I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「モダン・ラヴ」デヴィッド・ボウイ

2019.01.04

category : David Bowie

David Bowie - Modern Love1 David Bowie - Modern Love2


David Bowie - Modern Love (1983年)



~概要~

「モダン・ラヴ」は、デヴィッド・ボウイ1983年の15thアルバム『レッツ・ダンス(Let's Dance)』の収録曲。
【Dance】をタイトルに掲げたアルバムのオープニングを飾るに相応しいダンサブルなロック・ナンバーで、同年9月に3rdシングルとしてリリースされ Billboard Hot 100で 14 位を記録しています。
当時デヴィッドは大規模なワールドツアー『Serious Moonlight Tour』の真っ最中であり、本曲発売直後の1983年10月には日本武道館をはじめ3度目の日本公演が行われました。


作詞・作曲はデヴィッドですが、まず直感するのはサウンドの【modern(現代式の)】さでしょう。
これは共同プロデューサーのナイル・ロジャース(Chic)に依るところが大きく、また彼によるイントロからのギター・カッティング、トニー・トンプソンのパンチとキレのあるドラミング、本作がブレイクのきっかけとなった名ギタリスト、スティーヴィー・レイ・ヴォーンらの名演奏も光ります。
ただ、彼らの活躍がデヴィッドの【カルト】な魅力を薄めたという意味で、“らしくない作品”でもあります。

ナイルはプロデュースを依頼された際デヴィッドに【赤いスーツを着て赤いキャデラックに乗ったリトル・リチャードの写真】を見せられ、“今度のアルバムはこんなサウンドにしたい”と伝えられたといいます。
正直デヴィッドとリトル・リチャードの歌唱スタイルは正反対に思えるのですが、「Modern Love」の音楽的要素というなら彼の1957年の作品「Keep a Knockin'」に通じるものがあるかもしれません。
似ているといえばエルトン・ジョンの「I'm Still Standing」(録音;1982年9月)のサウンドとの類似が指摘されており、そのことはお互い認識していたようです(「Modern Love」の録音は1982年12月)。


1985年7月13日、各国のミュージシャンが参加した伝説のチャリティ・コンサート『LIVE AID』が世界規模で催され、デヴィッドはロンドン・ウェンブリー・スタジアム会場でパフォーマンスを行いました。
デヴィッドの出番は有名な“クイーンの21分”(実際はもっと短い)の後で、「TVC 15」、「愛しき反抗(Rebel Rebel)」、「モダン・ラヴ」、「ヒーローズ」の4曲を披露し、中でも大きな歓声を浴びたのが「モダン・ラヴ」でした。

デヴィッドは1984年に「Tonight」でティナ・ターナーとデュエットしていますが、1987年にはペプシのCMで再演しており、そのテーマが「Modern Love」でした。
音源はデヴィッド&ティナによる新録で、映像は短いながらデヴィッドが科学者に扮し機械に好みの女性のデータを入力すると生成され出てきたのがティナ…というストーリーになっていて、二人とも見事なダンスを披露しています。
またその他にも本曲は映画やTVなどメディアへの起用が多数あり、特に21世紀に入ってからのものが多く、息の長い人気が窺えます。


 
 



~Lyrics~

I know when to go out
いつ退くべきか それとも、とどまるべきか…
And when to stay in
心の中はハッキリしている
Get things done
さぁ、禅問答に終止符を打とう…

イントロに挿入される、デヴィッドによるスポークン・ワード。
ダンサブルな音楽とデザイナーズ・ファッションに身を包んだ彼ですが、この部分があることで作品のテーマはそんな【modern】な話ではないことを予感させます。

PVではコンサートで入場してくるシーンと同期されており、このステージに臨む彼の決意のようにも想像させられます。
【go out】と【stay in】の間で葛藤してきたであろう彼が、一体どんな【Get things done】を導いたというのでしょう…。


I'm standing in the wind
俺は風の中に立っている…
But I never wave bye-bye
だけど決して、サヨナラと手を振りはしない

主人公の出した答えは、コレ!

…ですが、PVをはじめライブなどで歌唱する際デヴィッドはこのフレーズのところで観客へ向けて【bye-bye】と手を振るのがお約束となっています。
(1990年の東京ドームでは【sayonara】と言っていた)


Modern love walks on by
Modern love... いつか心を踏みにじる
Modern love gets me to the church on time
Modern love... “時間どおり、教会へ”と連れていっておくれ

ミュージカル・ファンの方は、【gets me to the church on time】のフレーズに覚えはありませんか?

1964年にオードリー・ヘプバーン主演で映画化もされた『マイ・フェア・レディ(My Fair Lady)』の第2幕で歌われる「Get Me To The Church On Time(時間通りに教会へ)」です。
主人公・貧しい花売り娘イライザの父・アルフレッドが思わぬ大金を手に入れ、愛人と結婚式を挙げる前夜に酒場で仲間と飲み交わす場面で歌われる曲で、だから「時間通りに教会へ」と歌っています。
しかし不憫なことに娘のイライザは、彼に“お前を引き取れない。お前なら一人でもやっていける”と言い渡されてしまうのです。

この時のイライザと、このフレーズの心情は重なる…?
(但し、デヴィッド・ボウイ本人が関連を言及しているわけではありません)



~Epilogue~

【modern love】は言うまでもなく“現代的な恋”ですが、実際そのような日本語を私たちが日常で使うかというと、少し耳慣れない気がします。
しかし【modern love】のもつニュアンスは、日本でもそのイメージを基にした歌曲や物語が多数創作されてきたので、日本人にとってとても身近であり憧れの概念でしょう。
但し…

God and man... モダンな恋など信じない

主人公は、【modern love】を“否定的なもの”と捉えているようです。
【modern】は移ろう宿命にあり、[最新]や[流行]は今この時にあってこそ輝き、時が過ぎればその輝きは失われます。
一方で【love】は[最新]であることに価値があるのではなく、むしろ[永遠]こそ望まれるもの…

Endless Love - Diana Ross & Lionel Richie(過去ログ)


「Modern Love」の和訳に際し、私の心に浮かんだのが中村雅俊の「時代遅れの恋人たち」
(作詞:山川啓介 作曲:筒美京平)

手のひらに澄んだ水をすくって
お前の喉に 流し込む
そんな不器用で 強くやさしい
つながりは ないものか…


洋の東西や時代、文化や流行は移ろっても、変わらないものがある…
詩は身近にあって、その大切さをいつも私たちに教えてくれたような気がします。



「モダン・ラヴ」


Writer(s): David Bowie /訳:Beat Wolf


いつ退くべきか
それとも、とどまるべきか…
心の中はハッキリしている
さぁ、禅問答に終止符を打とう…


新聞売りをつかまえたところで
物事の本質は変わらない
俺は風の中に立っている…
だけど決して、サヨナラと手を振りはしない

But I try...
きっと挑み続ける

人生に神のお告げなどない
あるのは、人を魅せる魔法のみ
俺は雨の中に横たわっている…
だけど決して、サヨナラと手を振りはしない 

But I try...
きっと挑み続ける


恋に溺れ、騙されたりしない
Modern love... 寄り添い歩いても
Modern love... いつか心を踏みにじる
Modern love... “時間どおり、教会へ”と連れていっておくれ

**
Church on time... 恐れさせ
Church on time... ばか騒ぎさせ
Church on time... 神人を信じ込ませる

***
God and man... 告解なく
God and man... 神と人との契りもない
God and man... モダンな恋など信じない

それは、本当に為すべきことでない
あるのは、人を魅せる魔法のみ
俺は、まだ風の中に立ち続けている…
だけど決して、サヨナラと手を振りはしない 

But I try...
きっと挑み続ける


**
***


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

コメント

ビ-トさんこんばんは~大好きなデビッドボウイです!モダンラブ最初の歌に入る前が特にいいんですよね!良いですね~久しぶりに聴きました。まだ20歳ぐらいでした仕事もせずに朝と昼が逆転した生活をしてた頃によく聴いてたのでその頃のことがすぐに頭に浮かびます今で言うろくでなしBLUESです!(笑)LIVEAIDのボウイ気合が入ってましたね。

2019.01.05  たまごバナナ  編集

あけましておめでとうございます。柏崎で3ケ日を過ごしておりこちらからの新年あいさつが遅れて失礼いたしました。今年も楽しくブログ交流させて頂きたいと思います。洋楽も一般記事も含めて今年もよろしくお願いします。デビッドボウイ展を観に行ってから、もう2年経ったのかと正月から光陰矢の如しを感じています。

2019.01.05  ローリングウエスト  編集

たまごバナナさん

お好きでしたか。
でもやっぱり久しぶりですよね。
私も歌に入る前が好きです。

LIVE AIDもご覧になってましたか。
今みると、ホントに若いです。

昔は昼夜逆転もできましたが
今だとゴミが出せないので、ゴミ屋敷になってしまいます。(笑)

2019.01.05  Beat Wolf  編集

ローリングウエストさん

あけましておめでとうございます。
こちらこそよろしくお願いします。

柏崎に行っておられたのですね。
年末年始、お寒かったでしょう。

ボウイ展も観に行かれたのですね。
確かに現実の時間は光陰矢の如しで過ぎ去っていきます。

2019.01.05  Beat Wolf  編集

ゴミ屋敷じゃだめですね~(笑)LIVEAIDはDVDが家にありますので定期的に見てますね懐かしい面々が出てきて良いですね!フィル・コリンズなんかコンコルドで飛び回りますからね(笑)やっぱりクイーンのステージが群を抜いてよかったですね~

2019.01.06  たまごバナナ  編集

たまごバナナさん

DVDを購入されてましたか。
あれだけの規模のイベントって
もう二度とないかもしれませんね。
コンコルドも、もう無いし!(笑)

やっぱりクイーンは凄いです。
今の世界に欲しいのは
ああいう湧き上がるenergyだと思います。

2019.01.06  Beat Wolf  編集

多分ないですね~誰かが音頭を取ってなんていうのが今はないでしょうポ-ルが音頭取って、ないですね~(笑)もうフィル・コリンズも飛べないコンコルドないもんね!(笑)クイ-ンの映画も見に行きました、始まってすぐにLIVEAIDウエンブリアリ-ナの場面でもう号泣しました。いい映画でした。あのパフォーマンスを超えるENERGYは見当たりませんね~

2019.01.07  たまごバナナ  編集

たまごバナナさん

世界が再びこれだけ結束するとしたら
たぶん相当悪いことが起きた時だと思うので
無い方がいいのかもしれません。

でもこうした大イベント映えするのはロックだと思いますが
現代はロックが死にかけているので、さみしい限りです…。(涙)

2019.01.07  Beat Wolf  編集

いいですね~中村雅俊、夕陽ケ丘の総理大臣でしたかね?懐かしいね~よく見てました、井上純一とか出てたかな~

本当今は分断の世界を推し進めて行こうとしてるアメリカのあの人や世界中で戦争でも起こりそうな雰囲気が出てきてるのが心配ですよね!

平和が良いですよーみんなで、イマジン歌いましょう!

2019.01.08  たまごバナナ  編集

たまごバナナさん

井上純一も、懐かしい名前です。
中村雅俊もそうですが、神田正輝が若い若い!

そうですね。
今はまだ中国が劣勢ですが
やがて同等、逆転する頃どうなるかですね。
今の日米関係をみていると、米中戦争が起きると
否応なしに日本も戦争に参戦しそうな雰囲気ですが…。(涙)

2019.01.09  Beat Wolf  編集

嫌ですね~戦争!今からでも遅くない上手くやってよトランプくんと、くまのプ-さん!

中国はやる気満々ですからね~蜂蜜でもなめといてくれたらいいんですよ~こんな事書いてたら中国に拉致されるかもしれないからこれぐらいでやめときましょう(怖)



2019.01.09  たまごバナナ  編集

たまごバナナさん

プ-さん
大人しそうな顔していても「猛獣」ですから!(笑)
野心家で、どんな手段を使っても世界一の座を
トランプ・タワーから奪おうと狙っています。

トランプ・タワーも黙って王座を譲るつもりはなく
早めに挑戦者を潰しにかかっています。
どうせならリングの上で、世界中継でケリをつけて欲しいです。

2019.01.10  Beat Wolf  編集

やはりボウイーはかっこいいです。

 『レッツ・ダンス』が発売されたときは、従来のファンから総スカンを食らったみたいですが、僕は、初めてリアルタイムで聴いたボウイーだったのでけっこう印象に残っていますし、今改めて聴いても、かなりイイ!ですね!。

2019.01.22  ☆彡ふらんぼう  編集

Re: やはりボウイーはかっこいいです。

私も『レッツ・ダンス』が初めてでした。
確かに本筋ではありませんが
どう見ても聴いてもカッコイイですね。

第一、黄色いスーツなんて、常人は着こなせません!(笑)

2019.01.22  Beat Wolf  編集

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