I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「ショウ・マスト・ゴー・オン」クイーン

2018.11.02

category : Queen

Queen - The Show Must Go On1 Queen - The Show Must Go On2


Queen - The Show Must Go On (1991年)



~概要~

「ショウ・マスト・ゴー・オン」はイギリスのロック・バンド、クイーン1991年2月5日の14thアルバム『イニュエンドウ (Innuendo)』に収録された作品で、アルバムの最終曲です。
イギリスでは10月14日にシングルとしてリリース(全英16位)されていますが、10月28日には本曲を含んだ『グレイテスト・ヒッツII(GREATEST HITS vol.2)』も発売されており、そのプロモーション・シングルといった意味合いが強かったでしょう。
また、同年11月24日にはフレディ・マーキュリーが亡くなってしまったため、“フレディ生前最後のシングル”でもあります。

クレジットはクイーンとなっていますが、多くの部分の作者はブライアン・メイ
ロジャー・テイラーとジョン・ディーコンによるコードを元にブライアンとフレディが作品のテーマを話し合い、主にブライアンが詞・曲を作り、フレディが歌詞の一部を書きました(別項参照)。
作曲に当たって、ブライアンは17世紀ドイツの作曲家ヨハン・パッヘルベル(Johann Pachelbel)の作品「パッヘルベルのカノン」(Canon and Gigue in D)からヒントを得ているそうですが、この曲はさまざまな式典のBGMとして使用されているので、みなさんも聴き覚えがあるでしょう。


病気で体調の思わしくないフレディは、『Innuendo』で3rdシングルまで化粧や映像処理で衰弱をカバーして何とかPV制作に参加できていましたが、4thに当たる「The Show Must Go On」の頃にはもう撮影に加われないほど病状が悪化していました。
このため「I Want to Break Free」をはじめ「Radio Ga Ga」(過去ログ)や「Innuendo」など、1981年から1991年までのPVを編集した映像となっています。

リリースから6週間後にフレディが亡くなってしまったため彼が歌う「The Show Must Go On」がライブで再現されることはありませんでしたが、1992年4月20日に行われた『フレディ・マーキュリー追悼コンサート(Freddie Mercury Tribute Concert)』では【クイーン+エルトン・ジョン(vo)+トニー・アイオミ】という形で披露され、エルトンは1997年にもパリのナショナル・シアターで開催された『スペシャル・バレエ』プレミア公演でクイーンと再演しています。
その後本格的にツアーを再開したクイーンは、【クイーン+ポール・ロジャース】【クイーン+アダム・ランバート】という形で「The Show Must Go On」を歌い継ぎました。
また、2016年5月にセリーヌ・ディオンが「The Show Must Go On」のカバーをデジタル・シングルとしてリリースし、同月【2016 Billboard Music Awards】で見事な歌唱を披露していますが、このときセリーヌは1月に夫レネ・アンジェリルを亡くしたばかりでした。


 
 



~Lyrics~

Empty spaces, what are we living for?
虚(うつ)ろなる空間… 人は、何を求め生きるのか?
Abandoned places, I guess we know the score
見捨てられた場所… 人は、そこで真実を思い知る

1986年、クイーンはアルバム『A Kind of Magic』を発表した後6/7-8/9まで同アルバムに伴う『Magic Tour』を行っていますが、その後フレディは体調が悪化し、結局彼が参加したツアーはこれが最後となりました。
その後1987年のイースター直後にフレディはAIDS(エイズ)と診断されたそうですが、痩せ衰えた外観やツアーへの不参加やなどから1990年頃メデイアにはAIDSを疑う声が挙がり始めたものの、その真実は彼が亡くなる前日の1991年11月23日までフレディ側から公表されることはありませんでした

AIDSは【後天性免疫不全症候群 (Acquired Immunodeficiency Syndrome) 】…つまり“後天的要因(HIVウイルス感染)によって免疫不全を起こす疾患”であり、体内の免疫力が破壊されるため、健常であれば問題にならない病原体にも容易に感染・発症するようになってしまう疾病です。
1980年代前半にHIVウイルスが発見され、当時は有効な治療法がなく極めて致死率の高い病気でした(現在は薬によって病の抑制は可能で、致死率は劇的に下がったが完治は困難)。

Empty spaces(虚ろなる空間)/Abandoned places(見捨てられた場所)...


My soul is painted like the wings of butterflies
魂は、蝶羽の如く彩られ
Fairy tales of yesterday will grow but never die
昨日の伽話(とぎばなし)は伝説となり、決して絶えることはない

「The Show Must Go On」は主にブライアン・メイによる創作とされていますが、この部分の歌詞はフレディ・マーキュリーによるものであるかもしれません。
生前フレディは歌詞を記したノートを持ち歩いていたそうで、2016年に彼が最期の3年間使用していたノートがオークションにかけられ、その中に「The Show Must Go On」のこの部分の歌詞が綴られていました

…確かに、【like the wings of butterflies】という比喩の発想は、どう考えてもフレディっぽい?


My make-up may be flaking
道化の仮面が剥がれ落ちようとも
But my smile still stays on
真の面は、笑みを灯し続けよう

1985年以来フレディの私的パートナーで、彼の最期を看取ったジム・ハットンさんはこのフレーズを“最も自伝的”と評しています。
それは本当のことだった。どんなに病が苛んでも、フレディが誰かに不平を言ったり憐れみを乞うたりすることはなかった。それは彼にとって自分との闘いであり、ますます重くなる病状に対して常に勇敢な顔で立ち向かっていた…”

しかしこのハットンさんも、フレディに劣らず勇敢な人です。
1987年に自らのHIV感染を知ったフレディは彼に別れを切り出しましたが、彼がフレディの元を離れることはありませんでした。
しかも、そのために彼自身も1990年に(フレディによると思われる)HIV感染が判明し、そのことを最後までフレディに明かさなかったそうです(彼は2010年に肺がんで亡くなっている)。



~Epilogue~

11月9日、クイーン・28の名曲とブライアン、ロジャー、ジョン…
そして、フレディの生き様を描いた伝記ミュージカル映画『ボヘミアン・ラプソディ』が公開されます。
楽曲「Bohemian Rhapsody」については過去ログへ)

「The Show Must Go On」はこの映画のサウンドトラックの一つであり、フレディの人生を語るのに最も似つかわしいテーマと考え、これを選曲しました。
【The Show Must Go On】はこの作品に限った特殊な言葉ではなく、英語圏のショウ・ビジネスにおいて使われる慣用句で、凡そ本項に示したような意味合いが込められています。




ブライアン・メイによると、1990年に「The Show Must Go On」のレコーディング時、フレディは既にほとんど歩くことができない状態だったといいます。
「The Show Must Go On」を作曲してはみたものの、そこにはブライアン自身がファルセットでなければ歌えない高い音域が何か所か含まれていました。
そのため、デモをフレディに聴かせたとき、体が衰弱したフレディには無理な要求ではないかと心配して、この言葉を添えたといいます。
フレッド、これ歌えるかわからないけれど…

これに、対してフレディは…
I'll fucking do it, darling(いっちょ、やってやるさ!)
そう言ってウォッカをグイッと飲み干すと、完璧なヴォーカルでブライアンが苦戦した難曲をやっつけてみせたそうです。
(ブライアンは、この曲でのフレディの歌唱が生涯最高のうちの一つだったと評価している)


The show must go on
ショウは、続けなくてはならない
The show must go on
半ばにして、舞台を降りてはならないのだ

これと関連して思い出すのは、死期を悟ったデヴィッド・ボウイがその死さえも自らのアート作品として2016年にアルバム『★』とミュージカル『Lazarus』(過去ログ)を創り上げたこと…
そのデヴィッドも、癌に冒され衰弱した体に鞭打ってまでも、作品の完成のために残された時間と生命力のすべてを注いだといわれます。

1991年2月に『Innuendo』がリリースされて間もなく、フレディはブライアンに言いました。
曲を書いてよ、もう長くないってわかってるんだ。どんどん詞を書いて、どんどん曲を書いてよ。僕は歌うから、きっと歌うから…

稀代の“showman”、デヴィッド・ボウイとフレディ・マーキュリー…
私たちが、彼らの“何”に心を魅了されていたのかを物語ってくれるエピソードだと思いません? 



「ショウ・マスト・ゴー・オン」


Writer(s): Queen(Brian May) /訳:Beat Wolf


虚(うつ)ろなる空間… 人は、何を求め生きるのか?
見捨てられた場所… 人は、そこで真実を思い知る
絶え間なく続く… 人が求め彷徨うものを、誰が知ろう
新たなる英雄… また一つ、浅はかなる罪
幕の陰… 無言芝居を演じている
後には引かない… これ以上の我慢を、誰が望もう


ショウは、続けなくてはならない
半ばにして、舞台を降りてはならないのだ
たとえ内なる心が張り裂け
道化の仮面が剥がれ落ちようとも
真の面は、笑みを灯し続けよう

たとえ何が起ころうと… すべては、天の命ずるままに
新たなる心の痛み… また一つ、失った恋も
絶え間なく続く… 人が求め生きる意味を、誰が知ろう
生きることは、学ぶこと… そして、より熱くあらねばならない
間もなくあの角を曲がり… その瞬間は迫っている
外は、夜が明けよう
だけど、内は暗闇の中… 自由を求め、心が疼く



魂は、蝶羽の如く彩られ
昨日の伽話(とぎばなし)は伝説となり、決して絶えることはない
友よ、今なら羽ばたけよう

ショウは、続けなくてはならない
半ばにして、舞台を降りてはならない
歯を食いしばって、立ち向かおう
決して屈したりしない
ショウは、まだ続くのだ

Ooh,
頂きを目指さん… たとえこの命をすり減らしてでも
困難を貫き通す、強い決意を以って
(ショウはまだ続く…)

Show (show must go on, go on)


~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 映画 

コメント

クイーンの映画「ボヘミアンラプソディ」がいよいよ公開ですね。来週あたりに見にいこうと思っています。

2018.11.04  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

そうですね。
予告映像を見る限り本人によく似ているし
楽しみですね。

あとは、演奏シーンがどれだけ迫れるか…。

2018.11.04  Beat Wolf  編集

「ボヘミアンラプソディー」の予告がテレビで流れるたびに、見にいきたいなあと思ってます。

「The show must go on」
私たち一人ひとり、人生半ばで舞台降りちゃダメですよね(*^_^*)

「もう良いかなあ」って降りたくなりますが
クィーンの曲聞くと血が騒ぐ?掻き立てられる?
良い言葉が浮かびませんが。。。
「行動しよう」と思います(*^_^*)

2018.11.07  ☆dct☆  編集

☆dct☆さん

実はこの映画、何年も前から制作が始まっていたのですが
度重なるゴタゴタで、中止になるのではと心配していたので
完成し評判は悪くないようで安心しました。
何事も、「The show must go on」ですね!(笑)

でも、人間死ぬ時って「もう良いかなあ」と思うのかもしれません。
もしそうだとしたら、「もう良いかなあ」ってちょっと危ない思考でしょ?
生きるために血を騒がせ、「行動しよう」しかありません。(笑)

2018.11.07  Beat Wolf  編集

超カッコイイ曲なんすけどね

カラオケで歌うと中森明菜「難破船」と勘違いされるのがイタイ(>_<)。

今週末、映画行ってきまーす!

2018.11.13  地味JAM尊  編集

Re: 超カッコイイ曲なんすけどね

確かに「難破船」。(笑)
エッこの歌、歌うのですか?
かっこいい~!
でも、「難破船って何?」って言われるのはもっとキツい…。(涙)

2018.11.15  Beat Wolf  編集

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古い歌の“温故”から、歳月を重ねた“知新(いま思う・いま考える)”を綴ります。



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