I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「シー・ラヴズ・ユー」ビートルズ

2019.06.21

category : Beatles & Solo

The Beatles - She Loves You (1963年)

最高度の旋律・和声・律動が凝縮された、ビートルズの魅力を象徴する初期の傑作 ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~Lyrics~

Writer(s): Lennon–McCartney /訳:Beat Wolf

She loves you, yeah, yeah, yeah...

あの娘にフラれたと思っている?
でも昨日、彼女に会ったんだ
今も想いを寄せているのはお前だって…
そう伝えてって頼まれた


あの娘、今でもお前が好きだって!
…悪い話じゃないだろう?
そうさ、彼女はお前を愛してる…
お前だってうれしいはずさ

あの娘をひどく傷つけたそうじゃないか
彼女、頭がおかしくなるほど辛かったって…
だけど、今ではわかってくれている
お前が悪気で人を傷つける奴じゃないって



**
She loves you, yeah, yeah, yeah...
こんなに愛され
お前だってうれしいはずさ

あとは自分次第って、わかっているだろう?
言わば、それが唯一の解決への道さ
プライドは、時に自分をも傷つける…
彼女に謝ったらいい


**

こんなに愛され
お前だってうれしいはずさ
yeah, yeah, yeah...




~概要~

「シー・ラヴズ・ユー」は1963年8月23日にイギリスで発売されたビートルズのデビュー4枚目のシングル曲で、B面は「I'll Get You」。
オリジナル・アルバムには入っておらず、ベスト盤『The Beatles / 1962-1966(赤盤)』や編集盤『PAST MASTERS VOLUME ONE』などに収録されています。
本曲のオリジナル2chマルチトラック・テープがモノ・ミキシングの後に破棄されたため「She Loves You」のリアル・ステレオ・ヴァージョンは存在しておらず、【stereo】と表記されているものは1966年12月のベスト盤『A Collection Of Beatles Oldies』発売の際にエンジニアのジェフ・エメリックがモノラル音源から作成した【疑似ステレオ】です。

イギリスでは発売前から予約が50万枚に達しただけでなく通算7週間No.1(Top3内も18週間)という異例のロングセラーとなり、166.7万枚を売って当時のシングル売り上げ最高記録を樹立しました。
(この記録は1977年にウイングスの「Mull Of Kintyre」に更新された)


一方アメリカではデビュー以来ビートルズの苦戦が続いており、それまで3枚のシングルは英『Parlophone』と同系列の大手・米『Capitol Records』に発売を断られ、マイナー・レーベル『Vee-Jay Records』からリリースするもイギリスで大ヒットした「Please Please Me」「From Me To You」さえチャート・インさせることができませんでした。
“悪しき前科”によって(?)、続く「She Loves You」は Capitol に断られ、Vee-Jay にも断られ、ようやくマイナー・レーベル『Swan Records』との契約を獲得し1963年9月16日の発売にこぎ着けますが、やはり全くヒットには至らず…。

ところが同年11月にイギリスで「抱きしめたい」がリリースされると状況は一変(アメリカでの発売はそれから1ヶ月後)、アメリカのラジオ局も進んでこれをオンエアすると、それが導火線となってアメリカ全土で“ビートルズ旋風”が巻き起こり、社会現象にまで発展します。
1964年2月1日に「抱きしめたい」が全米チャートを制する頃、大衆のビートルズへの飽くなき関心は過去の作品にも向かうこととなり、「She Loves You」もチャートを急上昇して同年3月21日に「抱きしめたい」から王座を奪う形で Billboard Hot 100のNo.1(2週/年間2位)に輝き、250万枚以上のセールスを記録しました。


こうしたビートルズ旋風はアメリカから世界へと波及していますが、ビートルズにとって所縁のあった西ドイツでは“特別な副産物”も生まれています。
1964年3月5日に西ドイツでリリースされた「Sie Liebt Dich」は「She Loves You」をドイツ語訳したもので(訳者;Camillo Felgen)、もちろんビートルズ自身によってドイツ語で歌われました。
ただしこのレコーディングが行われたのは同年1月29日のフランス・ツアー中のことであり、当時1月15日から15日連続で公演し29日当日もステージに立っていた彼らは、降って湧いたように押し付けられたこの仕事(独『Odeon』の要請)を当初ボイコットしており、プロデューサーのジョージ・マーティンの説得により何とか執り行われています。
上記のとおり、「She Loves You」のマスター・テープは既に破棄されていたためこの音源は演奏を含めオリジナルとは全く別の新録ですが、音源はリアル・ステレオなのでオリジナル・モノに比べてサウンドがクリアです。

一方、コンサートに於いて「She Loves You」は1963年10月25日からの『スウェーデン・ツアー』~1964年9月20日までの『アメリカ・カナダ・ツアー』で演奏されました。
とりわけ有名なのは1963年11月4日、イギリス王室主催の音楽演奏会『The Royal Variety Performance』への出演で、この模様は1995年の編集盤『The Beatles Anthology 1』に収録されています。

また、“意外な使われ方”がみられるのも本曲の特徴で、ビートルズ初の主演映画『A Hard Day's Night』の劇中コンサートの最後を飾ったのは映画のタイトル曲ではなく、「She Loves You」でした。
さらに、忘れてはならないのが1967年の「愛こそはすべて」で、アウトロで突然ポールが「She Loves You」のフレーズを歌い出したことは、多くの方の印象に刻まれているでしょう。


 
 



~ビートルズが史上稀にみる人気を獲得し得た秘密は、「She Loves You」に凝縮されている~

ビートルズの名曲の数々の作者として【レノン=マッカートニー(Lennon-McCartney)】が有名ですが、名義に反して実際の多くはジョン・レノンとポール・マッカートニーがそれぞれ別々に書いていたことを、ファンの方はご存知でしょう。
しかし中には本当に“膝詰め”で書かれた楽曲もあり、「She Loves You」はまさにその一つです。

1963年夏のイギリス・ツアー中の6月26日、訪問したイングランド北東部ニューカッスル(Newcastle upon Tyne)のツアーバスの中で歌を書き始め、その夜遅くまで数時間ホテルのツインベッドにジョンとポールが向かい合って座り、アコースティック・ギターを弾きながら作曲、後日リヴァプールにあるポールの家族の家で完成させました(後述)。


You think you've lost your love
あの娘にフラれたと思っている?
Well, I saw her yesterday
でも昨日、彼女に会ったんだ

ラブ・ソングというと普通は“恋する【I】と【you】の物語”ですが、本曲は恋愛当事者ではない“第三者を【I】として「She Loves You」と語る形式”であることが、当時斬新とされました。
この点について、ジョンは“ポールのアイデアだ。僕は僕自身について書く傾向がある”と言及し、ポールも“このアイデアは移動する車の中で浮かんだ”と語っています。

また、【She loves you, yeah, yeah, yeah】のフレーズについて、ポールは“コール・アンド・レスポンス”方式を取り入れることを考えていたようです。
つまりジョンとポールが【She loves you】と call(呼び掛け)し、他の二人が【yeah, yeah, yeah】と response(応答)する…という風に。
しかしこの案はジョンが賛同せず却下、全体がジョンとポールの二部コーラス、【She loves you, yeah, yeah, yeah】にジョージ・ハリスンが加わる形が採られました(ライブではジョージはヴァースの一部にも加わっている)。

一方、【She loves you, yeah, yeah, yeah】のコーラスを冒頭に持ってくるアイデアは、プロデューサーのジョージ・マーティンです。
“いきなり歌い出す”はビートルズの得意技の一つであり、これによって強いインパクトを与える効果がありますが、本曲では更に急き立てるような力強いバスタムを“号砲”にしてこのフレーズを歌い出させることで、より楽曲に勢いと高揚感を与えています。

「She Loves You」は、ビートルズという唯一無二のバンドの魅力を象徴する作品…
ローリング・ストーン誌(2011年)は、本曲を【The 500 Greatest Songs of All Time 64位】に位置づけています。



~Epilogue~

先日、ビートルズがデビュー前の1962年1月24日にブライアン・エプスタインと交わした最初のマネージメント契約書のオークションがあると、報じられていました。
(落札額は約4100万円が見込まれているとか…)
ブライアンは元々クラシック志向でロックにまったく興味がありませんでしたが、経営するレコード店にビートルズに関する問い合わせが相次いだことから興味を持ち、当時彼らが出演していたキャヴァーン・クラブを訪れた所、たちまちビートルズの演奏に魅了され、自らマネージャーを申し出た…という経歴の持ち主です。

彼らの音楽、彼らのビート、彼らのユーモアセンスに打たれた。そして彼らに会った後でさえ、彼らの個人的魅力に再び心打たれた。そしてそれは全ての始まりだった...”

ブライアンのこの言葉は、ビートルズの魅力を表す核心であり、ファンの心を代弁しているといえるでしょう。
ビートルズが発する歌や言動は、たとえその一片だけ取ってもチャーミングで、それに触れた人々をたちまち魅了するのです。
それは強力な魔法のようであり、時にその影響力は社会の概念をも動かしてきました


 She loves you, yeah, yeah, yeah...♪

 “とてもいい曲だね。でも【She loves you, yes, yes, yes】って歌えないのかい?”
 “ye...!?

ジョンとポールが、ポールのお父さんジム・マッカートニー(James McCartney)の家で「She Loves You」を仕上げた際、「She Loves You」を歌って聴かせた時の彼の感想です。
【yeah】は現在では日本でも通じる【yes】のカジュアルな表現ですが、元々はスラング(俗語)で、ポールのお父さんの見解は当時のイギリスの一般常識に沿ったものでした。

アメリカではビートルズ以前にも、エルヴィス・プレスリー「All Shook up」(1957)やエヴァリー・ブラザース「 Temptation」(1961)など、【yeah, yeah, yeah】が用いられた作品はありますが「She Loves You」が与えたインパクトは別格で、これをきっかけにイギリスでも【yeah】がより一般的に用いられるようになり、ヨーロッパから世界へと拡がったといわれます。
(ちなみにビートルズは同時期、「It Won't Be Long」でも【yeah, yeah, yeah】を強調している)

She loves you, yeah, yeah, yeah...
あの娘はお前を愛してる…“いえーいっ!”

日本でも“いえーいっ!”はお馴染みですね?(今は死語?)
この場合の“いえーいっ!”は同意を表すだけでなく、【喜びの感情】を伴っていることがわかるでしょう。
フラれたと思い込んでいた自分が、実はまだ彼女に愛されていた…
「She Loves You」は、それを知った瞬間の男の子の喜びの感情を表した歌なのです。

【yeah】って、意外とステキな言葉でしょう? 



「シー・ラヴズ・ユー」

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : ビートルズ(その他) ロック コーラス 偉大な曲 

コメント

ビ-トさんおはようございます!

私が生まれた年に発表された曲ですよ

56年前!

今聴いても良いですね~

大好きなビ-トルズの歌は朝から聴いても

すごく嬉しくなりますね~

ありがとうございました!

うちの奥さんが言うんです

「また50年前の歌を聴きよる」

顔はニコニコ堂

奥さんも大好きなビ-トルズですね!

2019.06.22  たまごバナナ  編集

たまごバナナさん

それだと、計算間違いすることはありませんね。
また自分が生まれた年だと特別な思いもあるでしょう。

56年前も、数字だけ見ると凄く昔ですが
自分の人生だと、案外あっという間かもしれません。
でも「また50年前の歌を聴きよる」とツッコミ入れる方も
一緒に年を取っているのですから、心強いですね。

2019.06.22  Beat Wolf  編集

「yeah~!」でBeasty Boysを思い出す人はいても

「俺ってBig?」「yeah~」のコール・アンド・レスポンス方式を取り入れた「完全無欠のロックンローラー」を思い返す人はごく少数でしょうね。

家にある赤盤、青盤、リボルバー、ホワイトアルバムをたまに聞くんですが、「進んで聴いたわけではないのに知ってる曲」が多くて、今更ながら伝説を実感しちゃいます。

2019.06.27  地味JAM尊  編集

世界的なスタンダードとなっているこの曲を洋楽ブログであえて取り上げる人は逆に少ないかもしれませんね。小生のビートルズ名盤50周年シリーズもいよいよ終盤が近づいてきまいた。今年9月にアビーロード50周年、来年レットイットビー50周年の公開予定です。

2019.06.27  ローリングウエスト  編集

Re: 「yeah~!」でBeasty Boysを思い出す人はいても

…ん?
「yeah」のコール・アンド・レスポンスって
ビリー・アイドルのことですか?(笑)

でも「完全無欠のロックンローラー」のyeahは想定外でした。
ツッコミ・レスポンスは
「あたいら女に無視されて」が印象に残ってます。

結構ビートルズあるじゃないですか!
その中でも「She Loves You」は“The ビートルズ”です。
でもビートルズが凄いのは4枚組のベスト盤でさえ
いい曲が全く収まり切らないことです。
リボルバー、ホワイトアルバムだけでもいっぱいあります。(笑)

2019.06.27  Beat Wolf  編集

ローリングウエストさん

スタンダードは既にネット上に同じ情報がたくさんあるし
検索の上位には販売系のサイトがひしめくので
やりづらいかもしれません。

まぁ私はこれからも好きな曲を書くだけですが。(笑)

2019.06.27  Beat Wolf  編集

ビリー・アイドルの「yeah!」はモニモニっすか

モーモーモーじゃないっすよね。
Beasty Boysはメジャーヒットした「Fight for your right」の出だし部分です・・・って細かく長い注釈でスミマセン。

2019.06.29  地味JAM尊  編集

Re: ビリー・アイドルの「yeah!」はモニモニっすか

そうです。

「Fight For Your Right」の「yeah~!」は強烈ですよね。
強烈過ぎて、あれほどの「yeah~!」は未だ他に聴いたことはありませんが。(笑)

2019.06.29  Beat Wolf  編集

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