9月6日、ダイアナの葬儀がウェストミンスター寺院で執り行われましたが、国葬ではなくそれに準ずる“国民葬”という形が採られました。 この時ダイアナと親交のあったエルトン・ジョンが歌ったのが「Candle in the Wind」で、ファンの方はご存知のように1973年のアルバム『Goodbye Yellow Brick Road(黄昏のレンガ路)』に収録された作品を基にしたものです。 翌年にイギリスでシングル・カットされ11位を記録し、1987年にはアルバム『エルトン・スーパー・ライヴ 〜栄光のモニュメント〜』からカットされBillboard Hot 100で6位(英5位)と再ヒットしています。
エルトンはダイアナの悲報に大きなショックを受けますが、気を取り直して作詞者であるバーニーにダイアナへのトリビュートとして詞の書き換えを依頼しました。 こうして葬儀で披露されたのが「Candle in the Wind 1997」で、ここでは直接Dianaの名は用いず“England's rose”と呼び掛けています。 ダイアナの死の直前には彼女の称号“Princess of Wales”の名を冠した新種のバラが生まれており、名実共に彼女は“英国の薔薇”となっていたのです。
Billboard Hot 100では14週No.1の大ヒットを記録、年間でも1997年1位+1998年8位という離れワザをやってのけました! 世界各国でNo.1に輝き全世界で3700万枚以上も売り上げ、正確な枚数が判らないビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」(5000万枚ともいわれる)を除けばシングル売り上げの世界記録とされています。
~1973年盤との違い~
「Candle in the Wind 1997」では、1973年のオリジナルの特徴的なフレーズを所々残してストーリーが組み立てられていますが、対照的なのはタイトルでもある「Candle in the Wind」の持つ意味合い。
And it seems to me you lived your life like a candle in the wind… …と喩えるのは同じですが、それに続くフレーズが正反対です。
73年のは… Never knowing who to cling to when the rain set in 雨が降っても、誰にすがりつけばよいのかも分からない
97年は… Never fading with the sunset when the rain set in 雨が降っても、夕陽にも褪せることがない
73年のは“風前の灯”の一般的な解釈を補っているのに対し、97年のはfade(次第に薄れる)を否定することで強さを表現しています。 従って私は、この場合の“Candle in the Wind”も“風にも負けず輝くキャンドルの灯”と解釈して訳しました。 サビの最後でYour legend ever did(73年)がYour legend ever will(97年)に替えている点やその他のフレーズからも、73年のはマリリンの死を儚んだのに対し97年のはダイアナを讃える意味合いが強いようです。
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