「アイランド・イン・ザ・ストリーム」は、アメリカのカントリー歌手ケニー・ロジャース1983年の15thアルバム『愛のまなざし(Eyes That See In The Dark)』の収録曲で、1stシングルとしてリリースされ Billboard Hot 100 で2週No.1(1984年の年間56位)に輝きました。 ただし①83年7月発売で年間が翌年扱いは異例であること、②2週No.1で年間56位は異例であること、③ Cash Box 誌では83年の年間11位とされていること、などを考慮すると Billboard の年間ランクは正確ではない可能性もあります。
こうして「Islands In The Stream」をはじめアルバムの殆んどは畑違いのバリー&モーリス・ギブによって作詞・作曲・プロデュースされていますが、同じカントリー畑のスターであるドリー・パートンとの本格的な共演もこれが初めてだったそうです。 ドリー・パートンは、後にホイットニー・ヒューストンがカバーし歴史的大ヒットを記録することになる「I Will Always Love You」(過去ログ)の作者でもあり、ケニーに劣らないカントリー界を代表する女性歌手でした。 それまでも二人は互いの活動に敬意を抱き共演を心に描いてはいたものの、それが実現したのはTVショーでの一度だけで、レコーディングまでこぎ着けられたのはケニーがドリーの所属する RCA に移籍してきたことによります。
しかしアルバム制作開始時点からドリーとの共演が計画されていたわけではなく、二人は人為を越えた運命的な力に引き寄せられていったのかもしれません。 元々「Islands In The Stream」はR&B歌手のマーヴィン・ゲイのために書かれた楽曲であり、当初ケニーもソロでレコーディングを試みています。 ところがそれを4日間続けてみたもののケニー自身納得したものができず、諦めかけた時ギブ(バリーかモーリスかは不明)が提案したのが、ドリーの助けを借りることでした。 奇しくも(?)ちょうど同時期ドリーも同じスタジオでレコーディング中で、彼女に歌ってもらったところそれまでの苦労が嘘のように作品が生まれ変わったそうです。 こうした偶然交じりの経緯からか、「Islands In The Stream」は正式なPVが制作されておらず、歌番組で収録された映像が当時放送で代替として用いられました。
しかしケニーとドリーの共演は一時的なイベントには止まらず、その後も度々二人の共演は重ねられました。 2017年にケニーが引退を飾ったステージで最後を飾った曲こそ「Islands In The Stream」ですが、その際の歌唱でもドリーが駆けつけ花を添えたことが二人の関係を物語っています。 もちろんこれは恋愛という意味ではなく(だからこそ長く続いた?)、このイベントの前に行われたPeople誌のインタビューでケニーも“このコラボレーションがドリーとの長年の友情の始まりだった”と語っていたそうです。
ちなみに作者であるビー・ジーズも1997年11月にラスベガスのMGMグランドでのライブで「Islands In The Stream」を演奏しており、この模様は翌年に『One Night Only』としてアルバム/ DVD でリリースされました。 また、2009年にはバリー・ギブとオリビア・ニュートン=ジョンによるデュエットが実現しており、ファンの方にはこちらの映像も楽しみでしょう。
Islands in the stream / That is what we are
「Islands In The Stream」のタイトルは、アーネスト・ヘミングウェイの長編小説『海流のなかの島々(Islands in the Stream)』に由来するといわれています。 小説では【Islands=Bimini(カリブ海バハマ西端に位置する諸島)】を、【The Stream=Gulf Stream(メキシコ湾流)】を指しているようです。 ちなみにビミニ諸島《写真》は主に[North Bimini]と[South Bimini]という2つの島から構成されており、この辺りが【That is what we are】になるのかなぁ…?
~Epilogue~
2019年4月10日にご成婚60年の節目を迎えられ、4月30日に退位される明仁天皇と美智子皇后。 激動の60年をずっと寄り添われてきたお二方の人生に思いを致した時、浮かんだのが「Islands In The Stream」でした…。
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