~ Lyrics ~ Writer(s): Benjamin Levin, David Burd, Jamil Chammas, Josh Coleman, Magnus August Høiberg /訳:Beat Wolf [Intro: Lil Dicky; human] やぁ、世界のみんな 僕はここの住人の一人 さて、もっと具体的な話をしよう 僕は人間で、今まさに望んでいることがある 向こうにいる地球人みんなのために言いたいんだ [Chorus: Lil Dicky] [Justin Bieber; baboon] [Ariana Grande; zebra] [Halsey; lion cub] [Zac Brown; cow] [Brendon Urie; pig] [Hailee Steinfeld; common fungus] [Wiz Khalifa; skunk] [Snoop Dogg; marijuana plant] [Kevin Hart; Kanye West] [Chorus] [Adam Levine; vultures] [Shawn Mendes; rhinos] [Charlie Puth; giraffe] [Sia; kangaroo] [Miley Cyrus; elephant] [Lil Jon; clam] [Rita Ora; wolf] [Miguel; squirrel] [Katy Perry; pony & Lil Dicky] [Lil Yachty; HPV] [Ed Sheeran; koala] [Meghan Trainor/ Joel Embiid/ [Tory Lanez/ John Legend; playback vocalists] [Lil Dicky] [Chorus: Lil Dicky, (Snoop Dogg), Meghan Trainor, Lil Dicky & Sia, John Legend] Earth...それは、僕らの惑星 地球を愛してる それは、僕らの故郷 地球を愛してる それは、僕らの命運を預かる星 地球を愛してる それは、僕らの家 みんな地球を愛している [Verse 3: Lil Dicky] 僕は人間(Hello?) 声が聞こえる? 僕はひどく長い間、とぼとぼ地球を歩いてきた それでもまだ、クソもわかっていない(What’s going on?) この世界が、シミュレーションだったりしなければいいけど 僕らはそれぞれ、アハメドとかペドロみたいな名前を与えられ 服を着るのが好きで、女の子は一層キレイに見える 衣服でイチモツを覆い隠し、ツナをたくさん食べる でもこの頃、どう振舞えばいいか分からないみたい やたらに撃ち合い、環境汚染して、自分で自分を攻撃してる ちょっと落ち着いて、人間の築き上げたものに敬意を表してみよう インターネットをごらん!最高にステキじゃないか 男は、愛し合って発射するのが好きだろう? でも女のオルガスムは、男よりスゴいらしい 僕らは何のため陸地を手に入れた?何を支持すればいい? “愛”さ、“We love the Earth!” [Ariana Grande] Oh, yeah, baby 私も地球を愛してる この星を [Lil Dicky] Hey! ロシア、僕らはクールだ Hey! アジアのみんなもおいで 平原から、サハラ砂漠のキミたちも みんなで共に生きよう [PSY/ Bad Bunny/ Kris Wu] [Outro: Lil Dicky, Ariana Grande & Justin Bieber] みんなおいで 誰もが同じじゃないってわかってる だけどみんな、同じ地球に生きている [Ariana] あなた、地球に行ったことは? [Lil] この歌を聞いてるみんなはあるさ、アリアナ 僕らはエイリアンのために音楽を作っているわけじゃない [Justin] 僕らは死んじゃう? [Lil] あのねビーバー、死ぬかもしれない 君に嘘をついたりしない つまり、ここの外には地球温暖化を現実と受け止めない人がたくさんいる でも、住人である僕らがこの星を救わなければならない 愚かなことをしているのは、僕らなんだから [Ariana] 今、私たちが力を合わせて事に当たらないと! [Backstreet Boys; the Credits] [Leonardo DiCaprio; himself]※歌詞はメッセージ部分のみを記載しました。
~ 概要 ~ リル・ディッキーは。アメリカのラッパー兼コメディアンです。
日本では Wikipedia にまだ専門のページが無いなど有名ではありませんが、本曲に参加している錚々たるスターの顔ぶれで測ると、世界での彼の影響力をイメージできるでしょう。
(プロデューサーのベニー・ブランコの力による所も大きいでしょうが…)
「Earth」は、“地球環境について考える国際記念日”
【アース・デイ(Earth Day)】 (4月22日)の3日前、2019年4月19日にリリースされた曲で、
Billboard Hot 100 で17位 を記録しました。
当ブログでは過去にアース・デイのテーマ曲として
ハワード・ジョーンズ「Building Our Own Future」 をお届けしましたが、今回の「Earth」は熱心な環境保護活動家として知られる
レオナルド・ディカプリオの環境保護団体と提携 し、深刻な地球温暖化が進行していることの啓発と、その収益を寄付し活動を支援しようという趣旨で発表された作品です。
こうした趣旨に賛同し、集まったのが
32組の錚々たるスター たちでした。
ミュージック・ビデオ(
最下の動画)を見ればわかるように彼らは一様に地球上に生きる何らかの生物のアニメ・キャラクターに扮しており、中には大麻植物やHPV(ヒトパピローマウイルス)といった変わり種を演じているスターもあります。
豪華なゲストの一部を紹介すると、
ジャスティン・ビーバー や
アリアナ・グランデ 、スヌープ・ドッグ、ケイティ・ペリー、マイリー・サイラス、ショーン・メンデス、アダム・レヴィーン(マルーン5)、
エド・シーラン ほか今を時めくスター揃いで(
詳細は【Lyrics】の項を参照)、チャリティという性質からも、1985年にアフリカの飢餓救済のため多くのスターが協力した「We Are The World」を連想される方もあるでしょう。
特殊なのは
カニエ・ウェスト で、彼のパートをコメディアンのケヴィン・ハートが声の代役を務め、映像でもカニエ本人の姿のまま登場していることです。
リルによると彼はカニエの大ファンで、一緒にバスケット・ボールをする仲だそうですが、当時カニエが電子メールと携帯電話を変更して一時連絡が取れなくなって代役を立てたそうです。
しかしビジネスとして考えればこれはおかしな話であり、むしろカニエがトランプ大統領の有力な支持者の一人で、その
トランプ大統領こそが「Earth」で言及されている“地球温暖化を現実と受け止めない人”の親玉 であることから、本曲にカニエ自身が参加するわけにいかず、かといって友人の頼みを全く無下にすることもできないためこうした“本人不参加の出演”となったのではないかと、勝手に想像しています。
もう一人、本人のままで参加しているのが
レオナルド・ディカプリオ です。
彼は曲自体には参加しておらず、映像の最後に本人として出演していますが…
“ちょっとしたネタ”も披露してくれていますので、ファンの方は必見!?
VIDEO VIDEO ~ リル・ディッキーの人生観を変えた地球温暖化の現実 ~ 「Earth」の発表に際し、リル・ディッキーはTime誌に次のよう語っています(2019.4.19)。
“もし僕らが次の12年間でエネルギーや食物、自然保護など、地球環境に影響を及ぼすあらゆる活動に対して完全な再構築を行わなかったら、(温暖化による)損害は不可逆的で取り返しのつかない状態になってしまう …” しかし彼はこれまで環境保護活動家でも、地球環境に関心があったわけでもありませんでした。
“
(「Earth」は)壮大なものを意図して始まったわけじゃない。僕は動物が大好きで、他のアーティストといろんな動物の役を演じた曲を作りたかったんだ ”
作業を始めたときリルは地球環境に関し曖昧な知識しか持っておらず、それを調べているうちに地球がとんでもないことになっている事を知り、その重大さに圧倒されたといいます。
“他愛のないジョークで始めたことが、これから僕が行う最も重要なことになった ” 自身、そう振り返るほどに…。
【“最も信頼性の高い科学的研究報告”が全人類に決断を迫った厳しい世界規模の抜本的な対策】 リルの人生観を変えた情報源は具体的に不明ですが、恐らく2018年10月の
IPCC特別報告書『1.5℃の地球温暖化』 に基づく情報と考えられます。
日本でも2015年12月に採択された気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定
『パリ協定』 は有名ですが、実際の
運用開始は2020年以降 であり、その細かい実施指針を取り決める『気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)』(2018年12月)のために作成・提出されたのが、『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)』による報告書『1.5℃の地球温暖化』でした。
『1.5℃の地球温暖化』は6,000点を超える科学的な文献と、全世界で数千人の専門家と政府査読者、40カ国91人の執筆者が報告する
世界で最も大規模で有力な科学的資料 です。
温暖化は、
2017年時点で産業革命前より既に1.0℃気温上昇した状態 で、2015年のIPCC第5次評価報告書が“2100年に最大で4.8℃気温上昇”と予測したものを、
“気温上昇を2℃未満に抑える”という大目標を掲げたのが『パリ協定』 でした。
しかし現実は、
世界のCO2総排出量は2018年も過去最高(331億トン)を更新して更なる気温上昇 を続けており、
IPCCは“世界規模の抜本的な対策 をとらない限り、早ければ2030年にも+1.5℃に達する”と予測 しています。
IPCCによると
“+1.5℃を超えないことが極めて重要” で、もし一時的にでも1.5℃を超過(オーバーシュート)することを許してしまった場合、それを1.5℃未満に戻す技術の有効性は不明確で、大きなリスクを伴いかねないといいます。
また、複数のIPCC共同議長が“1.5℃以上の温暖化が一部の生態系の喪失など、
恒久的または不可逆の変化と関連づけられるリスクを増やす /
これからの数年間はおそらく、私たちの歴史上、最も重要な時期 となる”(2018年12月の発言)と表現していることからも、これが全人類にとって如何に重大で、緊急性のある問題であるかが理解できるでしょう。
しかし
『気温上昇1.5℃未満』のためにIPCCが求めている要件 は、物質社会にどっぷり浸かった私たちには極めて厳しいものです。
以下に、それを列挙すると…
土地、エネルギー、産業、建築、輸送、都市のそれぞれで「急速かつ広範な」移行が必要
全世界の人為的な正味二酸化炭素(CO2)排出量は、2030年までに2010年の水準から約45%減少させ
2050年頃に「正味CO2排出量ゼロ」を達成する
“2030年までにCO2排出を45%減らせ” とは…
まさに、本項の冒頭に紹介したリル・ディッキーの言及は、これを指していると思われます。
この要件、あなたは“賛成”? それとも“反対”?
~ How dare you! ~ IPCCの『1.5℃の地球温暖化』を知ってじっとしていられなくなったのはリル・ディッキーだけでなく、スウェーデンの16歳の少女
グレタ・トゥーンベリ さんも同じです。
もうずいぶん昔から、地球温暖化によって自然災害が多発・苛烈化し、海水面上昇による陸地の水没、食糧不足や飢饉、感染症の拡大、生態系・自然環境の破壊…など様々な弊害を生じさせることを科学者が警鐘してきたにも拘らず、
世界の政治指導者は長年これを適切にコントロールするための政策を取り入れず 、目先の利益を優先し国民に永遠の経済成長が続くかのような“おとぎ話”ばかりを語り(騙り?)続けました。
今回“2030年までにCO2排出を45%減らさなければ地球環境は取り返しのつかないことになる”という
科学的知見を突き付けられて尚、対処しようとしない大人たちに自分の未来を任せておけない と、自ら立ち上がらずにはいられなかったのです。
VIDEO “明るくて素晴らしい未来を楽しみにしている、とても幸せな少女のようだ。 彼女を見ることができてよかった! ” Donald J. Trump 温暖化の長年の放置によって子どもたちの夢と安全な未来が脅かされ、多くの人が死んでゆくさまを悲しみ、瀬戸際にある地球の危機を救うよう各国首脳へ必死に訴え掛けている16歳の少女に対し、世界第2のCO2排出国の首脳
トランプ大統領がツイート した言葉は、まさに彼が“How dare you!(よくもまあ…できるものだ)”と非難されるに相応しい指導者であることを自ら証明しています。
一方、
世界第5位のCO2排出国・日本 はどうでしょう。
2011年に発生した福島原発事故によって原発の安全神話は崩壊、それによって日本は化石燃料の依存度が増し、エネルギー供給全体に対する
化石燃料の割合は81%(2010年)⇒89%(2016年)と高止まりしたまま で(資源エネルギー庁・総合エネルギー統計)、先進各国と比べて極めて高い水準です。
震災後一時的に化石燃料に依存するのは仕方ないとして、“一時的”を疾うに過ぎた現在もこれに依存し続けるのは、安倍政権が
“2030年・原発22-20%”達成のため“その枠を化石燃料で押さえている” からであり、これが先進各国と比べ日本で自然エネルギーの普及が遅れている原因と考えられます(安全な自然エネルギーが普及してしまうと、危険な原発を選択する必要性が無くなってしまう)。
地球温暖化 によって影響を受けやすいのは海面上昇で水没する太平洋の島々や、干ばつ・疫病が予想されるアフリカやアジアの貧困国と言われますが、ここ数年・
豪雨や台風被害が相次いでいる日本にとっても極めて切迫した問題 です。
命の問題 が最重要であることは言うまでもありませんが、地域共同体やインフラ・家屋への損害も甚大で、それが毎年、あるいは年に複数回襲われるとなればその補修・防災費用が嵩(かさ)み、
社会・個人を問わず経済的ダメージは測り知れません 。
【私たちはどのような選択をすればよいのか…】 方向性は3つあると考えます。
化石燃料をあまり減らさず 目先の経済効率を優先し、
台風19号クラスの気象災害は年中行事と覚悟 する
化石燃料を大きく減らして 再生可能エネルギーと原発を併用 し、
福島原発事故クラスの原発災害は覚悟 する
化石燃料を大きく減らして 再生可能エネルギーを普及 させ、それが
定着するまでの困難を覚悟 する
何れを選択するにしてもまず前提として考慮すべきポイントは、
“現時点は(産業革命前から)+1℃の温暖化状態” であり、
現状のCO2排出を続けた場合“今後10-30年で+1.5℃の温暖化”に達する と見込まれていることです。
はこの現状路線の選択ですが、
今後10-30年で更に+0.5℃温暖化を許容 することであり、その条件下で
発生する気象災害が台風19号や西日本豪雨クラスで収まってくれるとは限りません 。
また、この選択はパリ協定や国際社会の流れに反しており、国際社会からの激しい非難が予想されます。
は、
運良く原発事故や戦争・テロなどに遭わなければ最も楽 に目標達成も可能ですが、
運悪くそれが発生した場合は最悪の選択 となり得ます。
台風19号は何回直撃してもまず国そのものは滅亡しないでしょうが、原発災害による放射能汚染は最悪一発で日本を居住不能な地に変える可能性も考えられます。
は、東日本大震災直後から本気で始めていれば世界の主導権を握るチャンスだったのに、もはや周回遅れで残念でなりません。
グレタさんが演説した
『国連気候行動サミット2019』には世界515機関/運用額3,770兆円という主要機関投資家が投資先を求めニューヨークに集まった そうです。
CO2削減 というと日本では産業にマイナス・イメージがありますが、
海外でむしろ強く求めているのは企業や投資家 で、主要国の金融当局は“気候変動がリーマン・ショック級、もしくはそれ以上の金融危機を引き起こさないよう自らに厳しいCO2削減を課し、気候変動を抑える政策を導入するよう政府に圧力をかけているといいます。
こうした動きに
イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、ベルギー、スペイン、EU等は“2050年までにCO2排出量をゼロにする” ことを、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、スペイン、スイス、メキシコ等
70ヶ国は“パリ協定で表明した各国の削減目標を2020年までに自主的に引き上げる”ことを宣言 しましたが、残念ながら
日本はこの何れにも参加しなかった そうです。
~ Epilogue ~ IPCC特別報告書『1.5℃の地球温暖化』のプレスリリースを読んで気になったのが、“…すれば、~する可能性がある”といった言い回しの多さです。
つまり、IPCCの求める
「CO2排出量を2030年までに2010年比45%削減」 して
「2050年頃に正味ゼロ」 を達成すれば、必ず
「1.5℃の気温上昇に抑えられる」 …
というものではなく、
“そうなる可能性がある”という性質のもの です。
詳しく調べてみると、地球温暖化は工業化以降蓄積したCO2累積排出量によるものであり、
1.5℃に抑えるために許容できるCO2残余排出量の限界 があります。
IPCCによると
50%の確率で1.5℃に抑えられるCO2残余排出量は約580ギガトン 、
66%の確率だと約420ギガトンしか残されておらず (2018年1月の時点で)、今年9月23日のグレタさんの演説によると“今日では350ギガトンにまで減った”と言及しています。
IPCCの基準は“今後さらに+0.5℃の気温上昇を許容” していますが、近年大きな豪雨や台風の災害が相次いでいる私たち
日本は、台風19号や西日本豪雨以上の巨大災害が頻発することを許容できるでしょうか? 温暖化がもはや深刻な巨大災害として定着し始めているこの国こそ温暖化防止策が喫緊の課題 であり、世界に率先してCO2削減を働きかけなければならないはずなのに、安倍首相はいまだ国内エネルギーの89%を化石燃料で賄うことを改めず、更に海外へ石炭火力発電を売り込み、日本は70ヶ国が参加する削減目標の引き上げにも参加していないのです。
“今の放出レベルでは、8年半以内に二酸化炭素の許容放出量を超えてしまいます。しかしこの現状に沿った解決策や計画は作られないでしょう。何故なら、この数字はあなたたちにとってあまりに不都合で、現状をありのままに伝えられるだけ、あなたが成熟していないからです。しかし、若者たちはその裏切りに気づきつつあります。それでもなお私たちを裏切る選択をするのであれば、言わせてください。「私たちは決してあなたたちを許しません」 ” Greta Thunberg 『1.5℃の地球温暖化』に参加した科学者たちは警告しています…
“これからの数年間はおそらく、私たちの歴史上、最も重要な時期となる” と。
しかし頑張ってCO2を削減しても、「1.5℃の気温上昇」さえ達成できるとは限りません。
それでも、16歳の少女はたった一人で立ち上がり、その可能性に挑み始めました。
この世にたった一つしかない地球…
命に替えが無いように、私たちにとって地球に代わる“ゆりかご”はありません。
そして、あなたはどうしますか?
「Earth / アース」 VIDEO 最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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