I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「ハイ・オン・ユー」サバイバー

2019.05.31

category : Survivor

Survivor - High On You (1985年)

「Eye of the Tiger」の“燃える”と並ぶ、サバイバーらしい“心地よい”ロック・テイスト ♪



~Lyrics~

Writer(s): Frankie Sullivan, Jim Peterik /訳:Beat Wolf


そこに君は立っていた…そして悟るだろう
どれほどお似合いで、理想に適った二人であるか
だから話をさせて…
昨夜、出逢った素敵な娘

そうさ…僕は手を伸ばさなければならなかった
運命のルーレットを回す必要が
だから、その手に触れた…
ほかの奴らが押しかける前に

**
いま僕は凧より高く舞い揚がり
恋の擒となって宙に吊られている
一人でも君と語らい、心を火照らせ駆け回る
通りの真ん中でさえ
君の感触を希(こいねが)う

***
もうこの想いは止められない
もう空想の世界にしか暮らせない
心はもう、君に夢中

大人びているかと思えば、はにかんで見せたり…ちょっとだけ狂おしい
今にも噛みつきそうな顔したり
ねぇ、話をさせて…
昨夜、出逢った素敵な娘

鋭い眼差しは、ワタリガラス
まるで、僕の秘密の罪を共有しているみたい
二人の気持ちは昂(たかぶ)っていた
夜のゲームが始まる前に

いま僕は夜に叫びを上げる
**

***
世界中を探し続けてきた
本当の心を見つけるために
これほどまで心を酔わせられるなんて…
もう僕はすっかり、君に夢中



~概要~

「ハイ・オン・ユー」はアメリカのロック・バンドのサバイバー1984年8月発売の5thアルバム『バイタル・サインズ(Vital Signs)』からの2ndシングルで、Billboard Hot 100の8位を記録したロック・ナンバーです。

サバイバーというと多くの人がまず思い浮かべるのが1982年の映画『ロッキー3』の主題歌「Eye of the Tiger」だと思いますが、その後セールスは急降下、同曲を歌ったデイヴ・ビックラーが喉を痛めて脱退しバンド存続の危機を迎えます。
それを救ったのが新加入のヴォーカリスト、ジミ・ジェイミソン(Jimi Jamison)と、1stアルバム以来4年ぶりに復帰したプロデューサーのロン・ネヴィソン(Ron Nevison)でした。
ジミが初めて歌唱した1984年公開(米)の映画『ベスト・キッド』の主題歌「The Moment Of Truth」(過去ログ)はヒットには至らなかったものの、彼らが“survivor(生存者)”たる資格があることを証明し、一方のロンも1985年にハート (Heart)大復活の立役者となる手腕を発揮しサバイバーを楽曲・サウンド共に洗練したバンドに生まれ変わらせました。

「ハイ・オン・ユー」がシングルとしてアメリカでリリースされた1985年3月23日は、日本ではちょうど映画『ベスト・キッド』の劇場公開(1985年2月16日)と時期が重なっていました。
そのためか、日本で『バイタル・サインズ』の2ndシングルとして発売されたのは映画の主題歌「ザ・モーメント・オブ・トゥルース」であり、「ハイ・オン・ユー」はそのB面に回されるという不遇となっています。


「High On You」の作者はメンバーのフランキー・サリバン (G)と、ジム・ピートリック (Key/G)。
ジムによるとそれはコンサートのリハーサルでフランキーが弾いた即興のギター・リフに、ジムがキーボードを合わせるようにして曲ができていったそうです。
サバイバーで本曲を歌ったのはジミ・ジェイミソンですが、ジム・ピートリックもバンド脱退後に自身のバンド【The Ides of March】で「High On You」を歌い続けています。

アルバムからの1st/3rdシングルはしっかりとPVが制作されていますが、2nd「ハイ・オン・ユー」について私はそれを確認していません。
2019年5月末時点でYoutubeにもそれと思われる公式映像は公開されておらず、1985年9月の日本公演とツアーの模様を編集した映像《冒頭の動画》が公開されています。
(※来日公演は「ハイ・オン・ユー」発売の半年後なので、この映像はそれ以後に編集されたもの)
この映像では日本のファンとの微笑ましいやり取りや当時の日本の風情が記録されているので、音楽と併せてお楽しみください。


 



~歌詞~

It’s understood, I had to reach her
そうさ…僕は手を伸ばさなければならなかった
I let the wheel of fortune spin
運命のルーレットを回す必要が

「High On You」の音楽はポップでとても親しみやすいのですが、歌詞は意外と難解で洒落ています。

一般に【wheel of fortune spin】は、大きく分けて3つの意味があります。
1つはタロット占いのカード“運命の輪”、2つ目はゲームやギャンブルに使う“ルーレット盤”、そして3つ目は“人生の転変”。
何れであっても、この物語の鍵を握るのは【her】…。


Now I’m higher than a kite
いま僕は凧より高く舞い揚がり
I know I’m getting hooked on your love
恋の擒となって宙に吊られている

「High On You」はとても心地よく、それを生み出している重要な一つが“バツグンの譜割り”です。
私はこのメロディ・ラインの【kite】と【night】の音の響きが特にお気に入りで、キレのあるジミの歌声は“名刀で物をスパッと切ったような快感”に似ています。

また、【 kite(凧)】の並びに【hook(吊るす)】を持ってくるところが、とても素敵です。
【get hooked on】は“夢中になる”で事足りるのですが、どうしても【hook】のイメージを生かしたいと思いました。
恋愛とは、良くも悪くも“糸で繋がっているもの”ですから? 



~Epilogue~

「ハイ・オン・ユー」は大好きな曲で、個人的な思い出もあります。
当時スポーツの試合で数日旅行する事になり、ウォークマンを持っていない私は大きなラジカセ(約7kg)を抱え長距離の電車や試合会場を移動することになるのですが…。

試合用なので、携帯したカセット・テープには元気の出る曲が数多く入っていました。
待機場所で試合を観戦しながらテープを聴いていると、「ハイ・オン・ユー」が流れた所で私のすぐ前にいた先生がこの曲に合わせ手でリズムを刻んでいるではありませんか!
ロックとかサバイバーから遠いイメージにあるこの中年女性の“意外な反応”が愉快で、私は思わず吹き出してしまったのです。
この曲の楽しさは年齢性別が関係ないのだなぁ、と…。


作品のテーマでもある【high on】はそれを象徴している言葉で、“夢中になる”という意味。
しかし歌詞に出てくる【hook】【crazy】【intoxication】は何れも同様の概念を含む言葉であり、音楽も含めて作品全体でその感覚を表しています。
本作に於いてそれを導いているのは【love】ですが、それ以外にも“夢中”を導き得るものは世の中に数え切れないほどあるはずです。
むしろ苦労するのは、お酒や薬など依存し過ぎ中毒となって“悪夢”とならぬよう、楽しい夢がいつまでも継続するよう適度な酔いをコントロールすることではないでしょうか?

「High On You」は、そのちょうどよい“さじ加減”を教えてくれる気がします。
あなたが何かに迷いバランスを失った時、きっと思い出し耳を傾けてみてください♪ 



「ハイ・オン・ユー」

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags :  80's ロック ハード 楽しい 

コメント

おおっ!こっちのMVですか

「こいねがう」って読むんですね、勉強になるな~。
Jimiさんが加入直後の来日公演・・・超行きたかったな。
(貧乏高1生は諦めざるを得ませんでした・・・トホホ)

このMVの元のVideoが編集最悪なので、機会があればご覧くださいませ。
(特に「Eye of the Tiger」開始直前の空手少女の正拳突きが・・・)

2019.06.01  地味JAM尊  編集

Re: おおっ!こっちのMVですか

映像はみんな若いし
当時の日本の風情が懐かしいです。
でも元ビデオがあったのですね。
「空手少女の正拳突きが・・・」があまりに意味深で
「誰かの股間に入った?」とかオチを考えてしまいました。(笑)

でもこの曲ってPV作ってないのですかね?
当時テレビで見てないし、現在もyoutubeで
3rdシングル"The Search Is Over" はあるのに
この曲だけ無いような…。

2019.06.01  Beat Wolf  編集

いざ出陣の時はやはりこの曲ですよね!まだに』元気パワーがもらえます。サバイバーはまだ取り上げていないんですよ!小生もいつかこの曲を取り上げて皆様に元気を与えねば!

2019.06.03  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

ローリングウエストさんのいざ出陣の曲だったのですね。
元気パワーに年齢はありません。
これからもどんどん聴いて元気パワーをもらいましょう!

2019.06.03  Beat Wolf  編集

公式PVは暗い部屋の中に青い電球がたくさん

ぶら下がってる奴なんですが・・・ご存じありませんか?
ちなみに前のコメントで書いた「編集最悪video」ですが、メンバーが移動時に電車内ではしゃいでる様子などを「挿入画像」として入れるのはいいんですが、裏方スタッフ達に主催者が日本語で「説明&気合」を入れるところや、アンコール直前に脈絡もなく「街の空手道場の練習風景」が入り、小学生くらいの女の子が掛け声とともに正拳突きをしたとたんに「デゲデゲデゲ・・・」とEye of the Tigerのイントロが始まるなど「怒りポイント満載」なのです。自分は元Videoを編集したものを作ったのですが、先程「そのまんま編」を久しぶりに見たら切れそうになりましたよ・・・長々と失礼しました。

2019.06.04  地味JAM尊  編集

Re: 公式PVは暗い部屋の中に青い電球がたくさん

さすがは地味JAM尊さん、やっぱり存在してたんですね。
でも何でこの曲だけ公開してないのだろう…。

今回調べて85年の日本公演のライブCDが発売されていたのを知りましたが
そのビデオ版ですか?
確かに「ドキュメンタリー」のつもりで見てると気にならなくても
「コンサート」として見ている中に別の映像をチョコチョコ入れられると
邪魔くさいですね。
でもわざわざ自分で編集し直して見なければならない程だから
余程ひどい編集だったのでしょうね!(笑)

2019.06.04  Beat Wolf  編集

すみません。プチ訂正です。

曲の直前にを正拳突きするのは「あばれる君」みたいなくりくり坊主の子で、その背後の女子はその後にアップになります。・・・って訂正しとかないと怒られるかも?(誰に?)

2019.06.04  地味JAM尊  編集

Re: すみません。プチ訂正です。

さすがにそれは、「持ってる人だけの領域」ですね。
前回のコメントにつっ込めるのは地味JAM尊さんだけでしょう。(笑)

2019.06.05  Beat Wolf  編集

アルバム『バイタル・サインズ』はよく聞いていました。
といても、弟がレンタルダビングしたカセットのやつを、その部屋からこっそりと持ち出してのことでしたが。
そういえば、ゴールデン洋画劇場で『ベスト・キッド』が放映されたとき、オープニングの高島忠夫さんの解説のBGMには、『モーメント・オブ・ザ・スルー』ではなく、なぜかこの曲が流れていました。
おそらく番組スタッフが間違えたんだと思います。

ちなみに、そのとき放映されたやつも、VHSに録画してよく見ていました。
その録画したVHSも、20年前に部屋の大掃除の際に処分してしまいました。
その処分したVHS群のなかには、淀川長治さん解説付きの『日曜洋画劇場』や、水野晴朗さん解説付きの『金曜ロードショー』のものまでありました。
いま思えば、もったいない話です。

2019.06.22  かんた  編集

かんたさん

よく聴かれていましたか。
でも当時のレンタルってレコードだったでしょう。
すぐCDの時代になってしまったので、まさに昭和の思い出です。

そんな間違えがあったのですね。
私もテレビを録った『ベスト・キッド』のテープを持っていましたが
どの番組だったかはわかりません。
でも当時は面白い映画解説者がたくさんおられました。
画質だけ見れば製品の方がいいですが
確かにテレビのには独特な雰囲気がありました。
でも最近の『金曜ロードショー』の視聴率をみると
置かれた厳しい現実を感じさせられます…。

2019.06.22  Beat Wolf  編集

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