I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「ひとりぼっちのロンリー・ナイト」ポール・マッカートニー

2019.01.18

category : Beatles & Solo

Paul McCartney - No More Lonely Nights1 Paul McCartney - No More Lonely Nights2


Paul McCartney - No More Lonely Nights (1984年)



~概要~

「ひとりぼっちのロンリー・ナイト」はポール・マッカートニー1984年の5thアルバム『ヤァ!ブロード・ストリート(Give My Regards to Broad Street)』の収録曲です。
アルバムから唯一のシングルで、1984年9月24日にリリースされ US Billboard Hot 100 で6位(1985年の年間72位)、全英は2位(年間22位)を記録しました。
楽曲はポール自らが主演/脚本/音楽を務めた1984年のミュージカル映画『ヤァ!ブロード・ストリート(Give My Regards to Broad Street)』の主題歌として創作され、1984年『ゴールデングローブ賞』[Best Original Song]、1985年『英国アカデミー賞』[Original Song Written for a Film]にノミネートされています。


「ひとりぼっちのロンリー・ナイト」には【バラード編】「No More Lonely Nights (Ballad)」と【プレイアウト編】「No More Lonely Nights (playout version)」があり、本記事で主に扱うのは【バラード編】です。

【バラード編】は「Yesterday」や「My Love」に通じる甘くせつないバラードで、デヴィッド・ギルモア(ピンク・フロイド)とエリック・スチュワート(10cc)がゲスト参加しており、特に間奏部やアウトロのデヴィッドによるギター・ソロは甘さ一辺倒を緩和する効果を与え、聴き所の一つです。
またバラード編は3種類あって、[アルバム ver.]は冒頭に雨音のSEとベースが入っており、[シングル ver.]はいきなりの歌い出し、「バラード/リプライズ ver.」は「No Values〜No More Lonely Nights (ballad reprise)」と表記され判り辛いのですがこのパートの終末部に入っている僅か十数秒ほどのストリングス・インストゥルメンタルで、「No Values」と次曲「For No One」の橋渡しとなっています。

意外に面白いのが、しっとりバラードをダンス調に変えた【プレイアウト編】です。
「No More Lonely Nights」のオリジナルは【バラード編】ですが、ポールらしいというか、やっぱり映画は素人というか…
実は、映画が出来上がって配給元の20世紀フォックスに見せた所、エンドロールに音楽がないことを指摘され、主題歌をアップテンポにしたものを入れたらと要望を受けて【プレイアウト編】が生まれました。
そのためかギター系、キーボード、ドラムスをポール一人で演奏しており、せつないはずのメロディを残しながらリズムを崩して楽しいダンス調に変える芸当をいとも簡単にやってしまう彼の音楽センスには、改めて驚かされるばかりです。


残念なのは、「No More Lonely Nights」がチャート的にも、楽曲的にもポールの80年代のベストに入る作品でありながら、恐らくツアーで演奏されていないことです。
80年代のの楽曲では「Coming Up」(過去ログ)が多用されるくらいで、後は89年からの【ゲット・バック・ツアー】で直近の『Flowers In The Dirt』の楽曲や「Ebony And Ivory」(過去ログ)が取り上げられたことはありますが…。
ポールにとって80年代は、“忘れ去りたい時代”? 


 
 



~『ヤァ!ブロード・ストリート(Give My Regards to Broad Street)』~

1980年に【日本での麻薬所持による逮捕】と【ジョン・レノン暗殺】で幕を開けた80年代は、ポールにとって混迷の時代でした。
76歳を迎えた現在でも世界を駆け巡っている彼が、80年代という長い期間ツアー活動を殆んど行わなかったというのはかなり異常なことであり、それは音楽作品に対する彼のアプローチをも変化させた気がします。
以前からその方面への興味はあったともいわれますが、このタイミングで映画を試みたのには、そんな背景も影響していたかもしれません。


1982年11月、ポール自らが主演/脚本/音楽を務めるミュージカル映画『ヤァ!ブロード・ストリート(Give My Regards to Broad Street)』がクランク・イン。
ミュージカル映画で最も大事な要素といえば【音楽】ですが、そこはギネスブックに【ポピュラー音楽史上最も成功した作曲家】として認定されたポール、何の心配も要りません!
ポールがポール・マッカートニーというミュージシャンを演じる物語であり、“僕の映画にビートルズの曲が入っていなければ観る人は納得しないだろう”と考え、解散後初めてビートルズの楽曲を再録音することを決め「Yesterday」「The Long And Winding Road」(過去ログ)ほか6曲を採用、ウイングスからも「心のラヴ・ソング」、近年のソロ3曲、新曲3曲ほか珠玉の名曲の数々をセルフ・カバー&新録しています。

また、ビートルズ・サウンドといえばメンバーのリンゴ・スターであり、プロデューサーのジョージ・マーティン&エンジニアのジェフ・エメリックで、彼らもこの企画に賛同し快く参加してくれました。
ただしリンゴは映画への参加は快諾したものの“1/2のビートルズはごめんだ”と、ビートルズ曲の演奏については固辞しています。
(※この辺がリンゴらしいのですが、ジョージ一人がのけ者になるようなことを嫌ったのでしょう)


豪華なのは、楽曲に限りません。
リンゴ以外でレコーディングに参加したゲスト・ミュージシャンはデヴィッド・ギルモア(ピンク・フロイド)やエリック・スチュワート(10cc)、ジョン・ポール・ジョーンズ(元レッド・ツェッペリン)、デイヴ・エドモンズ、クリス・スペディング、スティーヴ・ルカサー/ジェフ・ポーカロ(TOTO)ほか、超豪華な顔ぶれでした。

ポールがミュージシャンという設定からライブ・シーンが満載ですが、中でもクライマックスは「心のラヴ・ソング」(過去ログ)でしょう。
ゲスト・プレイヤーはジェフ・ポーカロ&スティーブ・ルカサー、ルイス・ジョンソン(ブラザーズ・ジョンソン)で、劇中ではまっ白猫のような姿に扮して演奏しており、途中ムーン・ウォークで入ってくるダンサーはマイケル・ジャクソンにそれを教えたシャラマー(Shalamar)のジェフリー・ダニエルです。

 


“あの映画の失敗でポールも目が覚めた” ジョージ・ハリスン

一方、映画作品としての評価はジョージのそれが象徴しています。
本作は、ポールのニュー・アルバムのマスター・テープが行方不明になり、それを探索する物語であり、この発想自体はセックス・ピストルズ1977年のスタジオ・アルバム『勝手にしやがれ!!(Never Mind the Bollocks, Here's the Sex Pistols)』のオリジナル・マスター・テープが紛失した事件からヒントを得ているといわれます。
(同作のプロデューサー、クリス・トーマスはウイングスの『Back to the Egg』のプロデューサーでもある)

大命題は【(レコード会社乗っ取りを阻止するため)24時間以内にテープを発見すること!】であるにも拘らず、スクリーンの中のポールは歌や演奏に忙しく、(イメージの中で)19世紀の貴族となって優雅に舟遊びしています…。
ポールが企画したということで、ビートルズのテレビ映画『Magical Mystery Tour』を引き合いに出されることがありますが、『Magical Mystery Tour』を評価する一人として、両者は[似て非なるもの]と考えます。
『Magical Mystery Tour』は[ナンセンス]であってそもそも論理も果たすべき目的もありませんが、『ヤァ!ブロード・ストリート』は[24時間以内にテープを発見する]という明確な目的を謳いながらそれを果たそうとせず、別のことばかりやっているために生じる論理矛盾が不評の原因です。
しかも、【終幕の引き方】がそれにトドメを刺す…。 
(詰まる所、ポールが本当にやりたかったのは映画ではなく、ライブだったのでしょう)


…とまぁ、散々な書き方をしましたが、ファンにとっては“ここでしか聴けない(見られない)ポール”があるので貴重な映像集です。
私の宝物はサントラに収録されていない、ここでしか聴けない「Yesterday」!
たぶんこれはゲリラ的にやったのだろうけど、彼ってこういう仕掛けが好きですよね? 



~Epilogue~

「ひとりぼっちのロンリー・ナイト」はメロディ・メーカー、ポール・マッカートニーの名に恥じない美曲ですが、この映画の主題といえるほどの共通点はありません。
劇中では物語の終盤、会社乗っ取り期限10分前の23:50ころマスター・テープを探して行き着いたブロード・ストリート駅で、ポールが“ひとりぼっち”佇むシーンに使われており、この場面にはよく馴染んでいます(※ブロード・ストリート駅は1986年に閉鎖された)。
しかしこのシーンは元々BGMもないままに編集が一旦終了しており、映画完成後の見直しの時点で物足りなさを覚えたポールがこの場面に合わせて書き下ろしたのが「No More Lonely Nights」だったそうです。




むしろ、私が一番好きな「ひとりぼっちのロンリー・ナイト」は、PV ver. (メイン動画)です。
全般として映画と歌い手の歌唱シーンを編集したよくあるタイプの映像ですが、私が好きなのは歌が始まるまでの【前置き】の部分
前置きの長いPVは当時スーパースターの証で、これが災いしてTV放映の際この前置きの部分がカットされてしまうことも少なくありません。
しかし「No More Lonely Nights」に限って言うなら、【前置きこそがこの映像で最も大事】です。

冒頭でポールが一人コーヒーを作りながら電話を掛けるものの、相手は出そうにありません。
諦めて少し残念そうに受話器を置くと、コーヒーを持って口笛を吹きながら屋上へと上がり、朝日に向かってこう口ずさむのです…。

I can wait another day
また一日、待てばいい
until I call you
明日、君に電話するまで…

繋がらない電話にショックを受けたり絶望するでもなく、“少し悲しそう”なところが、逆に“その日常性”を感じさせます。
愛に、代わり得るものなどない…
「No More Lonely Nights」は、そんな誰かの心のささやきです。



「ひとりぼっちのロンリー・ナイト」


Writer(s): Paul McCartney /訳:Beat Wolf


また一日、待てばいい
明日、君に電話するまで
この胸を射止め、心繋がる唯ひとりの人
そのすべてが、今も心をはためかせる

でも“またひとりぼっちの夜”は
永遠に続くかもしれない
寄れば互いに、責めてばかり
でもそれだって、僕には愛すると同じ
それが正しいと知っている


孤独な夜は、もういらない
ひとりぼっちの夜は、もうおしまい
君は、僕を導く光
日夜、僕はいつもそこにある

君のそばにいるときめきを
いつまでも、忘れずにいていい?
たとえ何年か費やそうと
その涙を、笑いに変えてあげたい
きっとやり遂げる…正しいと感じることを



僕は立ち去ったりしない
君がそう言わない限り
決して…




最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 80's ポール・マッカートニー バラード せつない愛 

コメント

邦題が・・・。

「ひとりぼっちのロンリー・ナイト」って「太ったデブ」ばりに
『同じ言葉を繰り返してるよね』って言ったら、嫁さんに殴られました・・・。

「名曲を馬鹿にするな!」
確かに仰る通りいい曲ですから許して欲しいんですが。

2019.01.19  地味JAM尊  編集

だーーーーい好き

曲の始まりのポールのアカペラだけで飯が三杯はいける。

2019.01.19  グラハムボネ太郎  編集

この曲大好きなんですよ~!バブル華やかりしころよく聞きましたね~。最後のフェードアウトの仕方が物足りないのですが1980年代ソロの中で最も秀逸曲だと思います。

2019.01.19  ローリングウエスト  編集

Re: 邦題が・・・。

確かに褒められた邦題ではありませんが
いかんせん、中途半端ですね。
どうせなら、もっとツッコミ甲斐があるくらいスベってれくれると
ネタになるし、話題に貢献したかもしれないのに?

…まあ、そんなタイプの曲でもありませんが(笑)

2019.01.19  Beat Wolf  編集

Re: だーーーーい好き

「だーーーーい」ですか!
私も相当好きですが、負けました。(涙)
アカペラの歌い出しは、ビートルズの得意技ですね。

2019.01.19  Beat Wolf  編集

ローリングウエストさん

ローリングウエストさんには
バブルの思い出と重なるのですね。
おや、最後のフェードアウトがご不満でしたか。
実はあのギターソロは「あの大物」が弾いているのですが…。(笑)

2019.01.19  Beat Wolf  編集

こんばんは~ビ-トさんポ-ルが若い!目は相変わらず可愛くたれてる(笑)最初の始まりからいきなりしびれたもんね!ギタ-はグラハムさんが大好きなピンク・フロイドのメンバー、マッカートニーファミリーのデヴィッド・ギルモアがギタ-をやってくれたんですよね。いいね~ポ-ルのバラ-ドは、ボッチ感を何回も何回も連呼してくれて、とってもメロディーとマッチして切なさが良く出てて泣きそうな震えるポ-ルの声が最高でしたね!懐かしい歌ですまだ私は二十歳ぐらいちょうど彼女にフラれた時で私にピッタリの曲でしたね(泣)

2019.01.20  たまごバナナ  編集

たまごバナナさん

確かに若いです。
でも私は、ポールが年を取ったらほっぺとか
たれると思っていましたが、それほどたれませんでした。

さすがにたまごバナナさんはご存知のようで…。
ポ-ルのボッチ感のバラ-ドは、ビートルズ時代から最高です。
でもそんな思い出と重なっておられたのですか?
それは、失礼いたしましたぁ…。(笑)

2019.01.20  Beat Wolf  編集

こんばんは~ビ-トさん!ポ-ルの若さの秘訣は知ってますか?これは多分本当ですよ、湯川れい子さんがポ-ルにインタビューしにいったときに、ポロッと言ったのが、若さの秘訣は「せックスとドラッグだ」と、ポロッと言ったのを私は聞き逃しませんでした(笑)あながち嘘じゃないでしょう、若い頃からドラッグはやってましたもんね、だからあれだけ元気なのですよ~今度電話して聞いてみましょうね~

2019.01.21  たまごバナナ  編集

たまごバナナさん

なるほど~!
○ックスは納得です。
でも、その欲求が湧いてくる時点で
既に若いと思います。
その欲求が無くなってゆくのが老化だとすれば。(笑)

でも湯川れい子さんって
確かポ-ルより年上ですよね。
若いです~。

2019.01.22  Beat Wolf  編集

こんばんは~ビ-トさん湯川れい子さんは80ぐらいにはなりますよね~すごく若いですよね~この映画は不評でしたね、でもポ-ルが好きな私にはただのポ-ルが見れて演奏が聞ければ良かったのです、本当ポ-ルはライブがやりたいだけだったように思えますね、リンゴは優しいなぁ~

2019.01.22  たまごバナナ  編集

たまごバナナさん

80というと、昔は腰が曲がって杖をついて…
というイメージですが、本当にお元気ですね。

最初から「ビートルズの曲を演る映画」
という設定にすればよかったと思います。
中途半端な物語性をつけずに。
そうすればもっとたくさんの曲が見られたのですから。

ジョージを慮ったかは私の想像ですが
リンゴは優しい人だと思います。

2019.01.23  Beat Wolf  編集

やはり稀代のメロディ・メーカー

 このサントラは持ってませんが、“~ロンリー・ナイト”だけは、編集物の『ウイングスパン』と『オール・ザ・ベスト』で持ってました!。

 この曲は名曲ですよね~。
 ポールの旋律創作者としての才能が遺憾なく発揮されていると思います。ベスト・アルバム二種に収録しているくらいですから、ポール自身も気に入っていると思いたいですが、確かにライヴではやっていませんね~。(^_^;

2019.01.29  ☆彡ふらんぼう  編集

Re: やはり稀代のメロディ・メーカー

サントラはこの年私が最も聴いた1枚でした。
なので、私が一番耳慣れているのはサントラverです。
ベスト・アルバムのはシングルのでしょう。

ポールは常に客が喜ぶものを選ぶ傾向があるので
ビートルズが中心になりますね。
でもまあ、この曲はレコードで聴いた方がいいかもしれません。

2019.01.30  Beat Wolf  編集

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