シセル(Sissel Kyrkjebø)は、ノルウェーの国民的女性歌手です。 9歳で音楽に目覚め7年間聖歌隊に所属し、16歳となった1986年に『Eurovision Song Contest 1986』の国内予選に出場し最終審査まで進出、“天使の声を持つ少女”として一躍有名となり、その勢いのまま1stアルバム『Sissel』を発表、国民のおよそ10人に一人が購入した計算となる40万枚を売り上げる快挙を成し遂げました。
その後もデビュー3作までに国内で150万枚までセールスを積み重ね、すっかり国民的歌手となったシセルは1994年、母国ノルウェーで開催された『リレハンメル冬季オリンピック』では開会式と閉会式で「オリンピック賛歌」をアカペラで独唱し、“天使の声”を世界に知らしめました。 これをきっかけに三大テノールの一人プラシド・ドミンゴやセリーヌ・ディオン、スティングらとの共演が実現し1997年、同年の話題を独占した映画『タイタニック』のサウンドトラックへ参加することとなります。 ご存知のように同作で最も脚光を浴びたのはメイン・タイトル「My Heart Will Go On」を歌ったセリーヌ・ディオンですが、多くの名場面のバックに流れていた音楽のヴォーカル(スキャット)を担当していたのがシセルであり、最も有名な“あのシーン”に流れていた「Rose」を歌っていたのも、シセルでした。
2000年、堂本剛/広末涼子・主演の同名ドラマの主題歌(オープニング)としてシセルが歌唱したのが「Summer Snow」です(恐らく日本限定のシングル)。 郷愁を誘うパンフルート(パンパイプ)はルーマニア出身の奏者ゲオルゲ・ザンフィル(Gheorghe Zamfir)で、プロデュースは千住明が務めました。 本曲の歌詞は英語ですが、作詞は「PIECE OF MY WISH」など今井美樹作品で知られる作詞家・岩里祐穂と、本ドラマの脚本家でもある小松江里子によるもので、カップリング曲「SEVEN ANGELS」も上記と同じ顔触れによって創作されています。
一方、原曲は「The Water Is Wide」または「O Waly, Waly」と呼ばれ16~17世紀から伝えられるとされる古いスコットランド民謡で、作曲者は不明です。 オリジナルの歌詞は第2代ダグラス侯爵ジェイムズ・ダグラスの、レディ・バーバラ・アースキン (Lady Barbara Erskine) との不幸な最初の結婚について言及したとされますが、このバラッドは世界各地に広まってさまざまなタイトルや歌詞へと派生し今日までいろんな物語で愛されてきました。 日本では「広い河の岸辺」という邦題が有名で(複数ある)、2014年にNHKの連続テレビ小説『花子とアン』『マッサン』に使用されたので聞き覚えのある方も多いでしょう。
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