her)
(きっと僕はそれを君に与えあげたのに)

放っておいて欲しいくせに、放っておかれるとさみしくなる…
そんなタイプの【she】は、寄って来た時おもいっきりかわいがってあげるのが上策? 



「ホワット・シー・ウォンツ」


Writer(s): Jules Shear /訳:Beat Wolf



もしも彼女が自分の欲しいものを知っていたなら
(きっとカレはそれをあなたに与えてくれたはず)
もしも彼女自身、必要なものをわかっていたなら
(カレはそれもあなたに与えることができた)
もしも彼女が自分の欲しいものを知っていたなら
(でもカレには、あなたの心まで見通すことはできない)
もしも彼女が自分の欲しいものを知っていたなら
カレはそれを与えてくれたはず
与えてくれた…

**
だけど、彼女は全てを欲しがったり
(カレは全て与えられる“ふり”をする)
あるいは、“欲しいものは何もない”という
(あなたは気持ちを明らかにしたくない)
カレは目の前のあなたに夢中
(なのに、あなたは何を求めたらいいかわからない)
もしも彼女が自分の欲しいものを知っていたなら
カレはそれを与えてくれたはず
与えてくれた…


彼女の気分は“風”次第
風の変化に動じ易い
ある日、満足げにしていても
次には泣き顔を見るかもしれない
その理由なんて、彼女自身も上手く説明できない



自分を磨こうと努力する人の中には
それぞれスタイルがあって
敢えて曲がった道を歩く人もいる
でも、彼女は理解しようとはしない
空だって飛べるのに
なぜ、曲がった道を歩こうとしなければならないのか…


彼女をリハビリしてあげられるなんて、考えても意味がない
彼女は十分、満たされているのだから
頭の中に溢れるほどのアイデアが駆け廻り
私の心配なんて、必要ない


**


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1986年 ガールズ・ロック 恋のアドバイス コーラス 

コメント

バングルスって結構いい曲が多いなあといつも興味をもっているのですが70年代還暦男が80年代を語るにはちとおこがましいと思いながら皆さんの記事をチョイ見しているRWです。自分自身がもうちょっと勉強して語れるようになったらレポートしたいなあと思っています。

2018.10.03  ローリングウエスト  編集

「風次第」っすよね~

自分はbeatwolfさんの訳詞を見た時に「女心と秋の空」が浮かびました。
結局「男が与えようとする頃には何を欲しがってたかも覚えちゃいない、けどわざとじゃないから恨まないでね、女ってそんなもん」って。←特に何かあったわけではないです。

「あの娘に本気になっても振り回されるだけ(だったらあたしはどう?)」ってニュアンスなんじゃない・・・って自分の中の女が言ってます。

でもスザンナ・ホフスにだったら振り回されてぇ~

2018.10.04  地味JAM尊子  編集

ローリングウエストさん

バングルスは80年代ですが
音楽は60年代風なところがあるので
親しみを感じると思います。

S&Gの「冬の散歩道」もカバーしているので
是非お聴きになってみてくださいね。

2018.10.04  Beat Wolf  編集

Re: 「風次第」っすよね~

原詞を読むと、彼女は「自分の欲しいものがわからない」のに
「全てを欲しがる」「欲しいものは何もない」だったり
まるで「不思議ちゃん」です。
解釈のヒントになったのは「猫」で、彼らはとても魅力的でかわいいのですが
あの「気ままな性格」を許容できないと仲良しにはなれません。

でも、そういう女性っているでしょう?
人間で言うと、「不二子ちゃん」!
男にとっては、悩ましい存在ですよね…。

> でもスザンナ・ホフスにだったら振り回されてぇ~
→ここにもルパンが!(笑)

2018.10.04  Beat Wolf  編集

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