~Lyrics~ Writer(s): Barry, Robin and Maurice Gibb /訳:Beat Wolf “スクエアダンスです、マーシャルさん フロアでダンスを踊りましょう スクエアダンスですよ、パーキンスさん しっかり踊りましょう みなさん、パートナーをつかまえて…” * いつも駆け回っていた僕は、サーカスの道化役 数え切れない友だちがいた 僕の出番は一番あとだったけれど 友だちには、僕の一番のものをあげたんだ ショウはやり終えた …それは誰もが知っている 衣装はほとんど売ってしまった 与える者があれば、貸しつける役割の者もいる だから友だちには、僕の一番のものをあげるんだ …きっと、あなたもそうでしょう? ** 人生が理不尽と思う時… そんな時だって、すべてが闇夜でないと、あなたは知っている 過去に穏やかな時間もあった…でも今は、闘うべき時 そんな時こそ、友だちに一番のものをあげよう * **~概要~ 「ギヴ・ユア・ベスト」は、ビー・ジーズ1969年3月の6thアルバム(オーストラリア時代を含む)
『オデッサ(Odessa)』 の収録曲です。
『オデッサ』は、難破船の悲劇を思わせるタイトル曲「Odessa (City on the Black Sea)」
が象徴する壮大なコンセプト・アルバムとして企画されますが、アルバムの方向性に関してメンバー間の軋轢が生じてバンドが分裂、プロモーション不足となったか、あるいはそうした2枚組の大仰な志向が市場に受け入れられなかったか、シングルは
「若葉のころ」(過去ログ) をリリースしたものの、真価を認められぬまま終わってしまいました。
(ただしビー・ジーズが「Jive Talkin」
「You Should Be Dancing」(過去ログ) のヒットで再ブレイクした1976年、『オデッサ』をシングルLPに編集したものが発売され、
“初期の最高傑作” と評される名盤となった)
その後1971年、『オデッサ』収録の
「メロディ・フェア」(過去ログ) 「若葉のころ」「ギヴ・ユア・ベスト」の3曲を中心に制作されたのが、イギリスの恋愛映画
『小さな恋のメロディ( Melody / S.W.A.L.K )』 でした。
サウンドトラックにはビー・ジーズ初期から更に3曲が選曲され、さながら“ビー・ジーズ初期のベスト盤”、映画はまるで“ビー・ジーズの音楽映画”のようで、1977年の『サタデー・ナイト・フィーバー』と共に
ビー・ジーズの音楽なしには語れない映画 となっています。
しかし興行成績は対照的で、『小さな恋のメロディ』は欧米で殆んど評価されず日本で局地的に大ヒット、映画もサントラも長年に亘って根強い人気があり、CD化されているのは日本のみだそうです。
ビー・ジーズは70年代後半にディスコ・サウンドで一世風靡しましたが、初期はアコースティックなサウンドと美しいハーモニーが持ち味で、「ギヴ・ユア・ベスト」ではフィドル(ヴァイオリン)とバンジョーが特徴です(別項詳細)。
原題の「Give Your Best To Your Friends」からわかるように“友情”がテーマとなっており、映画では主人公の少年の“二つの友情”を描いた場面で2度使用されています(別項詳細)。
VIDEO VIDEO ~歌詞について~ It's a square dance Mr Marshall “スクエアダンスです、マーシャルさん 冒頭のMC部分(劇中ではカットされている)。
前項で
“フィドルとバンジョーが特徴” と触れましたが、【fiddle】はヴァイオリンのことで、特にアイルランドの民族音楽やアメリカのカントリー・ミュージックなどに使われた際そういう呼び方をします。
この二つの違いについて
“ヴァイオリンは歌い、フィドルは踊る” という言葉がありますが、まさに「ギヴ・ユア・ベスト」も“踊る曲”です♪
スクウェアダンス (square dance) はアメリカのフォーク・ダンスの一つで、“4組のカップルが1セット(8の倍数であれば何セットでも可)になってコーラー (Caller) の指示に従って踊るダンス”です(「ギヴ・ユア・ベスト」冒頭のMCもコーラー役と思われる)。
踊り手はいくつかの基本的な動作(コール)を覚える必要がありますが決まった順番というものはなく、コーラーの指示に従って動作や相手を切り替える形式で、[旗揚げゲーム]のように指示役のアドリブ次第で変化に富んだ非常に盛り上がるダンスとなります。
VIDEO It's a square dance Mr Perkins スクエアダンスですよ、パーキンスさん 『小さな恋のメロディ』の原作・脚本を書いたアラン・パーカーは、ビー・ジーズの『 Odessa 』に含まれた「Melody Fair」からインスピレーションを得たとする説があります。
「ギヴ・ユア・ベスト」にもそれを感じさせるフレーズがあるのですが、お気づきですか?
…そう、ヒロイン・
メロディの姓名は【 Melody Perkins 】 !
ちなみにアラン・パーカーは、1982年にピンク・フロイドの映画
『ピンク・フロイド ザ・ウォール』 で監督を務めていますが、『小さな恋のメロディ』と同じ学園物で真逆の作風となっています。
~Epilogue~ 「ギヴ・ユア・ベスト」は
“友情”をテーマ とした作品で、劇中でも主人公の少年
ダニエル (マーク・レスター)にまつわる友情を描いたシーンで使用されています。
一つはダニエルが恋した少女
メロディ (トレイシー・ハイド)と、学校をサボって遊園地や海岸に出掛けた“婚前旅行”の場面。
もう一つは、親友
オーンショー (ジャック・ワイルド)と学校帰りにウエスト・エンドに遊びに行くシーンですが…
当初は子供らしく水かけ合ったりじゃれ合ったりしているものの、男の子同士ですから次第に“アヤシゲな世界”へと引き寄せられていきます!
しかし中流階級で優等生であるものの何事もママにやってもらう乳臭さから同級生に軽んじられポツンと一人でいることの多いダニエルと、労働者階級で男子の間でガキ大将的な存在で素行不良な所もあるオーンショーが、何故これほどまでに仲良くなれたのでしょう?
劇中ではむしろ、オーンショーの方から近づいているようにさえ見えます…。
それはきっと、
ダニエルの“純粋さ” にあるのかもしれません。
オーンショーはおじいさんと安アパートに二人暮らしで生活はかなり貧しく、彼に接する大人たちには一見して彼を差別する風潮が見受けられ、彼も子どもなりにそうした“風当たり”に傷つき生きてきたであろうことが物語の断片から窺えます。
だからこそ彼は誰より偏見に敏感であり、他の子どもが気にも留めないダニエルの“純粋さ”に気づき、心を許したのでしょう。
しかしそんなダニエルだからこそ、恋は“夢中”で猪突猛進。
彼の夢の外となり、一人取り残されたオーンショーの“ヤキモチ”オーラがハンパなく痛々しい…。
And when you think that your life isn't right 人生が理不尽と思う時… You know the day isn't always like night そんな時だって、すべてが闇夜でないと、あなたは知っている オーンショーは傷つき心を取り乱しますが、やがて自分の愚かさに気づき、心を改めます。
So I just give my best to my friends そんな時こそ、友だちに一番のものをあげよう 人は、そんな風にして大人の階段を上ってゆくのかもしれません。
「ギヴ・ユア・ベスト」 VIDEO 最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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